カテゴリ:郷土資料館
2月7日(土)荒川佳洋先生「三上於菟吉初期作品集の魅力」を開催します
第174回直木賞・芥川賞が発表されました。直木賞には嶋津輝さんの「カフェーの帰り道」、芥川賞には鳥山まことさんの「時の家」、畠山丑雄さんの「叫び」が選ばれました。おめでとうございます。
直木賞(直木三十五賞)は、昭和9年(1934)に亡くなった作家、直木三十五(なおきさんじゅうご)を顕彰するため、昭和10年に設けられました。直木三十五は早稲田大学で、春日部出身の作家、三上於菟吉の1年後輩にあたります。二人は親交が深く、直木が亡くなった際には、追悼と顕彰に尽力し、昭和18年(1943)まで直木賞の選考委員をつとめました。
さて、現在、三上於菟吉顕彰会では、『熱情が第一だ。三上於菟吉初期作品集』の刊行を予定しており、刊行に合わせた講演会と庄和図書館での関係資料特別展示を、春日部市教育委員会共催で開催します。それぞれの詳細は下記をご覧ください。
皆様のご参加をお待ちしております。
●三上於菟吉顕彰会講演会 「『三上於菟吉初期作品集』の魅力」
日時:令和8年2月7日(土曜日)午前10:30から12:00(時間が午後から午前に変更になりました)
会場:春日部市教育センター(春日部市粕壁東3-2-15)
講師:荒川 佳洋(あらかわ よしひろ)先生(文芸評論家、日本文藝家協会会員)
募集人数:80人(申し込み順)
入場料:無料
申し込み:郷土資料館に直接、電話(電話:048-763-2455)または、春日部市電子申請で申し込み
●庄和図書館:三上於菟吉関係資料特別展示
令和になって復刊された『百万両秘聞』『血闘』『美女舞踏』『銀座事件』、今回刊行された『熱情が第一だ。三上於莵吉初期作品集』など、三上於菟吉の著書、関連書籍などを特別展示します。
会場:庄和図書館1階・特設コーナー
日時:令和8年2月1日(日)~2月28日(土)
入場料:無料
問い合わせ:庄和図書館(TEL048-718-0200)
招かざる客(文化財害虫)がやってきた
郷土資料館の展示室に常駐している資料監視員さんが、常設展示の資料ケース内に、虫が脱皮した抜け殻を発見しました。
抜け殻があるということは、虫がいる。ケース内の抜け殻を掃除していると、居ました抜け殻の主。
カツオブシムシの幼虫とみられます(マクロできれいに撮れました)
カツオブシムシは、幼虫が毛皮、皮革、羽毛、生糸など動物物質を食害します。3月~5月に成虫となり、成虫は屋外で花蜜や花粉を食します。小さな虫ですが、文化財にとっては大きな脅威となる幼虫。
ウネウネと歩行していましたが、郷土資料館で見つかってしまった以上、生かしてはおけません。幼き命ですが、お命頂戴(毅然とした態度で駆除させていただきました)。
ところで、当館をはじめとする博物館施設では、害虫やカビなど生物被害から資料を保全・保存するために様々な取り組みを講じています。その代表的な取り組みが燻蒸(くんじょう)です。文化財燻蒸用薬剤(ガス)で文化財害虫の殺虫・殺卵、カビの殺菌を行うことで、資料保存環境を整えてきました。当館でも毎年実施してきています。
しかし、ガス燻蒸は一時的な処置に過ぎず、一度行えば、未来永劫資料が保全されるわけではありません。また、近年、環境等への配慮のため、文化財燻蒸用の薬剤の販売が中止されることになりました。薬剤燻蒸に依存した文化財の生物被害対策は、現在岐路に立たされています。
燻蒸に偏重することなく、環境にもやさしい文化財の生物被害対策として、提言・励行されているのが、文化財IPMです。IPMとは、Integrated Pest Management(総合的有害生物管理)の略称。文化財にとって有害な虫やカビなどに日々注意をめぐらし、温度・湿度などの空気環境の整備をはじめ、日々の掃除・整理整頓、トラップ調査・環境調査等の保存環境の整備、万一有害な生物が発生した時の対処法など、有効で適切な技術・対策を合理的に組み合わせて、博物館施設内の有害生物を総合的に制御しようとするものです。
当館を含め、各地の博物館施設では、資料の展示・収蔵箇所の温湿度管理、日々の清掃や点検、環境調査などなど、取り組みの度合いは様々ですが、文化財IPMを実践しています。
今回の一件もまさに、そうした取り組みの一例といえるでしょうか。
文化財保存の考え方として、資料を保存するためのゾーニングが重要とされており、博物館施設は、①施設外に隣接し、不特定多数の人が出入りする展示ゾーン(生物被害のリスクが高い)、②資料保存が優先され、厳密な環境管理が求められる収蔵ゾーン、③①②の緩衝地帯のゾーン、に大別され、それぞれの対応策が異なってくる。
今回のカツオブシムシの幼虫が確認されたのは、①の展示ゾーンにあたります。様々な方が出入りする展示室では、衣服や靴についた土・チリ・ホコリ、はたまた虫などが侵入していくるリスクがあります。そうしたゾーンでは、日々、資料を点検し、清掃するよりほかありません。施設に侵入し、生物が繁殖し、さらに②の収蔵ゾーンにその危害が及ぶと大事になってしまいます。
また、生物が確認されたら、調査・評価をすることも重要です。まず、肝心の食害はあったのか。紙の資料が入っているケースで発見されたので、資料には被害はありませんでした。おそらく展示台に貼っているフェルトをムシャムシャしていたのだろうと思われます。今回の展示ケースは密閉性が強いものではありませんが、周囲に生物の痕跡はなく、ケース内に虫が親友し、脱皮したものと考えられます。展示する資料のリスク管理や環境整備のために、密閉性の高い展示ケースの設置も強く求められます。
郷土資料館には、様々なお客さんにご来館いただきたいところですが、展示室はどうしても館外と接しているゾーンなので、「招かざる客」も紛れ込んでやってきてしまうようです。各博物館施設の展示室もそうしたリスクと接しており、当館と同様に日々の点検・清掃を実践している筈です。
一般の利用者の皆さんにとって、目立ちにくい仕事ではありますが、今後も、郷土の資料を守るため、施設の環境整備に努め、監視員さんともども展示室パトロールに徹して参りたいと思います。
【手作りおもちゃクラブ】パタパタ(板返し)を作ろう!
1月18日(日)に“手作りおもちゃクラブ”を開催します。
今回作るおもちゃは「パタパタ(板返し)」です。
郷土資料館のおもちゃコーナーでも人気の一品!
来館者のアンケートでも、こどもたちから「パタパタを作りたい」という声をもらいます。
お待たせしました!年に一度のチャンスですよ♪
“パタパタって何?”と思われる方は、以下の動画をご覧ください。
一番上の板をひっくり返すと、連なっている板も次々にひっくり返るというからくりおもちゃです♪
作り方が理解できれば、たくさん板を繫げて、いくらでも長いパタパタを作ることが可能です!みんなで作って、作り方を覚えましょう!
手作りおもちゃクラブはお申込不要、おもちゃの材料も資料館で用意しています。
当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!
【手作りおもちゃクラブ】
日時:令和8年1月18日(日)午前10時30分~・午後2時~
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:蓄音機と紙芝居の上演
おもちゃづくり(パタパタ)
費用:無料
申込:不要(開催時間までに郷土資料館にお越しください)
【東部地区文化財担当者会リレー展示_都鳥が見た古代】宮代町郷土資料館でリレー展示が開催されています
宮代町郷土資料館で東部地区文化財担当者会リレー展示「都鳥が見た古代」が開催されています。
東部地区文化財担当者会40周年リレー展示「埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」(宮代町ホームページ)
宮代町郷土資料館は、江戸時代、名主を務めた齋藤家の屋敷周辺を整備してつくられた「西原自然の森」の一角にあり、屋外に縄文時代の復元竪穴住居や江戸~明治時代に建てられた旧加藤家住宅、旧齋藤家住宅、、明治44年建築の旧進修館が移され、展示されています。
展示は、企画展示室で行われています。
今回の展示では、埼玉県東部地区15市町(行田市、羽生市、加須市、久喜市、幸手市、杉戸町、宮代町、白岡市、蓮田市、春日部市、越谷市、松伏町、吉川市、八潮市、三郷市)の奈良時代・平安時代の概要をパネルにしています。宮代町郷土資料館では、中央に平面の地図をおき、各市町パネルがぐるりとそれを取り囲むように展示しています。
各市町の代表的な遺物を中心に、約70点の実物資料を展示しています。
宮代町では、奈良時代が6遺跡、平安時代が4遺跡、埋蔵文化財包蔵地として登録されていますが、いまだ奈良時代・平安時代の様相を明らかにするほどの遺跡は発見されていません。出土遺物も、奈良時代・平安時代のものはとても少ない状況です。
しかしながら、東武動物公園駅南西側に広がる道仏(どうぶつ)遺跡では、古墳時代後期の約180軒の竪穴建物跡が確認され、姫宮神社遺跡には古墳時代後期の姫宮神社古墳群があります。また、真言宗の寺院、西光院には、12世紀につくられた国指定文化財の阿弥陀三尊像が伝わっています。
宮代町から春日部市、白岡市にひろがる大宮台地慈恩寺(じおんじ)支台には、奈良時代・平安時代の遺跡は少ないのですが、道仏遺跡や西光院の存在を考えると、奈良時代・平安時代の大きな集落がまだ眠っている可能性があります。
さて、令和6年7月から開催して参りました「都鳥が見た古代ー埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」も、いよいよ宮代町郷土資料館が最後の会場です。ぜひお出かけください。
展示の詳細は下記の通りです。
開催期間 令和8年1月6日(火曜日)~3月1日(日曜日)
開催場所 宮代町郷土資料館 宮代町字西原289
(東武スカイツリーライン姫宮駅から徒歩約25分、 駐車場あり)
開館時間 午前9時30分から午後4時30分まで
休館日 毎週月曜日、祝日直後の平日、祝日が月曜日にあたる場合は翌日休館
お問い合わせ 0480-32-5601
東部地区文化財担当者会報告書第9集「埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」も好評発売中(残部僅少)です。詳しくはこちら
謹賀新年 正月の遊び
新年あけましておめでとうございます。
今年も「ほごログ」をよろしくお願いします。
年明け一発目は、定番のお正月の遊び「双六」(すごろく)について。正月に双六で遊ぶのは、年の始めの運だめしの意味があるとか。
郷土資料館では、地元ゆかりの双六を所蔵しています。いずれも昭和初めのころ印刷されたものらしく、双六のマス目は粕壁近隣の商店の広告になっています。定番の双六は、サイコロをふって、出た目だけ進みますが、この双六は飛び双六というルールで、出た目の指示にしたがい、マス目を飛び越え、「あがり」を目指すものです。
「武州粕壁町商売繁栄双六」(収蔵資料データベースでご覧いただけます)
双六の右端に「謹賀新年 一月元旦 中屋洗濯店」と印字されており、双六は正月のお年賀・広告として商家の取引先に配布されたものとみられます。現在、確認できるだけで、粕壁町の商家双六は、2種類あることがわかっています。
「粕壁町商売繁栄双六」(収蔵資料データベースでご覧いただけます)
後者の双六の右端には、次のように記されています。
御挨拶 新春の団欒に供する双六。これはまづ正月第一の景物でありませう。しかもその双六が近所隣りの親しみの深い商店各位の花やかなデビューあることに於いて興味の深いことは一入でなければなりません。たゞ惜しむらくは画面が三十六に限られあらた有力商店を洩らしたことです。而して編者最初の意図は画面一画五円平均の入費により印刷部数三千とし、これを新旧正月各家庭へ配布すべき予定であつたのですが経済的羇絆によつて初期の目的を変更するやむなきに立ち至つたことです。またの機会を待望すること切なるものがあります。編者
これによれば、マス目に掲載された商店から広告料5円が入費として徴収され、3000部印刷されたようです。ただ、36マスと紙面が限られていることから、有力商店を組み入れることができず、編者の当初の目的は果たせなかったのように記述されています。
双六の図柄は、同じ図柄で別の町のバージョンもあることから、ある程度決まっているものであったらしく、入費を支払った商店名・連絡先などを文字で当てはめ、印刷されたようです。マス目の広告には、今も続く商店もあれば、なくなってしまった商店もみえます。粕壁町の双六は現在判明するだけで2種類。ほかの図柄の双六も今後出てくるかもしれません。
今回の紹介にあたり、2種類のうち1点を常設展に展示しています。ぜひご覧いただき、往時、商売繁盛して賑わいをみせた粕壁町に思いをはせていただければと思います。
皆さまにとりまして、繁栄の一年になりますようご祈念申し上げます。そして、本年も郷土資料館と「ほごログ」をよろしくお願いいたします。
令和8年 午 元旦