ほごログ
ハルカイトにて発掘調査を実施中!
現在春日部市では、大凧文化交流センター「通称ハルカイト」にて、発掘調査を行っています。
8月~12月と長期にわたる調査の中で、多くの文化財がみつかっていますので、途中までの調査成果をお伝えします。
ハルカイトは、旧宝珠花小学校の跡地を利用して作られた施設で、昨年の8月にオープンしました。現在は大凧あげ祭りに関連した凧の展示や、旧小学校についての展示、そして郷土資料についての展示がされています。
この学校を含めた周辺地域は、「貝の内遺跡(かいのうち)」という遺跡にあたります。
今回、旧校庭部分にバスのロータリーを建設することに伴い、貝の内遺跡では29回目となる発掘調査を行うことになりました。
今回の調査では、現在までに奈良時代~平安時代の建物跡が20軒ほど見つかっています。
発見された竪穴建物 中央部分にみえる穴は柱を立てていたものです。
2軒の建物が重なって見つかりました。北側にはカマドが設置されています。
カマドの袖部分からは土器がみつかりました。
建物跡からは、当時の人々が使っていた生活道具もみつかっています。
建物跡内部からみつかった須恵器
鉄製の紡錘車も見つかりました。
発掘調査は、12月まで行う予定です。
折に触れて、調査の様子を紹介していきます。
「幸松っ子クラブ」でのお囃子教室(第3回)
11月10日(月)に幸松小学校の放課後こども教室である「幸松っ子クラブ」の第3回目が開催されました。「お囃子教室」では、幸松地区に江戸時代から伝わる市指定無形民俗文化財「不動院野の神楽」を継承する、「東不動院野神楽保存会」の皆さんが、講師として招かれています。
今回は、総勢11名でのお囃子教室です。第1回・第2回に続き、「ニンバ」の太鼓を叩く練習をしました。バチをやわらかく持ってはねるように叩く力加減が難しいようでした。
バチを持ったら、「天スク ステスク 天ツクツ スク」のリズムに合わせて太鼓に見立てたタイヤを叩きます。タイヤで練習をしつつ、2人ずつ交代しながら、本物の太鼓を叩きました。だいぶ慣れてきたので、今回はテンポを上げて練習しました。
経験がある子は大きめの太鼓を使って、異なるリズムで叩く練習もしました。集中して叩いているとだんだん疲れてきますが、「もう少しやってみたい」と積極的に参加してくれる子もいました。
さらに今回は保護者の方も太鼓や鉦(かね)に挑戦しました。
2026(令和8)年2月8日(日)の春日部市民俗芸能公開事業では、神楽やお囃子の保存会の方々にご出演いただく予定です。現在、着々と準備を進めていますので、またお知らせします。
保存会の皆さん、ありがとうございました。
東中野の獅子舞が公開されました
11月9日(日)、東中野香取神社の境内で市指定無形民俗文化財である「東中野の獅子舞」が公開されました。
東中野の獅子舞は、江戸時代に現在の越谷市下間久里から伝授されました。市内の赤沼・銚子口に伝わる獅子舞と同じ系統のものです。
例年は境内に畳を敷いて行うものの、今年はあいにくの雨となり、拝殿のなかで舞が奉納されました。
天狗さまを先頭に場を清めてから、「女獅子の舞」「中獅子の舞」、そして「太夫の舞」が舞われました。 勇壮な獅子舞によって、五穀豊穣の収穫を感謝し、無病息災、家内安全が祈願されました。
最後には、集まった人たちみんなで「シャンシャンシャン、シャンシャンシャンのシャン」のリズムで手締めをして、祭礼を締めくくりました。
太夫獅子に噛まれると健康でいられるとの言い伝えがあり、終演後には子どもたちが獅子のもとに集まりました。
12月には近隣の中野小学校で、保存会の皆さまによる獅子舞の授業が行われます。地域の大切な文化財が子どもたちへと継承されるように願っています。
資料整理でこんにちは
郷土資料館の収蔵資料は、数えられるだけで11万件あまり。実はまだ未整理のものも多く、講座や展示や事務の合間に、資料整理を進めています。
今日は、そんな日々の資料整理のなかから、再発見された(「こんにちは」した)資料をご紹介。
市教育委員会の旧教育総務課旧蔵の昭和60年1月の成人式の写真アルバムから、貴重な1枚の写真を見つけました。
成人式の様子を記録する写真のうち、会場となった春日部市民文化会館(現:正和工業にじいろホール)の周辺を撮影したものです。
周辺の商店も現在と少し違っています。左手は写真館、右手はパン屋さんのようです。
さらに、よくみると、突き当たりの粕壁小学校方面の道は細い路地となっており、理容店が建っています。今のようなきれいな十字路ではなく、少しクランクして小学校方面に向かう道だったようです。
成人式のアルバムは、鮮やかな振り袖姿の新成人の方々の写真ばかりですが、よくみると、町のうつりかわりがわかる資料があるのですね!
収蔵資料のごくごく一部ですが、下のデータベースでご覧いただけます。ぜひご覧ください。
https://jmapps.ne.jp/kasukabe_museum1/
SKIPシティ移動公開ライブラリーの映像が更新されました
埼玉県の施設「彩の国ビジュアルプラザ」による移動公開ライブラリー事業により、郷土資料館、ハルカイトに動画・写真を閲覧できる端末を設置しています。
普段は、川口市のSKIPシティで視聴できる動画や写真(の一部)が、特別に春日部市内の二つの施設で視聴できるもの。
今回、端末のコンテンツを一部入れ替え、新たな動画・写真をご覧いただけるようになりました。
こんな映像もあるのか! と学芸員も唸るようなコンテンツも盛りだくさん。
たとえば、下の映像は、県指定無形民俗文化財「やったり踊り」の人形劇。
県の教育委員会が企画し、テレビ埼玉が制作しているので、なかなかのクオリティー。
このほか、新たにご覧いただけるようになった映像は次の通りです。
青空と大凧と-庄和町-
マンモス団地 朝・昼・夜 ―春日部市―
ようこそ映像公開ライブラリーへ
春日部の伝統産業 麦わら帽子
桐箪笥の生まれるまで
春日部の桐小箱
伝統を守る 若者たち ~春日部桐だんす~
木目の美を生かす ~桐たんす・桐箱~
この道一筋 -桐だんす職人-
そろいの浴衣で”やったり踊り”春日部市
やったりおどり
古利根の詩情 ~加藤楸邨~
加藤楸邨
作家 豊田三郎
でかけませんか かすかべ歴史散歩
春日部歴史散歩 豊野編
春日部歴史散歩 豊春編
春日部歴史散歩~幸松編
春日部歴史散歩 庄和編
1947、あの日を忘れない
カスリーン台風50年目の証言 忘れない
水害対策
江戸の伝統あでやかに -春日部市-
埼玉の街道を行く 日光道中
純白の花盛り 白岡町
84「奥の細道」
手焼きの味は昔ながら 草加市
ふる里の織と染 -長番中型-
綾瀬川と舟運
草加が生んだハリウッド俳優 大川平八郎の数奇な人生
漂白 -円空仏のこころー
閏戸の式三番
黒浜沼の自然
礎の人 飯野喜四郎
万葉 心のふるさと
武蔵野線に乗って 所沢から三郷市まで
水辺の詩 ~川と共に歩んだ町~
越谷だるま・桐箱・押絵羽子板
家康と東照宮
シラコバト物語
剣道を支える技
出番も間近”だるまさん” -越谷市-
愉快に滑ろう氷の広場 しらこばと水上公園
春日部市内ゆかりの映像だけでなく、広く県東部地域の市町村の映像もご覧いただけます。
おすすめは「マンモス団地 朝・昼・夜 ―春日部市―」(1979年)
武里団地の日常生活を活写するドキュメント的な映像です。
動画、かつカラー映像なので、大変貴重だと思います。常設展を更新する際には、絶対採用の資料です。
もちろんハルカイト(2F)でも同じコンテンツがご覧いただけます。
端末の設置は、今年度限り。3月末には撤収されてしまいます。
川口のSKIPシティに行けば視聴できますが、手軽に地元で見るにはうってつけです。
ぜひお見逃しなく。
幸松っ子くらぶに出張しました
毎年恒例、幸松小学校の幸松っ子くらぶ。今回も「幸松クイズ・双六で遊ぼう」と題して、郷土資料館オリジナルのクイズ・双六で遊んでもらいました。
まずは、イベントでは、おなじみの郷土資料館オリジナルの紙芝居の上映。後半の双六ゲームのクイズのヒントになるかもしれない「牛島のフジ」に関するお話で、皆さん真剣に聞いてくれました。
そして、本題のクイズ&双六ゲーム。
3つのチームにわかれて、郷土カルタの絵札をマス目にした、オリジナルの飛び双六で「あがり」を目指します。
サイコロは特製の大きなサイコロ。大きなサイコロをなげるのは、子どもたちに大人気でした。お昼のひととき、「ごきげんよう(旧・いただきます)」を見ているようでした。
双六の特定のマスにとまったら、郷土クイズ。
「幸松ってどんな意味?」「牛島のフジは樹齢何年といわれているでしょうか?」「盆踊りって何のために踊るの?」など、素朴で身近な3択クイズに答えてもらいました。子どもたちには少し難しかったかも。
優勝した「ぐうすけ」チームには、オリジナルのシールセットをプレゼント。
この日のために用意した、ビックリマンシール的なオリジナルシールです。名付けて「かすかべ郷土シール」。
第一弾は、国特別天然記念物の牛島のフジと4つの特産品の5枚。「ぐうすけ」チームには、キラキラの5枚セットを贈呈。2、3位の皆さんには、牛島のフジのシールを参加賞として差し上げました。
双六のあとは、みんな仲良く郷土資料館の昔のおもちゃで楽しく遊びました。
「双六もう一回やりかった」「おもちゃづくりに参加したい」など、うれしい感想をいただきました。
郷土資料館を知らない子も多かったので、ぜひ来てもらえるとうれしいです。
【出張授業】輪飾り作りin江戸川小中学校
11月7日(金)に江戸川小中学校第5学年を対象に稲わらを使った“輪飾り作り”を行いました。
江戸川小中学校では,、「バケツ稲」というバケツを使った稲づくりをしているそうで、
普段食べているお米を、自分で育て、実際に食べることで、稲を育てることの大変さや、感謝の心を育む体験を行っているとのことです!
その体験学習のトリを務めるのが、脱穀後の稲わらを使った輪飾り作りです!育てた稲を最後まで有効活用します。
稲わらの“はかま”を取り除く「わらすぐり」、わらを木槌で打って柔らかくする「わら打ち」、わらをねじり合わせて縄を作る「なわない」など、輪飾りになるまでの工程を下処理から体験してもらいました!
途中、難しい工程がありながらも児童のみなさんは一生懸命取り組んでくれました。
稲の一生を感じることができる珍しい体験学習でもあり、いい思い出にもなったのではないでしょうか♪
次年度以降も江戸川小中学校ではバケツ稲づくりを計画しているとのこと。
輪飾り作りの際は、改めて協力させていただきますので、ぜひご依頼ください!
江戸川小中学校のみなさん、ありがとうございました!
【手作りおもちゃクラブ】11月の手作りおもちゃクラブのお知らせ!
11月14日(金)(県民の日)と16日(日)に“手作りおもちゃクラブ”を開催します。
11月は2回開催です!
11月14日(金)は「ぶんぶんゴマ」と「吹き上げパイプ」を作ります。
作り方も難しいものではないので、ご安心ください♪
16日(日)は「ジャイロバズーカ」です。
こちらのおもちゃは今回が初お披露目となります♪
はじめて作るものなので、みんなに上手く教えられるか少し心配ではありますが、準備を整えておまちしています!
おもちゃの紹介動画はコチラ!
手作りおもちゃクラブはお申込不要です。
おもちゃの材料も資料館で用意しています。
当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!
【手作りおもちゃクラブ】
日時:令和7年11月14日(金)・16日(日)午前10時30分~・午後2時~
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:蓄音機と紙芝居の上演
おもちゃづくり(14日(金)ぶんぶんゴマ・吹き上げパイプ、16日(日)ジャイロバズーカ)
費用:無料
申込:不要(開催時間までに郷土資料館にお越しください)
石造物部会の巡見(武里・豊春地区)を行いました
10月30日(木)に春日部市市史石造物部会で武里・豊春地区の巡見を行いました。
午前中は武里地区を中心に、一ノ割の圓福寺、一ノ割香取神社、備後の丸彫庚申塔、備後西川香取神社、備後須賀稲荷神社、武里小学校前石碑(森泉安兵衛翁之碑)を回りました。
路傍にある備後の丸彫庚申塔は、享保13年(1728)に建てられた庚申塔で、全国的にも珍しい形をしており、市有形文化財に指定されています。
午後は、豊春地区を中心に、三郎谷稲荷神社、内谷稲荷社(粕壁地区)、新方袋の満蔵寺、新方袋・南中曽根香取神社、やじま橋、東光院薬師堂跡、東西寺門前を回りました。
古隅田公園内にある、やじま橋は古隅田川にかけられていた石橋を移築したもので、元文2年(1737)に岩槻藩主の永井氏のために造られました。現存する石橋としては県内最古のもので、市有形文化財に指定されています。
今回は、越谷市やさいたま市との市境まで足をのばして巡見しました。巡見を重ねる中で、春日部市には未調査の石造物が数多くあることがわかってきました。
11月も石造物部会の巡見を予定していますので、またブログで報告します。
※もし個人的に市内の石造物をご覧になる場合は、所有者や周りの方へのご配慮をお願いいたします。
映像公開ライブラリー出張映像上映会「春日部の水害と水防」を開催しました
11月1日(土)彩の国ビジュアルプラザ・埼玉県と共催の映像公開ライブラリー出張上映会「春日部の水害と水防」を開催しました。
この事業は、彩の国ビジュアルプラザ(SKIPシティ)で収蔵・管理する映像資料の利用・普及を目的とし、県内各地で映像を上映し、関連する講座・講話をまじえ、映像の内容について理解を深めていただくものです。
今回は、昭和22年9月のカスリン台風の水害に関する貴重な映像を上映し、僭越ながら不肖の担当者が「春日部の水害と水防の歴史」と題して、お話させていただきました。彩の国ビジュアルプラザとの共催イベントは、市内初の試みです。
上映された映像資料は、①「洪水とその対策」(昭和23年制作)と②「宝珠花村ー江戸川改修工事と土地区画整理事業の記録」(昭和27年制作)で、いずれも埼玉県が制作したものです。
①は、カスリン台風の水害の県内被災状況と、その対策・復旧過程を記録した映像です。甚大な被害を被った、埼玉県東部のみならず、水害の起因ともなった山間地域での山林の伐採の様子や、水害後にはじまった大規模な水防演習の模様などが撮影されており、大変貴重な映像です。
②は、春日部市内に残されていた映像で、今回の事業(今年度の移動公開ライブラリー事業)にあわせて、彩の国ビジュアルプラザに提供したものです。水害後に江戸川が改修され、町並みを全戸移転することになった宝珠花村の工事の記録映像で、工事のようすだけでなく、当時の西宝珠花の暮らし・日常生活も活写されていた、郷土資料としても重要な映像です。
後半の講座では、市域におけるカスリン台風の水害の被害について、『埼玉県水害誌』をもとにお話させていただきました。しかし、同書では、被害をうけた町村ごとに被害に関する統計や被害や水防の実態について記述されていますが、町村によって記述の精粗があり、実態がみえずらい部分がのこります。市域で最も詳しく記述されているのは、幸松村で、村内の出水の地点や時刻、東村(現加須市)の利根川破堤による濁流の到達時刻などが図入りで記述されています。
『埼玉県水害誌』の記述を読むと、利根川(東村)の濁流が到達する以前に、相次いで水路や近隣の河川で出水が発生し、それを防ぐために水防団が出動していることがわかります。市域では、こうした水防活動や土地の高低差によって浸水をまぬがれた地区もありました。
上映映像②では、水害後の新たな対策として実施された江戸川改修の模様が紹介されましたが、宝珠花の町並みは台地上に立地するため水害の被害はほとんどなかったにも関わらず、改修工事によって移転を余儀なくされてしまいました。移転前後の宝珠花の様子については、映像②だけでなく、当館の収蔵資料データベースでもご覧いただけます。
講座では、映像の解説をかねて、映像②の国による大規模河川改修工事、映像①で紹介されていた水防活動を対照に位置づけながら、春日部の水害と水防の歴史、その歴史から私たちが水害に備え、考えることについてお話させていただきました。
受講者の方からは、「貴重な映像がみれてよかった」「防災について考えさせられた」などのご感想をいただきました。
この講座の模様は、後日、YouTubeに公開される予定です。お楽しみに。