ほごログ(文化財課ブログ)

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くらしのうつりかわり展のみどころ(その2)

前に紹介した「くらしのうつりかわり」展。血も涙もない総選挙「むかしのどうぐ人気投票」も絶賛実施中です。

毎年恒例とはいいながらも、地味に展示資料やパネルを変えていますので、少し変わった点を紹介させていただきます。

写真:くらしのうつりかわり展全景

例年の「くらしのうつりかわり」展では、資料をギュウギュウに詰め込んでいました。

ところ狭しと資料を展示するのが、春日部市郷土資料館流。だって、展示室が狭いんですもの。

少し見栄えが悪くたって、背に腹は代えられません。せっかく見に来てくださっているのですから、おなか一杯になるように、資料をたらふく紹介したい。そういう、展示の技法(思想?)です。

しかし、ギュウギュウだと見栄えが悪く、ごちゃごちゃしていて見ている方も(実は並べる方も)疲れます。なので、今回は、春日部市郷土資料館らしくない、若干ゆったり目の展示としました。写真奥の「むかしの家のなかの道具」のケースは例年よりも陳列するものを若干ですが、減らしています。

また、はじめて展示するモノも増やしました。

写真:せんばこき

題して「千歯こき、大集合!!」

職人が一つ一つ手づくりした「むかしの道具」は、同じ名前でも、一つ一つに個性があって、背景がある。

たとえば、写真の左手前の千歯こきの台木には、墨で文字が書かれていますが、他の二つにはその痕跡がありませんし、左上段の千歯こきは、他の2つに比べて歯の数が少なくなっています(歯のことを「穂」というそうです)。

団体見学で来館してくれた小学校のみなさんには、千歯こきの体験をしてもらっています。

体験につかう千歯こきは、別にもう一つありますから、つかったものと並べ、同じ道具でも、よーくみると少しずつ違いがあることに気づいてほしい。そんな思いを込めて千歯こきを招集しました。

実は、展示場所を決めたあと、まだ千歯こきが収蔵されていることに気づきました。本当の大集合はまた別の機会を用意できればと思っています。

 

事業名:くらしのうつりかわりーなつかしのくらしの道具展ー・なぞとき郷土資料館THE THIRD MISSION

会 期:令和6年10月8日(火)~令和7年3月2日(日)

費 用:無料

【手作りおもちゃクラブ】ペーパーローリングを作ろう!

10月13日(日)に“手作りおもちゃクラブ”を開催します。

 

今回作るおもちゃは「ペーパーローリング」です。

 ペーパーローリング

郷土資料館で作るおもちゃは動力に電気を使わない、身近にある材料で手作りできるものになっています。電気を使わない遊びなんて、今日では探す方が難しいかもしれませんね。
もちろん下準備や、作るうえでのコツは必要ですが、懐かしさと手作り感満載に出来上がるおもちゃが“手作りおもちゃクラブ”のウリです♪

ペーパーローリングの遊び方はコチラ


 シュルンッと伸び縮みする剣のようでカッコイイ!
勢いよく振りすぎると、ぐにゃりと折れ曲がって壊れてしまうのですが、そのギリギリを狙うのが楽しかったりします(笑)

 

手作りおもちゃクラブは申込不要、おもちゃの材料も資料館で用意しています。
当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!

 

【手作りおもちゃクラブ】
日時:令和6年10月13日(日)午前10時30分~・午後2時~
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:蓄音機と紙芝居の上演
   おもちゃづくり(ペーパーローリング)
費用:無料
申込:不要(開催時間までに郷土資料館にお越しください)

 

 

考古学講座第1回目を開催しましたー慈恩寺原北遺跡の旧石器

考古学講座風景

9月28日土曜日、今年度の考古学講座が開講しました。5回連続の講座で、1日目の本日は、「考古学とは?」と「春日部のどこに遺跡があるか?」、「春日部の旧石器時代」についてお話いたしました。内容は、昨年度とほぼ同様ですので、ご興味がある方は昨年度の記事などをご参照ください。

また本日は、慈恩寺原北遺跡の石器を会場でご覧いただきました。

慈恩寺原北遺跡は、東武アーバンパークライン豊春駅の北西方向、花積(はなづみ)地区に所在します。大宮台地上に立地し、標高約17mです。

平成17年に開智学園の校舎建設に先立ち発掘調査が行われ、旧石器時代、縄文時代、古墳時代、平安時代の遺構が確認されました。

このうち旧石器時代は、関東ローム層の最下部の約3万年前の層から58点の礫、石器、剥片が出土ました。

特に興味深いのは石器に使われている石材が多様なことです。群馬県域を中心に分布するガラス質黒色安山岩(あんざんがん)、栃木県矢板市高原山(たかはらやま)産の黒曜石(こくようせき)のほか、新潟県阿賀野市笹神(ささかみ)丘陵産と推定される珪質頁岩(けいしつけつがん)、碧玉(へきぎょく)、瑪瑙(めのう)などがあり、当時の人々の活動や交流範囲の広さを示しています。

これらの石器は「慈恩寺原遺跡出土旧石器時代石器群」として、春日部市指定文化財になっています。

慈恩寺原北遺跡の旧石器

 

次回は10月26日(土曜日)、内容は「発掘調査の方法・層位学」、「春日部の縄文時代」です。本日の続きもお話ししますので、お配りしたテキストをお持ちください。

#総選挙 資料がしのぎ削る戦い「くらしのうつりかわり展」幕開けです

毎年、秋から冬にかけて恒例の小学校地域学習展「くらしのうつりかわり~なつかしのくらしの道具展~」が、本日10月8日よりはじまりましたよー

写真:くらしのうつりかわり展

今回で41回目となる「くらしのうつりかわり」展。毎年、同じような内容、同じ資料を陳列する恒例の展示です。なぜ、同じようになるのかといえば、小学校の地域学習の単元にあわせた展示だがら。学習内容は毎年そう変わるものではありません。毎年、小学3年生になる子どもたちが見に来て、社会科学習の参考にしてくれています。

ただ、飽きっぽい性格の担当者は、毎年、同じモノを作業的に並べるのが苦痛でたまりません。

が、、、今年は少し様変わり。どのあたりが変わったのか、何度かにわけて紹介します。

今日は、変更点お知らせの第一弾。今回イチオシの企画。その名も「第一回 むかしのどうぐ人気投票~展示資料、入れ替え計画~」です。

画像:資料人気投票

趣旨は、ご観覧いただいた皆様に、好きな資料、気になる資料、イチオシの資料などなど、なんでもよいので投票してもらい、展示室の人気者(ならぬ、人気モノ)を決定するものです。割とよくある企画だと思います。

ただ、少し違うのは、その結果が次の機会に反映されることでしょうか。順位をつけて、人気モノは、次期(来年度)の展示の”センター”に陳列します。反対に、人気が得られなかったモノは、第一線の展示室から脱落し、郷土資料館の収蔵庫へ。いったん最前線から退いていただき、皆さんへのお見えはまたの機会に。というように、某アイドルグループの「総選挙」のようなやり方で、資料と資料にしのぎを削ってもらおうとする企画です。

企画のねらいはいくつかありますが、一番は、観覧者のみなさんのニーズを知る。展示の担当者が見てもらいたいといくら思って伝えたところで、皆さんのニーズとズレたままでは、結局、敷居の高い、古いくさい博物館になってしまいます。ニーズに鑑みながら、どのような資料をどのように紹介すればよいか、皆さんが郷土資料館に求めているものは何なのか、考えていきたいと思います。

もう一つは、副題の「展示資料、入れ替え計画」に関わるもの。陳腐化されがちな「くらしのうつりかわり」展を蘇らせること。コロナ禍を経て、小学校の団体見学が減り、代わりに出張授業「でばりぃ資料館」の回数が増えました。そうしたなかで、小学校地域学習向けの「くらしのうつりかわり」展は、今までとは違う役割を果たしていかなければならないと、個人的に感じています。皆さんのニーズを知ることにも関わりますが、ニーズを踏まえ、資料や展示方法を吟味、入れ替えを毎回繰り返していけば、展示の内容が次第に洗練されていくことになり、「くらしのうつりかわり」展がまた息を吹き返すことになるのではないか、と期待しています。

ただし、人気が得られなかった資料は、おはらい箱になるのではありません。郷土資料館の重要な使命として、資料を適切に保存し、後世に伝えることがあります。資料にとって、展示室という華やかな舞台に立つことは、喜ばしいことだとは思いますが、照明があてられ、体験コーナーでは不特定多数の方に触られることは、資料の保存上にはあまりよろしくありません。ですから、展示室からいったん下がることで、資料のコンディションを整えることにもなり、その資料が後世に引き継がれることにもつながっていくのです。展示から保存、保存から展示、という博物館資料のサイクルを循環させるためにも、いったん収蔵庫に下がることは何も後ろめたいことではありません。そのあたりが、「総選挙」とやらで、芸能生命をかけて勝ち負けを争うアイドルと違うところでしょうか。

資料と資料を争わせる、血も涙もない企画ですが、どんな結果になるのか、その結果が私たちの宿題にもなるはずで、楽しみでもあります。ご来館いただいた方にはどなたでもご参加いただけます。ぜひ、何度でも投票しにいらしてください。なぞとき郷土資料館も同時開催中です!

画像:チラシ

事業名:くらしのうつりかわりーなつかしのくらしの道具展ー・なぞとき郷土資料館THE THIRD MISSION

会 期:令和6年10月8日(火)~令和7年3月2日(日)

費 用:無料

【なぞとき郷土資料館The Third Mission】今年もいい“なぞ”入ってます

先日ブログにも書きました通り、今年も「なぞとき郷土資料館」を開催します。
なぞとき郷土資料館ポスター
開催期間中は郷土資料館の受付で、なぞときプリントを配布していますので、「なぞときやります」とお声がけください。

 

今年のなぞとき郷土資料館は、ちょっと優しめの「天使コース」と、天使コースクリア者のみが挑むことのできる難しめの「悪魔コース」をご用意しています!
というのも、例年「難しいけど楽しい」といったありがたいご意見も多くいただくのですが、難しさゆえにリタイアされる方もいらっしゃるため、どうにかクリアする喜びを感じていただけるよう、難易度を2段階に分けてみました。

 

「天使コース」は15~20分、「悪魔コース」は25~30分をクリア時間の目安としています。
「天使コース」のみで終了しても問題ありませんし、「天使コース」と「悪魔コース」を続けてやる時間がない方は、「天使コース」をクリアして、後日「悪魔コース」に挑んでいただいても大丈夫です!(その際は、受付で「天使コースクリア済み」とお伝えください)

 

今年も参加料なし!年齢制限なし!記念品あり!
ぜひ郷土資料館の見学がてら、なぞときにもチャレンジしてみてください!お待ちしています♪

 

なぞとき郷土資料館The Third Mission ティザームービー

 

 

“愛されて第3弾”
【なぞとき郷土資料館The Third Mission~重なるトゥー・リドル・ペーパーズ~】
期間:令和6年10月8日(火)~令和7年3月2日(日)
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:なぞときプリントの配布(受付で「なぞときやります」とお声がけください)
   クリアした方には記念品をプレゼント
   自由参加
※期間中は第41回小学校地域学習展「くらしのうつりかわり」展を開催しています。合わせてご覧ください。