ほごログ(文化財課ブログ)

カテゴリ:郷土資料館

出張展示 庄和図書館 三上於菟吉と春日部展

郷土資料館の出張展示としまして、1月16日(水)から2月20日(水)まで、庄和図書館(春日部市金崎839-1 午前9時~午後7時開館)で「三上於菟吉と春日部」展を開催しております。



庄和図書館と三上於菟吉顕彰会による連続講座「三上於菟吉と春日部」が開催されましたことから、関連として展示するものです。連続講座は、第2回まで終了、第3回は2月3日(日)に、三上於菟吉顕彰会代表新井義昭先生による「『百万両秘聞』の生まれた背景」が行われます。お問合せは、庄和図書館(048-718-0200)まで。



展示内容は、於菟吉の粕壁中学校(現春日部高等学校)時代の作品や、昭和10年刊の唯一の随筆集『随筆 わが漂泊』にみえる故郷と中学校の思い出話の紹介と、『モントクリスト伯爵』のほか、意外と知られていない於菟吉の翻訳小説を中心としております。寄贈者のご厚意で、直接ご覧いただける著書もございますので、皆さまぜひご覧ください。

郷土資料館利用のご案内

●開館時間:午前9時から午後4時45分
●休館日:毎週月曜日、祝祭日(月曜日が祝祭日と重なる場合は、火曜日も休館となります) そのほか、選挙投票日、施設点検日など臨時休館日あり
●入館料:無料

●アクセス
住所:春日部市粕壁東3-2-15(春日部市教育センター内)
電話番号:(048)763-2455

春日部駅東口(東武スカイツリーライン・東武アーバンパークライン)から徒歩10分
東北自動車道岩槻ICから国道16号線春日部・野田方面、「小渕」交差点を国道4号線東京方面へ、国道4号線「女子高入口」交差点を春日部駅方面へ、「粕壁小」交差点南東角。
駐車場は教育センターと共用。

グーグルマップ 春日部市郷土資料館

資料館地図
郷土資料館案内図

最近の郷土資料館

年の瀬も迫ってまいりました。今回は、高齢者施設の団体見学、大学生の資料利用、常設展示の一部更新など、春日部市郷土資料館での最近の出来事を紹介します。

【その1】12月8日・15日・19日、市内の高齢者施設の皆さんが団体でお見えになりました。
写真:昔の道具の見学
展示室では、回想法ボランティア「ふれあい幸齢倶楽部」さんのご協力をえて、回想法に基づいた映像の上映をしていただきました。回想法と言うと、敷居が高く聞こえますが、簡単にいえば、高齢者の方に懐かしい物事を思い出して、話し合っていただき、活き活きとしてもらおう、という取り組みのことです。回想法の映像では、昭和30年代の県内の風景や国内で起きた主な出来事が紹介されました。
写真:回想法映像の上映
また、「くらしのうつりかわり」展で紹介している昔の道具を手に取って御覧いただきました。ご来館いただいたみなさんは、映像や懐かしい道具を御覧になり、楽しんでいただけたようです。「とても楽しかった」「この道具使っていたよ、懐かしい」などとご感想をいただきました。またのご利用をお待ちしています。

【その2】大学生の卒業研究の資料調査がありました。
日本工業大学の学生さんが、館蔵の木製の椅子・机の調査のため来館されました。
写真:資料を撮影する学生
この学生さん、小中学校で戦前に使用された木製の椅子・机をテーマに卒業研究をまとめている方で、JIS(日本工業規格)が確立される以前の椅子や机に規格があったのかを原物の資料を測量しながら調べているんだそうです。
当館には、粕壁小学校の木製椅子・机、葛飾中学校の木製椅子が収蔵されていますので、調査していただきました。わずかな点数ですが、半日がかりで写真に撮り、丁寧に実測されていました。「児童の体型や安全性などに配慮して設計・製作されていたのではないか」と考察されていました。近隣の博物館の資料とも比較するそうなので、研究の成果、楽しみにしています。ちなみ、粕壁小の木製椅子・机は展示中ですので、いつでもご覧いただけます。


【その3】またまた、常設展示を一部更新しました。
写真:常設展の一部更新
今回は、近現代の市域の歴史について展示を一新しました。新たに設置したのは、「関東大震災と春日部」「近代の交通・流通」「ベッドタウンとしての春日部」の3テーマです。「近代の交通・流通」は、江戸川の舟運や鉄道関係の資料も展示しています。
先日、近隣にお住まいの方が、「久しぶりに立ち寄ってみましたが、少しずつ変わっているんですね!」と感想をもらしてくださいました。
日々かわっていく郷土資料館の展示室をぜひともご覧ください。

平成最後のしめ縄づくり

春日部市郷土資料館のイベントも年内最後になりました。先週に引き続いて、12月15日(土)に体験講座しめ縄づくりを開催しました。
写真:しめ縄をつくった皆さん

紙垂(しで)をつくった後に縄ないをして、しめ縄をつくりました。
今回も例年参加している方が多く、初めての方も、筋がよく、あっという間に完成しました。

写真:しめ縄をよる作業

参加した小学2年生と年中さんの姉妹。お姉さんは一人で、妹さんはお母さんに手伝ってもらいながら立派なしめ縄を作り上げました。お正月にお父さん・お母さんの実家に里帰りして、両方のおじいさん・おばあさんにそれぞれプレゼントする、と話してくれました。お孫さんが作った立派なしめ縄をもらって、おじいさん、おばあさんは驚くのではないでしょうか。
写真:しめ縄をつくった姉妹

よく考えたら、「平成最後」のしめ縄づくりですね。受講者の皆さん、「平成最後」のしめ縄で、「平成最後」の新年をお迎えください。

古文書勉強会の成果(その9)

平成30年12月1日(土)古文書勉強会を開催しました。市民の方々が主体的に市内神間地区ゆかりの江戸時代の古文書=神間村文書(春日部市郷土資料館所蔵)を解読しています。
写真:勉強会の様子
今回は、延宝3年(1675)3月「神間村屋敷御検地御水帳写」(史料番号332)と文久2年(1862)3月「入置申一札之事」(史料番号42)を講読しました。

延宝3年「検地帳写」は、代官南條金左衛門による総検地の時に作成されたものであり、神間村にとっては、開発直後の慶安3年(1650)の検地に引き続いて2度目の検地になります。今回は、当村の屋敷地の持ち主や広さなどが記載されている屋敷分を読みました。以前、講読した慶安3年の屋敷地と比較すると、全体的に屋敷地の面積が拡大していること、高入れしていない藪地が屋敷地に付属していること、藪地は屋敷の面積を合わせると全体の4分の1程度であることが明らかになりました。おそらく藪地は屋敷林(防風林)のことと考えられます。事実上、村が成立した慶安3年から25年の間に、耕地の開発がすすみ、そこに暮らす人々が屋敷に屋敷林などを備えて、村に定着していったことがうかがえます。
また、参加者からは、他の村には「藪」があったのか、と疑問が投げかけられました。当日もお見せしましたが、神間村と同じ下総国葛飾郡庄内領の水角村の延宝3年検地帳(当館蔵)にも屋敷地に藪が付属しています。防風林をそなえた屋敷が点在する中川低地の農村の風景は、このころに形成されていったと考えられます。

ところで、みなさん、古文書を読むのに慣れてきましたが、その一方で「検地帳や人別帳は読みやすいが単調」という意見も出始めました。そこで、今回は続けて、一紙文書の文久2年(1862)3月「入置申一札之事」を読んでみました。この文書は、土地を質入れして金5両を借用したことを証明する質地証文について、その作成を十二月まで引き延ばすことを取り決めた文書です。以下、釈文です。

【史料番号42】
     入置申一札之事

一、其御組合御水帳面傳左衛門名前屋敷畑

壱反歩、私義年来所持致居候処、追々

身上向不如意ニ罷成、勝手合を以親類相談仕、

此度貴殿江立而御無心申入、質地代金五両也、

不残御聞済被下、書面之金子證人立会、

慥ニ請取申処実証ニ御座候、然ル処我等勝手

合を以質地證文取極メ候儀は、当戌十二月

迄引延、就而は貴殿方ニ而御聞済被下質地證文

対談之通り期月ニ至り候ハヽ、貴殿方ニ而被仰

付次第無違変御組合一同我等ニ而相頼、質

地證文取極メ可仕候、若其節右地面二付

横合より少も変乱申もの御坐候ハヽ、加印

之もの引請急度埒明、貴殿江少も御苦

難相掛ケ不申、質地證文書替可申候、為後日

一札入置申処如件  

   庄内領神間村

               出石地主

   文久二年         文右衛門㊞

     三月       親類

                亀蔵㊞

            源兵衛殿       

前書取極メ対談仕候上ハ、当年より

公議様御年貢諸夫銭共貴殿方ニ而

御勤可被成候、依之奥書相添一札入

置申処如件        

             出石地主 

               文右衛門㊞

             親類

               亀蔵㊞

            源兵衛殿

次回の勉強会は、年をまたいで1月12日(土)14時~を予定しています。
原本をみながら、古文書を講読できるのは、春日部でたぶんココだけです。ご興味のある方のご参加をお待ちしています。