ほごログ(文化財課ブログ)

2025年7月の記事一覧

古文書勉強会で館蔵の古文書を読みました

7月5日、古文書勉強会にて、市民の方々と館蔵の古文書を読みました。

講読した史料は「御神忌日記」です。今年の1月から毎月1回のペースで読んできましたが、ようやく読み終わることになりました。今後はいま一度原稿を確認・校訂し、本ブログ等で公開したいと考えています。

さて「御神忌日記」の講読ですが、元治2年(1865)の家康の250回忌法要の記録でしたので、京からお公家さんたちが参列するのですが、読みなれない公卿の名前に苦戦されたこともありました。

どういった史料で公卿の名前を調べればよいのか。手っ取り早いのは、近世に出版された「雲上明覧」という版本。これは京・朝廷の皇子・門跡・公卿たちの名鑑とでもいうべき書物です。大名や幕府の役人の名鑑として「武鑑」というのがありますが、その朝廷版とでもいうべきものでしょう。一例を『近世公家名鑑編年集成』からコピーして皆さんに配布しましたが、実は、館蔵史料のなかにも「雲上明覧」があったことに、当日気づきました。せっかくなので、皆さんにも手に取ってみていただきました。

写真:古文書を手に取る参加者

 館蔵の雲上明覧は、先日公開した収蔵資料データベースから「雲上明覧」で検索いただけると、一部の画像をご覧いただけます(資料を公開しました)。春日部にも「雲上明覧」があったことに、少し驚きました。江戸時代は出版文化が花開き、18世紀半ばには、庶民は様々な情報を出版物から入手していたことがわかります。まさに「べらぼう」の世界。

 

次回からは、また新たな古文書に挑みます。粕壁宿に関わる新出史料なので、個人的にも楽しみです。次回は、9月6日(土)14時~です。