ほごログ(文化財課ブログ)

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春季展示初日。展示資料を少し紹介

本日、4月17日(火)より春季企画展示「かすかべの宝もの15近代の交通・流通」がはじまりました。
本展示会は交通・流通に関する収蔵品や市域に伝来する貴重な資料を展示し、近代の交通・流通の歴史を紹介するものです。それほど広くない展示室ですが、実物資料101点、写真や図など53点の計154点が並びました。
今回は、展示資料のなかから、展示会の見どころともなる、貴重な資料を紹介させていただきます。
まずは、荷札です。
写真:荷札
大正~昭和初期に西金野井の河岸場(かしば)で使われていたものです。西金野井は、江戸時代以来の河岸場として賑わった地域であり、明治時代以降には蒸気船が停泊しました。この荷札は、蒸気船で東京の青果市場などに発送された白菜や甘藷苗(サツマイモの苗)などに付けられたのでしょう。荷札は大量にあり、河岸に周辺の農産物が大量に集荷されたことがうかがえます。

次に、桃の出荷用の木箱です。
写真:桃の木箱
詳しい伝来はわかりませんが、豊野地区の藤塚で昭和30年ごろに使われていたものと考えられます。河畔砂丘という内陸性の砂丘が分布する藤塚では、古くから果樹園があり、桃を栽培していました。高度経済成長期になると、道路の舗装やトラックの普及があって、東京の中央卸売市場に出荷されるようになります。この木箱は、東京に出荷された桃を梱包したもので、市域の交通・流通の歴史の一端を物語る貴重な資料といえます。古写真もあるので合わせてご覧ください。
写真:昭和37年藤塚の桃の出荷風景
普段は藤塚小学校の郷土資料室で展示しているものなのですが、とても珍しいものなので展示させていただきました。

このほかにも、現在では想像もつかない、失われつつある市域の交通・流通の歴史の一コマを紹介しています。春日部の新たな一面を発見できるかもしれません。
7月8日(日)まで開催しておりますので、ぜひご覧ください。

不動院野の神楽が公開されました

4月15日(日)に東不動院野の大杉神社の祭礼にあわせて、市指定無形民俗文化財『不動院野の神楽』が公開されました。
午前中には地区内の五穀豊穣、無病息災を祈願する「辻切り」が6箇所でお神輿と獅子舞の奉納が行われました。

午後はあいにくの降雨により、地区集会場で神楽が公開されました。お囃子では保存会の皆さんが指導されている地元幸松小学校の児童や中学生による堂々とした笛や太鼓の演奏が披露され、大きな拍手をいただきました。

神楽では五穀豊穣・家内安全を祈願する「大黒様」、そして保存会の見事な掛け合いで会場を楽しませていただいた「大江山」の2演目が公開されました。

不動院野の神楽は、地元のこの春例祭のほか、春日部夏祭りでもみることができます。郷土の文化遺産を間近に感じることができる貴重な機会ですので、ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

4月15日(日)不動院野の神楽が公開されます

茨城県稲敷市(いなしきし)にある大杉神社は「あんばさま」と呼ばれ、現在、全国に670社ほどある大杉神社の総本宮です。江戸時代、船を守る神、また疱瘡(ほうそう・天然痘:てんねんとう)から人々を守る神として信仰されました。

不動院野の大杉神社は、江戸時代に稲敷市の大杉神社から勧請(かんじょう)された神社です。不動院野の神楽も、この時に同時に伝えられたと考えられており、「三番叟(さんばそう)」や「種蒔(たねまき)」などの曲目が継承されています。

不動院野の神楽は、毎年4月15日に近い日曜日に地元の大杉神社の祭礼の際に奉納されるほか、7月に開催される春日部夏まつりの際に山車(だし))の上でも奉納されます。

開催日時:平成30年4月15日 (日曜日) 午前9時~地区内で辻切り、午後1時30分~境内舞台で神楽の奉納が行われます(雨天時は集会所内で公開されます)。


開催場所:大杉神社(東不動院野集会所・春日部市不動院野615番地)


【交通機関】
最寄の公共交通機関はありません
国道16号バイパス八丁目(東)交差点を西宝珠花方面に折れ、埼葛広域農道との交差点にある1つ目の信号を杉戸方面へ、400メートル程度進むと左手に集会所あり


不動院野の神楽


筆子塚『新編図録春日部の歴史』からのご紹介43

江戸時代、人々は生活や生業のために、文字や計算を学びました。学ぼうとする人々の存在は、学んだ人たちが亡くなった師匠のために建てた筆子塚(ふでこづか/筆子塔:ふでことう)とよばれる石造物から確認できます。
筆子塚は、寺社や墓地などにおかれ、「筆子中」や「筆子三十人」といった銘文や、時にはその師匠の経歴も書かれています。
市域には、下柳に所在する薬師堂の明和二年(1765)のものをはじめ、約20基の筆子塚が確認できます。地域別では粕壁宿が7基と多く、他に、中曽根、大衾、椚、米島、金崎、西宝珠花、永沼、木崎などの地域に所在しています。

「学び」『新編 図録 春日部の歴史』118ページ
筆子塚
下柳 薬師堂の筆子塚(明和2年)

4月1日(日)圓福寺所蔵の市指定有形文化財が公開されます

4月1日(日)一ノ割の圓福寺では『圓福寺まつり』が開催され、曼陀羅堂内に所蔵されている市指定有形文化財の年1回の公開が併せて行われます。

圓福寺(えんぷくじ)には、江戸時代の元禄年間(1688年~1704年)に光世上人(こうせいしょうにん)が作成した木彫当麻曼陀羅図(もくちょうたいままんだらず)、釈迦涅槃図(しゃかねはんず)、閻魔王宮(えんまおうきゅう)ならびに八大地獄図(はちだいじごくず)が伝えられています。
一般的に曼陀羅図は絵画によるものが多く、本例のように木彫りで立体的な曼陀羅図は、非常に珍しいものです。大きさは、縦287.85㎝、横242.4㎝と大型です。共に伝えられている版木(はんぎ)には、光世上人が2~6年をかけて、これら仏教美術の大作を作成したことが記録されています。

開催日時:平成30年4月1日(日曜日) 午前10時~午後3時(雨天決行)
開催場所:圓福寺(えんぷくじ・春日部市一ノ割一丁目30番17号)
交通機関
東武伊勢崎線(スカイツリーライン)一ノ割駅下車、踏切または地下道を渡り、徒歩5分
(一ノ割駅の改札は東口のみ、圓福寺は駅の西側になります)

圓福寺サイト

【厨子入木彫当麻曼陀羅図】