ほごログ(文化財課ブログ)

ほごログ

8月の考古学関係展示会、イベント情報

8月の近隣博物館・資料館の考古学情報をお届けします。
(毎月28日ごろに掲載します。随時、情報を追加します。)

(東部地区文化財担当者会リレー展示ー都鳥が見た古代)
・9月5日(金曜日)~9月19日(金曜日)パストラルかぞ(加須市・パネル展示)

(展示会_閉会日順)
・8月30日(土曜日)まで 帝京大学総合博物館(東京都八王子市)
企画展「ホネホネワンダーランド-骨の不思議を探る-」

・8月31日(日曜日)まで かみつけの里博物館(群馬県高崎市)
企画展「わくわく!はにわ体験‘25」

・8月31日(日曜日)まで 埼玉県立さきたま史跡の博物館(行田市)
令和7年度埼玉の考古おひろめ展「地中からのメッセージ」

・8月31日(日曜日)まで 桶川市歴史民俗資料館(桶川市)主催:埼玉県埋蔵文化財調査事業団
令和7年度里帰り展 「地中に眠る桶川の歴史」

・8月31日(日曜日)まで 栃木県埋蔵文化財センター(栃木県下野市)
巡回展「栃木の遺跡&発掘調査速報展」

・8月31日(日曜日)まで くにたち郷土文化館(東京都国立市)
ミニ展示「甲野勇と秋田のストーンサークル」

・9月10日(水曜日)まで 富士見市立水子貝塚資料館(富士見市)
「縄文を表現する ~新川昌子氏 作『私の縄文日記』~」

・9月15日(月曜日・祝日)まで 早稲田リサーチパーク・コミュニケーションセンター
企画展「本庄市の古墳3 西五十子古墳群

・9月17日(水曜日)まで 墨田区立ひきふね図書館(東京都墨田区)主催:墨田区教育委員会
すみだゆかりの展示「墨田区の遺跡2025」

・9月28日(日曜日)まで 壬生町立歴史民俗資料館(栃木県壬生町)
文化財企画展 「みぶほる!-壬生町の発掘調査速報展2025」

・10月13日(月曜日・祝日)まで 国立科学博物館(東京都台東区)
特別展「氷河期展 〜人類が見た4万年前の世界〜

・10月31日(金曜日)まで 神川町多目的交流施設(神川町)
企画展「かみかわの古墳を知ろう8~南塚原の古墳2~」

・11月3日(月曜日・祝日)まで 府中市郷土の森博物館(東京都府中市)
「古代国司と国司館~都から来た役人とそのすまい~」

・11月16日(日曜日)まで 柏市郷土資料室(千葉県柏市)
第30回歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」

(講演会)
・9月6日(土曜日)明治大学駿河台キャンパス(東京都千代田区) 主催:明治大学資源利用史研究クラスター
公開シンポジウム「大山柏の史前学と縄文生業論の今日的展開」

・9月7日(日曜日)明治大学駿河台キャンパス(東京都千代田区) 主催:日本考古学協会
公開シンポジウム「人類はどこから来て、どこへ向かうのか」

・10月18日(土曜日)行田市教育文化センターみらい文化ホール(行田市) 主催:埼玉県立さきたま史跡の博物館
シンポジウム 「埼玉古墳群と古代国家成立前夜」

【デジタルミュージアム】収蔵資料データベースの掲載写真が増えました

7月から公開している、春日部市郷土資料館の収蔵資料データベースですが、当初は150件ほど公開でしたが、少しずつ公開資料を増やし、現在279件となりました。このうち、資料の利用頻度や要望の高い、市内の古写真(特に広報誌撮影の古写真)は公開件数が100件になりました。

写真:S37内出地内国道

たとえば、この写真。昭和37年(1962)の粕壁内出の踏切です。この踏切は、地元では「大踏切(おおふみきり)」とよばれる開かずの踏切。当時は国道16号。現在は、県道2号で、写真は粕壁の宿場町・新町橋の方面を望むものです。踏切をわたった先には、春日部市内でもまだ珍しかったスーパーマーケット「東莫ストア」がみえます。

一つ一つの写真の説明・解説記述には、まだ精粗がありますが、『広報誌縮刷版』などを参照しつつ、写真の情報を充実していきたいと思います。フリーワードで「広報 写真」などと検索いただきますと、戦後の春日部の風景が蘇ります。画像ダウンロードできるものも徐々に増やしていますので、ぜひご活用ください。

なお、掲載など資料の利用にあたっては申請書の提出をお願いしています。

画像:収蔵資料データベース2次元コード

こども土器作り教室2日目 ~土器焼きを行いました~

8月24日(日)にハルカイト(大凧文化交流センター)にてこども土器作りの2日目、「土器焼き」を行いました。今回は土器焼きの工程をご紹介します。

乾燥中の土器

写真は乾燥中の土器です。天候にも恵まれ1週間、じっくりと天日干しできました。色はうっすらと乳白色に変化しています。

土器を温める様子

土器焼きは9時過ぎにスタート。最初に地面をしっかりと乾燥させ、また土器の温度を徐々にあげていきます。一番分厚い底の部分から温めます。

土器を立て温めている様子

土器が徐々に温まってきたら、土器を立て火に近づけます。最初から焼いている木材はだんだんと炭になっていることが分かります。

土器に炭を入れて温める様子

土器が温まったら、さらに火に近づけます。さらに土器の温度をあげるため、土器の中に炭を入れ、内側からも熱していきます。ここまではまだ余熱の段階ですが、軍手では持てないくらい土器が熱くなっています。

土器の本焚き

土器の余熱が完了したら、参加者の皆さんにも集まってもらい、ここからいよいよ本焚きに入ります。土器周りに板材を差し込み、赤い炎で一気に焼いていきます。この時の温度は600~800度近くまで上昇し、土器焼きの中でも最も過酷な工程となります。

炭の中で土器を転がす様子

 今年は快晴が続いたため、よく乾燥できたため、一つの土器も破裂することなく、無事焼き上がりました。最後に炭の上で、土器を転がし真っ黒な表面を少しづつ赤茶色に仕上げていきます。

焼き上がった土器

焼き場から取り上げ小一時間ほど経てば、やっと手で持てるくらいの温度となり、完成となります。一部が欠けてしまったり、底が外れてしまったりしたものもありましたが、大成功の土器焼きとなりました。

参加者の皆さん、暑い中、2日間お疲れ様でした。今後も、夏休みのイベントとして継続していきますので、またの参加をお待ちしています。

館収蔵資料(文化財)の調査が行われました

郷土資料館では、市指定文化財をはじめ、春日部ゆかりの様々な資料を収蔵・保存しています。

先日、埼玉県内の中世・近世移行期について調査・研究されている方がお越しになり、市指定文化財「西金野井香取神社の棟札」を実見・調査されました。

この棟札は、昭和57年に旧庄和町の指定文化財となり、現在も春日部市指定文化財として引き継がれていますが、実は、知る人ぞ知る史料なのです。ですから、『武蔵史料銘記集』をはじめ、『新編埼玉県史 資料編』など埼玉県内の史料を蒐集した刊行史料集にも収載されてきました。また、『春日部市庄和町史編さん資料(十五)中・近世資料』にも収載されています。

今回、調査された方は、これらの刊行史料集を検討するため、実物の資料を実見したいというものでした。採寸をはじめ、スケッチや写真撮影など。じっくりと、資料を実見されておられました。

 写真:資料調査のようす

さて、この「西金野井香取神社の棟札」をはじめ、西金野井香取神社には貴重な文化財が伝来しています。実は、戦前に、埼玉郷土会という郷土史団体が、史跡・文化財の見学旅行に訪れ、同社の文化財を巡見しています。

埼玉郷土会とは、埼玉県の郷土史誌『埼玉史談』を編集発行する団体です。『埼玉史談』第1巻第5号(昭和5年5月刊)には巡見の様子が次のように報告されています。

(前略)同神社(香取神社)の本殿は寛永十五年五月改築されしものとて彫刻や金具等は、同時代の特徴を遺憾なく発揮せる県下稀なる建築である。又同社の朱印状は天正十九年徳川家康より十石の地を下されたるに初まり、引続き歴代将軍よりの朱印状十二通が完全に保有されて居る。棟札には神田梶取大神とありて、徳治元年五月第一回の屋根改をなせし事を記せる物で同社に取りては有力なる資料ではあるが写し改めた様に思はる。獅子舞の面などは寛永以後の製作で、神威遠近に輝きたるに依り上流地方より奉納せられたりとの説があり、其舞は神秘的な感を与へるとの事である。(下略)

巡見が実施されたのは、昭和5年(1930)3月9日のこと。現在、西金野井香取神社に文化財として伝わるものが目白押しです。現在の評価とは異なる部分もあり、鵜呑みはできませんが、大変興味深い記事です。当日の巡見参加者のなかには、考古学者の柴田常恵や、陸軍の軍人で郷土史家の渡辺刀水、そして、『埼玉縣誌』の編さんや先の『武蔵史料銘記集』の編者である稲村坦元もいました。もしかすると『武蔵史料銘記集』に収録されたきっかけはこの巡見だったのかも、と思ったりもしますが、どうでしょうか。

いずれにしましても、今回の調査の結果・成果は・・・。私たちは、座して待つほかありません。楽しみにしております。

収蔵資料の調査。郷土資料館をご活用いただき、大変ありがとうございました。

「麦わらのかすかべ」展、みゅーじあむとーく

8月20日、企画展「麦わらのかすかべ」展のみゅーじあむとーく(展示解説)を実施しました。

写真:みゅーじあむとーく

この企画は、展示室で担当の学芸員がレクチャーするもので、好評を得ており、常は企画展につき2回ほど実施していますが、今回の企画展では、諸般の事情から本日のみ。

猛暑がつづき、人の入りもまばらだったので、お客さんは来てくれるのか、と不安に思っていましたが、午前の部は5名、午後の部は4名の方にお越しいただきました。

解説では、麦わら帽子は何でてきているか、どうして春日部が「帽都」になったのか、について、展示資料を見ながら、触りながら、展示のみどころを紹介しました。

写真:午前の部

午前の部では、なんと!!

調査・展示にご協力いただいた、関係者の皆さんにお越しいただきました。現役の帽子屋さんの前で、春日部の麦わら帽子の特長、産業の歴史をお話しするのは大変緊張しましたが、解説のあと「よく調べてるね」とお褒めの言葉をいただきました。関係者の皆さんにお喜びいただけたことが、この上なく励みとなります。力及ばず、調べてもわからなかったことや、工場での新たなエピソードも教えていただきました。また、勉強になりました。

午後の部では、4名の方にご参加いただきました。解説の後、説明が不十分だった点についてご質問いただき、理解を深めていただけたようです。また、実際に春日部産の麦わら帽子をさわり、観察していただき、麦わら帽子の良さを知っていただけたのではないかと思います。

写真:午後の部

「歴史バカ」の展示担当者は、物事の起こり・過程などの歴史こそが、その物事の本質であると考えます。言い方をかえれば、ある事柄の本質は、その生成と変遷の筋に宿る、ということでしょうか。

春日部の麦わら帽子も歴史のなかに特徴やその意味を見出すことができる。ひいては、それは春日部(市)という地域の特徴や個性であると思います。

麦わら帽子の歴史を通じて、特産品の麦わら帽子、さらには春日部を理解できる企画展示の会期も折り返しを過ぎました。ぜひご覧いただいていない方はお越しください。

あわせて、関連事業の記念講演会の受講者も絶賛募集中です。あわせてお楽しみください。