ほごログ
【越谷市大間野町旧中村家住宅】連携展示「越谷への行幸・行啓と埼玉鴨場」
久喜、幸手、杉戸に引き続き、宮内庁との共催展「明治天皇と春日部」の連携展示の紹介。4回目は越谷市大間野町旧中村家住宅です。 #かすかべプラスワン
「春日部の話じゃないじゃないか!」とお叱りを受けそうですが、春日部市内の歴史だけを切り取っても理解は深まりません。視野を広くもって春日部の歴史も考える必要があります。歴史は地域をつなぐ。そんな思いから、連携展示「埼玉県東部と近代の皇室」は企画されました。
さて、越谷市教育委員会さんにご協力いただき、今回、越谷市でも連携展示を開催しています。会場は越谷市大間野町旧中村家住宅。大間野町旧中村家住宅は国登録有形文化財、江戸時代に旧大間野村(現越谷市大間野町周辺)の名主を勤めた中村氏の旧宅で、建築当初の姿に復元されたものです。展示は、屋敷内にパネルにて展示しています。
パネルでは、他の市町の展示と同様に、明治天皇の巡幸に関わる宮内庁宮内公文書館所蔵の文書や図面に加え、越谷市に所在する埼玉鴨場についても展示しています。
埼玉鴨場は明治41年(1908)6月、埼玉県南埼玉郡大袋村(現越谷市)に設置された、現在も宮内庁が管理する鴨猟の施設です。展示では、宮内省が敷地を買い上げたときの図面や、鴨場の敷地図面、建物の図面、鴨場内の写真、関係文書などを紹介しています。鴨場には、普段、一般の方は出入りできませんので、知られざる鴨場の姿がよくわかる展示になっています。
ぜひご覧ください。
◆越谷市大間野町旧中村家住宅「越谷への行幸・行啓と埼玉鴨場」
会期:7月20日(水)~9月4日(日)
開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日、祝日の翌日
入館料:一般100円、小中学生50円、未就学児無料
住所:越谷市大間野町1-100-4
電話:048-985-9750
https://www.city.koshigaya.saitama.jp/smph/toiawase/shisetsu/dentobunka/oomanocyounakamurake.html
博物館実習8日目
実習8日目は、午前中に体験講座の準備と展示コンテンツの発表、午後に体験講座「dokidoki音楽づくり」に参加しました。
体験講座の準備では、会場の設営や必要な道具の準備を行いました。また、準備の際に、講師の中村耕作先生(国立歴史民俗博物館)から縄文土器の文様や特徴について教えていただきました。実習生間で土器の文様や特徴について気づいたことをあげていきましたが、様々な意見や視点があり面白かったです。
体験講座の準備の後は、7月末から準備を進めてきました展示コンテンツの発表を行いました。各々、種別や年代も異なる資料について展示コンテンツを発表し、発表を聞いている中で初めて知ることも多く、大変興味深かったです。また、自分の発表後には様々な意見やご指摘をいただき、自分では気づくことのできなかった点や改善点を知ることができ、充実した発表の時間となりました。
午後の体験講座「dokidoki音楽づくり」では、参加者の皆さんと一緒に縄文土器の文様にあった音楽づくりを行いました。まずは、縄文土器の文様や特徴をよく観察して、文様のパターンや違いを読みとりました。その後、読みとった文様を身体で表してみたり、文様のイメージに合った音を考えたりしました。
試行錯誤しながら、文様のイメージに合う音を探し、最後にはひとつひとつの音を組み合わせて音楽にしました。自分のイメージしている音を出すことが難しかったですが、班のメンバーと一緒に楽しく音を探すことができました。4つの班に分かれて音楽づくりをしましたが、どの班も素敵な音楽を作ることができたと思います。
次の実習は来月となりますが、最後までたくさんのことを学習したいと思います。
(令和4年度博物館実習生)
【体験ワークショップ】ミニ空気砲をつくろう!
8月21日(日)に体験ワークショップを開催します。
体験ワークショップでは蓄音機の上演や昔のおもちゃ作りをします。
今回作る昔のおもちゃは「ミニ空気砲」です。
郷土資料館のワークショップで作るのは初めてのおもちゃになります!
厳密には“昔のおもちゃ”とは言えないかもしれませんが、
電気を使わず、身近な材料で簡単に作れるおもちゃということで今回作ってみることになりました!
現在、郷土資料館では企画展示「明治天皇と春日部~巡行・御猟場・梅田ごぼう~」展を開催中しています。展示の中で、御猟場では鷹を用いた猟をおこなっていたという紹介があり、今回のおもちゃは鷹のイラストを張り付けて鷹狩を模してみました!かっこいいと思いませんか!
遊びやすいように、的も用意しているので楽しみにしていてください。
申し込み不要、おもちゃの材料も用意してありますのでご安心ください!
当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!
小さいお子様でも簡単に作れるおもちゃなので気軽に参加してみてくださいね♪
【体験ワークショップ】
日時:令和4年8月21日(日)午前10時30分~・午後2時~
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:蓄音機の上演
紙芝居
昔のおもちゃづくり(ミニ空気砲)
費用:無料
申込:不要(開催時間までに郷土資料館におこしください)
※参加者多数の場合、人数制限をさせていただく場合がございます。当日はマスクを着用いただき、体調が優れない場合は参加をお控えください。
展示解説講座その1「江戸川筋御猟場と春日部」
8月6日(土)講師に篠﨑佑太先生(宮内庁宮内公文書館)をお迎えして、「明治天皇と春日部」展の展示解説講座を開催しました。
テーマは「江戸川筋御猟場と春日部」。篠﨑さんは、現在開催中の「明治天皇と春日部」展において、「第2章江戸川筋御猟場」の展示設営を担当いただいた方です。江戸川筋御猟場は、明治16年に千葉県・埼玉県に跨り設置された皇室の狩猟場。最も広域だった時代には、埼玉県下では、現在の春日部市をはじめ、幸手市、杉戸町、宮代町、白岡市、さいたま市岩槻区、越谷市、松伏町、吉川市、川口市、草加市、八潮市、三郷市を含むエリアに広がっていました。
今回の展示解説講座では、現在「明治天皇と春日部」展で展示されている資料を丁寧に読み解きながら、江戸川筋御猟場が設置される背景や、その仕組み、管理する宮内省の組織・機構、地域と御猟場の関わりについて、お話しいただきました。資料館の学芸員は「なるほど、そういう意図であの資料を展示したのか」と得心させられ、勉強になりました。
他の御猟場との相違点から、江戸川筋御猟場の特徴を指摘しながら、主猟局長官などを歴任する山口正定の日記(写)を読み解き、御猟場における猟の実態や地域住民との関係を考察されました。山口は地域住民と広く交流し、かつ慕われていた人物であったことが想像されるお話しでした。また、春日部市域と江戸川筋御猟場の関係は、地元から登用された監守の職務、いわゆる「御猟場問題」として顕在化する地主(町村)への手当金の問題から、宮内省と春日部市域に歴史的な関係があることを紹介されました。
以前も記しましたが、江戸川筋御猟場については、わからないことがまだまだ沢山ありますので、今回の話は埼玉県(東部)の近代史にとって、大変貴重な成果になりました。
講演の後には、質疑応答。10名弱の方々から質問につぐ質問。時間いっぱいまで、非常に丁寧にたくさんの質問に応えていただきました。講演終了後にも、質問者の列ができるほど。
「とても面白かった」「知らないことばかりだった」など、みなさんとても満足された様子で、お帰りになりました。
篠﨑先生には、ご多忙のところ、貴重なご講演、丁寧なご対応、大変ありがとうございました。先生には、引き続き、9月3日(土)のシンポジウムでもご登壇いただくことになっています。
展示解説講座は、引き続き、宮内庁宮内公文書館の二ノ宮幹太先生、辻岡健志先生をお迎えして、「梅田ごぼうの献上」「埼玉鴨場の設置について」を解説いただきます。ぜひ、お申込みください。
【杉戸町南公民館】連携展示「明治天皇行幸と杉戸」
久喜、幸手に引き続き、宮内庁との共催展「明治天皇と春日部」の連携展示の紹介。3回目は杉戸町南公民館です。 #かすかべプラスワン
「春日部の話じゃないじゃないか!」とお叱りを受けそうですが、春日部市内の歴史だけを切り取っても理解は深まりません。視野を広くもって春日部の歴史も考える必要があります。歴史は地域をつなぐ。そんな思いから、連携展示「埼玉県東部と近代の皇室」は企画されました。
さて、杉戸町教育委員会さんにご協力いただき、今回、杉戸町でも連携展示を開催しています。会場の杉戸町南公民館では、館内の展示スペースを使って、明治天皇の巡幸に関わる宮内庁宮内公文書館所蔵の文書や図面などをパネルで展示しています。
注目は、明治14年の巡幸で御小休所となった、北葛飾・中葛飾郡役所の図面です。周囲に堀(水路)と矢来が張り巡らされており、行在所、御小休所となった他の施設とは雰囲気が異なります。当時の地方行政は郡役所が一定の権限をもっていたようですが、残念ながら郡役所の文書はまとまって伝来しておらず、詳しいことがわかりません。今回の図面は、巡幸はもちろんのこと、郡役所の性格を考えるうえでも貴重な資料となるでしょう。
担当者は、この資料に初めて接した時、杉戸町の担当者の顔を思い浮かべ、早く報告したいと思ってしまいました。杉戸町の担当者の方も初めてみたと驚いていらっしゃいました。
展示では、パネルですが、限りなく大きく出力して展示しています。細部の文字まで読み取れるはずですので、ぜひご覧ください。ちなみに、郡役所は現在の杉戸町役場の敷地に建っていました。敷地の形や敷地内にある御小休所の石碑がかつての面影を物語っています。
◆杉戸町南公民館「明治天皇行幸と杉戸」
会期:7月20日(水)~9月4日(日)
開館時間:9時~17時
休館日:月曜日・祝日
住所:杉戸町堤根4089-1
電話:0480-33-6476
ミュージアムトークやりました その2
8月3日、「明治天皇と春日部」展を展示室で解説するミュージアムトークを開催しました。関東地方、春日部は記録的な猛暑となりましたが、酷暑の中でも解説を目当てにした皆さまにお集まりいただきました。
展示解説では、担当者が「まとめ」すごろくを用いながら、資料の見どころを解説しました。一通りの解説が終わると、いくつか、ご質問もいただき、説明が足りなかった部分を補足してお話しをしました。
参加された方からご質問をいただき、担当者も今更ながら気づかされましたが、「近代の皇室にとって、春日部は特別な地域だ」と誤解をされている方が多いようです。展示の主題は、巡幸・御猟場・梅田ごぼうの三本立てで、それぞれは独立しているといっても過言ではないのですが、ご観覧いただいた方は、「明治天皇が御昼食で休まれた、だから御猟場が設置され、そして災害時の恩賜や、地元からの献上がされるのだ」と三本柱に歴史的な連関があるようにご理解いただく方が多いようです。そのため、「春日部は近代の皇室にとって特別だ!」と認識されてしまうのかなと思いました。この点は展示の見せ方に問題があると反省する次第です。
今回の展示では「春日部が特別だ」ということを強調しているつもりはなく、むしろ、埼玉県東部にも共通する巡幸、御猟場をめぐる歴史の一コマを紹介しているのですが、「宮内庁共催」のかんむりがつくと、どうしても特別感が醸し出されてしまうようです。
もちろん、宮内庁が所管する普段はなかなか展示できない、貴重な資料が並んでいるのは間違いないので、そのあたりはぜひじっくりと堪能いただきたいと思います。担当者としては、「皇室ゆかりの資料から、春日部の知られざる歴史の一コマが見えてくる」という点を、皆さまに受け止めていただきたいなと思います。
次回のミュージアムトークは、9月4日(日)、展示の最終日となります。展示についてご質問、ご疑問がある方は、担当者にぶつけにいらしてください。
そして、これから展示解説講座が毎週のように開講されます。定員にはまだ至っておりませんので、ご興味のある方は事前にお申込みください。
展示解説講座
場所:春日部市教育センター2F 視聴覚ホール
定員:50名(申込順)
講座①「江戸川筋御猟場と春日部」 令和4年8月6日(土)14時~16時
講師:篠﨑 佑太(宮内庁宮内公文書館)
講座②「梅田ごぼうの献上」 令和4年8月20日(土)14時~16時
講師:二ノ宮幹太(宮内庁宮内公文書館)
講座③「明治天皇と粕壁宿」 令和4年8月21日(日)10時~12時
講師:榎本 博(春日部市郷土資料館)
講座④「埼玉鴨場の設置について」 令和4年8月28日(日)14時~16時
講師:辻岡 健志(宮内庁宮内公文書館)
申込:各回7月 12 日(火)より春日部市郷土資料館の窓口・電話・春日部市電子申請にて受付
【受講者募集中】「明治天皇と春日部」展示解説講座
宮内庁との共催展「明治天皇と春日部」展では、イベントも盛りだくさんです。 #かすかべプラスワン
今回は、宮内庁宮内公文書館と春日部市郷土資料館の展示担当者計4名が、それぞれの展示担当テーマについて座学で資料を解説します。計4回の講座を1日でやってしまったもいいのですが、ちょっと頑張って、4日にわけて開催します。聞く方も大変ですよね。
初回は、8月6日(土)14時から。宮内公文書館の篠﨑佑太さんが「江戸川筋御猟場と春日部」をテーマに解説します。江戸川筋御猟場は、最大で北は幸手から南は八潮・草加(もちろん春日部市域も含まれています)そして東京まで広がる広大の皇室の御猟場でした。江戸川筋御猟場については、これまで御猟場の住民に対する補償金(手当金)をめぐる問題(御猟場問題)をめぐる研究がありますが、実は基本的なあり方や歴史的な変遷などよくわかっていません。実は『春日部市史』には御猟場の記述がほとんどありません。
篠﨑さんのお話は、宮内公文書館の文書や春日部市域に伝わる関係史料をもとに、春日部における江戸川筋御猟場について解説されるものと聞いています。春日部の郷土史とって、重要な成果であることは間違いなし。もちろん、展示もその成果の一部ですので、展示もご覧ください。
まだ若干席が空いておりますので、ご興味のあるかたは、郷土資料館まで、ぜひお申込みください(電話048-763-2455)。お申込みは、春日部市の電子申請からも可能です。
展示解説講座
場所:春日部市教育センター2F 視聴覚ホール
定員:50名(申込順)
講座①「江戸川筋御猟場と春日部」 令和4年8月6日(土)14時~16時
講師:篠﨑 佑太(宮内庁宮内公文書館)
講座②「梅田ごぼうの献上」 令和4年8月20日(土)14時~16時
講師:二ノ宮幹太(宮内庁宮内公文書館)
講座③「明治天皇と粕壁宿」 令和4年8月21日(日)10時~12時
講師:榎本 博(春日部市郷土資料館)
講座④「埼玉鴨場の設置について」 令和4年8月28日(日)14時~16時
講師:辻岡 健志(宮内庁宮内公文書館)
申込:各回7月 12 日(火)より春日部市郷土資料館の窓口・電話・春日部市電子申請にて受付
博物館実習6日目
実習6日目の本日は午前中に資料整理と神明貝塚の見学、午後は実習を振り返ってのディスカッションを行いました。
資料整理では、お預かりした民具の虫干しとカビの除去をしました。全員で協力しながらコンテナから資料を出し、日光や風に当てながら文化財専用のウェットシートを使って丁寧にふき取りました。炎天下の中で大変な作業でしたが、カビや汚れが付着していた部分をかなり綺麗な状態にすることができました。地道で時間のかかる作業ですが、作業をしてみて貴重な資料をより良い状態で保存するためには欠かせないことなのだと知りました。大学で授業を聞いているだけではわからない学芸員の仕事を体験することができ、大変勉強になりました。
また、神明貝塚の見学にも行きました。神明貝塚は春日部市西親野井に所在し、国指定史跡になったことで有名な貝塚です。現地は畑が広がっており、一目で貝塚と認識するのは難しくなっています。しかし地面を見てみると、一面に貝が散らばっている様子が確認できます。この貝はヤマトシジミという貝で、神明貝塚でよく利用されていました。また、土器片もいくつか見られました。神明貝塚を訪れるのは初めてでしたが、思っていたよりも大規模な貝塚で驚きました。
実習はまだ続きますが、午後は実習の振り返っての感想や考えたことをディスカッションしました。実習前は利用者としての目線でしか博物館を見ることができませんでしたが、バックヤードや資料館の現状を見てきたことで、学芸員側の立場から資料館のあり方や改善点などを考えることができました。また、他の実習生の意見も聞くことで考えが深まったと思います。
令和4年度博物館実習生
コンテンツ作りなど
博物館実習も半分に差し掛かった本日では、基本的に資料紹介の解説作成に1日を費やしました。午後3時からは中高生向けのミュージアムトークを聞きに行きました。
本日は、実習生みんなでそれぞれの興味に合った収蔵資料を選び、それに関する情報を調べて発表するための解説を作成することに専念しました。参考書を見ながら資料の情報を得たり、その結果をパソコンに打ち込んでいたりとペースは違えど実習生のみんなはとても集中していて、こちらも頑張らないと思い刺激をもらいました。
実習生の一人が、解説を書くにあたり、資料に関して寄贈者のお話を聞きたいとのことで、呉服屋さんにインタビューに行くことになり、私もそれに同行しました。インタビューに応じてくれた方は、寄贈資料のことについてのお話の他に、ミシンと手編みの違いや今の呉服屋の現状、法被など衣類をつくる技法を当時はどのように習得したかなどのお話もしてくれました。
その中でも一番印象的だった話は、藍染めなどに使う染料を水質汚染の関係で川に流せなくなり、このことが原因で今まであった染物屋や呉服屋が店を閉めざるを得なくなったという話でした。私は今まで、水質汚染防止のための行動に悪いことはないと思っておりましたが、この話を聞いて良いことだけでないという視野が広がる感覚がありました。聞けてよかったです。
午後3時にはミュージアムトークという学芸員が来館者の方々に展示を解説するという企画を実習生全員で聞きに行きました。解説を聞いてくれた来館者は中学生2人だけでしたので、少し寂しく感じてしまいました。ですが、学芸員の榎本さんが質問を投げかけるなどの方法で中学生の気を引かせていたので自分もこのように解説できたらと感じました。
実習も残り少なくなってきたので明日からも気合を入れて頑張りたいです。
(令和四年度博物館実習生)
他館見学
本日は一日かけて岩槻の博物館、資料館の見学へ行きました。
まず、岩槻郷土資料館、岩槻藩遷喬館にて、旧岩槻市の歴史や民俗資料について学習しました。江戸時代、岩槻は城下町として発展しており、日光御成街道は多くの武士が行き来していたそうです。
特別に上げていただいた屋上からはかつての日光御成道を眺めることができ、日光御成道が通っている理由や現代の道幅の拡張についても理解を深めることができました。また、岩槻は台地が多いこと、周辺地域で出土することが珍しい弥生土器が発掘されたことを知りました。当時の環境と資料とのつながりを感じることができました。
岩槻藩遷喬館は、儒学者の児玉南柯が開校した塾で、主に藩士の子供たちが儒学を学ぶための施設です。児玉南柯の自画像と思われる掛け軸も飾られています。
また、ここは明治時代には一度住居として改装され、それを再び当時の姿へ復元したものです。手を加えられた箇所は当時の建築を再現するために解体されています。建築から暮らし、暮らしから社会性を紐解いていくのは面白いです。
次に岩槻人形博物館を見学しました。こちらでは、人形の誕生や歴史についてが解説されています。雛人形の五人囃子はそれぞれ楽器を演奏していますが、その楽器の形に合うように一体ずつ手の形を変えて作られているのです。人形職人さんの磨かれた技術が、人形に命を吹き込んでいるようでした。
そして午後は、東玉人形の博物館を見学しました。人形の誕生から、作り方、種類など、芸能としての人形の歴史深さを目の当たりにしました。「天児」と呼ばれる日本最古の雛人形が展示されていましたが、現在の雛人形とは姿形が全く違います。かなり簡略化された胴体と、こけしのような頭が印象的です。
また、節句のお供でもある人形ですが、元々は人が亡くなりやすい時期に節句という日を設け、死から人を守るという目的で誕生したそうです。今は芸能として親しみを持っている人形も、かつては儀式的なものだった、長い歴史を持つ高貴なものなのだなと、人形の奥深さを感じました。
本日の実習では、歴史はもちろん、訪れた博物館の資料展示方法という面でも多くを学ぶことができましたので、明日以降の資料コンテンツ作成に活かせると良いと思います。
実習も折り返し地点となりましたが、引き続き春日部市の歴史、風土を吸収していきたいです。
(令和四年度博物館実習生)