ほごログ(文化財課ブログ)

カテゴリ:郷土資料館

【臨時休館のお知らせ】

令和7年7月20日(日)は、教育センターが参議院議員通常選挙の投票所として利用されます。そのため、準備を含め下記の日程で郷土資料館は休館となります。

〈臨時休館日〉

令和7年7月19日(土)午後

令和7年7月20日(日)終日

また、続く下記日程も休館となります。

令和7年7月21日(月)(海の日)

令和7年7月22日(火)(祝日と重なる月曜日の翌日)

ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 

 

 

県立春日部女子高の皆さんと、春日部の歴史を考えました

7月4日、県立春日部女子高の皆さんが郷土資料館を見学されました。

写真:展示室の解説

今回の企画は、同校の社会科担当の先生から、郷土資料館の展示解説+ミニ講座をやってほしいとオファーいただいたものです。高校は、いま試験期間中だそうで、試験勉強の最中だったためか、生徒さんは2名でしたが、社会科の先生2名、そして校長先生にもご来館いただきました。

まずは、常設展示の解説。市域の地形を考えながら、人びとの拠点がどのように変化し、歴史を歩んできたのかを、特製のワークシートを使いながら、解説させていただきました。

上の写真は、江戸時代の道しるべに刻まれた文字を読んでもらっているところです。近世の人(キンセイジン)は粕壁からどこを目指したのでしょうか、という問いです。高校生のお二人は、難無く文字を解読してくれました。

展示解説の途中、ちょうど飛び込みでデイサービスの団体さんの見学が重なり、高校生に対する解説を、お年寄りが一緒に聞く、という状況に。

写真:賑わう展示室

いつのまにか、昔の女学生だった皆さんと、現役の女子高生と混交の団体見学に。若者からお年寄りまで、同じ資料を目の当たりにしながら、郷土や歴史について考える光景は、博物館ならでは、だと思います。

展示室の説明の後、後半戦は研修室に移って、ミニ講座。

ただいま準備中の「麦わらのかすかべ」展でも展示する資料を読んでもらいながら、春日部の近代の麦稈真田産業の歴史について考えてもらいました。

 写真:ミニ講座

皆さんに読んでもらったのは、次の葉書です。

画像:葉書

まずは、はがきの差出人と宛名、そして年代を読み取ってもらいました。読みなれない墨の字、旧字で解読に苦戦したようでした。

差出は、粕壁町の麦稈真田紐・帽子類の卸商野澤市十郎。宛名は、南桜井村金野井(西金野井)の汽船拠所「〇ツ」会社です。「〇ツ」とは、〇に通のマークで、現在の日本通運の前身の内国通運株式会社を指します。つまり西金野井に内国通運株式会社が運航する汽船が就航していたことを示します。年代は、葉書の消印から。消印には「丗七年」とあり、「丗」をなんと読むのかを考えてもらいました。「丗七」は37(ご名答)。ですから、明治37年6月20日投函されたことがわかります。

さて、文面を読んでみましょう、などとやっていると大学の歴史学科の演習になってしまいますので、解読した文章を一緒に読んでみました。「どんなことが書いてあるのかな」と問いかけると、非常に明解な説明をしてくれました(さすが春女生!)。葉書には、高浜(現茨城県石岡市)に送ったはずの帽子籠が届いていないと、送り先から連絡が来たので、荷物がどうなっているか確認してほしい、と書かれています。つまり、明治後期に春日部の麦わら帽子は、北関東方面に蒸気船で流通していたことがわかるのです。

そして、当時麦稈真田は西欧への重要な輸出品目として位置づけられていました。日本が近代国家へと歩んでいくなかで、春日部では麦稈真田産業が展開していくのです。さらにいえば、麦稈真田を編んでいたのは、農家の女性たち。女性たちの副業が、日本の近代化を支えていた、ともいえ、春日部の近代産業は世界の需要を支えていたともいえるわけですが、詳しいことは企画展「麦わらのかすかべ」展で。ちなみに本資料は最近公開された収蔵資料データベースでご覧いただけます。

資料を読んだあと、麦稈真田を編んでもらう簡単なワークショップにもチャレンジしてもらいました。今回は、モールを使って三つ編みの真田(三平)を編んでもらいました。写真を見ながら編んでもらいましたが、ちょっと苦戦。近代の農家の女性たちが真田を編んだことをイメージしていただけましたでしょうか。

高校生には「「汽船」って何のことでしょう」「〇に通のマークは知っていますか」などと問いかけると、知っていたり、知らなかったり。「歴史は雑学だ」というのは、担当者の恩師の言葉ですが、雑学によって、歴史世界・当時の情景がより豊かに想像できるのではないかと思います。高校生の皆さんはまだまだ若いので、いろいろなことを経験し、学び知り、自分の視野を広げていってもらえると嬉しいです。郷土資料館の見学・ミニ講座がその一助となったのならば幸いです。

試験中にもかかわらず、ご来館いただいた高校生のお二人、ご多忙のなかお付き合いいただいた先生方には改めて感謝申し上げます。担当者的にも、皆さんの反応がうかがえたので、実りある一日となりました。

春女とのコラボ、これからもどうぞよろしくお願いします。

<7月6日まで>春期展示「発掘された板碑」ーみゅーじあむとーく、展示解説講座を開催しました

春季展示「発掘された板碑」のみゅーじあむとーく、展示解説講座を開催しました。

6月22日みゅーじあむとーく

みゅーじあむとーくは、展示室で板碑を観覧しながら説明をさせていただくものですが、毎回、参加者の方から鋭い質問をいただきます。たとえば、「1300年代の板碑と1500年代の板碑では、字体が全く変わっているがなぜか」といった質問がありました。もちろんにわかにお答えできる内容ではないので、調べてみますと回答しましたが、板碑に字を刻む人がどういった人だったのかということにつながる質問で、非常に興味深いものだと思います。

 

6月28日展示解説講座

6月28日の展示解説講座は、多くの方にご参加いただきました。講座では、発掘された板碑とともに、伝世品の板碑についても、特徴的なものをご紹介しました。アンケートでは、最近、関東の展示施設での板碑の企画展が少ないといったご意見や石材の運搬経路に興味があるといったご意見をいただきました。

 

さて、「発掘された板碑」展は、次の日曜日、7月6日(日曜日)までです。最終日7月6日(日)にはみゅーじあむとーくも予定しております。ぜひご来館ください。

●第71回企画展示「中世板碑の世界ー発掘された板碑」

会期:令和7年7月6日(日曜日)まで

休館日:毎週月曜日、祝日

会場:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15・東武鉄道春日部駅東口より徒歩10分)

 

●関連事業 みゅーじあむとーく

展示室で学芸員による展示解説を行います。申し込み不要、展示室までお越しください。30分程度、各回同じ内容です。

とき 7月6日(日曜日)10:30~、15:00~
ところ 郷土資料館企画展示室

粕壁小学校6年生が資料館を見学しました

6月24日(火曜日)から25日(水曜日)にかけて、粕壁小学校の6年生が、1クラスずつ郷土資料館の原始時代のコーナーを見学しました。

竪穴住居模型から塚内古墳群の埴輪のコーナーまでを、時間をかけてじっくり見てもらいました。

6年生ともなると、体も大きく、土器のケースの前の通路にいっぱいになってしまいました。

せまかったと思うのですが、みんな熱心にメモを取りながら説明を聞いてくれました。

郷土資料館の展示は竪穴住居模型から、神明貝塚、縄文土器、花積貝塚と縄文時代の展示が多いので、説明も縄文時代のことが多くなってしまいましたが、須釜遺跡の弥生土器に籾の痕跡が残っていることや塚内4号墳の武蔵系・下総系の埴輪に興味をもってくれた人もいました。

またのご来館をお待ちしています。

【デジタルミュージアム】収蔵資料データベース公開されました!

春日部市郷土資料館の収蔵資料データベースが公開されました。

データベース自体は、昨年度から導入していましたが、この7月に開館10000日を迎えることから、その記念としてこのたび一般の皆様にも公開しました。

普段は収蔵庫に眠る郷土資料をはじめ、ちょっと懐かしい資料や写真、指定文化財など、写真と簡単な解説文をまじえ、紹介しています。

現在の公開件数は150件ほどですが、収蔵資料件数は現在90000件を超えています。少しずつですが、皆さんが利活用しやすい古写真、学校や生涯学習でも活用可能な資料、知的好奇心をくすぐる資料を、順次公開に供していきますので、定期的にのぞいてみてください。

画像:収蔵資料データベース2次元コード