ほごログ
歴史文化講演会 「直木賞の歴史と作家三上於菟吉」を開催しました!
令和5年2月25日(土)、午後2時から4時まで、視聴覚ホールにおいて、歴史文化講演会を開催しました。
今年度本館では、鎌倉武士春日部氏と江戸時代末期の粕壁宿の住民について、それぞれ講演会を開催いたしました。
今回は趣向を変えて、明治24年(1891)に本市木崎地区に生まれ、昭和19年(1944)に幸松地区八丁目で亡くなった、大正~昭和前期の大衆作家、三上於菟吉についてをテーマに講演していただきました。
三上於菟吉は、市民や愛好家の方々による顕彰活動が熱心に行われている郷土ゆかりの作家です。
特に今回は、現代の文学賞の中でもっとも著名な賞と思われる直木賞と三上於菟吉との関係を、直木賞の由来となった直木三十五と三上於菟吉との親交を中心にお話ししていただきました。
講師にお迎えしたのは、ウェブサイト「直木賞のすべて」を運営し、『直木賞物語』(文春文庫)などのご著書もある、川口則弘先生です。先生には直木三十五と三上於菟吉の親交について、共同の出版事業や二人の個性などを説明されながら、詳しく解説していただきました。直木三十五の死後、三上於菟吉は菊池寛らとともに昭和10年の直木賞創設に関わり、初代の選考委員を務めました。
当日は、50名近くの方々が熱心に受講され、市内のゆかりの場所などについての質疑がありました。
三上於菟吉顕彰会の方々による生誕130周年記念誌『三上於菟吉再発見』-会員のおひとりである川口先生のご寄稿もあります-の紹介もあり、たいへん実りある講演会となりました。
郷土資料館では、今後も三上於菟吉をはじめ郷土ゆかりの人物について、展示や講演会を通じて皆様に紹介してまいります。
ぽぽらフェスティバルの展示で郷土資料館が紹介されています。
3月5日(日)まで、春日部市市民活動センター(ふれあいキューブ4階)で「春日部・?・クエスチョン」という展示がされています。この展示は、ぽぽらフェスティバル2022実行委員会が企画されたものです。 #かすかべプラスワン
わたしたちのまち「春日部」の現状や課題を多様な角度から見つめ、一緒に考える、参加型の展示です。
まちの現状や課題はさまざまですが、このなかで「かすかべ再発見」として、まちの歴史、移り変わりが紹介されています。郷土資料館に行けば、詳しくわかる!といったように、当館の配布物なども掲示いただいています。
この企画の面白いところは、掲示物が参加型になっているところ。自分が共感したり、面白いとおもったコト、話題に対して、ハンコをおしてイイネ!と投票する仕掛けになっています。
上の写真は、春日部の歴史と自分の生涯を重ね合わせられる年表。自分がいつ生まれたのか、ハンコをおして表示できるようになっています。写真では伝わりにくいのでぜひ見てみてください。
この掲示物は、春日部の宝ものは何ですか?という問いかけに対する書き込みです。
あなたにとって、家族にとって、地域・春日部にとっての宝ものは?
いろいろな価値観があって、共感するものには、スタンプがたくさん押されています。
地域・春日部にとって、「文化財」が宝ものだと書いている方もいました。私はここにスタンプを押しました。
書き込みができるこの取り組みは、展示主催者が一方的に発信するのではなく、見ている観覧者も参加できる双方向型の展示になっていて、いわばアナログ型のツイッターといった感じです。SNSでバズったっといったような派手さはありませんが、手作りで、作った人、掲示した人や見ている人のぬくもりが感じられ、野心的な展示だと見受けました。個人的にインスパイアされましたので、この手法を郷土資料館の展示にも活かしたいと思案しています。
スペースが限られている展示にもかかわらず、郷土資料館を取り上げていただき、関係者の方には、感謝申し上げます。
ぜひお近くにお立ち寄りの際にはご覧ください。
【出張授業】「でばりぃ資料館」in藤塚小学校
令和5年2月16日(木)に藤塚小学校出向き、第3学年の児童に向けた、『でばりぃ資料館』を開催しました。
今回のでばりぃ資料館は、図書室で「昔の家の道具」「昔の学校の様子」、視聴覚室で「昔の農業」と3つのテーマを分け、児童がグループ毎に巡回する形式で開催しました。
昔の家の道具コーナーでは、昔の家庭で使われていた民具を展示しました。
手回し洗濯機や黒電話が人気を集めていました!時間が足りず、もっと見たがる子もいた様子。ぜひ、郷土資料館に足を運んでみてくださいね♪
昔の学校の様子コーナーでは、当時の教科書をはじめとした勉強道具や給食の食器などを展示しました。
第一回の藤塚小卒業式の写真も用意していったところ、子供たちは釘付け!先生方も興味深そうにご覧になられていました!
昔の農業コーナーでは、主に手作業での米作りの学習と体験を行いました。
手作業での脱穀、籾摺り、米つきなど、当時使っていた道具や、簡素化したものを利用して実際に体験してもらいました。
初めてやる作業に楽しさを覚えながらも、同時に手作業による苦労も味わってもらえたようです。
各コーナー15分満たない短い時間ではありましたが、その分体験を含め、ギュッと詰め込んだ内容となり、児童も飽きることなく学んでらえたかと思います!
でばりぃ資料館は継続して開催しておりますので、各学校の先生方も、日程、会場、内容など、ご相談ください!
また、「くらしのうつりかわり」展も2月26日(日)まで開催しておりますので、団体見学のご依頼もお持ちしています!
古文書勉強会を開催しました。
2月12日(日)春日部市郷土資料館の収蔵史料(古文書)を、有志の市民の皆さんと読む会「古文書勉強会」を開催しました。 #かすかべプラスワン
引き続き、「宝暦度より酒造用留」を講読しています。
皆さん、だんだんと慣れてこられたようで、読むスピードも上がってきています。
が、虫損も多く、読みづらい箇所もちらほら。
たとえば、次のよう。
一行目は、「是ハ米壱石ニ付水九斗之割ヲ以仕込如斯」
「如斯」が虫損で読みづらいですが。
二行目は、「是ハ米糀之内より垂酒壱割出祖ニ付組込」とあります。
毎度毎度、解釈する時間がないのですが、「垂酒」とは今でいうアルコールのことであるとか。この記述から、この酒のアルコール度数は大体10%ということになります。
「如斯」はまだ読める範囲ですが、次のは手ごわいです。
武州埼玉郡粕壁宿
百姓勝之丞死去跡親
酒造人 五郎兵衛
と書いてあるようです。
これも虫食いが重なって読みづらく、特に「去」「跡」が厳しいのですが、読んでこられた方がいらっしゃいました。
参加者には写真の紙焼きを配っているので、ここまで鮮明に字がみえません。前後の関係などを加味して字をお読みいただきました。ほかの参加者からは「よく読みましたね~」と感心する声が漏れました。
執念というか、皆さんの情熱を感じましたよ。
と、こんなふうに2時間みっちり古文書を読んでいます。
次回は、3月12日(日)14時~ です。
引き続き、よろしくお願いします。
郷土資料館体験講座「凧作り教室」を開催します
前回11月に開催し好評だった「凧作り教室」について、2回目を3月に開催します。
今回も、講師に春日部市「庄和大凧保存会」の方をお招きし、本格的な和凧を作ります。
凧作り教室(紙に骨をつける)
日程:令和5年3月18日(土曜日)午前10時~正午
講師:春日部市「庄和大凧文化保存会」の講師
募集人数:小学生 30人(申し込み順、保護者同伴、参加可)
材料費:一人500円
申し込み
令和5年2月8日(水曜日)より郷土資料館に直接、電話(電話:763-2455)、春日部市電子申請で申し込み
申し込み後、下記の期間内に郷土資料館にご来館いただき、材料費(500円)をお支払いの上、凧紙をお受け取りください。
凧紙配付期間:令和5年2月8日(水曜日)~3月17日(金曜日)
(月曜日・祝日を除く午前8時30分から午後5時15分)
講座当日までに好きな絵や文字を書いてきてください。講座会場では、骨組みと糸付けを行います。
でばりぃ資料館in小渕小
2 月8日(水)小渕小学校3年生の総合的な学習の時間に出張授業をしてきました。 #かすかべプラスワン
小渕小のみなさんは、事前にグループに分かれ、①昔の学校・給食、②昔の食べ物、③昔の生活道具、④昔の町の様子、⑤昔の遊び、⑥戦争のころの暮らし、のテーマで、それぞれ調べ学習をしたそうです。
でばりぃ資料館(出張授業)では、各テーマに関する資料を持参し、学芸員が説明をしました。
戦争のお話しでは、国語の教材「ちいちゃんのかげおくり」にも登場する、出征のときのタスキや日の丸の寄せ書きについて説明しました。また、当時の子どもたちが書いた手紙も紹介しました。戦争の話題になると、より真剣な表情で話を聞いてくれました。
説明のあと、小渕小の皆さんは、自分たちで調べて、わからなかったこと、疑問に思ったことを、学芸員にぶつけてくれました。
「昔の給食のメニューで一番人気があったものはなんですか?」「昔の子どもたちは、おもちゃをつかわない遊びはしたのですか?」「昔の食べ物で特別なメニューはどんなものがあったのですか?」「冷蔵庫がない時代は食べ物をどうやって保存したのですか?」「戦争のリュックサックにファスナーがないのはなぜですか?」「戦争で金属が供出されてもベイゴマ遊びはできたのですか?」など。
なかなか鋭い質問もあり、受け答えしたこちらも、刺激的なひと時でした。
最後は、自由時間。
持参した資料をよく観察したり、さわってみたり、もってみたり。
やはり一番人気は昔のおもちゃでした。遊べるから楽しいですよね。
実は、展示した資料の一部は、小渕小学校の郷土資料室に保管してあるものだったりもします。
郷土資料館には、大型で持参できなかった資料や楽しいおもちゃがたくさんあります。ぜひ遊びにきてください。
でばりぃ資料館は、学芸員と郷土資料が学校に出張する出前授業です。
今回は3年生の総合的な学習でしたが、戦時期の道具は、6年生の社会科(歴史)学習だったり、戦時期の作品を扱う国語科などでも活用いただけます。
学校の先生方には、ぜひご活用いただければと思います。
緑小学校、郷土資料館を見学!
2月7日(火)緑小3年生のみなさんが郷土資料館を見学しました。 #かすかべプラスワン
社会科見学として、郷土資料館、消防署東分署を見学。
資料館では、縄文時代の竪穴住居のくらし、江戸時代の日光道中宿場町、そして、およそ60年前のくらし・まちのうつりかわりについて、学びました。
自由時間には、昔のおもちゃコーナーで遊んだり、展示資料の昔の生活道具をメモしたり、スケッチしたり、はたまた60年前の航空写真をのぞき込んで、緑小学校や自宅を探していたりしました。
見学時間が限られており、少しあわただしかったですが、十分に楽しめたでしょうか。「たくさんメモを書けた」と話してくれる子もいました。楽しかった人も、物足りなかった人も、土日も郷土資料館は開いています。週末にまた会おう。
【出張授業】でばりぃ資料館in幸松小学校
令和5年2月3日(金)に幸松小学校に出向き、第3学年の児童に向けて「でばりぃ資料館」を開催しました。
今回は幸松ルーム・理科室・図書室を使用し、それぞれ「昔の家の道具」「昔の農業」「60年前の春日部・学校」のテーマに分けて行いました。
教室で受ける授業とは異なり、3クラスが入れ替わりながら3部屋を訪れる形式なので、児童のウキウキした気持ちが伝わってきました(笑)
昔の家の道具の解説は幸松ルームで。
幸松ルームには郷土資料室として多くの民具が設置されており、昔の家の道具だけでなく、各種解説パネル、農家で使われていた道具など、お宝がたくさん!実物に触れることで学びを深めていってください!
理科室では昔の農業、特に米作りについてです。
昔と今、機械化される前と後の米作りの様子について比較しながら学習しました。さらに昔の米作り作業の一部を疑似体験し、体を使って印象に残るような経験を積んでもらえるような授業にしてあります♪
図書室では60年前の春日部や学校の様子について。
昔の春日部の様子を写した大きな航空写真を見てもらい、当時の春日部市域の様子や、幸松小学校の位置、周辺の様子などを観察しました。また、昔の学校で使われていた勉強道具と今自分たちが使っている勉強道具を比較したり、当時の子供の等身大イラストなどを利用して背比べをして楽しく学びました!
幸松小学校は教育センターとさほど遠くない距離に位置しているためか、児童の中には郷土資料館に来たことがある子もちらほら。昔のおもちゃや楽しめる企画を用意してますので、ぜひお友達を誘って来てみたくださいね♪
学校の先生方にもご好評をいただいております“でばりぃ資料館”!第3学年だけでなく、日程、内容などご相談いただければ、各学年対応いたします。これからもぜひ、郷土資料館をご活用ください!
【近隣館の紹介】「小谷三志」展とベーゴマ【川口市立文化財センター分館郷土資料館】
先日、川口市の郷土資料館にお邪魔しました。目的は、春日部にもかかわる、富士信仰(不二道)の先覚者・小谷三志の企画展示を開催しているからです。チラシは以下の通り。
週刊誌風のデザインで、洒落ています。なかなか、きわどい表現もあり、興味をそそられます。
展示は、小谷三志の生涯とその事績について、わかりやすく紹介するもので、三志や富士講ゆかりの資料が所せましと陳列され、圧巻されます。
春日部市内では、西宝珠花の宝珠花神社の扁額の題字を小谷三志が書いており、三志の主導する不二道が、市内にも広まっていたことがわかっています。三志の書跡は、「天地振り替りの筆法」と呼ばれる独特な書体で、宝珠花神社の扁額(市指定有形文化財)も独特な字体で書かれています(展示でも紹介されていました)。展示では三志の独特の書体の資料がたくさん並んでおり、お腹いっぱいになるまで楽しめます。
また、展示では三志没後の富士信仰や、近代の三志の顕彰についても紹介していました。個人的によかったと思うのは、郷土史家の故・岡田博さんについての展示です。岡田さんは鳩ケ谷の方で、三志に魅せられ、町工場を営む傍ら小谷三志や富士信仰の研究に取り組まれた方です。その分野では大変高名な方です。岡田さんの研究業績に依拠して構成された展示は一見の価値あり。必見です。展示は、3月21日まで。
ところで、同館では、昨年、川口市内にあったベーゴマ資料館から譲り受けた資料も展示しています。なんでも、川口市にはベーゴマを専門に製造する唯一の工場があり、譲り受けたものであるとか。
展示室の一区画は、ベーゴマのコーナーになっており、珍しいベーゴマのみならず、実際にベーゴマで遊べるようになっています。騒がしい私の子どもたちに、職員の方がベーゴマの回し方をレクチャーしてくださいました。子どもたちは初めてのベーゴマに大興奮。ベーゴマの回し方については、動画をユーチューブに公開しているそう。閉館間際まで遊んだ子どもたちは、また練習して来たいと話していました。自宅でベーゴマのユーチューブをずっと見ていました。
川口市の郷土資料館は、旧鳩ケ谷市の郷土資料館で市立文化財センターの分館扱いではありますが、小規模ながらも、展示を工夫され、所せましと川口の歴史文化をPRしています。とっつきにくい郷土の歴史の展示もポップに平易に見せ、糸車を回す体験、小豆を量る体験、足踏みミシンの体験など、誰でも楽しめる展示をしています。ぜひ、「小谷三志」展と合わせて、遊びにいかれてはいかがでしょうか。
考古学講座第5回を開催しました
1月28日(土)、考古学講座第5回を開催しました。9月から月1回のペースで開催した本講座も、本日で最終回となりました。
本日のテーマは、春日部の奈良時代、平安時代と考古学講座のまとめでした。
奈良時代、律令国家になると、全国に現在の都道府県のような国が設定されますが、現在の春日部市の範囲は、武蔵国(むさしのくに)と下総国(しもうさのくに)に分かれます。国の境は、現在の古利根川から古隅田川へ続く流れで、内牧や豊春、花積などは武蔵国、小渕や浜川戸から東側の地区は、下総国とされました。
市内では西宝珠花や小渕、浜川戸の地区から、比較的規模が大きい奈良時代、平安時代の集落跡が発見されています。西宝珠花は下総台地上ですが、小渕、浜川戸は低地の自然堤防上に立地しており、現代と同じように低地でも人々の生活や活動が始まっていたことがわかります。また小渕や浜川戸は古利根川や古隅田川に近いので、河川を使った交通の要所であった可能性も考えられます。
奈良時代や平安時代の竪穴住居跡は、カマドが設置してあり、強力な火力での調理が可能になりました。出土する土器は土師器や須恵器です。特に須恵器は、使われている粘土に含まれている物質などから、どこの窯で作られたものかを推定することができます。また鉄製品も多く確認されます。
考古学講座のまとめでは、市内の遺跡の時代別の動向や、前回、テーマとして出た、なぜ埴輪には穴が開いているのか、弥生時代の戦争と現在の戦争は違うのかなどについてお話をしました。
考古学と戦争を考える際に参考になる文献を以下にあげておきます。いずれも市立図書館にもあるようですのでご興味がある方はご一読ください。
佐原真 2005 『戦争の考古学 (佐原真の仕事 4)』岩波書店
松木武彦 2001 『人はなぜ戦うのかー考古学からみた戦争』講談社選書メチエ
考古学講座は来年度も今年度と同じような連続講座として開催する予定です。みなさまのご参加をお待ちしております。