ほごログ(文化財課ブログ)

ほごログ

南平野公園の桜と古隅田川 #桜咲くかすかべ

#桜咲くかすかべ

郷土資料館では、桜咲くかすかべに協力しています。

さいたま市岩槻区の南平野公園(さいたま市岩槻区南平野・Googlemap南平野公園)の桜が見ごろを迎えています。写真は令和4年3月28日(月)撮影のものです。岩槻区と春日部市の市境に近い南平野公園をご存知の春日部の方も多いのではないでしょうか。

南平野公園の桜1

南平野公園は、南平野土地区画整理事業によって、平成17年3月10日に開設され(さいたま市北部都市・公園管理事務所ご教示)、洪水時には調整池として機能します。

南平野公園は、春日部市にゆかりの深い古隅田川の旧流路に近接して立地しています。

現在の古隅田川は、岩槻東部図書館の北側を起点とし、春日部市方面へ流れ、春日部市梅田から古利根川に注いでいます。しかしながら、江戸時代以前の古隅田川は、春日部の古利根川から梅田あたりで西に流路を変え、蛇行しながら岩槻方面へ向かい、元荒川に注いでいたと推定され、これが現在の利根川の水が流れていた大河川であったと考えられています。

南平野公園の桜2

現在の古隅田川に道口蛭田で合流する、豊春小学校の東~南側を流れる旧古隅田川の流路は、江戸時代以前に利根川本流が流れた流路であると推定できます。南平野公園は、この流路に沿うように設置されています。

 ぜひお出かけいただき、利根川、古隅田川の歴史とともに桜をお楽しみください。

 

参考サイト

古隅田川ー埼玉県総合治水事務所サイト

 

#さくら咲くかすかべ関連記事

旧倉松第二調整池の河津桜  #桜咲くかすかべ

観音院の桜 #桜咲くかすかべ

新方川の桜 #桜咲くかすかべ

 

ほごログ 古隅田川関連記事

古隅田川『新編図録春日部の歴史』からのご紹介37

新方川の桜 #桜咲くかすかべ

#桜咲くかすかべ

郷土資料館では、桜咲くかすかべに協力しています。

武里団地の南側新方川の桜が見ごろを迎えています。写真は令和4年3月28日(月)撮影のものです。桜は越谷市と春日部市にまたがって咲いていますが、団地の各部屋からも楽しめる桜です。

新方川の桜

春日部と越谷市境を流れる新方川は、古くは千間堀(せんげんぼり)と言われ、春日部市の西部の排水をになっていました。明治42年(1909)から大正5年(1916)にかけて実施された新方領耕地整理事業事業で整備され、「新方領堀」と呼ばれました。その後さらに、昭和2年〜8年(1927〜1933)に県営事業で整備され、合流先が元荒川から中川に変更となり、「新方川」となりました。

新方領耕地整理記念碑

国道4号沿いには、「新方領耕地整理記念碑」が建てられています。

新方領耕地整理については、国会図書館デジタルコレクションで竣工記念で出された冊子が公開されています。

国会図書館デジタルコレクション 埼玉県新方領耕地整理組合竣功記念

 

新方川沿いの桜は、せんげん台駅から歩いてすぐで、電車でのアクセスも便利です。ぜひお出かけいただき、新方川の歴史とともに桜をお楽しみください。

 

#桜咲くかすかべ関連記事

旧倉松第二調整池の河津桜  #桜咲くかすかべ

観音院の桜 #桜咲くかすかべ

観音院の桜 #桜咲くかすかべ

#桜咲くかすかべ

郷土資料館では、桜咲くかすかべに協力しています。

小渕の観音院では、境内の桜が見ごろを迎えています。写真は令和4年3月28日(月)撮影のものです。

漢音院の桜

観音院は、小淵山正賢寺(しょうけんじ)観音院といい、鎌倉時代、正嘉(しょうか)2年(1258)建立と伝えられる古刹です。本山派修験宗という、春日部市内では唯一の修験のお寺です。

日光道中沿いに立地し、奥の細道の旅に出た松尾芭蕉が宿泊した寺ともいわれます。寺の入口には元禄2年(1689)に建立されたと伝わる仁王門(市指定文化財)があります。また江戸時代の僧、円空が彫った円空仏7体(県指定文化財)が伝わっています。なお円空仏は、ふだんは埼玉県立歴史と民俗の博物館に保管されています。

静かな境内で満開の桜をぜひお楽しみください。

 

 #桜咲くかすかべ関連記事

旧倉松第二調整池の河津桜  #桜咲くかすかべ

観音院に関する関連記事

【3月27日】 #今日は何の日? in春日部

小淵山観音院~県指定文化財~”円空仏”の公開

小渕・観音院の聖徳太子立像

小淵山観音院仁王門『新編図録春日部の歴史』からのご紹介32

「考古学講座ー米島貝塚を探る」を開催しました

3月27日、「考古学講座ー米島貝塚を探る」を開催し、25名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。

米島貝塚遠景

調査時の米島貝塚遠景(手前が谷部分の水田で、奥が高台、調査している人が見える。昭和36年か37年(1961か1962))

 

今回の講座では、米島貝塚の昭和36年(1961)および昭和37年(1962)の発掘調査に、國學院大學名誉教授の小林達雄先生が調査に参加され、発掘調査報告書では住居の廃絶と土器・貝殻の廃棄パターンや黒浜式土器の細分が研究されたことなどをご紹介しました。

また、米島貝塚の周辺に縄文時代前期の貝塚が集中していること、現在の江戸川の場所に江戸川開削前に存在したであろう谷にもご注目頂き、米島貝塚が作られた縄文時代の周辺地形についてもお考えいただきました。

米島貝塚は、現在は住宅地となっていますが、谷から高台へ向かう道路が坂になっていて、地形の変化を感じることができます。ぜひ、機会がありましたら現地を歩かれてみることをおすすめします。

講座

 

さて、考古学講座は来年度は、9月から1月に月1回程度、連続講座を開催することを計画しております。開催のお知らせは、こちらのほごログや広報かすかべ(7月号か8月号)でお伝えします。

みなさまのご参加をお待ちしております。 

郷土資料館体験ワークショップを開催しました

令和4年3月20日(日)に、郷土資料館体験ワークショップ「発泡スチロールひこうきを作ろう」を開催しました。

 

広報かすかべ3月号に郷土資料館が特集されたこともあってか、いつもより参加される方が多く、特に人数が多かった午前中は密を避けるため、展示室内で二手にわかれて開催しました!

 

まずは蓄音機でレコード鑑賞の時間です。

レコード鑑賞風景

音の出口である開口部を開くと音が大きくなり、びっくりしてしまう子もいるほどの音量になります!

 

発泡スチロールひこうき作製風景

そして今回作る昔のおもちゃは「発泡スチロールひこうき」!

材料は食品トレーや、展示で使用するパネルの切れ端など、なるべく廃材を利用しています。

完成したひこうきは資料館内では飛ばせないので、ホールにでて飛ばしました!

 

ひこうき飛ばし風景

飛ぶって、、、ロマンですよね。。。私だけでしょうか(笑)

 

オリジナル缶バッジ

最後にお土産の缶バッジ作りです!

今回はおもちゃのひこうきに乗るうめわかくんとぐうすけです!背景が空のようになっているのもポイント♪

 

今年度の体験ワークショップはこれにて終了となります!

子供から「来月はなにやるの?」という期待の声をいただいたのですが、来月の開催はないんです。。ごめんね!

また夏ごろに開催を予定していますので、その時はぜひまた来てください!ありがとうございました!

 

旧倉松第二調整池の河津桜  #桜咲くかすかべ

#桜咲くかすかべ

郷土資料館では、桜咲くかすかべに協力しています。

不動院野の旧倉松第二調整池では、河津桜が見ごろを迎えています。写真は令和4年3月12日(土)撮影のものです。

旧倉松第二調整池

この桜は平成18年5月に春日部ロータリークラブが植樹したものです。

昨年、かすかべ特派員であった山本さんが春日部ロータリークラブの方にお話を聞いて経緯をまとめてくださっています。

春日部市特派員だより:旧倉松第二調整池の河津桜(令和3年3月9日)山本特派員

 

 

旧倉松第二調節池が設置されている旧倉松川は、もとは倉松落(くらまつおとし)といい、江戸時代初期に整備されました。現在の幸手市にあった志手沼(しでぬま)から、杉戸町を経て春日部市の八丁目で古利根川に排水されました。倉松落は悪水路として水田の排水を担っていましたが、大雨が降ると古利根川の水位が上昇し、倉松落に水が逆流することから、明治24年(1891)、逆流を止めるため、八丁目にめがね橋(埼玉県指定有形文化財・倉松落大口逆除(くらまつおとしおおぐちさかよけ))が設置されました。

その後、排水不良を改善するため、昭和8年から15年(1933〜1940)に行われた河川改修により、倉松川の本流は、杉戸町本郷で分岐し、春日部市牛島で中川(庄内古川)に排水する流路に改められ、旧流路は旧倉松川や旧倉松落と呼ばれるようになりました。

平成12年(2000)、小渕地区と不動院野地区の浸水被害軽減を目的として、旧倉松川の流路をもとに旧倉松第二調整池が設置されました。さらに平成18年(2006)には、旧倉松第二調節池の南側に首都圏外郭放水路第四立坑が設置され、さらなる浸水被害の軽減が図られています。

旧倉松第二調節池は、周囲の堤防上に遊歩道があり、自然豊かな環境でウォーキングが楽しめます。地域の方々を中心に「旧倉松落第二調節池を守る会」が組織され、環境が整えられています。

 

参考文献

埼玉県『中川水系 III 人文』1993年

杉戸町役場(町史編さん室)『杉戸町史 通史編』2005年

 

【3月14日】 #今日は何の日? in春日部

3月14日はホワイトデー。いやいや、春日部市郷土資料館的には硬派に「多田新十郎の日」としましょう。 #かすかべプラスワン

今から453年前の3月14日(旧暦)は、北条氏政が多田新十郎に感状を発給した日です。時は戦国時代。永禄11年(1568)12月、武田信玄は相甲駿の三国同盟を破り、駿河国の今川氏を攻めました。今川氏真の義兄にあたる北条氏政は、氏真救出のため駿河に出陣し、現在の静岡県静岡市の薩た山(たは土篇に垂、以下同じ)付近で武田軍と衝突しました。この合戦を薩た峠の戦いといいます。

多田新十郎は、はじめは甲斐の武田氏に仕えていましたが、主君に諫言して退身し、岩付城主太田資正に従ったという土豪武士です。のちに小田原北条氏に仕え、この時に戦功をあげ、北条氏政から感状を与えられました。

その感状はこちらです。釈文などは、こちらをご覧ください。

「多田新十郎は、春日部と関係ないじゃん」と思った方は鋭いですね。その通り、新十郎と春日部は直接関係はないようです。すでに江戸時代には、新十郎が亡くなった年月や墓所すらも不明とされていますから、春日部に住んでいたのかも、春日部で亡くなったのかもわかっていません。

ただ、新十郎の子どもたち三兄弟がそれぞれ粕壁に住み、江戸時代の初めに宿場町が整備された時に、開発の主導的な役割を果たしました(草分け百姓)。その後、三兄弟の家は、江戸時代には関根姓、明治以降には多田姓を名乗り、近世・近代の粕壁宿・町の名主や町長などを歴任してきました。上の感状は、三兄弟の系譜をひく多田家に伝来したものです。

そういうわけで、多田新十郎のご子孫は粕壁、春日部の歴史に深いかかわりがあるのです。歴史に「たら」「れば」はありませんが、多田新十郎が活躍しなかったら、感状を拝領していなかったら、今日の春日部はなかったかもしれません。

もうひとつ。春日部ゆかりの中世の古文書はほとんどありません。その意味でも大変貴重な地域の資料なのです。 

春日部ゆかりの中世文書は限られていますので、また中世文書シリーズで「今日は何の日」をお知らせしたいと思います。

過去の今日は何の日?in春日部シリーズ→1月1日版3月27日版4月28日版9月16日版

【画竜点睛】「牛島のフジ」展におススメ資料が加わりました

「NSNM牛島のフジ」展に新たな資料が加わりました。今回の目玉でもある「北白川宮能久親王所用の草履」(埼玉県立歴史と民俗の博物館所蔵)です。

北白川宮能久親王所要の草履(埼玉県立歴史と民俗の博物館所蔵)

牛島のフジには、明治・大正・昭和の政治家や文化人が多数訪れています。

ただ、江戸時代の状況はよくわかっていません。そうしたなかで、明治10年の史料に伝聞の情報ではありますが、幕末(慶応年間)には輪王寺宮が牛島のフジに訪れ、観覧したことがわかっています。慶応年間の輪王寺宮は、公現法親王という人で、明治3年(1870)に宮家の北白川家を継いだ、北白川宮能久です。明治33年(1900)刊の『藤の紫折』にも北白川宮能久が訪れたことが触れられています(以前紹介しました)。

今回、追加展示した、「北白川宮能久親王所用の草履」は、明治5年(1872)に能久が日光参拝の折に、幸手宿に宿泊した際に使用したと伝えられるものです。牛島のフジの観覧時のものではないのですが、観藤者ゆかりの品として、また、市内の内牧地区の旧家に伝来した春日部ゆかりのものとして展示しました。高貴な方が使った草履とあって、非常に丁寧に作られています。

ぜひ、ご覧ください。

3/27考古学講座「米島貝塚を探る」を開催します

3月27日(日)に、考古学講座「米島貝塚を探る」を開催します。

米島貝塚は、庄和地区の米島に所在し、昭和36年(1961)に住宅地開発に先立つ発掘調査が行われました。調査では、縄文時代前期の「黒浜式土器」が多く発見され、黒浜式土器の移り変わりが研究されました。

米島貝塚の黒浜式土器のうち2点は、「米島貝塚出土黒浜式土器」として、春日部市指定文化財に指定されています。米島貝塚出土黒浜式土器過去の記事:米島貝塚出土黒浜式土器ー指定文化財でめぐる春日部

 

<考古学講座「米島貝塚を探る」>

日時:3月27日(日)午前10時~12時

場所:教育センター2階 視聴覚ホール

定員:30人

申込:郷土資料館に直接、または電話(048-763-2455)または電子申請

*新型コロナウイルス感染症の状況によっては中止することがあります。

春日部市指定文化財米島貝塚出土黒浜式土器

 春日部市指定文化財「米島貝塚出土黒浜式土器」

【体験ワークショップ】発泡スチロールひこうきをつくろう!

3月20日(日)に体験ワークショップを開催します。

体験ワークショップでは、蓄音機の上演と昔のおもちゃづくりをします。

今回つくる昔のおもちゃは「発泡スチロールひこうき」です。

 

発泡スチロールひこうき写真

昔、近所の駄菓子屋に発泡スチロール製のかるーいひこうき、売っていませんでしたか?

今回は食品トレイを利用して、そのおもちゃを再現してみました。

 

駄菓子屋も少なくなってきた昨今ですから、今の子はなかなか見る機会も少ないのではないでしょうか。

懐かしの文化を伝える郷土資料館で、一緒に作ってみましょう♪

 

申し込み不要、おもちゃの材料も資料館で用意しております!

当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!

 

【体験ワークショップ】

日時:令和4年3月20日(日)午前10時30分~・午後2時~

場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)

内容:蓄音機の上演

   昔のおもちゃづくり(発泡スチロールひこうき)

費用:無料

申込:不要(開催時間までに郷土資料館におこしください)

※新型コロナウイルス感染防止のため、参加者多数の場合、人数制限をさせていただく場合がございます。当日はマスクを着用いただき、体調が優れない場合は参加をお控えください。

春のミニ企画展「NSNM牛島のフジ」展やります!

 #牛島のフジは伊達じゃない!! 

企画展示の合間をぬって、そんなメッセージを込めたミニ企画展を開催します。

今回は、昨年度好評だった「渋沢栄一もみた春日部の藤」展を継承しつつ、国特別天然記念物牛島のフジにフィーチャーし、牛島のフジと春日部の町のあゆみを紹介するものです。

展示名称は、国特別天然記念物(National Special Natural Monument)の頭文字をとって、「NSNM牛島のフジ」展です。藤で、国特別天然記念物は牛島のフジが唯一です。けれども、特別天然記念物である自体がスゴイことではなく、牛島のフジをめぐって人々が歩んできた、歴史こそが唯一無二なのです。NSNMや渋沢栄一のネームバリューに頼らずとも、一本立ちの魅力がつまった牛島のフジ。新出資料も出展します。

関連イベントも予定しています。ぜひ、郷土資料館にお立ち寄りください。

画像:チラシ

会期 令和4年3月8日(火)~5月1日(日) *月曜祝日は休館

会場 春日部市郷土資料館 企画展示室(春日部市粕壁東3-2-15)

入場 無料

関連イベント(無料)

・展示解説講座「深堀り!牛島のフジ」

 日時:4月30日(土)10時~12時

 場所:春日部市教育センター

 定員:30名(申込制)申込受付4月5日(火)~

・ミュージアムトーク(展示解説)

 日時:4月13日(水)・24日(日)

    両日とも10時30分~、15時~(30分程度)

 場所:郷土資料館企画展示室

 

大沼中のみなさんが郷土資料館の魅力を紹介!

春日部を楽しむためのサイト「はるたび」に、大沼中学校の2年生の総合学習「ココ見て!春日部プロジェクト」の成果が公開されています。 #かすかべプラスワン

中学生のみなさんがまちを取材し、春日部のオススメを紹介しています。全五回にわけて春日部の魅力を紹介するようですが、このなかの第二弾「大沼中生かすかべ旅②」で、郷土資料館の魅力を紹介いただきました。

博物館・資料館は、一般的に中高生をはじめ、若い世代の利用者が少ないので、中学生のみなさんがどんなことに着目し、魅力を感じているのかは、館にとって非常に参考になりました。

館内は雑然といろいろなものがありますが、中学生のみなさんが紹介してくれたことは、日ごろから、私たちが工夫している点だったり、手塩にかけたコンテンツだったりします。それらに注目してくれて、率直にとてもうれしく思いました。

改めて、大沼中のみなさん、先生方、はるたび関係者の方に感謝申し上げます。

大沼中のみなさんがどんなことを紹介しているのか。詳しくは、サイトをご覧ください。

3/5から富士見市で開催される「埼玉の4大貝塚」展に神明貝塚の資料が出品されます 

郷土資料館の神明貝塚展示コーナーで展示している市指定文化財の「堀之内式組合せ土器」と、同じく神明貝塚の注口土器(ちゅうこうどき)が、富士見市の富士見市立水子貝塚資料館で3月5日(土)から行われる企画展「埼玉の4大貝塚ー水子貝塚 真福寺貝塚 黒浜貝塚 神明貝塚」にて展示されることになりました。埼玉県内の国の史跡に指定されている4つの貝塚を紹介する展示です。概要は下記の通りです。ぜひお出かけください。

<埼玉の4大貝塚ー水子貝塚 真福寺貝塚 黒浜貝塚 神明貝塚>

日時:令和4年3月5日(土)~5月8日(日)

会場:富士見市立水子貝塚資料館(富士見市大字水子2003-1、049-251-9896)

開館時間:午前9時~午後5時

休館日:月曜日(3/21は開館)、3/22(火)、5/6(金)

入館料:無料

水子貝塚資料館サイトへ

ちなみに、富士見市の市の花は、春日部市と同じ「フジ」で、公式サイトには、各ページにフジのイラストがあしらわれています。春日部市郷土資料館では、3/8(火)からミニ展示「NSNM 牛島のフジ」展を開催します。

 さて、貸出しに伴い、縄文土器展示コーナーの一部の展示品を変更し、ご要望が多かった「花積下層式(はなづみかそうしき)」土器の土器片を5点、展示しました。「花積下層式」は市内花積にある花積貝塚の土器をもとに設定され、花積の地名が使われた土器型式です。関東地方の約7,000年前にさかのぼる縄文時代前期の始まりとともに出現します。

郷土資料館ご来館の際は、ぜひご覧ください。

花積下層式土器

花積下層式土器

市の広報誌に #郷土資料館 の特集記事が載りました!

広報かすかべ2022年3月号の2・3面に、特集「「今」を知るために「昔」を知る #学芸員 が教える郷土資料館 のススメ!」が掲載されました。

画像:特集ページ

広報かすかべ3月号 郷土資料館特集ページ

郷土資料館と文化財保護課の学芸員の顔写真入りで、学芸員が推す資料を紹介しています。

それぞれの学芸員のパッションが詰まっている記事になっています。それぞれのパッションは170字程度では語りつくせないのですが、ちょっとむずかしめな専門的な説明をわかりやすく皆さまに届けるため、推敲に推敲を重ね何とか納まりました。170字以上の想いは、今後機会があれば本ブログでお披露目させていただければと思っています。

個々の記事もそうですが、ぜひご注目いただきたいのは、下段の小さな写真。郷土資料館の収蔵庫の様子です。

ご承知の通り、当館の展示室は、それほど広くなく、展示資料も限られていますが、実は、裏方の収蔵庫には、皆さんにまだお披露目したことのない資料が盛りだくさんあります。溢れんばかりの資料で、収蔵庫はぎっしりの様子、目に見えぬ収蔵・保存の現状を知っていただければと思い、写真を載せました。資料の保存に適している中性紙製の資料保存箱が棚いっぱいにつまっている様子お分かりいただけるでしょうか。これだけモノが詰まっているということは、まだ可能性がある。展示室は小さい館ですが、裏に秘めたポテンシャルもあるんですよ。

ともかく、郷土資料館の特集記事を、ぜひご覧あれ。広報誌は郷土資料館でも配布しています。

郷土資料館体験ワークショップを開催しました

令和4年2月20日(日)に、郷土資料館体験ワークショップ「ペーパーローリングを作ろう」を開催しました。

空間除菌装置作動中 

開催に際して、出入口を開放し、空間除菌装置ももちろん稼働させています。

 

まずは蓄音機でのレコード鑑賞です。

すっかり常連さんになってくれた子もいて、

「まずこれ(蓄音機)聴くんでしょ!今日の主役だ!」と気に入ってくれている様子でした!

 

本来ならここで紙芝居の朗読なのですが、前回と同様にワークショップ開催時間の短縮のため、泣く泣くカットです。

 

 ペーパーローリング作製風景

今回作る昔のおもちゃは「ペーパーローリング」!郷土資料館のワークショップでは初お披露目となる品です。

 ペーパーローリング作製風景2

紙を棒に巻きつけるだけの簡単な仕組みなのですが、伸び縮みする剣のように見えて、子供心をくすぐるおもちゃです♪

 

 オリジナル缶バッジ

そして最後のお楽しみ、缶バッジ作り!今回はペーパーローリングで遊ぶうめわかくんです♪缶バッジ作りも珍しい体験なので毎回大好評です!

 

今回のワークショップはおもちゃも複雑ではなく、親御さんの協力もあり、30分程度でサクッと終えることができました!

「ワークショップが毎月楽しみ!」「次も絶対来ます!」という声もいただきました♪

そう言ってもらえると、こちらもやりがいがあります!ありがとう!

 

次回の体験ワークショップは令和4年3月20日(日)に開催予定です。詳しくは広報誌等でご確認ください。おもちゃは「発泡スチロール飛行機」を作るのでお楽しみに!

郷土資料館は適宜換気や消毒を行っておりますので、お時間の都合の良い方はぜひお越しください。

いらっしゃいませ!上尾市立上平小学校5年生!

令和4年2月15日(火)に上尾市立上平小学校第5学年が、郷土資料館を見学しました。

 

市外の小学校かつ5年生というのは中々のレアケースです!

5年生2クラスが同じ時間に来館するため、資料館の中が密にならないよう、1クラスは資料館見学をしている間、もう1クラスは2階の視聴覚ホールを使用して学習をしました。

 

竪穴住居観察

学芸員の話を聞きながら、竪穴住居を食い入るように見ています。5年生ともなると観察する力や、推測する力がずいぶん育っているように感じます!

縄文時代については6年生で学習すると思いますが、事前に縄文時代の様子を予備知識として覚えておいてもらえると、学習効率があがると思いますよ。

 

視聴覚ホールでの学習

上尾市と春日部市は共通する部分が多く、人口、海・山のない地形、江戸時代に上尾は中山道の、春日部は日光道中の、どちらも宿場町として発展していった町であることなどが挙げられます。春日部はあまり縁がない土地だと思っていたかもしれませんが、たくさんの共通点から親しみをもってくれたのではないでしょうか。

 

スケジュールの都合上あまり時間は取れませんでしたが、時間ぎりぎりまで資料館内を楽しんでくれた様子が印象的でした!

よかったらまた来てくださいね♪

【体験ワークショップ】ペーパーローリングをつくろう!

2月20日(日)に体験ワークショップを開催します。

体験ワークショップでは、蓄音機の上演と昔のおもちゃづくりをします。

今回つくる昔のおもちゃは「ペーパーローリング」です。

 

ペーパーローリング写真

大人の方も見たことありませんか?

この紙の巻かれた棒を振ると、、、シュッ!!っと伸びーるアノおもちゃです!

私も子供のころ、縁日のくじ引きではずれの景品としてもらったのですが、思いのほか楽しく遊んだものです。

 

今回作るペーパーローリングは、用意できる材料と時間の関係上、作り方に若干オリジナル要素を加えていますが、十分楽しんでいただけると思います!

 

申し込み不要、おもちゃの材料も資料館で用意しております!

当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!

 

【体験ワークショップ】

日時:令和4年2月20日(日)午前10時30分~・午後2時~

場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)

内容:蓄音機の上演

   昔のおもちゃづくり(ペーパーローリング)

費用:無料

申込:不要(開催時間までに郷土資料館におこしください)

※新型コロナウイルス感染症対策のため、参加者多数の場合、人数制限をさせていただく場合がございます。また、当日はマスクを着用いただき、体調が優れない場合は参加をお控えください。楽しく安全な時間を皆さまが過ごせるよう努めますので、皆さまも感染対策にご協力いただきますようお願いいたしします。

「シンポジュウムー神明貝塚ー」オンラインでの公開に向け撮影しました!!

 平成30年に開催しました「シンポジュウムー神明貝塚 『発掘調査から分かる3,800年前の縄文人のくらし』」、そして令和元年には『3,800年前の縄文人の食文化』と題して、神明貝塚の実態と魅力をシンポジュウムをとおして広くお伝えしましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて一昨年、昨年と開催を見合わせていました。

 令和2年3月に国史跡の指定を受けた神明貝塚ですが、令和3年3月に「史跡神明貝塚保存活用計画」を策定し、将来に向けて末永く、保存管理、活用、整備を進めるための基本方針を定めました。

 そこで春日部市のみならず、埼玉県、さらに国内広く、貝塚の魅力、実態を知っていただくことを目的に県内に所在します4史跡の貝塚を一堂に紹介したく「国史跡の貝塚の整備と活用ー水子、黒浜、真福寺、神明の現状とこれからー」と題し、各市教育委員会の担当による講演と討論を令和4年2月6日に開催、撮影し、その成果を春日部市ユーチュブ公式チャンネル”かすかべ動画チャンネル”を用いて公開しようとするものです。

春日部市神明貝塚

春日部市教育委員会の担当からは「神明貝塚の現状と保存活用への課題」と題した講演を。

さいたま市真福寺貝塚

さいたま市教育委員会の担当からは「真福寺貝塚 整備に向けた調査とこれから」と題した講演を。

蓮田市黒浜貝塚

蓮田市教育委員会の担当からは「縄文黒浜 渚と森の記憶」と題した講演を。

富士見市水子貝塚

富士見市教育委員会の担当からは「水子貝塚 国史跡の貝塚の整備と活用」と題した講演を。

  講演後は、4史跡のうち既に公開が進められている富士見市水子貝塚、蓮田市黒浜貝塚での現状の取り組みや課題を、今後将来に向けて整備公開を予定するさいたま市真福寺貝塚と神明貝塚では現状と課題を、さらに今後どのような史跡を目指すのかなど、担当間で熱く討論いただきました。

討論

 この後、映像の編集を経て3月末ごろの公開に向けて作業を進めてまいります。公開日が確定しましたら改めてお知らせします。また、3月からは富士見市水子貝塚資料館で「埼玉の4大貝塚」と題した企画展にて、各史跡の特徴的な土器や石器、装身具などの展示が開催されます。

縄文式土器の3Dデータが公開されました。

昨年の夏休みの「#dokidoki音楽づくり♪」でお世話になった國學院大學栃木短期大学の中村耕作先生が、講座で使用した慈恩寺原南遺跡、坊荒句北遺跡の縄文時代中期の土器4点について、3Dデータを作成し、Sketchfabというサイトで公開されました。

Sketchfab内國學院大學栃木短期大学参考館

Sketchfabとは、3DやVR、ARといった、立体的なコンテンツが公開されているサイトです。いわゆるSNSで、だれでもアカウントをつくり、作成した3Dデータなどを全世界に発信することができます。

土器などの3Dデータは、対象物を様々な方向から撮影し、それをパソコンのソフトで組合せながら作成されます。

近年、こういった3Dデータに関する技術が進歩し、非常に精巧なデータが出来上がります。今回、中村先生に作成頂いたデータも、まるで土器を手に取っているかのように動かすことができ、拡大縮小もなめらかで、細かい部分まで観察することができます。

 Sketchfabでは、國學院大學栃木短期大学だけでなく、さまざまな機関、個人が公開する文化財などの3Dデータを閲覧できます。スマートフォンでも簡単にみられますので、どうぞご覧ください。

【近隣館の紹介】 #白岡市 生涯学習センター #歴史資料展示室

先日、他市町との打ち合わせのため、白岡市生涯学習センター歴史資料展示室にお邪魔しました。繰り返しいいますが、当館のような小さな館は、近隣の博物館さんと助け合い、支え合いながら日々運営しています。今回は近隣館の白岡市生涯学習センター歴史資料展示室さんを紹介してみたいと思います。

白岡市生涯学習センター歴史資料展示室は、生涯学習や地域コミュニティ・文化創造の拠点として、図書館機能、生涯学習機能、そして資料館機能を備える複合施設・白岡市生涯学習センター(愛称「こもれびの森」)内に平成30年10月に開館した施設です。

 写真:こもれびの森外観

歴史資料展示室では、地域文化財の調査・研究に基づく収集・保存・管理・活用を包括的に行い、さらに白岡市の歴史や伝統文化を発信、次代へ継承するため、旧石器時代から現代までの白岡のあゆみを常時展示しています。

 写真:展示室遠景

展示室は小さいながらも、各時代を象徴する重要な資料が展示されています。資料保存の観点から、複製品も多いのですが、複製と言われなければ気づかないほど精巧なレプリカが多く、見劣りはしません。むしろ、見栄えのする立体物が多いので見応えがあります。

近世史を専門とする紹介者が気になるのは、新井白石ゆかりの資料。新井白石といえば、江戸時代6代将軍家宣のもとで侍講として辣腕をふるった歴史上著名な学者です。

彼は、はじめ甲府藩主徳川綱豊(のちの6代将軍家宣)の侍講でしたが、綱豊が将軍綱吉の養子となるや、幕府の直臣に取り立てられ、宝永6年(1709)7月に武蔵国埼玉郡野牛村(現白岡市野牛地区)などを知行所として与えられました。その後、加増をうけ、新たな知行地を与えられる一方、当初の領地であった武蔵国比企郡の地を返上し、その代わりに相給支配(他の領主と分割支配)されていた野牛村の全てを領することになりました。著書「折りたく柴の記」には「ここにおいて、野牛一村の地ことごとく我領となりたり」と綴っていることから、白石の野牛村への強い思いがうかがえます。新井家は以後、野牛村を知行としたため、地域とゆかりが深く、白石の肖像画をはじめ、ゆかりの品が地元に伝わっています。また、新田開発のために掘削した堀を地元では「殿様堀」とか「白石(様)堀」と呼び、領地である野牛村の発展に力を注いだ白石の事蹟を伝えています。近代には白石公顕彰会が組織され、白石の命日にあたる5月19日には毎年、白石の肖像画を掲げ、報恩供養が営まれたそうです。

白石は、犬公方こと5代将軍綱吉時代の悪政を粛正した優れた政治家と評価されます。将軍の側用人間部詮房のもと、白石が政治のブレーンとなって提言した一連の政策は「正徳の治」と称され、白石の思想性に特色づけられています。武家諸法度を全文改定したり、朝鮮からの国書に将軍を「日本国王」と記すようにさせてたり、個人的には一癖ある人のイメージです。

少し春日部の話題に引き付けて言えば、正徳6年(1716)4月15日、日光海道・甲州海道を「海」がないから、日光道中・甲州道中と表記すべきというが法令が令達されました。理にはかなっているのですが、いちゃもんです。以後、公式には「日光道中」の表記が使用されますが、実際は地域に伝わる古文書では「日光海道」と表記する文書も散見されます。この「海道」表記に関する法令については、詳しい政策決定過程は明らかにされておりませんが、文書の表記などにこだわった、当時の政治のブレーン白石が関わっていた可能性が想像されます。知識や能力もあり、体系的で理にかなってはいるのですが、ちょっとうるさい感じ。でも、野牛の地を豊かにするために熱意をもって領民を統治したことが、後世に伝えられ、今も白岡ゆかりの偉人とされていますので、この考え改めなければなりませんかね。彼の著書「折りたく柴の記」を読み直してみようと思わせる展示です。

展示室には、「新井白石の肖像画」をモチーフにした来館記念スタンプが用意されています。ありがたい「白石様」をお持ち帰りいただけます。人物の肖像画があるってうらやましいです!

 画像:白石のスタンプ

毎月第3土曜日には、「ハンズオン・デー」として学芸員による解説をまじえながら、実際に資料に触れるイベントが開催されているそうです。展示室目当てでなくとも、図書館などの利用者も訪れ、大変にぎわうとか。

展示や普及事業のみならず、見習いたい点がもう一つあります。それは、研究紀要を年次刊行していること。学芸員や有識者の方が、白岡の資料に向き合って調査研究した成果が満載です。調査研究があって、はじめて展示・活用ができるお手本のような取り組みです。当館を含め、『紀要』を発行していない県内の地域博物館も見習わなければなりません。

そうした重厚な調査研究に裏打ちされた歴史資料展示室、ぜひ刮目ください。