2025年1月の記事一覧
鎌倉仏教って? みんなだったらどう広める!?~研究授業社会科編~
今回は、先日行われた授業研究において、社会科の研究の報告をします。
1年4組で鈴木教諭による授業研究が行われました。
1年生の社会科の中では、歴史分野で鎌倉時代の特色について学習します。
その中でも、今回の大きいテーマは『鎌倉時代の文化には、どのような特色があるのだろう。』でした。
鎌倉時代の文化というと、仏教の6つの宗派が広がったことがよく取り上げられます。
では、その宗派の名前と宗祖はだれか・・・?と問われ、「浄土宗で法然」、「浄土真宗で親鸞」・・・など、社会科の暗記項目の代表格のようなイメージを持っている人も多いかもしれません。
そんな仏教が武士や民衆に広がり始めた鎌倉時代。
とくに今回はその鎌倉時代の六大仏教に焦点をあて、平安時代のころの仏教と比べながら、鎌倉時代の特色に迫り、なおかつ、その特色を深く考えるために、『みんながもし鎌倉時代にいたら、どんな考えや方法で仏教を広めていくのか。』という課題を設定しました。そして歴史的知識を活用し、ICTと楽しさを掛け合わせながら活動できることをテーマとしました。 文化的知識を身に付けること、そして社会科で大切な見方・考え方の『多面的・多角的に考察する』という視点を育むことが目標の一つです。
さて、授業の様子です。
まず、平安時代と鎌倉時代の仏教の特色を比べています。
鎌倉時代に作られた仏像は・・・ICTツールで「オクリンクプラス」のワード集計でみんなの考えを共有しています。みんなの書いたカードも、そのまま共有し見合っています。
「派手」「強い」「座っている」・・・などの多くの意見が見られます。みんなの意見や頻度が、直感的に視覚で分かってきますね。学びが深まりやすそうです。
次に、「鎌倉時代に合った宗教について考えてみる」という課題です。自分だったらどんな方法で布教するのか、協働的に考え、その時代に出てくる様々な立場を想像したり、班の仲間の視点を教え合ったりすることで、力を伸ばしていきます。
ここでは、もう一度オクリンクプラスを使用し、次の時間も合わせて、班内で対話しながら練り上げていきます。実在した宗派の知識を踏まえながら、もしその時代にいたら、どんな人にどんな内容で布教を行っていったら、当時の宗教の目的につながっていくのかな・・・
協働活動の様子です。
「幸せ願望宗」 ・・・農民をターゲットに幸せを唱える
「走供身給上宗」・・・仏へのお供え物を持って走り、その距離分の身分が上がる
「祭宗」・・・定期的に祭りを開く。楽しさで苦しさを忘れ、武士から農民に伝播していく などなど
その時代の社会背景を踏まえ、三者三様の個性的な宗派を楽しみながら考えている様子が見られます。
知識を活用して何かを作り上げるような「正解のない課題」、面白いですね。
考えていると、その時代の匂いや色が見えてきて興味深く、またその社会についての理解が自然と深まります。また、歴史に“IF”はありませんが、もし自分がその時代にいたことを仮定して考えることは、様々な視点から考え、できごとや事実を公平に図る見方、そして歴史への興味関心につながり、生きる糧となっていくように思います。
授業を参観していただいた桐生指導主事からは「学びの楽しさは、学習について自分で考え決定できるところに表れること」、「その幅を広げると生徒の主体性を伸ばせる余地がさらにでてくること」、「自分たちで考えた仏教の布教で、『誰を対象に考えたのか。』という見方が大切になること」などの多くのご助言をいただきました。 “正解”ではなく、“答えのない問い”に向けて自分で考えていく課題を追究していくことに今後の示唆をいただきました。
ご指導いただいた講師の桐生指導主事、ご指導に心より感謝いたします。
また、学習テーマを受けて積極的に取組んでくれた1年4組のみなさん、ありがとうございました。
今回の研究の成果をさらに活かし、引き続き授業を研鑽していきたいと思います。