ほごログ
春日部 利根川紀行 # 桜咲くかすかべ
#桜咲くかすかべ
郷土資料館では、「桜咲くかすかべ」に協力しています。
春日部には、北から南に古利根川(ふるとねがわ)、庄内古川(中川)、江戸川が流れており、私たちに水の恵みをもたらしています。
こうした河川は、少なくとも歴史時代にはいずれも利根川であり、特に戦国時代の末から江戸時代の初めころ、おおよそ400年前ごろに行われたといわれる河道変更によって、利根川は銚子(現千葉県)へと流れるようになりました。庄内古川、江戸川は、いずれも利根川と称されていた時期があったようです。江戸川は、当初「新利根川」ともいわれていました。
また、利根川が国境であったことの名残りとして、武蔵国(むさしのくに)と下総国(しもうさのくに)の国境、埼玉郡と葛飾郡の郡境は、時代によって変化していきました。
今日、桜を愛でることができる古利根川や古隅田川(ふるすみだがわ)は、古代・中世には利根川・隅田川であったと考えられています。当時の利根川は小渕付近で西側に折れ、おおむね現在の古隅田川筋を流れて、岩槻(現さいたま市)方面の元荒川へ流れていたと想定されています。今私たちの見る古隅田川の流れと真逆ですね。
この古隅田川や古利根川が国境・郡境であったことは、南北朝時代と室町時代の古文書で確認できます。約700年前、今の粕壁地区付近は春日部郷といわれており、市域の大半は下総国に属していました。江戸時代には、庄内古川(中川)を境に武蔵国に変わっています。
春日部では、このように時代によって違っていた利根川をまとめて見られます。川沿いにお花を見ながら、利根川の悠久の歴史を感じていただけると幸いです。
*参考 平成7年『第11回特別展 埼葛の歴史』展パンフレット
平成26年『第49回夏季展示 江戸川』展パンフレット
川沿いの桜 #桜咲くかすかべ
#桜咲くかすかべ
郷土資料館では、「桜咲くかすかべ」に協力しています。
河川や水路が多い春日部市では、水辺に沿って桜が植えられ、お花見スポットになっている場所が多くあります。平成7年刊行の『春日部昔むかし』では、季節行事の「花見」の紹介にあたり、俳句の巨匠、加藤楸邨が句を詠んだ古利根川と古隅田川の合流地点のほか、古利根川の藤塚橋付近、八幡橋付近、古隅田川の南栄町付近を桜がみられる場所としてとりあげています。平成17年に庄和町と合併した現在では、庄和道の駅さくら公園から始まる庄内領悪水路沿いの桜並木も、川沿いの人気がある桜スポットです。
ところで、市内の川沿いの桜はいつ頃植えられたのでしょうか?過去の広報をひも解いてみました。植えられた時期が広報からはっきり読み取れたのは、「藤塚橋付近の桜」と、「庄内領悪水路沿いの桜」で、いずれも昭和60年であることがわかりました。
広報かすかべ昭和60年5月号(画像をクリックするとPDFがダウンロードされます)
「藤塚橋付近の桜」は、記事に「桜並木を復活させよう」とあるので、新しく植えなおしたことがわかります。
広報しょうわ平成4年3月号(画像をクリックするとPDFがダウンロードされます)
このほか、「古隅田川と古利根川合流地点の桜」は、古隅田川沿いと最勝院境内に、昭和29年の市制施行を記念して当時の商工会によって「観光桜」として植えられたものもあるそうです。(「かすかべ市議会だより」第28号 昭和52年5月)現在は、合流地点の桜は無く、十文橋西側の最勝院から春日部中学校裏に巨木が残ります。
古隅田川合流点の桜(平成4年ごろか、古隅田川土地改良区記念誌)
十文橋西側の桜(平成4年ごろか、古隅田川土地改良区記念誌)
「南栄町の古隅田川沿いの桜」は、内牧工業団地が昭和46年竣工なので、そのころに植えられたものでしょうか。
その他の桜は、植えられた年代がはっきりしません。しかしながら、広報をみていると、昭和62年に市民の方が「春日部には珍しい花見に出会いました。」(広報かすかべ昭和62年2月号)という文章を写真とともに寄稿しています。現在のように、市内のいたるところで桜の花がみられるようになるのは、意外と最近のことのようです。
ちなみに桜は樹齢約50年たつと、木の高さ約15m、幹の直径が約80㎝になるそうです。
この春は市内で、川沿いの風情ある立派な桜をどうぞお楽しみください。
参考文献
古隅田川土地改良区 1992 『古隅田川土地改良区記念誌』
臨時休館延長のお知らせ
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、令和3年1月5日(火曜日)から3月21日(日曜日)までの期間、郷土資料館を臨時休館します。(3月7日までとしていたものを延長します。)休館中は、展示室にご入館いただけません。なお、3月22日(月曜日)は通常の休館日です。今後の新型コロナウィルス感染拡大状況によっては、臨時休館の期間を変更する場合があります。ご理解、ご協力をお願いします。
休館中も、電話、メールでのレファレンスは、受け付けております。
休館に伴い、下記のイベント、講座は中止します。
3月13日(土)・27日(土)古文書講座初級編・中級編
3月21日(日)体験ワークショップ 蓄音機で音楽を聴いて昔のおもちゃを作ってみよう
第37回小学校地域学習展「くらしのうつりかわりーなつかしい昔の道具展」(会期 令和3年3月21日(日)まで)
【出張授業】「でばりぃ資料館」in備後小学校
令和3年3月4日(木)に備後小学校出向き、第3学年の児童に向けた、『でばりぃ資料館』を開催しました。
備後小学校では教室、低学年学習室、高学年学習室の3つの教室を利用して、それぞれ「60年前の春日部+昔の学校の道具」「昔の家の道具」「昔の農業」のコーナーを展開して開催しました。
「60年前の春日部+昔の学校の道具」コーナーでは、近年と60年前の航空写真を用いて、現在の備後小学校の周りやイオンの周辺が、60年前にはどうなっていたかなどを比較しながら学習しました。
こちらは「昔の家の道具」コーナーです。
児童には黒電話や手回し洗濯機がいつも人気なのですが、アンケートを見ると意外にも「火のし」が印象に残ったと書いてあることも多いのです。「火のし」は穴に木炭を入れて金属部を熱し、現在のアイロンのように布のしわ伸ばしに使われていた道具です。
上の写真の左から2番目の道具が「火のし」なのですが、水をくむための柄杓にみえるという児童が多いようで、アイロンと同じ役割だったという意外性が印象に残るようですね。
「昔の農業」コーナーでは昔の米作り体験です。
稲の状態から手作業で玄米・白米にするには昔はどのようにしていたかを説明し、千歯扱きを使った脱穀体験や、籾摺り・米つき作業を簡易的に体験をしてもらいました。
「でばりぃ資料館」はまだまだ受付可能となっております!
早いもので今年度も残り1か月となり、学校の方も年度末で忙しい時期かとは思いますが、お電話と簡単な書類のやり取りのみで大掛かりな準備をしていだだく必要はございませんので、ぜひともご用命ください!
【出張授業】「でばりぃ資料館」in中野小学校
令和3年2月26日(金)に中野小学校へ出向き、第3学年の児童に向けた、『でばりぃ資料館』を開催しました。
中野小学校では図書室を利用して「昔の家の道具」「昔の農業」の2コーナーを、3年生の各教室を利用して「60年前の春日部+昔の学校の道具」コーナーを展開して開催しました。
図書室の「昔の家の道具」コーナーですが、道具のみならず、60年前・80年前の小学3年生の平均身長と比べられるパネルも持っていきました。背比べをしてみると、パネルよりやや大きい児童が多いようですね。
「昔の農業」コーナーでは、昔の米作り体験をしました。
説明の中で現代の米作りについて触れる部分もあったのですが、すでに学習済みの内容を含んでいるため、思い出してもらって復習することもできました。
でばりぃ資料館も開催後にアンケートをお願いしているのですが、やはり一度学習したことを思い出すことで記憶や知識の定着に繋がるので、復習する機会を与えることも大切にしていきたいと思っております。
教室での「60年前の春日部+昔の学校の道具」コーナーは、2時間目は3年2組、3時間目は3年1組、といった具合で休み時間に資料を移動させて各教室で開催しました。
教室を活かして黒板に板書しながら解説し、耳から聞くだけでは頭で整理することが難しいことも、黒板に書いてあることで理解しやすくなったようです。
先生方からも「見学に行くのと違い、資料館が出張に来てくれることで、次の時間の授業がすぐに始められる」など感謝の言葉もいただき、ありがたい限りです!
コロナの関係で学校としても授業時間の確保が難しいことかと思います。だからこそ、“1時間でできる資料館体験”「でばりぃ資料館」をぜひご活用ください!
【出張授業】「でばりぃ資料館」in川辺小学校
令和3年2月19日(金)に川辺小学校出向き、第3学年の児童に向けた、『でばりぃ資料館』を開催しました。
川辺小学校では図書室を利用して「昔の家の道具」「60年前の春日部+昔の学校の道具」の2コーナーを、生活科室を利用して「昔の農業」コーナーを展開して開催しました。
図書室では机を移動していただき、空きスペースに60年前の春日部の航空写真を、移動した机をそのまま昔の学校の道具の展示台として活用しました。
今の児童が使うノートは紙でできていますが、昔は石板(せきばん)といって、まるで小さな黒板のようなものでした。石板は一回一回消しながら使うので、記録として残すことができず、復習をするのが難しかったかもしれません。
こちらも図書室です。長机をご用意いただき、昔の家の道具を展示・解説しています。
児童は職員の解説で印象に残ったことをメモしながらしっかり聞いていました。
自由時間になると、手回し洗濯機や黒電話など、回して体験できるものが大人気でした。
昔の農業は生活科室で体験しました。
児童からは「昔の苦労を知った」「こんなにいろいろ体験できると思わなかった!」という声が聞こえ、学習効果も満足度も高かった様子でした。
ありがたいことに、各学校から「でばりぃ資料館」のご予約を次々にいただいております!
体育館や、空き教室を3つご用意いただくのが難しい場合でも、今回のように、図書室などの広めの特別教室で2コーナーを展開して行うことも可能ですので、ぜひご相談ください!
資料も出張って活躍しています
先日、緑小学校では、1年生の国語「たぬきの糸車」の学習が行われました。子どもたちは、実物の「糸車」をみて、昔のくらしを想像しながら、楽しく作品の理解を深めてもらえたとのことです。
「でばりぃ資料館」が徐々に浸透・定着しつつあり、大変ありがたいことに、各学校に職員がお邪魔することが続いています。今回、緑小に出張ったのは「糸車」です。職員は付添いませんでしたから、いわば「糸車の一騎がけ」です。
意外と知られていないようですが、郷土資料館では、「糸車」のみならず、各種資料の貸し出しも(細々と)やっております。
「郷土資料館は狭くて展示資料も少なく活かせるものがないよ」とお思いの先生方もいらっしゃるようです。実は郷土資料館には展示室よりも広い収蔵庫には未だ展示しきれない資料が山ほどあります。なかには、学校の教材用としてご寄贈いただいたものもあります。詳しくは、ホームページの「学校の先生方へ」や「学校教材用貸出リスト」をご覧いただきたいのですが、ここに掲載している資料だけではなく、多彩な資料が本当にまだまだたくさんあります。たとえば戦時期の資料でも、海軍帽、配給切符、訓練用の手りゅう弾、出征時のタスキ・日の丸寄せ書き、軍の水筒、慰問の手紙、千人針などなど(ホームページの更新が望まれるところですね)。
学校にお邪魔して感じるところですが、子どもたちの成長過程や様子がわからず、不慣れな私どもがゲリラ的に授業をするよりも、先生方が資料を自在に自由に扱って授業を組み立てたほうが効果的な学習になるのではと思ったりもします。
学芸員や資料館が主たる「博学連携」は、とかく社会科学習に偏る傾向があります。資料館には「たぬきの糸車」のように様々な教科にもご活用いただける資料がまだ眠っています。そういう意味で、郷土資料館の潜在能力は未知数だと思います。私たちが思ってもみない資料の活用を提案・実践されることを期待しています。気軽にご相談いただければ幸いです。
【出張授業】「でばりぃ資料館」in桜川小学校
令和3年2月16日(火)に桜川小学校出向き、第3学年の児童に向けた、『でばりぃ資料館』を開催しました。
でばりぃ資料館は、5つのテーマの中から学校の要望に合わせて3つを組み合わせて展示・解説を行う方式が基本の形です。
今回は、「60年前の春日部」「昔の家の道具」そして「昔のおもちゃ体験」を選んでいただきました。“おもちゃ”と聞くと、学習として活用しにくいと思われがちですが、実は児童自身が自分の経験と一番照らし合わせ易く、今と昔の違いを感じるにはもってこいのテーマといえるのです。
桜井小の先生は昔のおもちゃブースを見て、「これがもう資料なんですね」と呟いていました。
お気持ちよく分かります(笑)
今回は体育館での開催です。約60年前の道具と、今の家庭で使用している道具を比べて、機能や形状の違い、また動力の違いなどを解説しました。
車のトランクに若干の余裕があったため、昔の学校の道具も持って行かせてもらいました。
また、昔のおもちゃブースでは、学校でご用意いただいた新聞紙を使い、「紙鉄砲」の製作体験をしました。
今は遊びといえばもっぱらテレビゲームという児童も多いですが、からくりおもちゃを触ると大興奮!アナログなおもちゃにも子供心をくすぐる要素はたくさんあるものです。
賑やかでとても楽しそうな姿が印象的な桜川小学校3年生でした!
『でばりぃ資料館』のご予約はまだまだ受け付けております。新型コロナウイルス感染拡大防止対策をして開催いたしますので、日程、会場、内容など、ぜひご相談ください!
出張授業 縄文体験教室 in 飯沼中学校
令和3年2月9日(火)に飯沼中学校で「縄文体験教室」の出張授業を行いました。
これまで「縄文体験教室」は小学校を対象に行ってきましたが、中学校での授業は今回初めて。
学年は中学1年生。
生徒さんたちは自分たちの身近な地域に遺跡や貝塚があること、春日部市に海が広がっていたことについて驚いていました。また史跡になった「神明貝塚」では、貝塚の特徴である海や川の幸のみならず身近なさまざまな食料資源を取り入れて生活を営んでいたことも学び、社会科の歴史教科だけではなく、生物学や人類学も縄文人の生活の解明に関連していたことを知っていただきました。
生徒さんがこちらからの質問に積極的に考え、答えたくれたので授業は大変盛り上がりました。
飯沼中学校の皆さま、ありがとうございました!
エア博物館 ぬりえがふえました
#エア博物館 #おうちで博物館 #ぬりえ
きょうどしりょうかんの、ぬりえがふえました。
おうちで、ぬりえをたのしんでください。
エア博物館 おうちでぬりえをしませんか(これまでのぬりえはこちら)
くりっくすると、PDF(ぴーでぃーえふ)ふぁいるをだうんろーどします。いんさつして、つかってください。
【出張授業】「でばりぃ資料館」in南桜井小学校
令和3年2月5日(金)及び2月9日(火)に南桜井小学校出向き、第3学年の児童に向けた、『でばりぃ資料館』を開催しました。
今回のでばりぃ資料館は、なんと2日間開催!
1日目の2月5日には各クラスで航空写真や古写真を利用しながら、昭和時代の南桜井小学校周辺について学びました。
昭和前期の小学校の写真をみて、今と違うところを探してもらうと、建物の作りが現在と異なることや、服装・髪型の違いに気づき、とても驚いた様子。さらには、その写真が昔の南桜井小学校だと知ると、「えっ!?えっ!?」「これが!?」と大盛り上がりでした。
また、昭和40年の南桜井駅の写真では、駅舎に2階がなく、階段を上って別のホームに行くことができないことに注目してもらい、実は昔は反対のホームに行くには電車が来ていないときに線路を渡って反対側のホームに行っていたことなど、今の暮らしと比較しながら学んでもらいました。
2日目の2月9日には体育館で昔の暮らしや道具について解説を行い、その後、児童が4つに分かれた展示エリアを自由に見学しました。
こちらはでばりぃ資料館では今回が初出展となる昔の学校の道具ブースです。
教科書やランドセルの大きさが今とは異なります。また、昔の小学1年生の教科書はひらがなではなく、カタカナから習っていたことに驚いた様子でした。
読んでみて、触ってみて体験型の学習ですね!
ちゃぶ台の前では「ご飯だよ~」という声が!
昔の雰囲気・・・出てます!(笑)
南桜井小学校では2時間いただけたことで、より時間をかけてじっくりと学んでもらえたかと思います。
私たちも、毎回反省を重ねながら、よりよい資料館体験をしてもらえるよう思案しております。そのせいか、回を重ねる毎に少しずつ持ち運ぶ教材が増えていき、移動用の車に乗せることが困難になってきました(苦笑)
今回はテレビや新聞の取材もあり、コロナの中でも試行錯誤して教育を進める学校や行政の取り組みを紹介する良い機会となりました。
『でばりぃ資料館』のご予約はまだまだ受け付けております。新型コロナウイルス感染拡大防止対策をして開催いたしますので、日程、会場、内容など、ぜひご相談ください!
臨時休館延長のお知らせ
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、令和3年1月5日(火曜日)から3月7日(日曜日)までの期間、郷土資料館を臨時休館します。(2月7日までとしていたものを延長します。)休館中は、展示室にご入館いただけません。なお、3月8日(月曜日)は通常の休館日です。今後の新型コロナウィルス感染拡大状況によっては、臨時休館の期間を変更する場合があります。ご理解、ご協力をお願いします。
休館中も、電話、メールでのレファレンスは、受け付けております。
休館に伴い、下記のイベント、講座は中止します。
2月13日(土)古文書講座初級編・中級編
2月20日(土)体験講座「縄文土器から音楽を作るチャレンジ」
2月21日(日)体験ワークショップ 蓄音機で音楽を聴いて昔のおもちゃを作ってみよう
大衾(おおぶすま)って珍しい地名!?
言葉に地域差があるのと同様に、漢字にも特定の地域だけで通用する「方言漢字」がある
と紹介する『方言漢字 埼玉県編』(リーフレット)に、市内の地名「大衾」(おおぶすま)が紹介されました。
このリーフレットは、「八潮の地名から学ぶ会」という団体が発行するもので、県内で使用される「方言漢字」を紹介するものです。
同会によれば、「衾」のつく地名は県内でも数例あるそうですが、住居表示では「春日部市大衾」が県内唯一だそうです。
大衾の地名の由来については、つまびらかでありませんが、一説には「フスマ」は「フシミ(伏見)」と同語で、「フシミ」とは「うつみて見ること」。大衾は、下総台地から中川低地を見下ろすことのできる傾斜地なので、「大衾」と名付けられたといわれています(埼玉県地名誌)。
「大衾」の意味の真偽はともかく、地名がその土地の風土・環境、歴史・文化を体現していることは、いうまでもありません。そういえば、以前「中央」という地名がつくられ、古い地名が失われたことを紹介しました。
『方言漢字 埼玉県編』を発行された同会は、地名は土地の記憶であり、地域固有の宝、まちづくりに活かせるのだと提唱され、幅広く活動されています。このたび、同会のご厚意により『方言漢字 埼玉県編』をお分けいただき、郷土資料館に配架させていただくことになりました(なお、現在、郷土資料館は臨時休館中ですので、入り口付近のチラシラックに配架しています)。
ご興味がある方は、無料で配布していますので、ぜひお手にとってご覧ください。一風変わった「方言漢字」や珍しい地名が、県内でも多用されていることに驚かされますヨ。
【出張授業】「でばりぃ資料館」in牛島小学校 4年生
令和3年2月3日(水)、牛島小学校に出向き、第4学年の児童に向けた、『でばりぃ資料館』を開催しました。
今回のでばりぃ資料館は、社会科の県内の伝統・文化を学習する単元にお邪魔して、市内に伝わる古い建物や民俗芸能などを、写真や映像をつかって紹介しました。
授業では、まず、牛島小学校周辺のお寺や神社について、お寺と神社って何が違うのか、身近な寺社にも古くから伝わる貴重なモノが遺っていることを紹介しました。牛島に所在する女体神社や宝光院は通学路や家の近所の子どもたちが多くいました。女体神社は、なぜ女体という名前が付けられているか、よくわかっていないと話すと、自分たちで調べてみたいと話す子どもたちもいました。
つづいて、市内に伝わる獅子舞や神楽、指定文化財の建造物を紹介。市内とはいえ、いったことも聞いたこともない地区に伝わる文化財でも、郷土かるたの絵札になっているため、知っている子たちも多くいました。授業では、不動院野の神楽や倉常の神楽囃子のDVDを鑑賞し、長い年月をかけて、地域の人たちが伝えてきた民俗芸能の様子も見てもらいました。
こうした伝統的な民俗芸能、古い建造物であっても、失われてしまったものもあることを紹介しました。下の写真の下蛭田の獅子舞は、豊春地区の下蛭田に伝来した獅子舞でしたが、昭和39年(1964)を最後に舞われることはなくなり、平成6年(1994)に一度復活しましたが、現在では行われていません。なくなってしまったことは、誰かが悪いわけではなく、みんなの関心がなくなったり、価値を知らない人が増えたためです。失われていく文化財がある話題は、子どもたちにとって少しショッキングだったようです。
講師となった学芸員は、最後に「地元に獅子舞や神楽、古い建造物等があることを知り、興味を持ち続けてもらうことが、未来へと地域の文化を守り、伝えていくことになる」、と文化財保護課の職員らしいメッセージを伝え、授業を終えました。
少し難しかったかもしれませんが、「楽しかった」とか「詳しく調べてみたい」と話す子どもたちもおり、地元を見つめなおすきっかけになったのならば幸いです。
今回は、4年生の社会科の授業にお邪魔しましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止対策をとったうえで開催いたしますので、各学校の先生方も、日程、会場、内容など、ぜひご相談ください!
幸松地区公民館で神明貝塚の巡回展示を開催しています
長らく武里地区公民館にお邪魔していましたが、本日、2月2日より幸松地区公民館で神明貝塚の巡回展示を開催しています。
また幸松地区公民館のブログでも巡回展示開催の告知をしていただきました。ありがとうございます。
神明貝塚は幸松地区公民館より約8キロ北東の西親野井地区に位置する、3800年前(縄文時代後期)の縄文人のムラの跡で、令和2年3月に”国史跡”に指定されました。
貝塚と聞くと貝や魚の骨を連想し、縄文人の食生活も貝や魚を中心とした、偏っていたと思われがちですが、神明貝塚の特徴の一つに食料資源の多様さがあります。いったい縄文人がどのような動物や植物、魚、貝を食料として利用していたのか、またどのような暮らしぶりだったのか、展示をご覧になって下さい。
展示場所:幸松地区公民館 1階ロビー
展示期間:2/2(火)~5/9(日) ※月曜・祝日は休館
開館時間:8:30~17:15
予 約:不要(自由に見学できます)
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、見学に来られる際はマスクの着用、アルコール消毒などご協力をお願いします。
【出張授業】「でばりぃ資料館」in幸松小学校
令和3年2月2日(火)に幸松小学校出向き、第3学年の児童に向けた、『でばりぃ資料館』を開催しました。
今回のでばりぃ資料館は、図書室で「60年前の春日部」、幸松ルームで「昔の家の道具」、理科室で「昔の農業」とテーマを分けて行いました。
使用する教室が3つとも特別教室なこともあって、児童もちょっといつもと違う気分で授業を受けられたのではないでしょうか。
幸松ルームは、幸松小学校がある地区の由来や古写真、歴史、伝説を紹介している、幸松小学校のオリジナルルームです。郷土資料館でお手伝いさせていただいて、平成27年(2015)に郷土資料室として整備いたしました。昔のコメ作りや生活の道具などの実物の資料も展示してあり、大人の方でも楽しめる部屋です。
60年前の春日部がテーマの図書室では、巨大航空写真や昔の春日部の風景写真だけでなく、人口データなどの数字も用いて、今と昔を比較しながら学習しました。
昔の家の道具がテーマの幸松ルームは郷土資料室として数多くの民具を設置してあり、今回、郷土資料館から手持ちした昔の民具も合わせて見どころたっぷりの教室になりました。
昔の農業がテーマの理科室では、機械化以前の米作りについて、どんな道具を使って米を白くしていたかを職員が説明しました。体験も取り入れて、頭だけでなく体も使って学んでもらいました。
児童に伝えたいことがたくさんあり、どうしても時間が足りなくなってしまうことも多いのですが、限られた時間でも工夫して学びを深めてもらえるよう、私どもも努力してまいります!
でばりぃ資料館をご利用いただいた学校には、児童へのアンケートのご協力をお願いしているのですが、アンケートには「また来てほしい」「資料館にも行ってみたい」という声も多数いただきました!
新型コロナウイルス感染拡大防止対策をとったうえで開催いたしております。まだまだ受付中ですので、各学校の先生方も、日程、会場、内容など、ぜひご相談ください!
【出張授業】「でばりぃ資料館」in牛島小学校
令和3年1月27日(水)に牛島小学校出向き、第3学年の児童に向けた、『でばりぃ資料館』を開催しました。
今回のでばりぃ資料館は、教室で「60年前の春日部」、学習室1で「昔の家の道具」、学習室2で「昔の農業」とテーマを分け、3つの教室を使用し、児童がグループ毎に巡回する形式で開催しました。
60年前の春日部がテーマの教室では、航空写真を観察し、目印になるポイントにシールを貼りながら、当時の春日部市域の様子を学びました。
昔の家の道具がテーマの学習室1では、今ではほとんど目にする機会がなくなった“火のし”や、“黒電話”など、懐かしい家の道具を展示しました。
大人が見たら懐かしい道具も、児童にとってはむしろ新鮮に感じられたようです。
各学校に配布させていただいた「たんけんシート」で、しっかりと学びも深めてくれました。
昔の農業がテーマの学習室2では、稲についた籾の状態から手作業で白米にする体験を行いました。本来の精米の工程で使用していた道具とは異なる道具を使用していますが、体験をすることで、楽しさと昔の苦労も感じ取ってくれました。
各教室で体験を終え、満足そうに教室を出ていく児童を見ると、私どもも“来てよかったなぁ”と心から思います♪
現在、郷土資料館は臨時休館中ですが、ありがたいことに『でばりぃ資料館』のご相談をたくさんいただいております!今回はミニコミ誌の取材もあり、これから話題沸騰の予感です!
新型コロナウイルス感染拡大防止対策をとったうえで開催いたしますので、各学校の先生方も、日程、会場、内容など、ぜひご相談ください!
【出張授業】「でばりぃ資料館」in八木崎小学校
令和3年1月22日(金)に八木崎小学校出向き、第3学年の児童に向けた、『でばりぃ資料館』を開催しました。
ちなみに、『でばりぃ資料館』とは、郷土資料館での展示や体験をお届けする出張授業のことです。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、室内の換気、マスクの着用、適宜手指の消毒を行いながら授業をしました。
授業の前半は学芸員が児童全体に向けて昔の暮らしや道具について解説を行い、後半は児童が3つに分かれた展示エリアを自由に見学しました。
千歯扱きによる脱穀や、手作業での精米体験、約60年前の春日部を映した航空写真や、昔の生活の道具など、児童たちは楽しんで学びを深めてくれました。
千歯扱き体験では「気持ちよかった」「僕もやりたい」など昔の農作業を“楽しいもの”と感じた児童が多かったようです。
ただ、学芸員が「でもこの作業(脱穀)を1日中やるとしたら?」という質問になると、「大変そう」「かわいそう」といった意見も。
今と昔の便利さの違いを、感じ取ってくれたみたいです。
授業の最後には、児童から「楽しかったけど、もっと時間がほしかった」など、まだまだ体験し足りないといった声も聞こえ、興味・関心の高さを窺わせてくれました。
郷土資料館が臨時休館中の今だからこそ生まれた『でばりぃ資料館』!
今回の八木崎小学校では体育館を会場に使用させていただきましたが、各種教室や図書室等でも可能です。各学校の先生方も、日程、会場、内容など、ぜひご相談ください!
【休館中だからこそ打って出る】でばりぃ資料館はじめました
感染症拡大防止のため市の各施設では「休館」「中止」「延期」の文字が踊る昨今。郷土資料館も、2月7日(日)まで臨時休館、この期間の様々なイベントも中止となりました。仕方がないことですが、教育委員会のブログにも「休館」「中止」「延期」の言葉が並び、ちょっと暗い雰囲気。
例年1・2月は、市内の小学3年生が連日、郷土資料館に団体見学で訪れるのですが、受け入れもままなりません。
そこで、郷土資料館では「でばりぃ資料館」と称し、小学校に館内展示資料と学芸員を出張させ、新型コロナ感染防止対策を十分に行ったうえで、子どもたちに館内見学を疑似体験してもらう試みを新たに企画してみました。
「でばりぃ資料館」の「でばりぃ」とは、和語の「出張(でばり)と英語の「delivery(デリバリー)」を掛け合わせた造語です。学芸員が学校に出張り、資料と資料館での体験をお届けすることを意味しています。子どもたちに親しみやすいように名づけました。「出張(でばり)」とは現在では「しゅっちょう」の読み方が一般化し、あまり読み慣れませんが、「戦いのために他の地域、場所へ出向くこと」の意もあります。コロナ禍で不透明な情勢が続いておりますが、郷土資料館は児童が地域の歴史や昔のくらしを学ぶ機会を確保するため、コロナ禍であっても攻めていきたい、との願いを込め命名したものです。
肝心の中身ですが、実は至って普通の出張授業です。ですが、授業に学芸員が出張するのでなく、あくもでも、資料と資料館での体験をお届けすることを主眼とし、郷土資料館を知ってもらうことをねらいとしています。児童のみなさんには楽しみながら学んでいただき、郷土に関心を持つきっかけになればと考えています。
「でばりぃ資料館」では、あんな資料やこんな資料を持ってきてほしい、こんな体験をやってみたい、など、ご要望にできる限り応えます。以前の出張授業はこんな感じでした。
持参する資料としては、こんなものを考えています。
もちろん、感染症対策は徹底しますので、ご安心ください。
ぜひとも、学校の先生方には、資料と資料館をご活用いただけますよう、ご相談いただけると幸いです。
【臨時休館】令和3年1月5日(火)から2月7日(日)まで休館を延長します
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、令和3年1月5日(火)から2月7日(日)までの期間、郷土資料館を臨時休館します。(1月17日までとしていたものを延長します。)なお、2月8日(月)は通常の休館日です。
休館中は、展示室にご入館いただけません。今後の新型コロナウイルス感染拡大状況によっては、臨時休館の期間を延長する場合があります。ご迷惑をお掛けいたしますが、ご理解、ご協力をお願いします。
休館に伴い、以下のイベントを中止します。
1月16日(土)古文書講座初級編/中級編
1月24日(日)体験ワークショップ
なお休館中も、電話、メールでのレファレンスは、受け付けております。