夏季展示記念講演会「関東の麦わら細工」
8月31日(土)夏季展示の記念講演会を開催しました。
今回は、「関東の麦わら細工」と題して、小山市立博物館の山田淳子先生をお招きして、関東地方を中心とする麦作の実態、麦や麦わらを利活用した民俗事例などについて、幅広い話題でお話しいただきました。
山田先生は、小山市立博物館で麦わら細工の体験講座を長く指導されてきている方で、麦わら細工のための材料の調達や仕込みなど豊富なご経験から、麦の種類や麦にまつわる民俗慣行、そしてかつての子どもたちの遊びだった「麦わら細工」について、親しみやすくお話しいただきました。
会場には、小山市立博物館で製作したものや、山田先生が収集されたものなど、ホタルカゴなどの麦わら細工や、実物の大麦や小麦の実、麦わらを展示していただきました。
講演の後には、先生のご厚意で、麦わら細工をまじかに見たり、触ったりする機会をいただきました。市民のみなさん、麦わら細工を興味深そうにご覧いただき、作り方や麦わら細工の魅力などを熱心に質問されていらっしゃいました。
受講者の方からは、「麦が寒い時期に育つのは不思議」「子どものころ麦踏みを手伝った思い出が蘇った」など、ご質問やご意見をいただき、市民のみなさんにとっても実りのあるお話になったようです。
講演の最後には、麦わらを使った産業=麦わら帽子づくりが存立する春日部市は全国的にも珍しいこと。そして、子どもたちの遊びの民俗であった「麦わら細工」の技術が消えかけており、博物館で民俗・技術の伝承をつなげていくことの重要性をご指摘されました。
アンケートには、「春日部でも麦わら細工教室をやってほしい」「民俗文化を伝承していくことに敬意を表します」といった意見がありました。
専門の研究や調査成果が少ない麦わら細工について、具体的にかつ広い視点から、春日部の麦わら帽子を位置付けていただき、大変有意義な講演会となりました。
山田先生、ご登壇いただき、ありがとうございました。
夏季展示「麦わらの春日部」展は、9月7日(日)まで。残り一週間となりました。
来週は展示解説講座を実施します。春日部の「麦わら帽子」について、個別具体的に「歴史」の視点からグッと迫ります。あわせてよろしくお願いします。
展示解説講座「春日部の麦わら帽子と関連産業」
と き 令和7年9月6日(土)10時~正午
ところ 春日部市教育センター
講 師 展示担当学芸員
申込み 直接、または電話(048-763-2455)、電子申請で受け付け