ほごログ(文化財課ブログ)

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北条氏房朱印状写『新編図録春日部の歴史』ーその64

後北条氏が関東を支配していた天正11年(1583)、北条氏房(うじふさ)が岩槻(岩付)城主になりました。
本日ご紹介する古文書は、天正17年(1589)3月24日、岩付城主北条氏房が、代官深井藤右衛門尉(ふかいとうえもんのじょう)と佐枝若狭守(さえだわかさのかみ)ならびに百姓中に対し、前例とおり諸役(しょやく・労働役)を免除するかわりに、人を集め、耕地の開発に励むようにと命じたものです。

この古文書は後年に写されたもののみが現存していますが、写された印影は「心簡剛(しんかんごう)」と刻まれた円形の印文であることから、氏房が発給した朱印状であったことがうかがえます。本文には
「御領所糟壁(ごりょうしょかすかべ)」とあり、当地の糟壁(春日部)は当時、岩付城の直轄地であり、また「糟壁」と表記されていたこともわかります。
なお、古文書の後段には、大普請(おおぶしん)ならびに棟別銭(むなべつせん・家屋単位で課せられる税)は賦課するとあります。大普請とは、領内の大規模な土木工事にかかる労働役のことですが、この時期には、後北条氏は各地の支城の普請を勧めており、豊臣秀吉との戦いに向けて「糟壁」の人々も軍備増強に動員されていった時代背景もうかがい知ることができます。

「北条氏房朱印状写」『武州文書』国立公文書館内閣文庫
『春日部市史 第二巻 古代中世編』1989
「後北条氏の滅亡」『新編図録 春日部の歴史』56ページ
北条氏房朱印状

粕壁宿めぐりが開催されました。

9月19日(水)と9月27日(木)に「粕壁宿めぐり」が開催されました。
 
宿場町とは、幕府から宿駅業務を行うように指定された町のことで、粕壁宿は江戸日本橋を起点にする日光道中第4の宿場でした。
かつて粕壁宿の街並みがあった現在のかすかべ大通を、参加者の皆さんと一緒に巡りました。

◆宿内の解説板をたどりながら、近世~近代にかけての歴史について文化財保護課職員がご案内しました。



◆かすかべ大通り沿道周辺は、平成28年度に埼玉県より「歴史のみち景観モデル地区」に指定され景観上重要な地区となっているため、都市計画課の職員が取り組みについてご紹介しました。



◆様々な「こだわり」のもと生み出された春日部ならではの優れた食品を「かすかべフードセレクション」として認定しています。かすかべ大通り周辺にある認定品を取り扱う店舗を観光振興課の職員がご案内しました。



また、田村荒物店さんのご協力で、蔵の中も見学させていただくことができました。参加者からは、「貴重な体験ができた」、「春日部に長く住みながらも、身近な歴史を学ぶ機会がなく、大変有意義なひと時になった」との声が多くありました。9月27日はあいにくの雨となってしまいましたが、ご参加いただきありがとうございました。両日とも無事に終了することができました。

来年度も広報かすかべ等で募集をしますので、ご応募お待ちしています。

総武鉄道の開通『新編図録春日部の歴史』ーその63

昭和5年(1930)10月1日、東武アーバンパークライン(野田線)の前身である総武(そうぶ)鉄道が全線開通しました。

東武野田線の起源は、明治44年(1911)に柏駅ー野田町駅(現野田市駅)間に開通した千葉県営鉄道野田線です。大正12年(1923)には、当時の野田町有志が設立した北総鉄道に払い下げられました。北総鉄道は、野田町駅から粕壁駅を経て、大宮駅までを結ぶ新線の敷設(ふせつ)免許を受け、昭和3年(1928)に建設を開始しました。
工事の進行に合わせて部分的に開通し、最後に江戸川を渡る橋の完成をもって全線開通となりました。また、北総鉄道は、昭和4年(1929)に総武鉄道と会社名を変更し、昭和19年(1944)に東武鉄道と合併しました。

写真の庄内古川橋梁(きょうりょう)は、藤の牛島駅、南桜井駅間に、昭和5年に開通したトラス橋で、”プラットトラス”と呼ばれる特徴的な構造で作られています。

「総武鉄道の開通」『新編図録 春日部の歴史』194ページ

庄内古川橋梁

豊野小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました

平成30年9月28日に豊野小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました。

見学の様子

時代とともに変わっていった春日部を学芸員から説明を聞いたり、少し昔の生活について、説明を聞くだけでなく、当時使っていた物を触ったりして体験しました。

見学の様子

80年前の8歳の小学生の平均身長のパネルと背比べ♪
見学の様子

見学の様子

郷土資料館では、10月2日(火)から3月24日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催します。
昔の懐かしい道具や写真を展示し、小さなお子様からご年配の方まで、一緒に楽しめる展示となっております。ぜひ遊びにいらしてください。

神明貝塚の巡回展が始まります

平成30年9月16日に惜しまれながら幕を閉じました「ここまで分かった!神明貝塚と縄文人のくらし」展(郷土資料館開催)の一部が市内各所を巡ることとなりました!

さすがに郷土資料館での開催時のボリュームとまではいきませんが、神明貝塚の暮らしの様子を形作ったジオラマやパネルを中心に、先の企画展を”ギュッ”と凝縮した内容となっています。

巡回展の第一弾は、神明貝塚の地元でもあります庄和地区の庄和総合支所にて明日(9月28日)から開催します。是非ご覧いただければと思います!
また現在のところ曜日(休日祝日を除く)は決まっていませんが、神明貝塚の紹介動画を1階イベント情報コーナーで上映します。こちらも是非ご視聴ください。さらに支所に併設されています庄和図書館でも神明貝塚に関わる特集コーナーが開設されています。季節柄、読書の秋として、縄文人にアプローチしてはいかがでしょうか。




場 所:庄和総合支所(春日部市金崎839番地1)  1階エントランス
期 間:平成30年9月28日(金)~平成31年1月22日(火)(予定)