カテゴリ:文化財の保存と活用
出張授業「縄文体験教室」 in桜川小学校
7月2日(水)に、桜川小学校で縄文体験教室の出張授業をしました。
今回は、6年生3クラス78名です。
1学期最後の出張授業ともあって、講師も今一度気を引き締めて臨みました。
歴史の授業は飛鳥時代まで進んだとのことで、縄文時代は復習となります。
授業の前半はパワーポイントを使って、縄文時代の春日部や、学校の周りの遺跡について説明をしました。
また、市内の代表的な縄文時代の貝塚・国史跡神明貝塚についてもパンフレットを用いて解説します。
このパンフレットは、3月に刊行されたもので、小学生向けと、大人向けの2パターンを作っています。
続いて、後半では、班ごとに分かれての体験になります。
石器コーナーでは、実際に黒曜石製の石器を用いて段ボールを切りました。
恐る恐る石器を握って段ボールで刃の鋭さを体験しました。
貝コーナーでは、学校の周りに広がる貝塚の貝と、神明貝塚の貝の違いを説明します。
縄文時代の人が食べたものを実際に手に取って触ることができる貴重な機会です!
貝がらのクイズでも盛り上がりました。
土器コーナーでは、縄文時代の土器を実際に触ってもらいました。
持ち上げてもらうと、思ったよりも軽い!という声があがりました。
今回は縄文を付ける道具も持っていき、触ってもらいました。
土器についた模様のどれが縄文なのか、わかりやすかったようです。縄文人は、器用にさまざまな道具を活用して模様をつけていました。
桜川小学校のみなさん、ありがとうございました!
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申し込みいただいていた授業は今回で終了となりましたが、出張授業の申込みはまだまだ受け付けております!
小中学生向けの「縄文体験教室」出張授業に関しての詳細は、文化財課文化財担当までお問合せください。
お待ちしております。
熱い暑い夏季例大祭ー民俗芸能の公開ー
7月一週目という、例年では見聞きしたこともない短い梅雨明けとなり、この後は酷暑が予報されている令和7年の夏。その中で次週12日(土)には埼玉県から指定された無形民俗文化財『やったり踊り』が、13日(日)には春日部市指定無形民俗文化財『銚子口の獅子舞』と『赤沼の獅子舞』がそれぞれ地区の祭礼で公開されます。
それに先だって、インターネットラジオ「ゆめのたね放送局」では、春日部市内の伝統芸能に携わる皆さまの生の声が放送されます。
やったり踊り保存会の渡辺大介さんが主宰する『だいすけが勝手に応援するラジオ』では7月8日(火)午後11時~11時30分に『銚子口獅子舞保存会』『赤沼民俗文化財保存会』、そして渡辺さんと、3団体のみなさまがラジオ波で小学校での出張授業や後継者の育成・獲得など、民俗芸能が抱える課題や取り組みについて熱く語ってくれます。ラジオへのアクセスは検索サイトから「ゆめのたね放送局」へ。
乞うご期待!! そして祭礼当日の見学をとおして伝統芸能に触れてみませんか!!
出張授業「縄文体験教室」 in川辺小学校 その2
6月26日(木)に、川辺小学校6年生2クラスの「社会の時間」で出張授業に行ってきました。
小学校3年生のときにも縄文体験授業を受けていたことを覚えてくれていました!
6年生になり歴史の授業が始まって、現在は飛鳥時代ごろまで進んでいるとのこと…。
縄文時代の復習もかねて、授業を進めていきます。
前半の縄文時代の春日部をパワーポイントを用いて説明します。
春日部には海があったこと、学校の近くにも縄文時代の遺跡があったことを説明しました。
生徒さんからは、 「埼玉に海があったことをはじめて知った」、春日部の縄文人は「イルカを食べていた」といった声が寄せられました。
イルカがみつかるくらい温かい海であったことを勉強してくれました。
次に、石器、貝、縄文土器の3班に分かれて体験をおこないます。
石器コーナーでは、黒曜石の流通について話を聞いたり、黒曜石を用いて実際に段ボールを切る体験をしました。
「石をナイフの代わりに使っていた」「黒曜石の硬さに驚いた」「切れ味がすごかった」といった声をもらいました。石器の切れ味に、みなさん驚いたようです。
貝のコーナーでは、縄文時代の人々の一年のサイクルや、食べた貝の種類、動物について話をききました。
「貝を実際に触れた」「イノシシの骨が現代と同じだった」「貝塚によって貝の種類が違う」といった声をもらいました。特に、神明貝塚の貝と、学校の近くの遺跡から出土した貝との違いも分かってもらえたようです。
土器のコーナーでは、学校付近で出土した縄文土器を実際に持ってもらいました。また、縄文土器、土師器、須恵器、埴輪を当てるゲームをおこないました。
縄文土器に「縄の模様がのこっていた」、4種類の中から「縄文土器を探すのが印象的」といった声をもらいました。
ゲームの中では、自分の持った土器が何か、皆さん一生懸命に考えてくれました。土器の違いが分かってもらえたようです。
川辺小学校6年生の皆さん、ありがとうございました!
第11回春日部市民俗芸能公開事業のダイジェスト動画が公開されました!
2月9日(日)に粕壁市民センター(中央公民館)で行われた「第11回春日部市民俗芸能公開事業〜伝える、つなげる、獅子舞の未来〜」での様子をまとめたダイジェスト動画を公開しました。
https://youtu.be/BlyBw_gd0Ck?si=-HO2cyMgTC8u2DpI
第11回のテーマにもあるように、両団体は長年後継者養成に取り組んできており、当日は子どもや女性舞手による獅子舞も披露されました。
当日披露された演目を多数収録していますので、ぜひご覧ください。
≪収録演目≫
銚子口の獅子舞「道中流し」、「出端の舞」、「中の舞」、「三切りの舞」、「津島の舞」
赤沼の獅子舞「宮入り」、「三番叟」、「太夫獅子の出端」、「神楽 さかなつり」、「太夫獅子の練り」、「弓くぐり」、「ぶっきり・さんぎり」
出演:銚子口獅子舞保存会、赤沼民俗文化財保存会
撮影:安藤 茂雄氏(ビデオ特派員)
新たに文化財に指定されました「旧石器時代の石器」を公開します!!
令和7年4月17日付けで新たに春日部市の有形文化財に指定されました「馬場遺跡旧石器時代石器群」について、教育センター1階エントランスホールで展示・公開を開始しました。
▲教育センターエントランスでの展示状況
馬場遺跡は、西金野井地区に所在し、国道16号と江戸川が交差する金野井大橋の北側に広がる台地上に立地します。これまでの発掘調査では縄文時代7,000年前のいろりや4,500年前の住居跡、平安時代のムラなどを確認した遺跡でしたが、平成29、30年の調査で旧石器時代の石器製作の跡が発掘されました。今回の文化財指定で、市指定51件(国指定5件・県指定15件)、総数71件となりました。
《文化財の特徴 その1》
馬場遺跡では現在の地表から90㎝ほど掘り下げた関東ローム層から119点の石器が発掘されました。関東ローム層は富士山、浅間山、榛名山、赤城山など関東周辺の火山から噴出された鉱物類が風化した土壌です。特に3万年前に大噴火を起こし日本列島一帯に噴出物をもたらした鹿児島県姶良(あいら)火山の噴出物に含まれる「火山ガラス」(AT)は関東ローム層の年代確定の目印になっています。石器はその下のローム層から発掘されたことから、埼玉県内でも旧石器時代の初期の約3.4万年前にあたるという、最古級の石器です。
▲石器の発掘状況~まとまりをもって同じローム層の中から発見された~
《文化財の特徴 その2》
馬場遺跡は、標高13.5mを測る下総台地の西縁に立地します。東方50mには江戸川堤防下に埋もれた谷があり、緩やかな東向きの斜面地で旧石器時代の石器製作の場が発掘されました。この石器製作の場は南北23m、東西17mの範囲に広がり、4か所の集中区からなる旧石器時代初期の石器製作の集合体です。こうした石器製作の場は、埼玉県内の下総台地にあたる幸手市・杉戸町・春日部市、そして松伏町では初めての検出であり、旧石器時代の文化の示標となります。
《文化財の特徴 その3》
発掘された石器は、狩猟具の「台形様(だいけいよう)石器」や石器を製作する「ハンマー」「砥石」(といし)、植物の加工具である「磨石」(すりいし)と、道具類は極めて少なく、完成品を携えて移動生活を繰り返したものと推定することができます。石器の材料は、関東周縁から採取できる8種類の石材が用いられました。なかでも流紋岩(りゅうもんがん)やガラス質黒色安山岩の2種が全体の7割を占め、いずれも群馬県や長野県境の山地、利根川上流で産出される石材が中心でした。また、旧石器時代から縄文時代の長きにわたって人びとが愛用した利器に加工しやすい「黒耀石」は科学的な分析により、栃木県矢板市の高原山産であることが判明し、北関東地方と春日部周辺のモノとひとの交流がうかがい知ることができます。
▲主な石器(上:台形様石器、下:ハンマー、磨石、砥石)
実物の石器に加え、写真やイラスト、北海道白滝産の黒耀石を用いて展示しておりますので、郷土資料館や教育センターにお立ち寄りの際はご覧ください。
【市ホームページでも紹介しています「新指定文化財」のお知らせ】