カテゴリ:郷土資料館
1月19日歴史文化講演会「タタラ山遺跡と花積下層式土器」を開催します
白岡市のタタラ山遺跡は、白岡市白岡に所在し、主に縄文時代前期(約6,000~5,000年前)の集落跡として知られ、40軒以上の住居跡や多くの花積下層式土器、また同時期の石でできた装飾品などが発見されています。
タタラ山遺跡の住居跡(縄文時代前期)
タタラ山遺跡で出土した花積下層式土器
一方、春日部市指定史跡・花積貝塚は、明治時代の文献にすでに紹介され、昭和3年(1928)に大山柏氏によって、初めて調査が行われています。その際に、縄文時代中期の土器と、縄文時代前期の土器が、上下に堆積している別々の貝層から発見され、中期と前期の土器の時代順が立証されました。「花積下層式」土器は、花積貝塚の下層から発見された縄文時代前期の土器が、その研究の発端になったことから命名されたものです。
しかしながら、大山史前学研究所に保管されていた花積貝塚の資料は、残念ながら昭和20年の空襲で焼失してしまいました。
また、これまで花積貝塚で発掘調査が何度か行われていますが、現在のところ、出土している花積下層式土器はとてもわずかで、郷土資料館でも破片を展示しています。
春日部市郷土資料館で展示している花積下層式土器
今回は、花積下層式土器が多く出土している白岡市タタラ山遺跡をとりあげます。
白岡市教育委員会で長年にわたりタタラ山遺跡の調査を担当され、花積下層式土器にも造詣が深い奥野麦生先生をお招きしご講演いただきます。皆さまのご参加をお待ちしております。
春日部市郷土資料館歴史文化講演会 奥野麦生先生「タタラ山遺跡と花積下層式土器」
講師:奥野麦生先生(白岡市教育委員会学芸員)
日時:令和7年1月19日(日)10時~12時
会場:春日部市教育センター
定員:100名(申込順)
申込受付:12月10日(火)8:30~ 電子申請受付
【出張授業】でばりぃ資料館in上沖小学校
令和6年12月3日(火)に上沖小学校に出向き、第3学年の児童に向けて「でばりぃ資料館」を開催しました。
学習室2と生活科室を使用し、「昔の学校・町の様子」と「昔の家の道具」について学習しました。
昔の学校・町の様子についての教室では、石盤(せきばん)というノートの代わりとして使用した学用品への反応がよく、「なぜこの道具を使っていたのか?」という質問にも「紙がなかった」「いや、鉛筆がなかった」「貧しかったから」など様々な意見が飛び交いました。回答を聞く前に一度自分で考えてみることで、たとえ間違っていたとしても理解は深まりますから、児童に考える機会も提供していきたいものです。
昔の家の道具についての教室では、羽釜(はがま)や黒電話、手回し洗濯機、火のしなどを展示・解説しました。
そして炭(すみ)に注目してみると、児童からは「キャンプで使った」「バーベキューで使った」などの声があがりました。つまり、家の「外」での利用です。昔だと炭は調理、暖房、家事など、家の「中」でも大活躍でした。
現在では「家電」という言葉の通り、家庭では電化製品を使うのが一般的ですが、今回持って行った家の道具は、電気を使用しないものがたくさんありました。今と昔の“動力”の違いを少し分かってもらえたかと思います。
終盤は時間の都合で自由時間をあまりとれませんでしたが、実物に触って体験してもらう機会が持てたことは児童にとっても貴重な経験になったと思います。
そんな中、上沖小3年生の中に郷土資料館の常連さんを発見しました!
資料館の“おもちゃ作り”や“なぞとき”にも積極的に参加してくれる子で、こちらとしてもとても印象に残っています。
彼も職員の顔を覚えてくれているようで、色々と話しかけてきてくれました!「また行きます!」という嬉しいコメントも♪
みんなと顔なじみになれるくらい、多くこども達に資料館に来てもらいたいな~と思いながら帰路につきました。
これからも団体見学、でばりぃ資料館など、ぜひ郷土資料館をご利用ください!
【手作りおもちゃクラブ】パタパタを作ろう!
12月8日(日)に“手作りおもちゃクラブ”を開催します。
今回作るおもちゃは「パタパタ(板返し)」です。
資料館のおもちゃコーナーでも人気があるのですが、手にしたところでどう遊んでいいものか、ぱっと見では分からない不思議なおもちゃでもあります。
手持ちの部分をかえして、一番上の板をひっくり返すと、連なる板も連動してパタパタっとひっくり返るからくりおもちゃなんです。
遊び方はコチラ
手作りおもちゃクラブでは5枚の板を使用して作りますが、その気になれば10枚でも20枚でも板を使って、なが~いパタパタが作れます!
ぜひ作り方をマスターしてください!
手作りおもちゃクラブは申込不要、おもちゃの材料も資料館で用意しています。
当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!
【手作りおもちゃクラブ】
日時:令和6年12月8日(日)午前10時30分~・午後2時~
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:蓄音機と紙芝居の上演
おもちゃづくり(パタパタ)
費用:無料
申込:不要(開催時間までに郷土資料館にお越しください)
11月の考古学関係展示会、イベント情報
11月の近隣博物館・資料館の考古学情報をお届けします。
(毎月28日ごろに掲載します。随時、情報を更新します。)
(春日部市郷土資料館)
・1月19日(日曜日)歴史文化講演会 奥野麦生氏「タタラ山遺跡と花積下層式土器」12月10日8:30より申し込み開始 電子申請はこちら
(東部地区文化財担当者会リレー展示ー都鳥が見た古代)
・12月1日(日曜日)まで 羽生市郷土資料館 (パネル展)
・12月14日(土曜日)~1月13日(祝日・月曜日)まで 越谷市立図書館 (パネル展)
(展示会_閉会日順)
・12月1日(日曜日)まで 埼玉県立さきたま史跡の博物館(行田市) 令和6年度 企画展「古墳時代の装い-おしゃれな古代人-」
・12月1日(日曜日)まで 観音塚考古資料館(群馬県高崎市) 令和6年度 第36回企画展「地方から見た律令国家成立前夜 - 群馬の7世紀史を考える -」
・12月1日(日曜日)まで 大田区立郷土博物館(東京都大田区) 「矢を放て!~関東の弓矢、1万年~」
・12月8日(日曜日)まで 東京国立博物館(東京都台東区) 挂甲の武人国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」
・12月8日(日曜日)まで 北区飛鳥山博物館(東京都北区) 秋期企画展「台所(キッチン)の考古学-食にまつわる道具の歴史-」
・12月8日(日曜日)まで あつぎ郷土博物館(神奈川県厚木市) 特別展「ドグウ集まれ!」
・12月15日(日曜日)まで 草加市歴史民俗資料館(草加市) 秋季企画展「古墳時代の草加地域」
・12月15日(日曜日)まで 市原歴史博物館(千葉県市原市) 令和6年度特別展「旅するはにわ-房総の埴輪にみる地域間交流-」
・12月15日(日曜日)まで 常陸大宮市歴史民俗資料館(茨城県常陸大宮市)令和6年度企画展「弥生の墓」
・12月22日(日曜日)まで 国立近代美術館(東京都千代田区)「ハニワと土偶の近代」
・12月22日(日曜日)まで 本庄早稲田の杜ミュージアム(本庄市)「埴輪ー本庄とその周辺地域における埴輪の導入から終焉まで」
・12月27日(金曜日)まで 石岡市立ふるさと歴史館 (茨城県石岡市) 第38回企画展 「舟塚山古墳の埴輪」
・1月26日(日曜日)まで 岩槻郷土資料館(さいたま市岩槻区) 「ミミズク土偶の世界 ~埼玉のミミズク土偶大集合~」
・2月2日(日曜日)まで 飛ノ台史跡公園博物館(千葉県船橋市) 「縄文と弥生―船橋の縄文晩期と弥生時代―」
・2月16日(日曜日)まで しもつけ風土記の丘資料館(栃木県下野市) 令和6年度企画展「下野市内の遺跡Ⅲ 飛鳥・奈良・平安時代」
・3月2日(日曜日)まで 千葉市立加曽利貝塚博物館(千葉県千葉市) 令和6年度企画展示 加曽利貝塚E地点・B地点発掘100周年記念「あれもEこれもE―加曽利E式土器(総括編)―」
(現地説明会)
・12月8日(日曜日)・9日(月曜日) 高輪築堤跡(東京都港区) 港区教育委員会
(講演会)
・12月7日(土曜日)プリミエール酒々井文化ホール(千葉県酒々井町) 史跡墨古沢遺跡国史跡指定5周年記念講演会「墨古沢遺跡」(要申込11/29まで) 酒々井町教育委員会
・2月1日(土曜日) 県民共済みらいホール(神奈川県横浜市中区)三都県公開セミナー 「墓・ムラ・縄文人―縄文後期前葉の集落様相―」(要申込12/27まで)埼玉県埋蔵文化財調査事業団
#ハルカイト 見学のススメ(4) 大型改良農機具
ハルカイト(大凧文化交流センター)の展示室には、郷土資料館では展示できない大型の民具が並んでいます。
今日は、その一つ「籾摺り機」に焦点をあててみましょう。2階の展示室3では、改良された大型農機具を陳列しています。
動力は人力や家畜(馬・牛)ではなく、石油で動く発動機です。エンジンを動かし、歯車を回して、ベルトを動かします。
大型で重量のある民具ですが、展示する機会もなく、皆さまに披露する場がありませんでした。資料館や博物館では、古い道具を展示する機会が多く、動力で動く改良された農機具を正面から展示することは、それほど多くないようです。そういう意味で、この籾摺り機はとても貴重だと思います。
展示の趣旨としては、産業技術が合理化・効率化され、社会が豊かになっていく。「農村から町へ」というイメージですが、パネルがなく言葉足らずな感じもします。
さて、展示設置にあたっては、階段やエレベーターで持ち上げることが難しい重量物だったので、
業者さんにクレーンで吊って搬入していただきました(今年の夏ごろ)。空飛ぶ籾摺り機です。レアな写真です。
さて、館で資料を取り扱っていたところ、ハルカイトの籾摺り機と同型の農機具のチラシを発見しました。
残念ながら、資料の年代が不明ですが、下の販売店が三輪野江村(昭和30年合併し吉川町となる)とありますので、昭和20年代ではないかと思われます。
「鬼に金棒」という言葉は、あまり使わなくなりましたが、発動機の自動籾摺り機が、当時いかに画期的な籾摺り機であったことがわかるチラシです。
現状、ベルトが紛失し、発動機とつなぐことができず、また発動機も動かすことが叶いませんが、町の農産業を支えてきたことを物語る道具です。
戦後の農機具は、博物館や資料館ではあまり展示されない、珍しいものだと思います。ぜひご覧ください。