ほごログ(文化財課ブログ)

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#民具 のクリーニングをしました

暑い盛りも過ぎたようなので、民具のクリーニングをしました。今回の民具は、今夏に寄贈を受けた桐下駄の製作用具です。 #かすかべプラスワン

写真:クリーニング

寄贈を受けた桐下駄製作道具は、埼玉県立民俗文化センター編『埼玉の桐細工』(1987年)に報告されているもので、桐下駄製作の職人さんが亡くなられた後、使用されず保管されていたものです。

寄贈されて直ぐに展示、というわけにはなかなかいきません。資料の活用の前に、一つ一つ調書をとって整理を進めることになりますが、さらに、その前にクリーニングを行います。

たとえば、このカンナ。

写真:カンナの写真

よってよくみると・・・

写真:白い斑点

白い斑点が。カビなのかもしれません。水洗いをして、よーく陰干しをして除去しました。

つぎは、木製の道具。

写真:木製の道具

おそらく、ゲタを製作するときのカタ(型)や作業の台なのだろうと思われます。

ゴキブリの卵の跡や埃もついていましたので、水洗いしましたが、裏をみると・・・

写真:木製の道具裏面

虫に喰われて、大きく破損しています。

こういった脆弱なものは丁寧にクリーニングをしました。

クリーニングをするなかで、大正時代の墨書のあるものがありましたので、古くは大正時代から桐下駄製造をされていたお宅であることがわかりました。

今後は、『埼玉の桐細工』などを参照しながら、調書をとっていくことになります。

 

それにしても、桐箪笥や桐箱のみならず、桐下駄製作まで。春日部は本当に「桐のまち」だったこと、実感いたしました。

9/27 #ハルカイト で #ミュージアムトーク 西宝珠花の歴史を学ぶ

8月にオープンした大凧文化交流センター「ハルカイト」でミュージアムトークを行います。

当日は、ハルカイトと郷土資料館の職員が、各展示室を解説します。

どうぞこの機会に、大凧文化交流センター「ハルカイト」にお越しください。

 

日時:令和6年9月27日金曜日 10:00から12:00

場所:大凧文化交流センター「ハルカイト」(春日部市西宝珠花593 宝珠花小学校跡地)*集合場所2階大凧文化継承室

定員:30名(お申し込み順)

講師:ハルカイト職員 春日部市郷土資料館学芸員

お申し込み:9月25日水曜日までに、下記へお電話でお申し込みください。

春日部市大凧文化交流センター「ハルカイト」 (048)748-1833

受付時間8:30~17:15 休館日:毎週火曜日

 

(過去のほごログより)

8月8日に行われたミュージアムトークの様子

#大凧文化交流センター 「 #ハルカイト 」オープン

大凧あげの背景 #ハルカイト 展示室より

【新発見!】見川喜蔵の文書(2)

前回紹介した安永3年の借金証文。差出人の安左衛門が郷土の偉人見川喜蔵であると紹介しました。

なぜ、安左衛門が見川喜蔵といえるのか。その秘密は、文書に捺されているハンコです。拡大してみましょう。

画像:安左衛門のハンコ

印文を見ると、右から「知擧」と彫られているようです。安左衛門の諱と考えられます。

「知擧」の名は、前回紹介した見川喜蔵と同じ諱です。粕壁・成就院の見川喜蔵の墓(市指定文化財)には、喜蔵の事績とともに彼の諱が「知擧」であったことが刻まれています。安左衛門という通り名は、喜蔵の息子も名乗っていますので、見川家当主が襲名する名前であったと考えられます。ですから、この安左衛門は見川氏、そして後に活躍して様々な事績を遺す見川喜蔵であると考えられるのです。

実は、これまでの調査で、見川喜蔵の名前が確認される最古の史料は、安永9年(1780)4月のもの。粕壁宿喜蔵が、捉飼場御用のため人馬を差し出す旨を藤塚村名主へ通知する古文書でした(慶応義塾大学文学部古文書室蔵「村鑑雑集 上」)。同年に喜蔵は粕壁宿の問屋(宿場役人)を勤めているので、おそらく問屋の職務として藤塚村名主へ通知したものと考えられます。

喜蔵の最古の古文書が安永9年なので、これ以前「喜蔵」は何と名乗っていたのか、わかりませんでした。そのため、他の記録の見川家に関する記事をどのように理解すればよいのかが課題となっていました。その記事の内容は次の通りです。

(安永8年)正月、名主・問屋八郎左衛門、家開発以来両役相勤、御検地帳預り居、帳元名主ニ有之、然所病身ニ付、伊奈半左衛門様御役所江休役願上、跡役見立候迄相名主鉄郎次壱人ニ而相勤、同人親安左衛門後見、二月御検地帳鉄郎次江引渡(「公用鑑 下」『春日部市史』近世史料編Ⅱp712)

意味は、安永8年正月、名主八郎左衛門(関根氏)が病身のため名主・問屋役の休役を願い、跡役が決まるまで相名主鉄郎次が1名で両役を勤めることにになった。鉄郎次の親安左衛門がこれを後見し、同年2月には関根家の検地帳が鉄郎次に引き渡された。粕壁宿では、安永7年まで関根氏と見川氏の両家が名主・問屋役を勤めていましたが、関根氏(八郎左衛門)が休役したため、鉄郎次(見川氏)が名主と問屋と勤めることになったのです。しかし、鉄郎次は、後の喜蔵と同一人物であるのか、はたまた親の安左衛門が、後の喜蔵と同一人物であるのかが、上の記事から読み取ることができません。

しかし、今回発見した安永3年の借金証文によれば、安左衛門が「知擧」(後の喜蔵)と名乗っていますので、のちの喜蔵は当時安左衛門と称していたことがわかりました。したがって、安永8年正月の名主鉄郎次は、喜蔵の息子(後の安左衛門)、後見人となった親の安左衛門が後の喜蔵であるということが、ほぼ確定されることになったのです。

ちなみに、喜蔵と名乗って以後は、今回の借金証文とは別のハンコが使われていますが、印文はやはり「知擧」。安左衛門を改め、喜蔵と名乗る時期がいつなのか、今後考えなければなりませんが、息子の鉄郎次が安左衛門を名乗ったタイミング、すなわち後見人が不要になった段階に、喜蔵と名乗ったのではないかと推察されます。喜蔵という名前は宿行政の前線を退いた後のいわば隠居的な名乗りだったのかもしれません。

長年、見川喜蔵を追いかけてきた担当者は、上の古文書のハンコが「知擧」であるとわかったとき、小躍りする気持ちになりましたよ。個人的には、見川喜蔵の「知擧」のハンコを来館記念スタンプにしてもよいかもと思っていますが、喜ぶのは担当者だけですね。

この発見は、日本の歴史にとっては小さな一歩ですが、春日部・粕壁宿の歴史にとっては偉大な飛躍です。

【新発見!】見川喜蔵の文書

見川喜蔵といえば、天明の飢饉前後、粕壁近辺で水害が多発した時、私財を投げうって堤防の修復や、地元の人たちを指揮し、地域を水害から守った郷土の偉人として知られています。喜蔵は、のちに江戸幕府から褒賞され、また地域の人々からも慕われ、粕壁の成就院の見川喜蔵の墓(市指定文化財)には供花が絶えなかったといわれています。

史料整理を見直していたところ、一通の借金証文に目がとまりました。今回はマニアックです。

写真:古文書

古文書は次のように記されています(画像は紙が折れて一部文字が読めませんが)

   借用申金子之事

 一、金壱両壱分也

右は当午ノ御年貢ニ差詰り、貴殿江

御無心仕、只今不残慥ニ請取申所

実正ニ御座候、然上ハ何様之義有

之候共、当暮迄之内急度返済

可仕候、為後日仍而如件

         粕壁町

  安永三年午七月  安左衛門(印)

       同所 半六殿

内容は、安永3年(1774)7月に、粕壁町の安左衛門が粕壁町の半六から金1両1分を借用した、いわゆる借金証文です。借金の理由としては、当午の年貢の支払いに支障があるから、というものですが、「御年貢差詰り」は江戸時代の借金証文の常套句ですから、実態はよくわからず、詳しい理由は不明です。7月なので、夏に支払う「夏成年貢」の年貢金に不足が生じたのでしょうか。今年の暮れまでに必ず返すとしています。

宛名の半六は、粕壁で塩問屋として商売を大成する山田半六です。

注目したいのは、差出人の安左衛門。実はこの安左衛門こそ、冒頭に紹介した見川喜蔵だと考えられるのです。

どうして喜蔵なのか? その理由は・・・(つづく)

【東部地区文化財担当者会リレー展示_都鳥が見た古代】杉戸町カルスタすぎとでパネル展が開催されています

9月29日まで、杉戸町「カルスタすぎと」で、「都鳥がみた古代」のパネル展が開催されています。

「カルスタすぎと」は杉戸高野台駅から南東に直線で約1.2㎞の位置にあります。平成13年(2001)にできた、図書館、生涯学習センターが入る施設で、外観は近未来的なイメージですが、内部は木材が多用された空間になっています。図書館も、とても広い面積で作られています。

都鳥が見た古代のパネル展示は、創作室1で開催されています。

ご興味のある方はぜひお出かけください。

杉戸町都鳥が見た古代会場

開催期間 令和6年9月7日(土曜日)~9月29日(日曜日)

開催場所 カルスタすぎと 創作室1 杉戸町大字大島477-8

開館時間 午前9時00分~午後7時00分

休館日 月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)

お問い合わせ 0480-33-6476(社会教育課直通)

杉戸町ホームページ「東部地区文化財担当者会40周年記念リレー展示「都鳥が見た古代」開催のお知らせ」

杉戸町社会教育課町史・文化財担当公式インスタグラム

 

リレー展示は、下記日程で開催予定です。

9月7日から9月29日 杉戸町カルスタすぎと パネル展示

10月4日から10月28日 松伏町役場 パネル展示

11月2日から12月1日 羽生市立郷土資料館 パネル展示

12月14日から令和7年1月13日 越谷市立図書館展示室 パネル展示

1月25日から3月9日 八潮市立資料館 資料展示

3月15日から4月8日 白岡市立歴史資料館 資料展示

4月12日から4月29日 吉川市中央公民館 パネル展示 

5月3日から5月25日 久喜市立郷土資料館 資料展示

6月3日から7月21日 幸手市郷土資料館 資料展示

7月29日から8月24日 蓮田市文化財展示館 資料展示

9月5日から9月19日 加須市パストラルかぞ パネル展示

10月24日から11月26日 三郷市わくわくライブラリ― パネル展示

令和8年1月6日から3月1日 宮代町郷土資料館 資料展示