校長室のひとりごと
校長室のひとりごと「今日から11月」
今日から11月、澄んだ朝の空気に日差しが清々しく感じます。以前「校長室の窓から見る学校の風景は最高」だと書きましたが、窓から見る秋の風景もなかなかのものです。校長室と校庭を隔てるように植えられた「ハナミズキ」も今は赤く色づき小さな実をたくさんつけ、その実を目当てに野鳥が啄みにやってきます。そんな「ハナミズキ」越しには敷地を囲むように葉を落とした桜や、高くそびえるヒマラヤ杉が連なっています。そして敷地の東側、北側には大きな大きな「イチョウ」が連なりライムグリーンの葉が少しずつ黄色に色づき始めています。そんな景色を眺めているとつくづく秋を感じます。
ところで「ハナミズキ」は20世紀初頭に日本からワシントンDCに送られた桜のお返しとしてアメリカから日本に入ってきた「ミズキ」という種類の植物です。日本古来のミズキよりも花が綺麗だったことから「ハナミズキ」と呼ばれるようになったそうです。
比較的学校には珍しい「イチョウ」と言えば、神宮外苑をはじめ東京の「イチョウ並木」を思い浮かべますが、この街路樹にイチョウを植え始めたきっかけは関東大震災だと言われています。関東大震災で焼け野原となった東京でイチョウだけが焼け残り延焼を抑えたという実績から、他の樹木よりも火災に強いイチョウを街路樹として積極的に植え始めたそうです。そんなイチョウに守られていると思うと頼もしく感じます。「イチョウ」もあと数週間で見頃を迎え黄金色に変身した「イチョウ」を見ることができるでしょう。
「イチョウ」は中国語で「イーチャオ(鴨脚)」、葉の形が水掻きのある鴨の脚に似ていることが語源だそうです。
校長室のひとりごと「ハロウィン」
日本でも仮装するなど若者中心に盛り上がりを見せている行事、今日は「ハロウィン」です。しかし盛り上がり過ぎて羽目を外す若者たちの行動が毎年問題視されているのも事実です。渋谷区が先日路上飲酒禁止条例を10月から施行したのもこのハロウィンが影響したともいわれています。
日本ではハロウィンと言えば仮装して騒ぐ行事という認識しかない人も多いようなので、少し本来のハロウィンについて調べてみました。
その起源は2000年以上前、アイルランドやスコットランドに住む古代ケルト人のお祭りだと伝えられています。一年の終わりである10月31日に収穫物を集め、夏が終わり冬の到来を告げるお祭りです。また一年の終わり10月31日には死後の世界との扉が開き先祖の霊が家族に会いに戻ってくると伝わる、日本の「お盆」のような意味合いもありました。 死後の世界との扉が開けば先祖の霊だけではなく悪霊も現世に紛れ込んでしまい子供たちを襲うと考えられ、子供たちは悪霊に仲間だと思わせるようなメイクや仮装するようになったそうです。日本でいう「大みそか」と「収穫祭」と「お盆」を同時に祝うようなお祭りです。オレンジ色のかぼちゃのランタンもハロウィンに付き物ですが、もともと欧州では「株」をくりぬいて作っていましたが、アメリカへの移民たちが、その季節アメリカに豊富にあるカボチャに目をつけたのが始まりです。また日本ではなじみがありませんが、ハロウィンの日の夕暮れになると、仮装して悪霊の仲間を装った子供たちが「トリック・オア・トリート」「お菓子をくれないといたずらするぞ」と家々を回ります。すると住人は「いたずらだけは勘弁して!」とお菓子を渡して悪霊が家に入らぬようお願いするというのが、アメリカでのハロウィンの風物詩です。
日本では、悪霊の真似をした仮想だけではなく、アニメのキャラクターなど様々な仮想をしていますが、これも日本独自の形に変化したハロウィンなのでしょう。
校長室のひとりごと「◯◯の秋」
雨ということもあり今朝は随分と寒く感じましたね。11月を目前にやっと、本格的な秋の到来といったところでしょうか。気づけば日没時間も早まり、日の出も随分と遅くなり「秋の夜長」になってきました。校長室に日差しが直接入るようになったということは、夏に比べるとやはり太陽の軌道が傾き冬に向かっていることを実感します。そんな秋本番、皆さんの秋は、どんな秋でしょうか。
いつものようにインターネットであれこれ閲覧していると「◯◯の秋ランキング」なるサイトを見つけました。このサイトによると第1位は「紅葉の秋」綺麗な紅葉を見たいとの結果です。第2位は、秋の味覚を存分に楽しみたいと「食欲の秋」、第3位は、やっと涼しくなり体を動かしたいと「スポーツの秋」、以下「読書の秋」「睡眠の秋」「芸術の秋」「旅行の秋」「音楽の秋」「実りの秋」「行楽の秋」と続いています。順位はともかく、どの秋も想像するだけで楽しいのは私だけでしょうか。
ところで、近年温暖化の影響でしょうか、いつまでも残暑が続き、やっと秋が来たかと思えば、すぐに寒くなって冬になってしまい、その冬を終えて、暖かな春の日差しを感じたかと思えば、もう5月には暑くなってしまう。日本が誇る「美しい四季」が、秋、春のない「二季」になってしまうのではと心配になってしまいます。
などと書いてきましたが、まずはこの週末は季節外れの「台風」に気をつけましょう。
校長室のひとりごと「教育相談」
今日から「教育相談(三者面談)」が始まります。3年生は進路について真剣に考える時期、実際に受験する学校を決めてゆく、いわゆる三者面談です。1.2年生も三者で教育相談を行いますが、学校での様子を伝え、保護者からは家庭での様子を学校に伝える相互理解の機会とすることが目的です。本校では前期の通知表に「所見(担任からのコメント)」は記入しないため、学習の様子などをより詳しく伝えるという場でもあります。
3年生にとって進路希望を決める重要な面談だと書きましたが、3年生は夏休みを中心に高校の学校見学や相談会等に参加し、受験校を絞り込んでこの面談に臨みます。数年前に比べると、受験のスケジュールは年々早まっており、私立の高校の多くは12月に出願というスケジュールなので、私立を受験する場合は11月中に最終決定しなくてはなりません。今回の面談で受験校が決まれば、あとのトラブルを避けるため家庭より「〇〇高校を受験します」という文書を中学校に提出してもらい、それを受け学級担任は出願時に必要な「調査書(内申書)」などの作成、学校としての諸手続きを始めます。
私も3年生の担任だった時には三者面談を行ってきましたが、担任として一番困るパターンは、生徒と保護者の意見の食い違いです。例えば生徒は生徒なりに考え、第1希望に私立の高校を選んできましたが、保護者は保護者で「うちは私立は無理!公立高校で!」などというパターンです。これでは話は進まないため、再度家庭で考えをまとめた上での再面談、再々面談となるわけです。そうならないように事前に「進路希望調査」をとったり、生徒たちに指導はしてきました。
3年生の担任は生徒たちの未来、人生に関わるという責任があります。中途半端に面談を終わらせるつもりもありません。3年生にはぜひ家庭内で合意形成をしたうえで面談に臨み有意義な面談になると良いですね。
校長室のひとりごと「江戸しぐさ」
皆さん「江戸しぐさ」ってご存知ですか。「おもてなし」も素晴らしい日本文化ですが、この「江戸しぐさ」も私が大好きな世界に誇れる日本文化の一つです。もともと江戸時代の町人達から広まったとされる「江戸しぐさ」ですが、当時の江戸の人口密度は相当なものだったと伝わっています。狭い街並みにひしめきながら暮らしていたからこそ生まれた、「ちょっとした仕草」こそが「江戸しぐさ」です。(近年の調査で江戸時代に存在していたか定かではないとされましたが)
例えば「傘かしげ」。雨の日に傘をさしながら狭い江戸の路地を歩けばすれ違いもままなりません。そんな時にはお互いに傘の相手側を開けるように傾けすれ違います。こうすることで相手に傘の雫が垂れることも防げるのです。同じような仕草「肩引き」という仕草があります。狭い路地をお互い相手側(内側)に身を開き肩を引くようにすれ違うことで相手と目が合い「すみませんね」という気持ちを込めた思いやりの仕草です。次に「うかつあやまり」、このように相手を思いやっていてもうっかり相手の足を踏んでしまうことありますが、そんな時には、グッと堪えて「うっかり足を出したばかりに」と踏まれた側が先に謝ることで「いやいや私こそ本当にすみませんでした」と、結果としてケンカにならず知り合いにもなれるという仕草です。もし踏まれた側が「痛えな、どこ見て歩いてやがんで」となれば「何を〜そんなとこに足を出してるお前さんが悪いんだ」とケンカになることも防げるという利点があるようです。「江戸しぐさ」、実に江戸の町人達の知恵と思いやりにあふれた文化ですね。
人と人との関わりが希薄になり、更には物騒な現代社会においてこそ、日本人として「江戸しぐさ」を見直したいものです。