ほごログ(文化財課ブログ)

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大凧会館の被災『新編図録春日部の歴史』からのご紹介41

大凧会館は、西宝珠花(にしほうしゅばな)に平成2年(1990)に開館しました。
大凧あげ祭りであげられる縦15m、横11mの実物大の大凧4張をはじめ、日本のみならず世界各地の凧や郷土資料などを展示していた施設です。
しかしながら、平成23年(2011)3月11日に発生した東日本大震災により被災し、1~4階まで吹き抜けの展示室に設置されていた大凧や他の展示品が破損しました。
建物本体にも大きな被害があったことから、平成26年、大凧会館は解体され、跡地は大凧公園として利用されています。
(大凧公園は現在整備工事中で、3月下旬からの一般開放を予定しています。)

「春日部市の景観1」『新編 図録 春日部の歴史』294ページ
大凧会館1階展示室の被災
◆東日本大震災で被災した展示室の様子

第6回民俗文化財講習会を開催しました。

3月4日(日)教育センターの視聴覚ホールにて、「第6回民俗文化財講習会」を開催しました。例年、市内の指定無形民俗文化財の保持団体を対象に講習会を開催しています。今回は、「お囃子」などの音声の保存を目的に、銚子口獅子舞保存会、やったり踊り保存会、赤沼民俗文化財保存会、東中野獅子舞保存会の計4団体の参加をいただきました。

民俗芸能には楽譜がなく、先輩方の笛の指先の所作を見たり、奏でられる音色を耳で覚える方法でお囃子などが伝承されています。そのため近年では、伝承方法に限界があり、各団体でお囃子の音色の変化が危惧されています。こうしたことから、音声を録音し、記録することで後継者の養成にお役立ていただくものです。
改まって舞台での音声の録音ということもあり、終始、緊張した空気が流れていました。皆様のご協力のお陰で、無事録音が終了しました。各団体の皆様には、お忙しい中ご出席いただき大変ありがとうございました。
今後の後継者の養成や地域で育まれた伝統の技の継承の一助になればと思っております。

【銚子口獅子舞保存会では12曲を録音しました】


【やったり踊り保存会では3曲を録音しました】



赤沼民俗文化財保存会では神楽を含め14曲を録音しました


【東中野獅子舞保存会では獅子舞10曲を録音しました】

粕壁小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました

平成30年3月2日に粕壁小学校第3学年が、郷土資料館を見学しました。

見学の様子

昭和期に実際に粕壁小学校で使われていた机や椅子をさわったり、木造校舎の粕壁小の写真を見たりして、今との違いに驚いていました。

見学の様子

郷土資料館では、3月18日(日)まで「くらしのうつりかわり―懐かしの暮らしと道具展」を開催しており、昔の懐かしい道具や写真を展示しています。小さなお子様からご年配の方まで、一緒に楽しめる展示となっております。ぜひ遊びにいらしてください。

市場之祭文写『新編図録春日部の歴史』からのご紹介40

今回は、戦国時代、市が開かれるときに修験者(しゅげんじゃ)が市の繁栄を祈祷(きとう)するために、神前で読み上げた「市場之祭文(いちばのさいもん)」をご紹介します。
延文6年(1361)の奥付がある「市場之祭文」には、応永22年(1415)に追記で武蔵、下総にかけての33か所の市の開催地が書かれています。
この中に「下総州春日部郷市祭成之」とあり、春日部でも市が開かれていたことがわかります。市域の周辺では、現在のさいたま市岩槻区内に推定される「末田市」、「かゝさねかふ道いち」、「ふち宿市」、「くほ宿市」、宮代町内に推定される「久米原市」、「須賀市」、白岡市内に推定される「野田市」などがあげられます。
また、開催地の33か所は、戦国時代、岩付太田氏の勢力圏にあったとする説もあります。

「市場之祭文写」『武州文書』国立公文書館内閣文庫
「川と陸の道」『新編 図録 春日部の歴史』60ページ

市場之祭文
「市場之祭文」の市開催地
赤枠内には「下総州春日部郷市祭成之」の記載がみられます。

「人と昆虫のかかわりを考える」有意義な時間に

本日、2月24日(土)歴史文化講演会を開催しました。
今回は、柏田雄三先生をお招きして、「供養碑・虫塚を巡る楽しみ~人と昆虫のかかわりを考える」と題して、ご講演いただきました。柏田先生は、昆虫芸術研究家で、全国各地の「虫塚」(昆虫を慰霊した供養碑・記念碑等)を巡り、研究されている方です。
柏田先生
今回、受講された方は4分の1が市外の方で、遠くは長野県・山梨県からもおいでになられた方もいらっしゃいました。

講演では、虫塚の話題の前提として、犬・鯨・蛙など様々な動物や、文房具・石橋・道路などさまざまなモノの供養碑が存在することを紹介されました。春日部には、今のところ虫塚は発見されていないようですが、猫・魚・鳥・石橋の供養碑があることが紹介され、会場からは「知らなかった」と声があがっていました。
講演会2
次に、ご専門の昆虫の世界に話題をうつし、多様な昆虫が私たちの身近にいることや、「益虫」「害虫」とは何かなど、人と昆虫の歴史を概観され、虫塚の始まり・種類について、各地を踏査され、収集された様々なエピソードを交えながら、楽しくお話しいただきました。

最後に、虫塚を巡り、研究することは、人文学的な視点から昆虫をとらえる意義があるとともに、調査先で認知度が低く、忘れられているケースが多いことを踏まえ、失われかねない伝統・歴史を掘り起こし、後世に伝えていく意味がある、と位置付けられました。

会場からは、「虫」のつく地名についてどう考えたらよいのか、など身近な昆虫の文化についての質問がでるなど、受講されたみなさんも「人と昆虫のかかわりを考える」有意義な時間をお過ごしいただけたのかと思います。
個人的にも、農業生物学をご専門とされている先生だけあって、昆虫愛に溢れたエピソードや、関連する音源などを交えてのお話だったので、大変興味深く拝聴させていただきました。
講演会1