校長室のひとりごと
校長室のひとりごと「なぜ集団行動?」
年度はじめの4月や5月、保健体育の授業で「集団行動」に取り組んでいる中学校が多いのではないでしょうか。本校でも連日大きな声をかけながら「集団行動」を学んでいます。校長室の窓からグランドの様子がよく見えるため、元々体育教師の私は、血が騒ぎ、気になってしまい仕事も手につきません。
「なんで集団行動なんてやるの?」「軍隊じゃあるまいし…」「多様性・個性重視の時代になんで画一的な集団行動?」などと疑問に思っている皆さんも多いのではないでしょうか。恐らく生徒達もそう思いながら号令に合わせて動いていることでしょう。
一般社会や学校など大勢が共同生活している場で、みんながみんな自分勝手で自由気ままに行動していたらどうでしょうか。嫌な思いをする人はもちろん、危険だらけで安心して生活することができません。社会には秩序があり、その秩序を維持するために様々な決まりやルール、マナーが存在します。中学生が社会の一員になる一つの準備として、集団での秩序を「集団行動」を通して学ぶわけです。保健体育の授業ですから「気をつけ」「回れ右」「右向け右」などの号令に合わせた動作で「みんなに合わせる」「協調性」を身につけることがねらいです。(秩序を学ぶのは集団行動だけではありませんが・・・)よく「日本人は礼儀正しい」「きちんと列になって順番を待つ」などと海外で評価を受けることがありますが、こういった「協調性」や秩序が日本人一人一人に備わっているからこその評価なのだと感じています。
もうすぐ修学旅行、職場体験学習、校外学習と各学年校外での活動が待っています。秩序を保つことで「安全」で「効率的」な活動へとつながると信じています。
校長室のひとりごと「情報の真偽」
インターネットやSNS等の普及により「誤情報」「偽情報」「フェイクニュース」などが社会問題化しています。
総務省は「誤情報の認識」に関する初の実態調査の結果を公表しました。調査は、インターネット上で15歳以上を対象にアンケート形式で行われ、実際にあった15種類の偽情報について、一つでも見聞きし「正しい情報だと思う」「恐らく正しい情報だと思う」「どちらともいえない」「おそらく誤った情報だと思う」「誤った情報だと思う」のいずれかを選択する形です。結果は「全体の47.7%が誤情報だと気づかず騙されていた」また「全体の25.6%がどちらともいえない」と回答し、誤った情報だと回答したのは全体の26.7%に留まったそうです。また調査では「イワシやクジラの海岸の大量漂着は地震の前兆である」といった偽情報について、全体の1/4にあたる25.5%は家族や友人に伝えたりSNSに書き込み拡散させていたこともわかりました。
東日本大震災の際「動物園の檻が壊れライオンが逃げ出した」などとSNSを介して拡散し問題となりました。古くは「〇〇〇〇〇〇〇の大予言」なる書物で「地球滅亡論」が話題になったりもしました。
「野次馬根性」ではありませんが、人間は興味を持ったことを周りに伝えたくなるものです。画像生成AIや音声AIの進歩により「真」「偽」の判断が難しい社会ではありますが、すぐに反応せず冷静に見極める習慣を身につけたいものです。
校長室のひとりごと「希望の桜」
ご存じですか?「奇跡の一本松」を。岩手県の陸前高田市、高田松原には約7万本の松林がありました。東日本大震災による津波で壊滅的なダメージを負ってしまいましたが、奇跡的に一本だけ大津波に耐え生き残った松がありました。復興への「希望の象徴」としてその松を「奇跡の一本松」と呼ぶようになりました。しかし、高さ27m、樹齢173年のこの松も残念ながら震災の翌年には枯れてしまい、現在は同じ場所に復興のシンボルとして後世に語り継ごうとモニュメントが建てられています。
その陸前高田市の隣、大船渡市も同様に東日本大震災では大きな被害を受けた地域です。その大船渡市、この2月から4月にかけて大規模な山林火災に見舞われたことは記憶に新しいところです。山林火災で辺り一面真っ黒になり、その中の焼け焦げた八重桜の木から4月末(遅咲きの八重桜)にピンク色の花が咲いたと報じられました。木の周辺は焼けた家屋が点在し、実際に八重桜の木も飛び火で根元、上部が焼けこげてしまっていたそうです。「度重なる災害で心身ともにまいっていたが、気持ちも花が咲いたように明るくなった」と地域の人々は話し「希望の桜」として人々の心を和ませているそうです。大津波にも負けなかった松、山林火災にも負けなかった八重桜、どちらも自然のたくましさを感じます。
校長室のひとりごと「ペップトーク③」
以前2回にわたり「ペップトーク」について書きました(4/24・25)。この「やる気を引き出す魔法の言葉」、アメリカのスポーツ界に根付いている指導者が選手本来の力を発揮させるための話術であり手法です。私が「ペップトーク」に注目してるのは、またスポーツの指導者になろうというわけではありません。「やる気を引き出す」のは別にスポーツに限ったことではなく、生徒のやる気を引き出す教員にも十分に生かせるはずだと考えているからです。例えば、合唱コンクール本番前に担任の先生が声をかける。部活動で顧問の先生が大会前に激励する。入試の前日に担任の先生がみんなに話す…教師というのは子ども達の可能性を最大限に伸ばしてあげる職業であり意外と話す機会が多いものです。思春期で多感な子ども達は、色々な悩みや心配事を抱えています。そんな子ども達の「やる気」を引き出すために役に立つのが、この「ペップトーク」だと考えています。その子の置かれている状況、これまでの様子、どうしたいと考えているのか。「ペップトーク」によってやる気を引き出してあげられれば生徒個々の力を引き出すことができるのではないでしょうか。これまで精一杯頑張ってきた生徒に「頑張れ!」では「これ以上何を頑張れば…」と。また失敗しないか心配な生徒に「失敗するなよ!」では「わかってるよ、だから緊張してるのに…」などと逆効果になりかねません。先生達と共に「ペップトーク」の手法を学び、生徒達のやる気を引き出していこうと思います。
校長室のひとりごと「先生のたまご」
教員になるには「教員免許」が必要です。その教員免許も学校種によりいくつかあり、我々中学校であれば、教科担任制のため教える専門教科の中学校免許が必要になります。高校も同様で専門教科の免許が必要です。小学校は基本的にどの教科も担任の先生が指導するので中学・高校とは違い「小学校」の免許が必要です。ちなみに私の場合は「中学・高校保健体育」の免許なので、小学校では教えられません。皆さんの中にも教員免許を持っているという方もいらっしゃるかもしれませんね。このような教員免許は大学で教職課程を専攻し必要な単位を取得することで、大学のある都道府県教育委員会より発行されます。教職課程の単位には実際に学校現場で学ぶ「教育実習」も含まれています。そして教員免許を取得(見込み)することが、教員採用試験受験資格であり、採用試験に合格した者が実際の教員になれるわけです。
高知県では昨年の教員採用試験の合格者270人のうち7割を超える204人が採用を辞退したそうです。合格者のほとんどは他県の採用試験も受験していたそうですが・・・昨今、「ブラック教員」などの悪評もあり、教員のなり手が減少し全国的に教員不足が大きな問題になっています。今、2名の大学生が教育実習に来ています。全国の教育実習生には実際の学校現場を経験し、子ども達と触れる中で、教員の魅力ややりがいを感じた上で、将来を選んでほしいと思います。