カテゴリ:郷土資料館
【出張授業】輪飾り作りin江戸川小中学校
11月7日(金)に江戸川小中学校第5学年を対象に稲わらを使った“輪飾り作り”を行いました。
江戸川小中学校では,、「バケツ稲」というバケツを使った稲づくりをしているそうで、
普段食べているお米を、自分で育て、実際に食べることで、稲を育てることの大変さや、感謝の心を育む体験を行っているとのことです!
その体験学習のトリを務めるのが、脱穀後の稲わらを使った輪飾り作りです!育てた稲を最後まで有効活用します。
稲わらの“はかま”を取り除く「わらすぐり」、わらを木槌で打って柔らかくする「わら打ち」、わらをねじり合わせて縄を作る「なわない」など、輪飾りになるまでの工程を下処理から体験してもらいました!
途中、難しい工程がありながらも児童のみなさんは一生懸命取り組んでくれました。
稲の一生を感じることができる珍しい体験学習でもあり、いい思い出にもなったのではないでしょうか♪
次年度以降も江戸川小中学校ではバケツ稲づくりを計画しているとのこと。
輪飾り作りの際は、改めて協力させていただきますので、ぜひご依頼ください!
江戸川小中学校のみなさん、ありがとうございました!
【手作りおもちゃクラブ】11月の手作りおもちゃクラブのお知らせ!
11月14日(金)(県民の日)と16日(日)に“手作りおもちゃクラブ”を開催します。
11月は2回開催です!
11月14日(金)は「ぶんぶんゴマ」と「吹き上げパイプ」を作ります。
作り方も難しいものではないので、ご安心ください♪
16日(日)は「ジャイロバズーカ」です。
こちらのおもちゃは今回が初お披露目となります♪
はじめて作るものなので、みんなに上手く教えられるか少し心配ではありますが、準備を整えておまちしています!
おもちゃの紹介動画はコチラ!
手作りおもちゃクラブはお申込不要です。
おもちゃの材料も資料館で用意しています。
当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!
【手作りおもちゃクラブ】
日時:令和7年11月14日(金)・16日(日)午前10時30分~・午後2時~
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:蓄音機と紙芝居の上演
おもちゃづくり(14日(金)ぶんぶんゴマ・吹き上げパイプ、16日(日)ジャイロバズーカ)
費用:無料
申込:不要(開催時間までに郷土資料館にお越しください)
映像公開ライブラリー出張映像上映会「春日部の水害と水防」を開催しました
11月1日(土)彩の国ビジュアルプラザ・埼玉県と共催の映像公開ライブラリー出張上映会「春日部の水害と水防」を開催しました。
この事業は、彩の国ビジュアルプラザ(SKIPシティ)で収蔵・管理する映像資料の利用・普及を目的とし、県内各地で映像を上映し、関連する講座・講話をまじえ、映像の内容について理解を深めていただくものです。
今回は、昭和22年9月のカスリン台風の水害に関する貴重な映像を上映し、僭越ながら不肖の担当者が「春日部の水害と水防の歴史」と題して、お話させていただきました。彩の国ビジュアルプラザとの共催イベントは、市内初の試みです。
上映された映像資料は、①「洪水とその対策」(昭和23年制作)と②「宝珠花村ー江戸川改修工事と土地区画整理事業の記録」(昭和27年制作)で、いずれも埼玉県が制作したものです。
①は、カスリン台風の水害の県内被災状況と、その対策・復旧過程を記録した映像です。甚大な被害を被った、埼玉県東部のみならず、水害の起因ともなった山間地域での山林の伐採の様子や、水害後にはじまった大規模な水防演習の模様などが撮影されており、大変貴重な映像です。
②は、春日部市内に残されていた映像で、今回の事業(今年度の移動公開ライブラリー事業)にあわせて、彩の国ビジュアルプラザに提供したものです。水害後に江戸川が改修され、町並みを全戸移転することになった宝珠花村の工事の記録映像で、工事のようすだけでなく、当時の西宝珠花の暮らし・日常生活も活写されていた、郷土資料としても重要な映像です。
後半の講座では、市域におけるカスリン台風の水害の被害について、『埼玉県水害誌』をもとにお話させていただきました。しかし、同書では、被害をうけた町村ごとに被害に関する統計や被害や水防の実態について記述されていますが、町村によって記述の精粗があり、実態がみえずらい部分がのこります。市域で最も詳しく記述されているのは、幸松村で、村内の出水の地点や時刻、東村(現加須市)の利根川破堤による濁流の到達時刻などが図入りで記述されています。
『埼玉県水害誌』の記述を読むと、利根川(東村)の濁流が到達する以前に、相次いで水路や近隣の河川で出水が発生し、それを防ぐために水防団が出動していることがわかります。市域では、こうした水防活動や土地の高低差によって浸水をまぬがれた地区もありました。
上映映像②では、水害後の新たな対策として実施された江戸川改修の模様が紹介されましたが、宝珠花の町並みは台地上に立地するため水害の被害はほとんどなかったにも関わらず、改修工事によって移転を余儀なくされてしまいました。移転前後の宝珠花の様子については、映像②だけでなく、当館の収蔵資料データベースでもご覧いただけます。
講座では、映像の解説をかねて、映像②の国による大規模河川改修工事、映像①で紹介されていた水防活動を対照に位置づけながら、春日部の水害と水防の歴史、その歴史から私たちが水害に備え、考えることについてお話させていただきました。
受講者の方からは、「貴重な映像がみれてよかった」「防災について考えさせられた」などのご感想をいただきました。
この講座の模様は、後日、YouTubeに公開される予定です。お楽しみに。
11/22歴史文化講演会「古利根川の変遷」を開催します
11月22日(土曜日)に、昨年刊行された『春日部市史 自然史編』を監修された平社定夫(ひらこそさだお)先生をお招きし、「古利根川の変遷」をテーマにご講演いただきます。本講座は、昨年度行われた「地学さんぽ」講座の座学編として、地学の観点からお話いただきます。
まだ若干名、お申し込み可能ですので、ご興味のある方はこの機会に是非ご参加ください。
●歴史文化講演会「古利根川の変遷」
日時:11月22日(土曜日)14時から16時
場所:教育センター2階視聴覚ホール
講師:平社定夫先生(春日部市史編さん委員、『春日部市史 自然誌編』監修者)
申し込み:郷土資料館に直接、電話(048-763-2455)、電子申請
『春日部市史 自然誌編』で古利根川がどのように記述されているか、下記に引用しますのでご参考ください。
*『春日部市史 自然誌編』は市立図書館で閲覧できるほか、購入も可能です。詳細はこちら
『春日部市史 自然誌編』(春日部市教育委員会2024)PP.43-45より引用
大落古利根川
<農業用水路、および灌漑用水の供給>
春日部市を縦断する大河川で、大落の名は主要な農業用排水路の意味をもつ。大落古利根川(一級河川)の起点は杉戸町下野だが、その先は青毛堀川、葛西用水路へとつながる。青毛堀川は加須市下高柳で北青毛堀川と南青毛堀川に分かれ、河道は加須市平永、志多見付近まで追える。また、葛西用水路は北西に向かい、羽生市本川俣の利根川沿いの葛西親水公園まで続く。
青毛堀川は農業用排水路で、水田で不要となった水や雨水を集めて流下する。したがって大落古利根川は加須市西部から春日部市、そしてその先までの水田の不要な水を集めている河川といえる。一方、葛西用水路は灌漑用の水路で青毛堀川との合流点から越谷市大吉(逆川との分岐地)までは大落古利根川と河道を共用している。よって、大落古利根川は田畑に水を供給するという役割ももつ。
大落古利根川は越谷市と松伏町を結ぶ寿橋の上流の古利根堰で水位の調整が行われている。これは、洪水防止や農業用水の確保が目的で堰は毎年4月の始め頃から水門を下ろす。そのため、古利根川の水量はかなり増え、普段との水位の高低差は約3mにもなる。この古利根堰で溜められた水は、春日部市、越谷市、草加市、八潮市、三郷市、吉川市、松伏町の農地に供給されている。なお、元荒川の末田須賀堰(さいたま市岩槻区新方須賀、永代橋そば)も、同様に岩槻区、春日部市、越谷市の農地に灌漑用水を供給している。
<舟運>
川舟による物資の輸送は人馬よりはるかに効率的であることから、大きな河川では舟運が発達した。利根川東遷事業により新しい古利根川が生まれ、その古利根川が江戸と春日部を結ぶ物資の河川輸送のルートとなった。河岸場は物資の荷積みや荷揚げの場で、当時の面影は上喜蔵河岸(春日部市粕壁)や下喜蔵河岸(春日部市粕壁東)で見ることができる。春日部市の下流では、権兵衛河岸(松伏町大川戸)、民部河岸(松伏町松伏)、赤岩河岸(松伏町上赤岩)、桃河岸(松伏町上赤岩)、そして川藤河岸(吉川市川藤)が確認されている(彩の川研究会2015)。なお、春日部の上流では河岸場は知られていない。
舟運の開発は、年貢米の江戸への輸送が主たる目的であったが、年とともに他の物資輸送も行われるようになり、河岸場は結構なにぎわいになった。主な運搬物を見ると、酒、縄、肥料、桐箱などである。また桃河岸(松伏町上赤岩、桃の生産地)からは日持ちしない桃が江戸まで送られていた。
(参考文献)
彩の川研究会2015「埼玉県の舟運と現在も残っている河岸の歴史」調査報告書 公益社団法人日本河川協会 彩の川研究会P.240
春日部ゆかりの企画展(1)「埼玉の食と菌類」展(県立川の博物館)
文化の秋。各地の博物館では、力のはいった特別展(企画展)が開催されています。
今回は、春日部にゆかりのある事物が紹介された他館の企画展をご案内したいと思います。
第一弾は、埼玉県立川の博物館による「埼玉の食と菌類」展です。
展示では、県内の特徴的な食文化を支えてきた菌類に焦点をあてたもので、「きのこ」をはじめ、味噌・醤油・酒類など「コウジカビ」や「酵母」による発酵食品、食と菌類に関わる歴史民俗を紹介しています。
春日部市域でも、かつて味噌・醤油・酒づくりが盛んでしたが、県内でも特徴的なのが、ビール醸造。ビールがまだ珍しかった明治時代に、市内でビール醸造がされていたことを知る方は意外と少ないかもしれません。
ビールは、大麦の麦芽に含まれる糖を酵母がアルコールに分解してできるお酒で、「菌類」にも関わる飲み物です。
明治時代、春日部の赤沼で起業したマルコ商会は、埼玉県産のビールの草分けともなった「マルコビール」を醸造しました。近年、明治期に使用されていたラベルのデザインを活用し、クラフトビールとして復刻しています。ビール醸造をはじめた赤沼の旧家には、当時の工場の様子を伝える記録や、ビール醸造にかかわる資料が伝えられており、実は、ブログ担当者は、かわはくの学芸員さんの調査にも同席させていただきました。
川の博物館(通称:かわはく)は、自然科学領域の学芸員さんが多く、県内の博物館でも特徴的な企画展示や催し物に取り組まれています。今回は「菌類」についてご研究されている学芸員さんが展示の主担当のようで、身近な食に菌類が関わっていることをわかりやすく学べる内容となっており、かつ埼玉の歴史民俗、人文領域にも及ぶ文理融合の展示です。
担当者は、図録を頂戴しただけで、展示はまだ拝見していませんが、赤沼のマルコビールゆかりの資料が展示されているようですし、県内のビール、日本酒、ウイスキー、そして、きのこなど、文化の秋もとい、食欲の秋にふさわしい内容となっているようです。ぜひ、春日部のビールの歴史とあわせてお楽しみいただければと思います。
会期 2025年10月4日(土)〜2025年12月7日(日)
会場 埼玉県立川の博物館(〒369-1217 埼玉県大里郡寄居町小園39)