ほごログ
「幸松っ子クラブ」でのお囃子教室
6月23日(月)に幸松小学校の放課後こども教室である「幸松っ子クラブ」の第1回目が開催されました。この中の「お囃子教室」では、幸松地区に江戸時代から伝わる市指定無形民俗文化財「不動院野の神楽」を継承する、「東不動院野神楽保存会」の皆さんが、講師として招かれました。
1年生から6年生まで、総勢15名でのお囃子教室です。まずは保存会の皆さんによる「新バヤシ」と「ニンバ」のお手本を見学します。初めてお囃子を聞く子どもも多く、皆さん興味津々です。今回の教室では「ニンバ」というお囃子の太鼓を叩く練習をしました。
保存会の皆さんの指導の下、「天スク ステスク 天ツクツ スク」のリズムに合わせて太鼓に見立てたタイヤを叩きます。バチの握り方やリズムの取り方が難しいようでした。
練習の後半では、本物の太鼓を叩きました。タイヤでは出せない音や感触の違いを感じ、子どもたちも真剣に、楽しそうに叩いていました。「大きいほうの太鼓も叩いてみたい!」と積極的に取り組んでいました。
お囃子の練習は今後も継続して行われるので、子どもたちの上達が楽しみです。この中から地区の神楽やお囃子に興味をもってくれる子どもたちが増えることを願っています。
7月12日(土)・13日(日)の春日部夏まつりでは、保存会の方々が実際にお囃子を披露されますので、こちらもぜひお出かけください。
保存会の皆さん、ありがとうございました。
#かすかべ地名の話 (10)#正善
春日部市内の地名の話。今回は、武里地区の正善(しょうぜん)という地名について。
現在、正善小学校の名称にも使用されている「正善」という地名。「正善」(せいぜん)は「正しくてよいこと」「理にかなって正しいこと」の意味ですが、市内の地名は「しょうぜん」と読ませますので、「せいぜん」と同じ意味ではないと思われます。しかし、実は地名の本来の意味はわかっていません。
「正善」の初見は、元禄10年(1697)「武蔵国崎玉郡備後村検地水帳」(県立文書館収蔵森泉家文書)です。
備後村の小名として「正善」が確認されます。検地帳によると、このほか、備後村には「市の縄」「田嶋」「須加」「宮田」「大道東」「谷原(やわら)」「会の谷」「立野」という小名があったようです。
小名の由来・意味を特定(確定)するのは非常に難しい。というより、地元に言い伝えなどがなければ、確かなことはわかりません。「正善」も同様です。今回は、その意味に迫るため、あえて地名の意味を推察してみたいと思います。地名は土地・地形の状況を表わす場合が多いですので、考えうる範囲で次のようになりましょうか。
「市の縄」は、よくわかりませんが、「縄」は土地の丈量に使用される道具なので、丈量に関わる地名なのでしょうか。「市の縄」は旧古利根川の流路跡に分布する自然堤防上のエリアと重なり、「一の縄」と漢字が当てられることもあるので、人びとが住み着き、最初に丈量した土地ということでしょうか。
「田嶋」の「嶋」は、水に囲まれた陸地のこと。県東部では、低地のなかに島状に高くなている微高地を「嶋」と称することが多いので、「田嶋」は田のなかにある少し高くなっている土地を指すのでしょう。
「須加」は今でも「備後須賀」などと使われる地名の一つ。スカは川沿いに堆積した砂地・微高地を意味します。備後須賀の周辺には古利根川の旧流路跡があり、かつて側に川が流れていました。その時に積もり堆積した砂をして、須賀と呼んだのでしょう。
「大道東」は日光道中沿いの東側に分布する地名です。「大道」は日光道中のこと、その東側という意味でしょうか。
「会の谷」「谷原」は、落ちくぼんだ谷状の地形=後背湿地を「谷」と読んでいるのではないかと思われます。
「立野」は原野という意味があるようです。備後だけでなく、市内にも散見される地名です。
「宮田」は、第四保育所から東側国道4号あたりまでのエリア。「宮」は、お宮(神社)を指すのでしょうから、備後須賀稲荷や備後西川香取神社、いずれかの神社の田んぼ、という意味なのでしょう。
そして「正善」。まったく見当がつきません。全国規模でみると、福井県や高知県に「正善」の地名があったり、「正善」寺という寺院があったり。春日部とは直接関係はありませんが、正善という僧侶も存在したようで、仏語なのでしょうか。いずれにしても、土地に「正しくてよいこと」「理にかなって正しいこと」の意味を与えた、とは考えにくいですから、「正善」という人物か、もしくは仏教由来からか、この土地が「正善」と呼ばれるようになったと思われます(大変苦しいです)。
以下の写真は、明治後期から大正期に作図された備後地区の字図。まちがいなく、この土地は「正善」と呼ばれていたことがわかります。
そして、昭和51年(1976)、正善小学校が開校します。武里・備後地区の児童数が増えていったため、「正善」に仮称備後第二小学校の新築がはじまりました。当時の春日部市では、「上沖小」(昭和51年)「沼端小」(昭和51年)「立野小」(昭和52年)など、小字を採用して学校名が付けられることが多かったため、「正善」小学校と名付けられることになりました。
繰り返しになりますが、地名の「正善」は地名の本来の意味はわかっていません。先人から受け継いできた土地に刻まれた「正善」の歴史を、今後も考えていく必要がありましょう。
結論がなく、小字・小名の謎は深まるばかり。ご存じの方がおられましたら、そっと、ご教示ください。
春期展示「発掘された板碑」ー金泥が残る板碑
平成9年に行われた小渕山下北遺跡2次調査では、井戸跡の中から破片を含め、17基以上の板碑が発見されました。このうち天文23年(1554)の銘が刻まれた板碑には、刻まれた文字の部分などに金泥(きんでい)が残っていました。
金泥は金箔をすりつぶした金粉にニカワを混ぜた水を加えたものです。発掘調査で出土した板碑には金泥が残されているものが少なからずあり、板碑が造られた当時は、多くの板碑に金泥が使われていたものと推定できます。
▲金泥部分アップ
ちなみに同じ井戸からは、「二引両紋(ふたつひきりょうもん)」と呼ばれる家紋が赤漆で描かれた漆椀(うるしわん)も発見されています。
ご紹介した金泥が残る板碑も展示している「発掘された板碑」展は、会期が残り2週間となりました。6月22日(日)にはみゅーじあむとーくを予定しております。ぜひご来館ください。
●第71回企画展示「中世板碑の世界ー発掘された板碑」
会期:令和7年7月6日(日曜日)まで
休館日:毎週月曜日、祝日
会場:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15・東武鉄道春日部駅東口より徒歩10分)
●関連事業 みゅーじあむとーく
展示室で学芸員による展示解説を行います。申し込み不要、展示室までお越しください。30分程度、各回同じ内容です。
とき 6月22日(日曜日)、7月6日(日曜日)10:30~、15:00~
ところ 郷土資料館企画展示室
出張授業「縄文体験教室」in 南桜井小学校
6月17日(火)に南桜井小学校の社会科出張授業にうかがいました。
今回は6年生の2クラスを対象に授業を行いました。
授業の冒頭で、社会の授業でどの時代まで進んでいるか聞いてみたところ、2クラスともすでに縄文時代は学習を終え、弥生時代、さらには飛鳥時代に進んだとのことでした。そのため、「縄文時代はどんな時代でしたか?」との復習を促す質問にも、「狩りをしていた!」「縄文土器を発明した」など、明快な答えが返ってきました。
今回の出張授業は、歴史の授業の復習であると同時に、春日部、さらには児童の身近な学区内に暮らした縄文人の生活と、国史跡「神明貝塚」をより詳しく知る授業を行いました。
授業の前半では、パワーポイントを用いて、「学校付近に暮らした縄文人の生活」について説明します。
最初は春日部に海があったイメージがわかない様子でしたが、春日部の貝塚からはウミガメの甲羅やイルカの骨が見つかった話を聞いて、温かい海が広がっていたことがだんだん理解できたようでした。
また本校からほど近い、外郭放水路「龍Q館」を作る時に見つかった12万年前の地層からは巨大な牡蠣の殻には驚きの声が上がり、みなさん興味津々、春日部にも縄文時代と遙か12万年前の2度も海原が広がっていることを理解してもらいました。
授業の後半では、実際に縄文土器や石器や貝塚の貝殻に触れて、縄文時代の生活を考えてもらいます。
最初は壊さないようにおそるおそる触れていましたが、緊張がほぐれると、実際に触ってみた感想や、「なぜ」「どうして」「どのように作られたのか」などと次々と疑問に思ったことを質問してくれました。
教科書を読むだけではわからない手触りやにおいなど、実物を使った体験をとおして縄文時代の暮らしについて学習を深めてくれました。
南桜井小学校のみなさん、ありがとうございました!
第11回春日部市民俗芸能公開事業のダイジェスト動画が公開されました!
2月9日(日)に粕壁市民センター(中央公民館)で行われた「第11回春日部市民俗芸能公開事業〜伝える、つなげる、獅子舞の未来〜」での様子をまとめたダイジェスト動画を公開しました。
https://youtu.be/BlyBw_gd0Ck?si=-HO2cyMgTC8u2DpI
第11回のテーマにもあるように、両団体は長年後継者養成に取り組んできており、当日は子どもや女性舞手による獅子舞も披露されました。
当日披露された演目を多数収録していますので、ぜひご覧ください。
≪収録演目≫
銚子口の獅子舞「道中流し」、「出端の舞」、「中の舞」、「三切りの舞」、「津島の舞」
赤沼の獅子舞「宮入り」、「三番叟」、「太夫獅子の出端」、「神楽 さかなつり」、「太夫獅子の練り」、「弓くぐり」、「ぶっきり・さんぎり」
出演:銚子口獅子舞保存会、赤沼民俗文化財保存会
撮影:安藤 茂雄氏(ビデオ特派員)