ほごログ
11/22歴史文化講演会「古利根川の変遷」を開催します
11月22日(土曜日)に、昨年刊行された『春日部市史 自然史編』を監修された平社定夫(ひらこそさだお)先生をお招きし、「古利根川の変遷」をテーマにご講演いただきます。本講座は、昨年度行われた「地学さんぽ」講座の座学編として、地学の観点からお話いただきます。
まだ若干名、お申し込み可能ですので、ご興味のある方はこの機会に是非ご参加ください。
●歴史文化講演会「古利根川の変遷」
日時:11月22日(土曜日)14時から16時
場所:教育センター2階視聴覚ホール
講師:平社定夫先生(春日部市史編さん委員、『春日部市史 自然誌編』監修者)
申し込み:郷土資料館に直接、電話(048-763-2455)、電子申請
『春日部市史 自然誌編』で古利根川がどのように記述されているか、下記に引用しますのでご参考ください。
*『春日部市史 自然誌編』は市立図書館で閲覧できるほか、購入も可能です。詳細はこちら
『春日部市史 自然誌編』(春日部市教育委員会2024)PP.43-45より引用
大落古利根川
<農業用水路、および灌漑用水の供給>
春日部市を縦断する大河川で、大落の名は主要な農業用排水路の意味をもつ。大落古利根川(一級河川)の起点は杉戸町下野だが、その先は青毛堀川、葛西用水路へとつながる。青毛堀川は加須市下高柳で北青毛堀川と南青毛堀川に分かれ、河道は加須市平永、志多見付近まで追える。また、葛西用水路は北西に向かい、羽生市本川俣の利根川沿いの葛西親水公園まで続く。
青毛堀川は農業用排水路で、水田で不要となった水や雨水を集めて流下する。したがって大落古利根川は加須市西部から春日部市、そしてその先までの水田の不要な水を集めている河川といえる。一方、葛西用水路は灌漑用の水路で青毛堀川との合流点から越谷市大吉(逆川との分岐地)までは大落古利根川と河道を共用している。よって、大落古利根川は田畑に水を供給するという役割ももつ。
大落古利根川は越谷市と松伏町を結ぶ寿橋の上流の古利根堰で水位の調整が行われている。これは、洪水防止や農業用水の確保が目的で堰は毎年4月の始め頃から水門を下ろす。そのため、古利根川の水量はかなり増え、普段との水位の高低差は約3mにもなる。この古利根堰で溜められた水は、春日部市、越谷市、草加市、八潮市、三郷市、吉川市、松伏町の農地に供給されている。なお、元荒川の末田須賀堰(さいたま市岩槻区新方須賀、永代橋そば)も、同様に岩槻区、春日部市、越谷市の農地に灌漑用水を供給している。
<舟運>
川舟による物資の輸送は人馬よりはるかに効率的であることから、大きな河川では舟運が発達した。利根川東遷事業により新しい古利根川が生まれ、その古利根川が江戸と春日部を結ぶ物資の河川輸送のルートとなった。河岸場は物資の荷積みや荷揚げの場で、当時の面影は上喜蔵河岸(春日部市粕壁)や下喜蔵河岸(春日部市粕壁東)で見ることができる。春日部市の下流では、権兵衛河岸(松伏町大川戸)、民部河岸(松伏町松伏)、赤岩河岸(松伏町上赤岩)、桃河岸(松伏町上赤岩)、そして川藤河岸(吉川市川藤)が確認されている(彩の川研究会2015)。なお、春日部の上流では河岸場は知られていない。
舟運の開発は、年貢米の江戸への輸送が主たる目的であったが、年とともに他の物資輸送も行われるようになり、河岸場は結構なにぎわいになった。主な運搬物を見ると、酒、縄、肥料、桐箱などである。また桃河岸(松伏町上赤岩、桃の生産地)からは日持ちしない桃が江戸まで送られていた。
(参考文献)
彩の川研究会2015「埼玉県の舟運と現在も残っている河岸の歴史」調査報告書 公益社団法人日本河川協会 彩の川研究会P.240
春日部ゆかりの企画展(1)「埼玉の食と菌類」展(県立川の博物館)
文化の秋。各地の博物館では、力のはいった特別展(企画展)が開催されています。
今回は、春日部にゆかりのある事物が紹介された他館の企画展をご案内したいと思います。
第一弾は、埼玉県立川の博物館による「埼玉の食と菌類」展です。
展示では、県内の特徴的な食文化を支えてきた菌類に焦点をあてたもので、「きのこ」をはじめ、味噌・醤油・酒類など「コウジカビ」や「酵母」による発酵食品、食と菌類に関わる歴史民俗を紹介しています。
春日部市域でも、かつて味噌・醤油・酒づくりが盛んでしたが、県内でも特徴的なのが、ビール醸造。ビールがまだ珍しかった明治時代に、市内でビール醸造がされていたことを知る方は意外と少ないかもしれません。
ビールは、大麦の麦芽に含まれる糖を酵母がアルコールに分解してできるお酒で、「菌類」にも関わる飲み物です。
明治時代、春日部の赤沼で起業したマルコ商会は、埼玉県産のビールの草分けともなった「マルコビール」を醸造しました。近年、明治期に使用されていたラベルのデザインを活用し、クラフトビールとして復刻しています。ビール醸造をはじめた赤沼の旧家には、当時の工場の様子を伝える記録や、ビール醸造にかかわる資料が伝えられており、実は、ブログ担当者は、かわはくの学芸員さんの調査にも同席させていただきました。
川の博物館(通称:かわはく)は、自然科学領域の学芸員さんが多く、県内の博物館でも特徴的な企画展示や催し物に取り組まれています。今回は「菌類」についてご研究されている学芸員さんが展示の主担当のようで、身近な食に菌類が関わっていることをわかりやすく学べる内容となっており、かつ埼玉の歴史民俗、人文領域にも及ぶ文理融合の展示です。
担当者は、図録を頂戴しただけで、展示はまだ拝見していませんが、赤沼のマルコビールゆかりの資料が展示されているようですし、県内のビール、日本酒、ウイスキー、そして、きのこなど、文化の秋もとい、食欲の秋にふさわしい内容となっているようです。ぜひ、春日部のビールの歴史とあわせてお楽しみいただければと思います。
会期 2025年10月4日(土)〜2025年12月7日(日)
会場 埼玉県立川の博物館(〒369-1217 埼玉県大里郡寄居町小園39)
10月の考古学関係展示会、イベント情報
10月の近隣博物館・資料館の考古学情報をお届けします。
(毎月28日ごろに掲載します。随時、情報を更新します。)
(東部地区文化財担当者会リレー展示ー都鳥が見た古代)
・10月24日(金曜日)~11月26日(水曜日)
三郷市わくわくライブラリ―(三郷市・パネル展示)
(展示会_閉会日順)
・10月31日(金曜日)まで 神川町多目的交流施設(神川町)
企画展「かみかわの古墳を知ろう8~南塚原の古墳2~」
・11月3日(月曜日・祝日)まで 府中市郷土の森博物館(東京都府中市)
「古代国司と国司館~都から来た役人とそのすまい~」
・11月14日(金曜日)まで 土器の館(さいたま市大宮区)
「出土品から見る戦国時代のさいたま市」
・11月12日(水曜日)まで キヤッセ羽生(羽生市)
「永明寺古墳県指定10周年記念パネル展」主催:羽生市教育委員会
*以下、巡回します
1月14日(金曜日)~12月8日(月曜日)羽生市役所
1月17日(土曜日)~2月16日(月曜日)村君公民館
3月7日(土曜日)~5月6日(水曜日)羽生市立郷土資料館
・11月16日(日曜日)まで 柏市郷土資料室(千葉県柏市)
第30回歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」
・11月24日(月曜日・休日)まで さきたま史跡の博物館(行田市)
令和7年度企画展 「輝く武器・光る技 ー古墳時代の飾り大刀ー」
・11月24日(月曜日・休日)まで さいたま市立博物館(さいたま市大宮区)
第49回特別展「真福寺貝塚-国指定史跡50年-」
・11月24日(月曜日)まで 嵐山史跡の博物館(嵐山町)
巡回文化財展比企のタイムカプセル「比企の装い」
・11月30日(日曜日)まで 上高津貝塚ふるさと歴史の広場(考古資料館)(茨城県土浦市)
上高津貝塚ふるさと歴史の広場開館30周年記念第28回企画展「文字が語るもの」
・11月30日(日曜日)まで 白岡市立歴史資料館(白岡市)
第8回企画展「感じて!縄文土器のぬくもり~掘り起こされた白岡遺産~」
・12月7日(日曜日)まで さいたま市立浦和博物館(さいたま市緑区)
企画展「注目!縄文土器~注口土器」
・12月7日(日曜日)まで 武蔵国分寺跡資料館(東京都国分寺市)
令和7年度秋期企画展「発掘された国分寺市2025」
・12月28日(日曜日)まで 船橋市飛ノ台史跡公園博物館(千葉県船橋市)
「ふなばしを掘る 発掘速報展」
・11月1日(土曜日)から1月25日(日曜日)まで 藤岡歴史館(群馬県藤岡市)
秋季企画展「再発見!時代を創った古代藤岡のモノづくり -発掘された日本列島2018・2024を振り返る-」
・11月18日(火曜日)から1月25日(日曜日)まで 岩槻郷土資料館(さいたま市岩槻区)
企画展「さいたま市の土偶たち」
・3月1日(日曜日)まで 千葉市立加曽利博物館(千葉県千葉市若葉区)
令和7年度企画展示「加曽利B式展ー加曽利の名を持つもう一つの土器ー」
・5月17日(日曜日)まで 群馬県埋蔵文化財調査センター(群馬県渋川市)
令和7年度最新情報展第2期「縄文土器がつくられはじめた頃ーみどり市下谷戸B遺跡の発掘調査から」
(現地説明会)
・11月30日(日曜日)金久保内出遺跡遺跡見学会(上里町)
主催:埼玉県埋蔵文化財調査事業団(11月10日よりホームページから申込み)
10時から14時30分
・12月6日(土曜日)国指定史跡真福寺貝塚 現地見学会(さいたま市岩槻区)
主催:さいたま市教育委員会(申込不要)
午前の部:10時から11時30分、午後の部:13時30分から15時
・12月14日(日曜日)宅地遺跡遺跡見学会(行田市)
主催:埼玉県埋蔵文化財調査事業団(11月25日よりホームページから申込み)
(講演会)
・2月7日(土曜日)埼玉会館小ホール(さいたま市浦和区)
主催:埼玉県埋蔵文化財調査事業団(11月4日からホームページから申込み)
令和7年度東京・神奈川・埼玉埋蔵文化財関係財団普及連携事業公開セミナー
「弥生時代が終わるころ~ムラのカタチとヒト・モノの流れ~」
史跡神明貝塚の解説板を設置しました
西親野井地区にある史跡神明貝塚に解説板を設置しました。神明貝塚は、今から約3,800~3,500年前の貝塚です。貝塚全体がほぼ完全な形で現存し、日本の歴史を語る上で欠かすことのできない重要な遺跡として、令和2年3月に国の史跡に指定されました。現地を訪れた際はぜひご覧ください。
▼現在の神明貝塚
遺跡の保護のためにシートを貼っています。
▼解説板
今後も神明貝塚の適切な保存活用をすすめてまいります。ブログやホームページ等でも情報を発信していきますので、よろしくお願いします。
【東部地区文化財担当者会リレー展示_都鳥が見た古代】三郷市わくわくライブラリーでリレー展示が開催されています
三郷市のわくわくライブラリー(市立図書館・郷土資料館)で東部地区文化財担当者会リレー展示「都鳥がみた古代」が開催されています。
わくわくライブラリーは、市立図書館と郷土資料館の複合施設です。平成26年(2014)に開館し、昨年で開館10周年を迎えました。
わくわくライブラリー10周年記念「三郷の図書館・郷土資料館を振り返る」(三郷市サイト)
わくわくライブラリーは、三郷市役所近くにあり、春日部方面からは、JR武蔵野線三郷駅からバスでアクセスできます。
展示は、正面入口を入って右側の郷土資料館内で開催されています。
三郷市は、埋蔵文化財包蔵地が7カ所登録されており、その内訳は古墳時代、中世の遺跡となっています。古墳時代の遺跡は番匠免地区の自然堤防上で古墳時代と思われる土師器が収集されています。奈良時代・平安時代の遺跡は発見されていませんが、埼玉県指定旧跡「万葉遺跡 葛飾早稲産地」が所在します。
また大正14年(1925)の江戸川流路改修工事の現場で、石川新太郎氏が採集した縄文土器や埴輪が、郷土資料館に収蔵されています。(現在、展示されておりませんので『三郷市史 原始古代・中世史料編』1990をご覧ください)
展示の詳細は下記の通りです。
●三郷市わくわくライブラリー「都鳥がみた古代」
開催期間 令和7年10月24日(金曜日)~11月26日(水曜日)
開催場所 三郷市わくわくライブラリー(市立図書館・郷土資料館) 三郷市谷口618番地1
(JR武蔵野線三郷駅南口から金町駅(三郷市役所・中央通り経由)行、流通団地(三郷市役所経由)行で三郷市役所下車、徒歩5分。つくばエクスプレス三郷中央駅から徒歩12分、 駐車場 24台)
開館時間 平日 午前9時30分~午後7時、土曜日・日曜日・祝日 午前9時30分~午後5時
休館日 毎週月曜日、年末年始
お問い合わせ (048)930-7759(三郷市生涯学習課)
東部地区文化財担当者会報告書第9集「埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」も好評発売中(残部僅少)です。詳しくはこちら
*リレー展示「都鳥が見た古代」は、下記日程で開催予定です。
10月24日から11月26日 三郷市わくわくライブラリ― パネル展示
令和8年1月6日から3月1日 宮代町郷土資料館 資料展示
「赤沼の獅子舞」「銚子口の獅子舞」が公開されました
10月19日(日)、赤沼、銚子口の両地区で市指定無形民俗文化財が公開されました。
赤沼地区では、赤沼神社での神事のあと、獅子舞と神楽が奉納されました。
前半は宮入りから始まり、三番叟(さんばそう)、稲荷の舞(とうかのまい)などが舞われました。
途中、雲行きがあやしくなり、テントの中で子供獅子が行われました。さらに今年は、初めて
子供獅子が「太夫の出端」を舞いました。時間も長く、難しい舞ですが、とても力強く立派な舞を披露してくれました。
後半は神楽の「さかなつり」や「鬼退治」などが披露されました。娯楽的な要素が強い神楽で、集まったみなさんも笑顔で見守りました。
終盤は寒さが感じられる空気となりましたが、無事にすべての演目を披露されました。
銚子口地区では、銚子口香取神社での神事のあと、獅子舞が奉納されました。
天狗の舞に始まり、出端の舞、中の舞、太夫の舞などが舞われました。途中、雨に降られながらも、勇壮な舞を披露してくださいました。
今回は、自治会の協力で、獅子舞の間に書道パフォーマンスも行われました。
銚子口香取神社では、2026(令和8)年1月18日(日)の新春の例大祭でも、獅子舞が奉納される予定です。ぜひこちらもおでかけください。
【臨時休館のお知らせ】10月25日(土)午後、26日(日)
令和7年10月26日(日)は、教育センターが春日部市長選挙の投票所として利用されます。そのため、準備を含め下記の日程で郷土資料館は休館となります。ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
〈臨時休館日〉
令和7年10月25日(土)午後
令和7年10月26日(日)終日
※令和7年10月27日(月)は通常の休館日となります。
市制20周年記念ミニ収蔵品展「酒と春日部」(2)
常設展の「酒と春日部 ※お酒は20歳になってから」の資料を入れ替えました。
この企画は、市制20周年を記念して、20歳になった春日部市を、お酒にゆかりのある収蔵資料を紹介して、お祝いする試みです。1か月を目途に展示替の予定でしたが、2か月ぶりの展示替となってしまいました。
今回、紹介するのは、①三段重ねの盃と、②銘酒幸松の看板です。
①は結婚式などお祝いのときにお酒を飲む盃です。西金野井の農家の方からご寄贈いただいたものです。
②は明治元年に創業した造り酒屋の看板。市内もかつて造り酒屋があり、樋籠の同家では村の名称である「幸松」という銘柄のお酒を造っていました。
先日、20周年の式典も行われ、晴れて20歳になった春日部市。もう、お酒も飲めますね。
市制20周年のあゆみについては、教育センターロビーで展示中の、市制20周年に関するパネル展もあわせてお楽しみください。
富多神社例祭(江戸川小中学校4年生による伝統の舞)
10月15日(水)、春日部市神間の富多神社で例祭が行われました。
例祭では、江戸川小中学校4年生の皆さんによる、榎の囃子神楽が披露されました。
江戸川小中学校4年生の皆さんは、5月から、総合的的な学習の時間の中で榎囃子神楽連の皆さんにより伝統のお囃子と神楽を教わり、日々練習を続けてきました。
神楽殿には、神楽を見に来た観客や保護者の皆さんや学校の先生、神社の総代さんなど大勢の大人が集まっており、緊張の面持ちの中、囃子神楽が演じられました。
まず小学生の主とした囃子方が大太鼓、小太鼓、鉦(かね)を奏でその音色にあわせて、
ひょっとこ、おかめ、大黒天の演目の順番で地区に伝わる伝統の舞が舞われました。
特に、大黒天の演目では、口上を述べるながら舞うのが特徴で、声をそろえて元気よく口上を披露し、観客の方から盛大な拍手を受けていました。
演目終了後には、記念撮影を行い、日頃の練習の成果を発揮した達成感で皆さん晴れやかな面持ちでした。
皆さん大変お疲れさまでした。
郷土資料館【手作りおもちゃクラブ】を開催しました
令和7年10月12日(日) の午前と午後各1回ずつ、郷土資料館手作りおもちゃクラブ「からくり屛風を作ろう!」を開催しました。
まずは、蓄音機でレコードの鑑賞から。
レコードの外側に落とした針が、レコードに刻まれた溝に沿ってだんだん内側へと寄っていく様子に気付く観察力のある子も!
続いては春日部に纏わる伝説の紙芝居を1つ。
この日は「飯沼の椀貸し伝説」というお話です。
こどもたちも、小学生くらいになるとお友達と物の貸し借りをするようになると思います。“借りたものは返す”という当たり前の大切さを教えてくれるお話でした。
そして、おもちゃ作りでは「からくり屏風」を作りました。
2枚の板をクルクル回転させることで、4枚の絵柄が出てくる不思議なおもちゃです!
広報紙などの写真だとからくりの魅力が伝わらないのが残念なのですが、実際にみせてみるとこどもたちの反応も上々♪
完成までに少し時間のかかるおもちゃなのですがみんな集中して作ってくれました!
講座当日は3連休の中日かつ、市内でイベントもちらほら・・・といった日にあたってしまい、どれだけ来てくれるか心配していました。
しかし、ふたを開けてみれば、午前中ははじめましての子がたくさん♪そして午後はリピーターさんもたくさんでとっても賑わってくれました♪
講座もとても気に入ってくれたようで、次回作る予定のおもちゃにも興味津々の様子!
よかったら次回も来てくださいね!
来月は11月14日(金)「県民の日」と16日(日)の2回開催を予定しています!
詳しくは広報紙等に掲載いたしますので、ぜひご覧ください!
アナログで世界とつながる スペインの方の生の声
地域学習展では、大人でも、子どもでも楽しんでもらうために、ハンズオン展示(観覧者がさわったり、感じたりする展示手法)を採用し、「たいけんこーなー」をもうけています。
このなかで、今回新たな試みとして、カセットテープに感想を吹き込んでもらう、体験をもうけました。
題して、「ラジカセに感想をふきこもう♪」
統廃合された小学校から譲り受けたラジカセを活用して、カセットテープを使ったことのない世代の方を含め、声を吹き込んで楽しんでいただき、かつ、アンケート(入館票)を書かない方(特に外国の方)から郷土資料館の感想をもらう(集める)、という、手前味噌ですがナイスなアイデアです。
数日、様子をみていたところ、次のような音声が録音されていました。
こんにちは みなさん えっと わたしたちは すぺいんからきました
このびじゅつかんは とてもむずかしいですね
えっと むずかしいじゃない えー おもしろい
おもしろい ありがとうございます アディオス
わずか20秒ほど、少したどたどしい男性の声で、音声が吹き込まれていました。
スペインの方のようで、日本語が上手なので留学生の方でしょうか。
郷土資料館を「美術館」といっていただきました。スペイン語では、博物館・美術館のことをmuseoというそうです。「むずかしい」との声をいただき、一瞬ドキッとしましたが、「おもしろい」と言い直していただき一安心。
SNSやデータベースなどデジタル技術で簡単に世界とつながれる時代に、もはや死語にもなりつつある「ラジカセ」(アナログの機械)で世界とつながれる可能性を感じました。「ラジカセ」まだまだ色々と使えそう。郷土資料館にとっては、多分な可能性を秘めた逸材です。
こちらが展示等々で発信するばかりでなく、観覧者・来館者も足跡を残せる仕組み・仕掛け、さらに進化させてもよさそうですね。「ラジカセ」今後も活躍します。お楽しみに。
それでは、アディオス。
「くらしのうつりかわり」 地域学習展の準備から
現在開催中の地域学習展、準備する過程で気づいた(驚いた)ことがありました。
同展は、小学校3年生の郷土学習向けでもあるので、以下のようなイラスト風年表をつくって、時代の流れ、移り変わりを数字やイラストで紹介しています。
今回、数年ぶりに年表を改訂しました。改訂するといっても、現在の人口、農業の状況の数字を最新の統計書を参照して修正する程度なのですが。
その作業のなかで、驚いたことがありました。
一つは、市の人口。ついに23万人を割り込んでしまったこと。そして、1世帯当たり人数も2.0人。2人を割り込むことも近いかもしれません。現代は人口減少社会ですから、これは小驚き。
もう一つは、農業の状況。農業に関わる統計は、農業センサスという統計で5年に一度調査が行われています。
最新は令和2年(2020)の統計。市内の農家の戸数は957戸となりました。
これは、前の調査平成27年(2015)の1305戸から大きく減少する結果となっています。ちなみに平成22年(2010)は1568戸でした。1000戸を割り込んでしまったことに、年表をつくりながらショックをうけました!
昭和35年(1960)は全世帯の6割が農家だったのですが、農業ばなれ、農家の方々のご苦労がうかがえる数字です。
少し昔(60年前)との比較も大事ですが、ここ数年間での大きな変化もある。所詮は数字ですが、奇しくも、担当者が年表づくりから春日部の「くらしのうつりかわり」を学ぶことになりました。
映像上映+講演会「春日部の水害と水防」
11月1日(土)に開催される、映像公開ライブラリー出張上映会の受講申し込みがはじまりました。
本講座は、今年度の彩の国ビジュアルプラザから提供いただき、郷土資料館とハルカイトに設置している端末(移動公開ライブラリー)の関連事業です。
題して、「映像上映+講演会 映像と資料でひもとく!春日部の水害と水防」。郷土資料館と、埼玉県・彩の国ビジュアルプラザ共催で、春日部市教育センターで開催します。
講座は映像上映、すなわち、彩の国ビジュアルプラザから提供される古い映像をご覧いただくパートと、映像を踏まえて「春日部の水害・水防」の歴史をお話しするパートの2部構成になっています。今まであったような、なかったような構成です。なかなか見ることのできない映像資料が上映されますので、ぜひお越しください。
彩の国ビジュアルプラザのご尽力もあり、市内の図書館、公民館では、下のカラー刷りのチラシを配布しています。
チラシは、今年の博物館実習生(大学生)の皆さんにデザインしてもらいました。Z世代ならではのデザイン(?)になりましたでしょうか?
そして、11月は、
- 11月15日(土)10時~12時 学芸員講座「須釜遺跡の再葬墓」
- 11月22日(土)14時~16時 平社定夫先生 歴史文化講演会「古利根川の変遷」
の講座・講演会の受講者も絶賛受付中です。
文化の秋にあわせてお楽しみください。
【なぞとき郷土資料館The Fourth Impact!】なぞとき郷土資料館第4弾です!
先日ブログでお伝えしました「なぞとき郷土資料館」の第4弾が令和7年10月7日(火)からスタートしています!
なぞとき希望の方にはワークシートをお渡ししますので、郷土資料館の受付で「なぞときやります」とお声がけください。
易しめの問題になっている“ゆるふわコース”と、難しい問題になっている“ゴリゴリコース”がありますので、お好きな方をどうぞ♪(もちろん両方やってもOKです!)
“ゆるふわコース”なら15~20分、“ゴリゴリコース”なら25~30分くらいが目安かと思います。それぞれヒントも用意していますので、適宜ご活用ください。
毎年、手作り感満載でやっている本企画ですが、「難しいけど面白い!」「本格的!」など嬉しいお言葉をいただいております(感涙)
ぜひ今年も郷土資料館でなぞときにチャレンジしてみてください!
もちろん参加費無料!こどもから大人の方まで対象です!ささやかな記念品もありますよ♪
みなさま奮ってご参加ください!
“気づいてみれば第4弾”
【なぞとき郷土資料館The Fourth Impact!】
期間:令和7年10月7日(火)~令和8年3月1日(日)
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:なぞときプリントの配布(受付で「なぞときやります」とお声がけください)
クリアした方には記念品をプレゼント
自由参加
※期間中は第42回小学校地域学習展「くらしのうつりかわり」展を開催しています。合わせてご覧ください。
地域学習展、はじめました。今年は戦後80年
毎年、秋から冬にかけて開催する小学校地域学習展(第42回)が、本日10月7日からはじまりました。
少し昔のくらし、生活でつかわれていた様々な道具を紹介し、小学校3年生の社会科の郷土学習に寄与する内容です。
今年は、戦後80年の節目の年であることから、アジア・太平洋戦争ゆかりの資料を展示しました。
チラシ・ポスターも、半分は戦時下の銃後の生活を写した写真です。
市内から出征した方が戦地で使った道具や、地元や家族から無事を祈り贈られた寄せ書き、手紙、戦時下の小学校(国民学校)の資料など、戦時下のくらしを物語る資料を一堂に会しました。資料を扱い、陳列するなかで、世の中が戦争一色に染まり、暗く、苦しい時代であったことを、担当者も目の当たりにしました。
終戦から80年。当時のことを知る方は少なくなってしまい、段々と戦争・戦後は風化しつつあります。当時の資料が語りかけることを読み取りながら、戦争とは、平和とは何なのか、考えていただければ幸いです。
【企画展示情報】
展示名:小学校地域学習展(第42回)「くらしのうつりかわり~なつかしのくらしの道具展~」
会 期:令和7年10月7日(火)~令和8年3月1日(日) 会期中の休館日は、月曜・祝日(祝日が月曜日と重なる場合翌火曜日も休み)
会 場:郷土資料館 企画展示室
【手作りおもちゃクラブ】からくり屏風を作ろう!
10月12日(日)に“手作りおもちゃクラブ”を開催します。
今回作るおもちゃは「からくり屏風」です。
写真ではどんなおもちゃかイメージがつきにくいと思いますので、以下の動画もご覧ください♪
実はこれ、屏風をクルクルと回して、4つの面が現れる仕掛けになっています!
動画内では色紙を使って4色の色を出現させていますが、例えば動物の絵を使えば4体の動物を出現させることもできます。好きな絵柄で試してみましょう♪
仕掛けがあるため、おもちゃの作成には少し手間がかかりますが職員もお手伝いしますので、安心してご参加ください!
手作りおもちゃクラブは申込不要、おもちゃの材料も資料館で用意しています。
当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!
【手作りおもちゃクラブ】
日時:令和7年10月12日(日)午前10時30分~・午後2時~
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:蓄音機と紙芝居の上演
おもちゃづくり(からくり屏風)
費用:無料
申込:不要(開催時間までに郷土資料館にお越しください)
10月の指定文化財の公開ー榎の囃子神楽・赤沼の獅子舞・銚子口の獅子舞ー
残暑の厳しい日々が続いていますが、今年も民俗芸能の秋季例祭の季節がやってきました。10月は3つの市指定無形民俗文化財が公開されます。
《1.榎の囃子神楽》
祭礼日時:10月15日(水) 午前11時~11時30分
場所:富多神社(神間663)
榎地区では、江戸川小中学校の4年生が総合的な学習の時間で、「榎の囃子神楽」を継承する榎囃子神楽連の皆さんの指導を受けています。毎年恒例の富多神社の祭礼では、児童の皆さんによって囃子と神楽が披露されます。
▲過去の祭礼の様子
《2.赤沼の獅子舞》
祭礼日時:10月19日(日) 午後1時~3時30分
場所:赤沼神社(赤沼770)
赤沼地区では、「赤沼の獅子舞」を継承する赤沼民俗文化財保存会の皆さんによって獅子舞と神楽が奉納されます。収穫感謝祭である秋季の祭礼では、江戸時代以来の伝統ある三匹獅子舞に加え、ユーモラスな神楽も奉納されます。当日は子ども獅子なども披露されます。
▲赤沼民俗文化財保存会から祭礼のポスターをいただきました
《3.銚子口の獅子舞》
祭礼日時:10月19日(日)午後2時~3時30分
場所:銚子口香取神社(銚子口551)
銚子口地区では、「銚子口の獅子舞」を継承する銚子口獅子舞保存会の皆さんによって獅子舞が奉納されます。銚子口の獅子舞は、赤沼と同じルーツをもつ、江戸時代以来の伝統的な三匹獅子舞です。秋の祭礼では五穀豊穣を祝い、健康への感謝をこめて舞われます。
▲銚子口獅子舞保存会から祭礼のポスターをいただきました。
春日部市の民俗芸能を継承していくために、市内・市外を問わず、多くの方にご覧いただけますと嬉しいです。芸術の秋を楽しむ機会としても、ぜひお出かけください。
「幸松っ子クラブ」でのお囃子教室(第2回)
9月29日(月)に幸松小学校の放課後こども教室である「幸松っ子クラブ」の第2回目が開催されました。この中の「お囃子教室」では、幸松地区に江戸時代から伝わる市指定無形民俗文化財「不動院野の神楽」を継承する、「東不動院野神楽保存会」の皆さんが、講師として招かれています。
今回は、総勢13名でのお囃子教室です。半分くらいの子どもたちが第1回に続いて2回目の参加でした。最初に保存会の皆さんによる「ニンバ」というお囃子のお手本を見学します。皆さん興味津々です。
今回は第1回と同様に「ニンバ」の太鼓を叩く練習をしました。まずはバチの持ち方を確認します。手首をやわらかく使えるように、やさしく、でもしっかりと握る力加減が難しいようでした。
バチを持ったら、「天スク ステスク 天ツクツ スク」のリズムに合わせて太鼓に見立てたタイヤを叩きます。タイヤで練習をしつつ、交代で本物の太鼓を叩きました。子どもたちは、生の太鼓の音を楽しみながら、笑顔で叩いていました。
休憩時間には、「7月の春日部夏まつりでお囃子を見ました!」と教えてくれる子もいました。神楽やお囃子に興味をもってくれる子どもたちが、少しずつ増えているようです。
2026(令和8)年2月の春日部市民俗芸能公開事業では、神楽やお囃子の保存会の方々にご出演いただく予定です。詳細が決まりましたら、またお知らせします。
保存会の皆さん、ありがとうございました。
よくあるレファレンス(道しるべ)
よくあるレファレンスの記録。
先日、郷土資料館に展示する近世の道しるべについて、同じ質問が2日連続でありました。
郷土資料館には、2つの道しるべがありますが、うち1つはレプリカ。原物は粕壁の町並みの仲町の東屋さんの店先にあるものです。
質問があったのは、写真奥のレプリカ(というか東屋さん店先の道しるべ)について。
「行先の文字は読めるが、背面に彫られた文章はどんな意味なのか。読んでほしい。」という質問が、奇しくも2日連続でありました。気候も秋めいてきましたから、まち歩き、散策のシーズンにあわせ、重なったのでしょう。2日連続ならば、よくある質問といえそうです。
市域の道しるべについては、かつて紹介したことがあります。市や行政で編さんした様々な図書で調べることができますが、完ぺきな悉皆調査がされているかと問い詰められると…( ;∀;)
今回の道しるべも、行先が刻まれた3面は『埼葛の道しるべ』に掲載されていますが、背面は紙面の都合もあり、調べる手はずがありません。
では、ここで紹介してしまおう。というのが今回の記事。
「ほごログ」に記すことで、後の備忘とするものです。
道しるべには次のように刻まれています。
(正面)東江戸 右之方陸羽みち
(右)北日光
(左)西南いハつき
東は江戸、北は日光、西南は岩槻。
「陸羽みち」とは日光道中のこと。「陸羽道」とは「陸羽街道」のことで、明治以降の奥州道中(日光道中)の別称です。「右之方陸羽みち」の線刻は浅いので、後年に追記されたものかもしれません。
道しるべに刻まれた行先から、この道しるべは、粕壁の上町、新町橋に向かい街道がクランクするあたりに建てられていたものと推定されます。
さて、肝心の背面には次のような字が刻まれています。
(背面)
古来立木表以記岐路方向、今胥議
以石代之
天保五年二月 春日部駅長 熈等立
文を訓釈すれば、次のようになるでしょうか。
古来、立木を表として以て岐路の方向を記す。今、胥議して石を以て之に代う。
意味は、昔は木表(木標・木柱)を立てて方向を示していたが、(宿内で)相儀(議論)して、今は石に代えて(立って)いる。天保5年(1834)2月、「春日部駅長」の「熈等」(関根次郎兵衛孝熈ら)がこの石柱を立てる。
という感じでしょうか。
関根次郎兵衛孝熈は、当時、粕壁宿の名主をつとめていました。「春日部駅長」は粕壁宿の長、すなわち名主の意と考えられます。当時、宿の行政は、複数の役人で相談しながら運営されていましたので、相談の上、木製の道しるべから、石の道しるべに建て替えたというものです。
粕壁宿の辻で行き交う人々を見守ってきた道しるべ。今は数少ない粕壁宿の面影を物語る石造物となっています。
ご参考にしていただければ幸いです。
幸松小4年でばりぃ資料館と子どもたちの声
9月18日(木)、幸松小学校で出張授業を行ないました。テーマは、毎年恒例になりつつある「幸松と水害」です。昨年度の模様はこちら。
4年生の皆さんには、幸松地区で起きた水害の歴史や、地区の先人たちが水害を克服するために講じた工夫をスライドとワークシートで学んでもらいました。授業の内容や様子は、幸松小のブログで紹介いただきました。
ブログでも紹介いただいたように、幸松地区ならではの、幸松小学校ならではの水害の歴史をお話しました。児童の皆さんは、災害の脅威、恐怖もあり、終始、真剣な表情で、話を聞いてくれました。授業の後、児童から「難しかったー」と正直な感想ももらいました。こみいった話題、初めて聞く言葉も多く、ちょっと難しかったのかもしれません。
後日、授業のアンケートをいただきました。これをみると、もちろん「難しかった」「わかりにくかった」と答えている子もいましたが、おおむね、講師が伝えたかったことを理解してくれているようでした。
今回は、アンケートをいくつか紹介し、幸松小の皆さんがどんなことを学び、考えたのかを紹介してみることにします。以下のアンケートは、印象に残ったことは何ですか、という設問に対する回答です。
まず、授業のメインの話題となった、めがね橋のこと。
「めがね橋はただの橋じゃない」という切り口は、通学路にもなっている身近な橋が災害に深く関わり、災害時に役立つモノという意外性もあり、印象に残る子が多かったようです。
そして、「樋門(ひもん)」であるという説明も理解してくれたようです。
樋門の「樋」はシンニョウの点が二つだよ、と板書した甲斐もありました。4年生では習わない漢字もしっかり書いてくれています。
学年には、農村部の不動院野に住む児童もおり、
地区の古い農家の納屋に用心舟(ようじんぶね)を吊るして、水害に備えていること、身近に感じ、印象に残ったようです。
先生からは、事前に当時の資料を間近に見せてほしいというご要望もあり、当日は、明治43年(1910)の幸松地区の水害記録である「幸松村水害誌」を持参しました。
「幸松村水害誌」は、幸松尋常小学校の先生が執筆したこと、その先生は序文に「過去の災害の悲惨な状況を克明に記録し、その記録を後世の人たちに活かしてほしい」と記していること、この記録が、小松小学校に残されていたことを児童の皆さんに伝えました。
小学校の先生の本とは、「幸松村水害誌」のこと。100年以上前の記録(本)を手に取り、幸松の皆さんにとって貴重なものであることを体感してもらえたようです。
記録もあわせ、幸松地区には、水害(湛水)時の古い写真がいくつものこっており、写真もスライドでみてもらいました。
昔の状況をきちんと理解したうえで、今、そして未来に活かしていくこと、先生やおうちの方と一緒に考えてみてください。
幸松小学校の皆さん、どうもありがとうございました。