ほごログ(文化財課ブログ)

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土器作り教室を開催ー1日目ー形づくりにチャレンジ!

 7月21日(日曜日)、市役所1階のひだまりホールで土器作り教室を開催しました。コロナ禍の令和3~5年はご自宅でオンラインによる制作でしたが、今年は5年ぶりに対面で実施。広報7月号の募集では、早々に募集定員を超える人気講座はコロナ感染前と同様、大変好評です。
 開講式ではビデオの視聴をとおして、土器作りと野焼きの手順を確認し、家族単位で制作を開始。

土器作り動画説明

 

 

 

 

 

 

▲動画をみながら土器作りの流れをみていただきました。作り方のポイントが確認できました

 

 

 今回の粘土は瀬戸・美濃焼にも使われている愛知県産の陶芸用粘土ですが、機械練りのため、まずは粘土を手で練り込む作業から開始。練れば練るほど粘りが出て粘土中の鉱物も均一になり、積み上げ易くなるため、一仕事。空調が効いたホールですが、うっすらと汗をかきつつ、次の工程は底づくり。球状にまとめた粘土を両手で押し潰し、厚さ1㎝ほどの円盤を作りました。その後は、粘土紐の積み上げ、考古学では「輪積み」技法と呼んでいますが、粘土紐を一段ずつ積み、底や下段と馴染ませるよう整形していきます。ここでの注意点は積み上げた粘土紐がわからないよう指先を使って痕跡を消す作業です。粘土ひもはあたかも粘土工作のヘビに似ているため、土器の表面にヘビがいなくなるよう、丁寧にヘビを消す作業が最大のポイント。

土器の制作にチャレンジ

 

 

 

 

 

 

 

 

▲二時間ほど制作に集中。大人の皆さんも久しぶりに一心不乱にモノ作りにできた!との感想をいただきました

 

 職員からの再三の注意が功を奏したようで、粘土のヘビを残す作品はほぼありませんでした。2時間ほどかけて思い思いの形の作品が無事完成!参加された皆さんも笑顔で会場を後にされました。

完成作品1

完成作品2

▲43名の参加者の作品。思い思いの土器が完成!「貯金箱」にしたいから埴輪型にという、既に用途を決められた方もいました。

 このあとは約1ヶ月間、作品を預かり、ゆっくりと日陰干しを行います。水分を含んだ茶褐色の土器は徐々に水分が抜けて乾燥し、土器の表面は白色へと変化していきます。お盆の頃は最後の乾燥に向けて直射日光による日干しを行います。

8月18日に大凧文化交流センターでの野焼きによって作品は完成となります。


野焼きの様子は改めてブログで報告します!参加者の皆さん、2日目もよろしくお願いします。

夏祈祷「西金野井の獅子舞」の公開

各地で猛暑が続いていますが、7月14日(日)に引き続き、郷土の伝統の舞が公開されました。

7月21日(日)には、埼玉県無形民俗文化財に指定されています「西金野井の獅子舞」が西金野井香取神社とその周辺地で、悪疫退散・家内安全・五穀豊穣を祈願する夏祈祷が舞われました。
神社拝殿での神事後、三匹獅子による「芝廻り」に加え、保存会の皆さまがてしおにかけて指導した南桜井小学校の伝統芸能クラブの子ども獅子の「芝廻り」、猛暑をしのぎやすいよう保存会三匹獅子の「雨乞い」などの演目を披露。その後は、神社正面の大鳥居や、江戸川堤の改修の歴史を伝えるかつての参道に配された鳥居(裏参道鳥居)の2か所で「辻切り」により地域の家内安全が祈願されました。

子ども獅子「辻廻り」

子ども獅子「辻切り」
▲南桜井小学校の伝統芸能クラブの「辻廻り」と「辻切り」の演舞。5月から7月の練習成果を発揮。6学年はこれまでの積み重ねを舞いに表現。素晴らしい舞に地域の皆さまからも盛大な拍手をいただきました。 

 この日は、5年生が林間学校と重なってしまったため、4,6年生の参加となりましたが、クラブ活動や神社で練習を繰り返した成果が素晴らしい演舞となって地域の皆さまに披露されました。また、このクラブ活動を経験した高校生、大学生の卒業生2名が笛役で参加いただきました。数年の空白期間がありましたが、身体で覚えた音色は褪せることなく、境内に鳴り響きました。引き続き参加いただけそうで、頼もしい後継者になりそうと、保存会会長さんも大粒の汗と共に満遍の笑顔がみられました。

花見の舞

 

 


 

 

 

 

 

▲保存会の三匹獅子「花見の舞」

 激しさの中にストーリー性のある演目で今年も演目の解説も加えていただきました。

 

注連切り1

注連切り2

▲祭礼の締めの演目「注連切り」。太夫獅子による注連縄を切ることにより悪疫払いを表現。中獅子、女獅子もそれぞれ華麗の中でも激しさ、厳しさをみる伝統の演舞の代表演目です。

 西金野井の獅子舞は年に一度、海の日に近い日曜日が公開日となっています。市内の伝統芸能は10、11月に秋祈祷の舞が公開されますので、近づきましたらお知らせいたします。

 

#夏休み #自由研究 のお手伝い

いよいよ夏休み。多くの子どもたちが初日を迎えた7月20日。早速、郷土資料館に夏休みの自由研究のお問い合わせが。。。宿題をすぐにやるタイプですね。素晴らしい。 #かすかべプラスワン

問い合わせの一つは、自分の先祖調べ。身近な歴史を調べるという、学校の夏休みの宿題が出されたそう。昔の地図や絵図の調べ方、先祖の調べ方について、簡単にレクチャーしました。

もう一つは、自分の住んでいる地区の形(境界)がなぜそのようになっているのか、というもの。非常に難しいのですが、多くの場合は、江戸時代の検地(土地丈量・測量)に境界が定められ、こんにちに至っていると考えられます。水路や道が境界となったり、村に属する人(家)の所持地が境界となる場合もあります。近代や現代の開発などによって、境界が再設定されることもあるようですが、個別のケースを追跡するのは、限界があります。が、境界について考える資料を提供することができました。

夏休みの自由研究は、理科的分野がテーマとして設定されることが多いようです。たしかに、実験とか観察とか楽しいですからね。

けれども、夏休みにおうちの方といっしょに、自分のルーツ、住んでいる土地のルーツを調べてみるのも、悪くないと思います。そうした学習は「調べ学習」とか「郷土学習」とか言われ、地味で、大変そうですが、自分のルーツについて深く知ることで、ルーツについて誇りをもち、2学期を迎えることができるのではないでしょうか。

そうした「調べ学習」「郷土学習」に対するお問い合わせ、レファレンスに、郷土資料館は力を惜しみませんので、自由研究を何にしようか悩んでいるあなた、ぜひ挑戦してみてください。ただし、資料がなく、わからないこともあります(それが人文学の醍醐味ですが)。その点、ご了解ください。

【手作りおもちゃクラブ】ぶんぶんゴマと吹き上げパイプを作ろう!

7月28日(日)に“手作りおもちゃクラブ”を開催します。

 

「手作りおもちゃクラブって何?」「どういうことをやるの?」と思われる方にちょっとご説明。

“手作りおもちゃクラブ”は、
①約100年くらい前に使われていた蓄音機を使って音楽鑑賞
②春日部に伝わる様々な伝説の紙芝居の読み聞かせ
③みんなで手作りのおもちゃ作り
の3つを取り入れた、お子様にっこりのイベントです!
作るおもちゃによって終了時間は異なりますが、全部で1時間満たない程度の時間なので、お気軽にご参加ください♪

 

7月作成おもちゃ

今回作るおもちゃは「ぶんぶんゴマ」と「吹き上げパイプ」です。

皆さんも遊んだ記憶があるのではないでしょうか?

 

こどもだった頃、楽しく遊び、
大人になり、懐かしく振り返るもの。
そんなおもちゃをこれからの世代にも伝えていきたいですね!

 

本講座はお申し込み不要、おもちゃの材料は資料館で用意しています。
当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!

 

【手作りおもちゃクラブ】
日時:令和6年7月28日(日)午前10時30分~・午後2時~
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:蓄音機と紙芝居の上演
   おもちゃづくり(ぶんぶんゴマ・吹き上げパイプ)
費用:無料
申込:不要(開催時間までに郷土資料館にお越しください)

市内各所で伝統芸能ー市指定無形民俗文化財ーが公開されました

7月14日(日)には、榎、赤沼、銚子口の3地区で伝統芸能が公開されました。


榎地区では、榎の囃子神楽が公開、午前の小雨の中、地区の役員さんによる辻切りが行われ、集会所に戻ると神楽の奉納へ。

神楽

お囃子

▲狐役と大太鼓は江戸川小中学校の5年生が担当、4年生で経験した神楽の授業がきっかけで今夏の祭礼に参加してくれました。授業で指導を受けた保存会のみなさんと肩を並べ堂々とした太鼓の打ち鳴らしでした。

保存会の皆さんが週一度、江戸川小中学校へ神楽の指導に対応されている中、5年生の二人が例祭に参加してくれました。昨年、4年生時に学校での授業を契機に囃子と神楽に興味を抱いてくれたようで、本日は大太鼓を担当。もう一人は授業で覚えた大黒天を堂々と演じてくれました。
 大黒舞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この例祭では、神楽の演目は小学生と高校生が演じてくれました。長年の学校での授業での指導が実りつつあるようです。

 赤沼地区では、赤沼の獅子舞が公開されました。今夏は子ども獅子を担う小学生が11名と、大きく増えたところも見どころです。昨年秋に地元豊野小学校開校150周年で舞ったことが契機?と社中会長も手応えを感じていたようで、地区の皆さまも愛らしい子ども三匹獅子に期待が高まっていました。また、祭礼冒頭の庭入では天狗役を先頭に奉納舞の場を清める所作がありましたが、さまざまと検証した結果、『猿田彦』に行き着きました。衣装の新調も相まって新たな役が加わりました。

猿田彦の舞

女獅子

衣装や面の修繕を契機に「天狗?」検証を重ねた結果、『猿田彦』と解釈したという。また、今夏も女性による女獅子が活躍。激しさの中でも優雅な舞には拍手喝采。近いうちに三匹獅子を女子が担う機会がありそうだ。

また、三匹獅子のうち、女獅子(めじし)には女性が加わり、激しい演舞の中、女獅子らしい優雅さを兼ねそなえる舞が披露されました。

弓くぐり

 

▲赤沼の特徴である子ども獅子。今夏は小学生1年生から総勢11名が愛らしい獅子舞を披露してくれました。高学年、そして中学生、高校生になっても継承に期待したい。また、祭礼の終盤には迫力ある「弓くぐり」。降雨で室内での公開となったが、見事に弓の弦を通過してくれました。

そして例祭最後には五穀豊穣を祈願する「弓くぐり」が舞われ、通常は境内地であるものの、降雨のため集会場室内と限られた空間の中で太夫獅子が見事に弓をくぐり抜け、秋の豊作が占われました。

 

 銚子口地区では、銚子口の獅子舞が公開されました。今夏の見どころは、元禄10年(1697)の伝承以来初めて三匹獅子の太夫、中、女獅子を女性が担う三匹獅子です。これまで三匹のうち、一役を女性が担ってきた経緯はありますが、練習を重ね三匹獅子の奉納となりました。祭礼開始の午後2時には雨が止み、急遽、境内地での公開へと変更されましたが、天狗を先頭に庭入りから、出端では女獅子が、中獅子の舞では中獅子が、さんぎりの舞では太夫獅子が、それぞれの一演目を堂々と演舞され、地区の皆さんからも盛大な拍手をいただきました。

天狗の舞

女獅子と中獅子

▲天狗を先頭に三匹獅子が境内を清める「天狗の舞」と女獅子による「出端の舞」と中獅子の「中獅子の舞」に転換するタイミングもスムーズに。優雅な演舞に地域の皆さまからも大きな拍手をいただきました。

 弊がかりの舞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲祭礼の締めは「弊がかりの舞」。天候が回復し、境内での奉納舞となったため、コロナ後、初めての獅子頭の被り直し。女性3人から急遽、若衆の出番になったが、同世代の息のあった勇壮な舞が披露され、御幣によって「家内安全」「五穀豊穣」が祈願された。

伝統芸能に携わる皆さんが長年にわたって守り・悩まれてきた伝統や慣例が時代の流れと共に、継承を第一に受容されてきました。今秋の祭礼でもさらなる伝統の舞の継承に向けた活躍が期待されます。

7月21日(日曜日)には、西金野井地区の香取神社で県指定無形民俗文化財の西金野井の獅子舞が公開されます。南桜井小学校の児童が練習を重ね、保存会の皆さんともども、江戸時代から継承される伝統の舞を是非ともご覧ください。