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【東部地区文化財担当者会リレー展示_都鳥が見た古代】幸手市郷土資料館でリレー展示が開催されています

幸手市郷土資料館で東部地区文化財担当者会リレー展示「埼玉東部と古代の幸手」が開催されています。

令和7年度企画展『埼玉東部と古代の幸手』(幸手市ホームページ)

幸手市郷土資料館は、幸手市大字下宇和田にあります。平成30年にオープンした資料館です。

企画展示は、歴史展示室内の企画展示のコーナーで開催されているほか、ロビーにパネルが展示されています。

  

特大の東部地区の地形図を、今後のリレー展示開催館の場所とともに展示しています。

幸手市ではこれまで、下総台地上の槇野地北遺跡で、奈良時代の竪穴建物跡11軒、平安時代の竪穴建物跡2軒が確認されています。今回の展示では、槇野地北遺跡から出土した代表的な資料をまとめて展示しています。

幸手市郷土資料館には、昭和24年(1949)5月に竣工した旧吉田村立吉田中学校の木造校舎が残されており、民具展示室として使われています。あわせてご見学ください。

 

東部地区文化財担当者会報告書第9集「埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」も好評発売中です。詳しくはこちら

 

展示の詳細は下記の通りです。6月29日には、関連した内容で市史講座も開催されます。

●幸手市郷土資料館会場「埼玉東部と古代の幸手」

開催期間 令和7年6月3日(火曜日)~7月21日(月曜日・祝日)

開催場所 幸手市郷土資料館 幸手市大字下宇和田58番地4

(東武スカイツリーライン 東武動物公園駅下車朝日バス 境車庫行き「吉田橋」下車徒歩約5分)

開館時間 午前9時から午後5時まで

休館日 毎週月曜日(7月21日は開館)

お問い合わせ (0480)47-2521

 

(関連事業)第23回市史講座日時 : 令和7年6月29日(日曜日)  午後1時30分~午後3時30分

内容 :『埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代の遺跡』

講師 : 鬼塚 知典 (春日部市郷土資料館学芸員、埼玉県東部地区部文化財担当者会考古部会部会長)

場所 : 幸手市郷土資料館 2階講座室

定員 : 30名(先着順)

申込 : 令和7年6月10日(火曜日)午前9時から 電話にて受付

 

*リレー展示「都鳥が見た古代」は、下記日程で開催予定です。

6月3日から7月21日 幸手市郷土資料館 資料展示

7月29日から8月24日 蓮田市文化財展示館 資料展示

9月5日から9月19日 加須市パストラルかぞ パネル展示

10月24日から11月26日 三郷市わくわくライブラリ― パネル展示

令和8年1月6日から3月1日 宮代町郷土資料館 資料展示

古文書勉強会、館蔵の古文書を定期的に講読しています。

6月1日、古文書勉強会を開催しました。郷土資料館では、市民の皆さんと館蔵の古文書を読む「古文書勉強会」を定期的に実施しております。

写真:古文書勉強会の模様

今、講読している史料は、元治2年(1865)「御神忌日記」というものです。

この年は、徳川家康の二百五十回忌にあたり、家康の命日の4月17日の日光山で大規模な回忌法要が実施されました。この史料は、武蔵国埼玉郡中野村(現武里中野地区)の翁助という人物が書き残したもので、この年の2月から4月までの記事が日記仕立てで記されているものです。翁助は、代官から御神忌の祭礼の裏方(下役)に命じられ、日光に向かい御用を果たしました。翁助が携わった具体的な御用の中身はよくわからないのですが、中野村から日光まで往路には様々な事を見聞きしたこと、日光山内に入ってからも近隣を見分したことを記録しており、道中記としても面白い記事です。

本史料は今年の1月から読み始め、途中、難解な文字、解釈が難しい部分がありましたが、どうにか山場は越え、終盤にはいってきました。

今回、講読したところは、御神忌の祭礼に参席した京の公卿の名前、泊まった宿坊、翁助と同様に関東地方の農村から下役として動員された人名、地名が列記されている部分でした。

固有名詞を読むほうが却って大変で、皆さん苦戦されていました。ただ、地名事典や人名事典、また関連史料を確認して、入念に調べていただいた方もおり、どうにか地名・人名を確定することができました。

本史料・参考史料の記述が絶対に正しいというわけでもないので、比較検討をし、地名・人名をきちんと事実を確定しながら、史料を読む必要性を感じていただけたように思えます。

「調べてまでして読まないとダメなのですか」と弱音を吐く方もおられましたが、実はそれが史料(古文書)を読む、ということなのだと思います。

次回は、7月5日(土)14時~です。

 

上映会とトークショーのダイジェスト動画が公開されました

先日、3月1日(土)に、SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ(川口市)で開催した、令和6年度映像公開ライブラリー上映会とトークショー「春日部大凧あげの魅力」の模様が、ダイジェスト版でYouTubeに公開されました。

 

映像の製作・保存管理を専門とする、SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザの制作・編集とあって、とてもよく仕上がっています。動画は、西宝珠花の歴史のこと、大凧あげにかける保存会の皆さんの思いが伝わるものになっています。ぜひご覧ください。

出張授業「縄文体験教室」 in川辺小学校

5月27日(火)に川辺小学校3年生の「総合的な学習の時間」へ出張授業に行ってきました。

今年度の第1回目の出張授業です。その内容は「発見!探検!春日部じまん!」をテーマに”川辺小学校ちかくの昔むかしの生活”について、学習しました。

授業の前半では、最も冷涼な頃であった2万年前の氷河時代に暮らした旧石器時代のひとびとの生活と環境と、土器を作り、定住しムラを築いた縄文時代の暮らしを取り上げました。 

氷河時代には関東地方にも今や絶滅してしまったマンモスがいたことや日本列島が大陸とも陸続きであったこと、そして地球規模の温暖化が進んだ6,000年前の縄文時代には市内に海が広がっていたことなどをスライドで学びました。

 

現在、海なし県に住んでいるわたしたちですが、学校付近にはかつて「大海原」が広がり、その証として貝塚遺跡からは複数の貝類やウミガメやイルカの骨が見つかっていることを聞いて驚いていました。

 

授業の後半では、3つの班に分かれて、縄文人の食べ物や道具に触れる体験を行いました。

石器の体験では、実際に黒曜石で段ボールを切る体験をしました。鋭い切れ味に歓声があがり、慣れてくると段ボールを裁断するまで切れ味を試した児童も現れました。

 

縄文人の食べ物では、貝塚の貝がらと川で取れる貝がらを比べてみます。

現在は南九州や東南アジアの国々からしか取れない貝も貝塚からは発見されており、縄文時代は市内に温かい海が広がっていたことがわかります。「これは何の貝だろう?」と興味津々でした。

 

土器の体験では、市内で出土した縄文土器や色々な破片を実際に見て触ってもらいました。

「外側がザラザラしてる」「ちょっと重いかも」と、率直な感想が聞けました。「はにわ」の破片を見て「はにわ知ってるよ!」と教えてくれる生徒さんたちもいました。

3年生の皆さんは目をキラキラさせながら本物の道具や貝に触れていました。最後は丁寧にお礼を言ってくれました。川辺小3年生のみなさん、ありがとうございました!今後は6年生を対象とした授業も行います。6年生からどんな感想が聞けるのか、楽しみです。

たくさんの生徒さんたちに「本物に触れる」体験をしてもらえると嬉しいです。多くの小・中学校からの出張授業のお申し込みをお待ちしています!

 

 

ふれあい大学の皆さん、郷土資料館を見学。旧宿場町を町歩きされました

5月27日・28日、ふれあい大学の皆さんが春日部案内人の会の皆さんの案内で来館されました。

写真:見学のようす1 

今回は、ふれあい大学のカルキュラムの一環で、粕壁宿の町並み巡りをされるそうです。

実は、先日、ふれあい大学の皆さんには「春日部の歴史」と題して、お話をしたところでした。「はじめまして」ではなく、むしろ「先日はありがとうございました」「楽しかったです」なんて、お声がけいただいた方もいらっしゃいました。「先日は眠くなる話で恐縮でした」と挨拶からはじめて、“つかみはOK”

館内では、宿場町並み模型について解説しました。詳しい説明は、現地のガイドさんに譲りましたが、松尾芭蕉をはじめ、伊能忠敬、徳川慶喜など歴史的な著名人が訪れ、泊まった歴史があるのは、やはり市域では唯一の町だからです。

先日の「春日部の歴史」の講義では、時間の都合で近世・近現代の話題をかなり省略してしまいましたので、“きいてないよー”状態だったかもしれませんが、「江戸時代の宿場町は市内のどこを探してもここだけ!」とお話しすると、深くうなずく方がいらっしゃいました。

写真:見学のようす2

しかし、郷土資料館の見学はわずか7分のみ。しかも、模型の解説を聞くだけで時間一杯です。

ぜひ、後日ゆっくりとご観覧にきていただけるとうれしいです。