カテゴリ:郷土資料館
#古文書解読勉強会 #一ノ割 村の古文書を読んでいます #松伏溜井 付近の洗堰をめぐる出入
郷土資料館では、市民の方たちと郷土資料館所蔵の古文書を読む、古文書勉強会を開催しています。ほごログでの紹介はご無沙汰していますが、月に一度の頻度で、市民の皆さんが主体になって決まったテキストを講読するものです。
2022年5月から長らく翻刻をしてきた「宝暦度より酒造用留」が2024年6月に読み終わり(只今見直し中)、引き続き館蔵の一ノ割村関係の古文書を読み進めています。
一ノ割村の古文書は、古書店で購入された竪冊3点で、詳しい出所は不明ですが、館蔵資料として伝来しています。すでに、嘉永7年2月「頼一札(日光道中定助郷増惣代頼み証文)」、慶応2年9月「議定書(村役人跡役議定)」は読み終え、現在は天明期の出入(訴訟)一件留を講読しています。
史料によれば、出入りの内容は「悪水吐場切流諸入用并諸色代滞出入」、すなわち増林村(現越谷市増林)にあった「悪水吐場」(排水地点)の「字新違堤」の維持管理・訴願に関わる費用をめぐるものです。字新違堤とは、古利根川の堰である松伏溜井のそば(南西)にあった洗堰・堤防のことで、『明治以前日本土木史』によれば、寛保の大洪水後に「増林村新違堤へ水流十間・横十間竹洗堰を新設し、其上に〆切を為し、洪水の時に之を取払ひ、悪水吐の用意を為す」と記されています。松伏溜井の堰と同様に、下流の灌漑のための堰であるとともに、増水・洪水時には堰を取り払って、水を「切流」がして上流の湛水を防ぐ役割をもつ当該地域の用排水にとって重要な水利構造物だったようです。
新違堤と洗堰については、船橋市デジタルミュージアムで公開されている「江戸川筋の図」でご覧いただけます。
絵図をみると、「新違」「洗堰」はちょうど、松伏溜井の堰枠から南西に流れる「西葛西用水」沿いにあったことがわかります。「西葛西用水」は古利根川の流れを元荒川につないだ水路(鷺後〈さぎしろ〉用水)であり、現在「逆川(さかさがわ)」と呼ばれている水路です。逆川の呼び名からも明らかなように、普段は古利根川から元荒川へと水が流れていますが、時によっては元荒川から古利根川(松伏溜井)の方向へと逆流することもあったようです。かつ、新違堤の下流には、排水路の千間堀(現在の新方川に相当)が流れ込んでおり、逆川が逆流すると、千間堀の排水にも支障が生じたことが想像されます。
史料にみる天明5年の争論は、この「新違」「洗堰」をめぐる維持管理・訴願費用の割り当てをめぐるものであり、平方村・向畑村の村役人が、市野割(一ノ割)村の村役人を相手取って出訴したものです。増林村の「新違」「洗堰」は、一ノ割から遠く離れていますが、先の絵図からもわかるように千間堀や合野川を経て、「新違」「洗堰」付近まで水が落ちており、訴訟方は、この維持管理費用を負担を要求したようです。
この古文書は相手方(被告側)の一ノ割村の文書のみ書き留められているため、訴訟方の言い分やその背景がうかがえる記述は乏しく、出入の内容が掴みにくく皆さん解読・解釈に苦労されているようです。また、問題となる「新違」「洗堰」が市外(越谷市)にあるということもあり、土地勘がイメージしづらいのかもしれません。
古文書を読むなかで、参加者の方が松伏溜井周辺を散策されてきた、と周辺の写真を送ってきてくださいました。松伏溜井をはじめ、千間堀など、明治末から大正期にかけての耕地整理事業や現代の圃場整備などによって、景観が大きく変わっていますが、しかし、現地でないとわからないこともあります。フィールドワークは重要なのです。以下、いただいた写真を紹介しましょう。
松伏溜井の堰は、現在「古利根堰」と呼ばれています。かつての堰枠は「増林堰」または「大吉堰」と呼ばれ、土橋を兼ねた土堰で、猿島街道の往来道になっていました。その後の昭和期の増林村絵図や古写真をみても堰は橋にかなり近い位置に設置されていたことがわかります。現在の堰は、橋やかつての位置よりも上流に設置されており、毎年4月上旬から9月中旬までゲートを下げて、古利根川の水位を上げ、農業用水として灌漑されています。
「古利根堰」の上流は、今の季節は水位が下がっているものの、かつて松伏溜井と呼ばれた名残りがうかがえます。
続いて、逆川の写真。当時(近世)には掛かっていなかった橋から、新方川(松伏溜井)方面をみた写真だそうです。
写真の左手がかつての弥十郎村・大吉村、右手がかつての増林村・花田村ということになります。現地でご覧になられて、左側のほうが土地(標高)が低くなっているそうです。であれば、千間堀が落ち込んでくる弥十郎村・大吉村の人々は、増水時の千間堀の排水や「新違」「洗堰」の取り払いに執心したのではないか、と想像されます。溜井の上郷(大吉村など)と下郷(増林村など)との対立は、実際に、安政6年の水害時に大吉村の人々が堤防の切割りを実力行使したことにはじまる「逆川切割り騒動」へと発展しています(『越谷市史通史編上』)。
読み始めた頃は「新違堤」が何なのか全く想像もできませんでしたが、関連資料や現地の写真・踏査などにより、段々とわかってきた(ような)気がします。今後も、実地の写真や関連資料を踏まえながら、古文書を解読・解釈していきたいと思います。
ちなみに、次回の古文書勉強会は11月17日(日)14時~を予定しています。ご関心がある方は見学でも構いませんのでお待ちしています。
【東部地区文化財担当者会リレー展示_都鳥が見た古代】羽生市立郷土資料館でパネル展が開催されています
12月1日まで、羽生市立郷土資料館で、「都鳥がみた古代」のパネル展が開催されています。
羽生市立図書館 郷土資料館
羽生市立郷土資料館は東武伊勢崎線羽生駅から東南方向へ約1.8㎞の位置にあります。羽生市立図書館との複合施設です。
「都鳥が見た古代」のパネル展示は、郷土資料館の常設展示室の一角で行われています。
常設展示室の展示は、「羽生の文学と歴史」と銘打ち、羽生を舞台とした小説『田舎教師』を書いた田山花袋(たやま かたい)や羽生市出身の詩人宮澤章二(みやざわ しょうじ)の資料とともに、羽生市内から出土した考古資料などを展示しています。
なかでも、羽生市内で出土している縄文時代晩期の「土面(どめん)」は、原品は東京国立博物館に収蔵されていますが、羽生市立郷土資料館には精巧に作られたレプリカが展示されており、細部までじっくり見ることができます。
「土面」(羽生市発戸出土)国立文化財機構所蔵品統合検索システム
公共交通機関でのアクセスする場合、東武伊勢崎線羽生駅から徒歩で約25分です。
この機会にぜひお出かけください。
開催期間 令和6年11月2日(土曜日)~12月1日(日曜日)
開催場所 羽生市立郷土資料館 常設展示室 羽生市下羽生948番地
開館時間 午前9時から午後4時30分まで
休館日 火曜日、毎月第4木曜日(館内整理日)
お問い合わせ 048-562-4341
リレー展示は、下記日程で開催予定です。
11月2日から12月1日 羽生市立郷土資料館 パネル展示
12月14日から令和7年1月13日 越谷市立図書館展示室 パネル展示
1月25日から3月9日 八潮市立資料館 資料展示
3月15日から4月8日 白岡市立歴史資料館 資料展示
4月12日から4月29日 吉川市中央公民館 パネル展示
5月3日から5月25日 久喜市立郷土資料館 資料展示
6月3日から7月21日 幸手市郷土資料館 資料展示
7月29日から8月24日 蓮田市文化財展示館 資料展示
9月5日から9月19日 加須市パストラルかぞ パネル展示
10月24日から11月26日 三郷市わくわくライブラリ― パネル展示
令和8年1月6日から3月1日 宮代町郷土資料館 資料展示
東部地区文化財担当者会報告書第9集「埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」も好評発売中です。詳しくはこちら
#ハルカイト 見学のススメ(3) タッチパネルシステム
引き続き、ハルカイト(大凧文化交流センター)の見どころをご紹介。
第3弾は、1階宝珠花サロンの一角にある大きな画面に注目してみましょう。
宝珠花サロンは、1階に所在します。ここでは、宝珠花小・富多小の歴史や、郷土の作家三上於菟吉の事績の展示、地域のコミュニティについて展示紹介しています。
同時に、ハルイカイト全体のガイダンス的、導入的な部屋になれば、という企画のもと、どなたでも入りやすく、ふらっと立ち寄り、くつろげるように、椅子とテーブルが設置されています。部屋に入った正面にみえるのが、大きな画面のタッチパネルシステムです。
普段は神明貝塚の映像がエンドレス(ループ)で上映されていますが、タッチパネルに触ると、上のような画面に。
①ハルカイトを起点に周辺を散策いただき、歴史文化を感じていただけるスポットを紹介する「周辺散策」。
②二階の大凧文化展示室や歴史民俗展示室の展示概要を紹介する「施設紹介」。
③宝珠花周辺の動画や映像、古写真を閲覧できる「宝珠花アーカイブ」。
の3つのメニューを立てています。
③をタッチしてみると、
このようなメニューが出てきます。昭和27年に町が全戸移転した宝珠花村の記録映画をはじめ、国史跡の神明貝塚の動画、宝珠花小・富多小の古写真をご覧いただけます。
富多小学校の思い出をタッチすると、
こんな感じです。学校に遺されていた最古級の写真を中心に、懐かしい小学校の写真を詰め込んでみました。
古い写真は資料性が高いので、今後、このブログや他の方法でも公開していきたいと思います。
さて、メインメニューに戻ると、①「周辺散策」はこんな感じ。
大凧揚げを継承する地区としての西宝珠花を紹介する、「大凧の里を歩く」
西親野井に所在sる国史跡の神明貝塚を紹介する、「神明貝塚を歩く」
江戸川の河岸の町として繁栄した西宝珠花を紹介する、「宝珠花の町を歩く」
埼玉県・千葉県境を流れる江戸川の歴史文化を紹介する、「江戸川を歩く」
木崎地区出身の昭和の大衆作家三上於菟吉を紹介する、「三上於菟吉を歩く」
庄和地域の指定文化財を紹介する、「文化財をめぐる」
の6本立てとなっています。
それぞれのコンテンツは、写真と簡単な文章で様々なことを紹介しています。
例えば、三上於菟吉の概要は、下の通り、「三上於菟吉とは」というコンテンツにまとめられています。
こうした個別のページは全部で70余コンテンツ用意しました。古写真は宝珠花小で50点、富多小で50点となりますので、全部合わせると、約180のコンテンツがこのタッチパネルに入っているのです(重複するものもありますが)。
見どころがタッチパネルシステム、というのもなんだかなぁ、と思いますが、郷土資料館には備えられていない最新鋭の機械ですし、約180のコンテンツをつくった「中の人」も、さぞや大変だったことでしょう。
ぜひ、ハルカイトにお越しの際には、施設やその周辺の道先案内人としてタッチパネルシステムをつかってみてください。
武里西小学校の3年生が郷土資料館を見学しました
令和6年11月5日(火)に武里西小学校の3年生が郷土資料館を見学しました。
1~3組を2つに分け、常設展示室と企画展示室を見学しました。
常設展示室では竪穴建物の説明をうけ、約5000年前の縄文人の生活の様子を学びました。
模型の中央にある炉(ろ)は、電気のない時代の照明や、暖房、料理の役割を担っていました。火を使う道具なので、火災には注意を払っていたことでしょう。みんなも火の取り扱いには注意しましょうね!
企画展示室では約60年前の暮らしの道具について説明をうけました。
洗濯に使われていた“洗濯板”や、アイロンとして使用された“こて”など、電気がまだ普及しきっていなかった時代の家庭の道具がたくさん!
黒電話は使ったことがなくても、存在を知っている児童は多いようで「おぉ~レトロ~」との声が。私が小学生の頃はまだ「レトロ」という言葉に馴染みがありませんでしたが、昨今の昭和レトロブームなどが起きてからレトロという言葉が一般化してきたような気がします。それぞれ生きる時代によって、当たり前の言葉も変化していくのだなぁと感じました。
自由見学の時間には、展示を見学しながら、配布してあった「探検シート」で学びを深めたり、おもちゃコーナーで存分に遊んだりと、思い思いの時間を過ごしました。
見学時間が短めだったので、展示の説明も少し駆け足になってしましたが、充実した時間を過ごしてくれたようで何よりです!
今度はお友達や保護者の方と、たっぷり遊びに来てください!
【手作りおもちゃクラブ】11月の手作りおもちゃクラブは!
11月10日(日)と14日(木)(県民の日)に“手作りおもちゃクラブ”を開催します。
11月はなんと2days!
それぞれ違うおもちゃを作りますよ♪
11月10日(日)は「発泡スチロール飛行機」
手作りおもちゃクラブで作るのはまだ3度目という比較的新顔のおもちゃです。
動画を見ていただくとおわかりいただけるとおり、勢いよく飛んでいきます!
11月14日(木)(県民の日)は「からくり屛風」
こちらも動画をみていだだくとわかりやすいのですが、屏風をクルクルとまわすと、4面の色が現れるという不思議なからくりおもちゃです!
からくりがあるため作成に少し手間と時間が必要ですが、職員がお手伝いしますのでご安心ください♪
おもちゃの紹介はコチラ
手作りおもちゃクラブは申込不要、おもちゃの材料も資料館で用意しています。
当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!
【手作りおもちゃクラブ】
日時:令和6年11月10日(日)・14日(木)
各日 午前10時30分~・午後2時~
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:蓄音機と紙芝居の上演
おもちゃづくり(10日(日)発泡スチロール飛行機・14日(木)からくり屛風)
費用:無料
申込:不要(開催時間までに郷土資料館にお越しください)
#総選挙 「第一回むかしのどうぐ人気投票」投票用紙を覗く
「くらしのうつりかわり」展の企画「第一回むかしのどうぐ人気投票」。おかげさまで投票箱がいっぱいになってきましたので、いったん投票箱を整理し、中身を開けてみました。
投票用紙は100票以上。整理してみると、8歳、9歳の方の投票が多く、社会科見学で来館した小学校3年生が積極的に投票してくれているようです。
投票の対象はさまざま。理由は、家にあるから、見たことないから、古くてカッコいいからなどなど、本当に様々です。たとえば、武里小学校の遠足のしおりに投票してくれた子は、
今との違いが気になって、投票してくれたみたいです。
今年収集し、初出品した資料なので、票を得られてよかったです。
つづいて、毎年定番の資料「白黒テレビ」に投票してくれた子は、
「ザ・レトロ!だから」と理由に書いています。「ザ」が付く言葉は、「ザ・ベストテン」か「ザ・ウルトラマン」しか思い浮かびませんが、レトロのなかのレトロ、という意味でしょうか。
白黒テレビを使ったことのない世代にもかかわらず、「レトロである」と理由にしていることが、何とも趣があります。
また、絹綿に投票してくれた子は、
「もこもこふわふわそうだから」と書いてくれています。「もこもこ」「ふわふわ」がイイ、という感覚は、展示担当者はまったくありませんでした。資料をみるまなざしや感性は本当に様々で、大人では思いもよらない言語、表現に接することができ、展示担当者として大変刺激的です。
このほかにも一般の大人の方の投票も散見されます。
24歳の方は、手回し洗濯機に1票。形が面白い、と直感的に選んでくださいました。確かに面白い形で、インパクトがあります。定番の資料でもあり、かつ割とレアな資料でもあり、テレビの出演経験もあり、人気が高くなりそうです。
投票は、来館された方ならどなたでもOK。市内在住在勤を問わず、外国の方、赤ちゃんでも、何度投票しても構いません。結果により、展示資料の入れ替えも検討していく重要な選挙になりますので、ぜひご参加ください。
開票の集計は、後日行い、中間発表は12月17日を予定しています。
#体験 ! #春日部 #桐 のオリジナル #貯金箱づくり(11月16日開催。若干名定員あり)
毎秋、恒例の桐の貯金箱づくり。春日部は、桐箱・桐たんすをはじめ、江戸時代以来の桐細工が伝統的な手工芸として根付いています。この体験講座は、伝統に触れつつ、工作体験ができるとあって、大変人気です。
当館でも、材料をお譲りいただき、数か年計画で見本となる貯金箱を組み立ててみました。背板は当日、組合の方に切り抜いていただけます。白くて加工や着色がしやすい桐材なので、背板だけでなく、箱の本体にイラストを描いて着色したり、紙やシールを貼ると、好きなデザインのオリジナル貯金箱になります。見本は、資料館のオリジナルキャラクター「うめわかくん」(金の亡者バージョン)です。
今年は、すでに定員を超過していますが、春日部桐箱工業協同組合のご厚意により、定員を若干増やして開催いたします。定員はあと数人です。お子さんはもちろん、大人の方もぜひご参加ください。
日 時 令和6年11月16日(土)午後2時~4時
講 師 春日部桐箱工業協同組合の皆さん
定 員 20人
材料費 1人900円
申 込 郷土資料館に直接、電話(☎048-763-2455)、電子申請(こちらをクリック)で申込み
緑小学校の3年生が郷土資料館を見学しました
令和6年10月30日(水)に緑小学校の3年生が郷土資料館を見学しました。
1組と2組が同時に来館し、常設展示室と企画展示室に分かれて解説を受けました。
縄文時代の竪穴建物をみながら、当時の生活の様子を学びます。
縄文時代の人は、木の実やイノシシ、シカなどの動物、そして魚や貝も食べていました。
児童から「春日部に海ないよ?」という、いい疑問があったため、なぜ魚や貝がとれたのかをみんなで考えてみました!
実は約6000年前をピークとする縄文海進によって、春日部のあたりにも海が入り込んでいた、という事実を知って驚いたようです。
企画展示室では昔の家庭で使われていた道具の解説や、千歯扱き(せんばこき)で脱穀の体験をしました。
千歯扱きで稲から籾が“バラバラッ”と外れていくときには「うぉ~!」「スゲェ!」と言い反応♪
それに反して、外れた籾を我先にと触ろうとする子は少なく、行儀のよさも持ち合わせていました!
自由時間が少し短めになってしまったため、まだまだ遊びたそうな様子。
緑小から郷土資料館は遠い場所ではないので、ぜひまた遊びに来てください!
続・ #校歌 のはなし
実習生の調査から始まり、それがレファレンスを生み、さらに庄和市民大学の学習へと繋がった、校歌の話題。
先日、正善小学校の校歌をお披露目したところ、市民の方から、作詞者についてご教示をいただきました。
正善小学校の校歌の作詞者は、詩人の門倉詇(かどくら さとし)氏。戦後のうたごえ運動の定番曲「たんぽぽ」の作詞者であるそうです。
ご教示くださった市民の方は、「「たんぽぽ」は学生のときによく歌った歌の一つ」。まさか、「たんぽぽ」の作詞者が市内の小学校の校歌を作詞していたとは、と驚かれていました。
市内の学校の校歌で著名なところでは、春日部中学校校歌を下総皖一が、中野小学校校歌を古関裕而が作曲しています。下総は加須市出身の作曲家で、童謡「ゆうやけこやけ」などを作曲しています。古関も著名な作曲者で、高校野球大会歌「栄冠は君に輝く」や阪神タイガースの球団歌「阪神タイガースの歌(通称:六甲おろし)」などを作曲し、NHKの朝ドラ「エール」の主人公のモデルとなった人物です。
古関裕而記念館によれば、古関のもとには全国の学校から校歌作曲の依頼がきていたそうです。事実、中野小学校をはじめ、全国の小学校・中学校などの校歌の作曲をしています。北海道のとある小学校では、校長が「小さな学校で予算もないが、古関先生に作曲してもらいたい」と手紙で依頼したところ、古関は「お礼はいらない」と返事をし、作曲をしたそうです。校歌の完成後、学校の生徒たちが一人一握りずつ持ち寄った小豆を古関にお礼として贈ったという逸話も残っています(古関裕而記念館HPより)。
中野小学校が小豆を贈ったのかどうかはわかりません。しかし、校歌制定にあたって、校長先生や学校関係者のみなさんが奔走・尽力されたことには違いないでしょう。
それぞれの業界で活躍する著名人が、なぜ春日部市内の学校の校歌を作詞・作曲することになったのか。残念ながら、校歌制定までの過程を追える資料が残っていないため、わからないのが現状です。
なお、古関裕而記念館によれば、市内の豊野小学校の校歌も古関裕而作曲とされていますが、手元の学校要覧によれば、同校の校歌の作曲は「豊野小学校職員」となっています。今後、検討が必要がかもしれません。
詳しい情報をご存じの方がおられましたら、教えてください。
10月の近隣博物館・資料館の考古学情報
10月の近隣博物館・資料館の考古学情報をお届けします。(毎月28日ごろに掲載します。随時、情報を更新します。)
見学の際は、休館日等、よくご確認の上お出かけください。
(展示会_閉会日順)
・11月2日(土曜日)から12月1日(日曜日)まで 羽生市郷土資料館 都鳥が見た古代(パネル展)
・10月31日(木曜日)まで 神川町多目的交流施設(神川町)「鏃のうつりかわりinかみかわ」
・11月4日(月曜日・祝日)まで 松戸市立博物館(千葉県松戸市)「異形土器 縄文時代の不思議なうつわ」
・11月8日(金曜日)まで 立正大学博物館(熊谷市)令和6年度館務実習生 ミニ企画展「立正大学のDOGU-土偶ー」
・11月10日(日曜日)まで 桑都日本遺産センター 八王子博物館(東京都八王子市) 企画展「窯がつくるくらしー平安時代のしごとー」
・11月14日(木曜日)まで 国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館(東京都三鷹市)「野川中流域の旧石器時代―ホモサピエンス 氷期の暮らし」
・11月17日(日曜日)まで 栃木県埋蔵文化財センター(栃木県下野市)巡回展「栃木の遺跡&発掘調査速報展」
・11月17日(日曜日)まで めぐろ歴史資料館(東京都目黒区) 新発掘速報展
・11月17日(日曜日)まで 千葉県立房総のむら風土記の丘資料館(千葉県印旛郡栄町) 令和6年度出土遺物公開事業 「地中からのメッセージ-旧石器・縄文・弥生-」 千葉県教育振興財団サイト
・11月24日(日曜日)まで 埼玉県立嵐山史跡の博物館(嵐山町)ほか 比企歴史の丘巡回文化財展「比企の縄文時代ー縄文時代の道具」
・11月24日(日曜日)まで 群馬県立歴史博物館(群馬県高崎市) 第111回企画展「弥生人は二度死ぬー再葬墓ってなに?ー」
・11月24日(日曜日)まで 行田市郷土博物館(行田市) 第37回企画展「布をまとう―古代人の衣(ころも)―」
・11月24日(日曜日)まで 谷田部郷土資料館(茨城県つくば市) 巡回企画展「中根・金田台地区の遺跡」
・11月24日(日曜日)まで 山梨県立考古博物館(山梨県甲府市) 特別展「縄文時代の不思議な道具」
・12月1日(日曜日)まで 埼玉県立さきたま史跡の博物館(行田市) 令和6年度 企画展「古墳時代の装い-おしゃれな古代人-」
・12月1日(日曜日)まで 観音塚考古資料館(群馬県高崎市)令和6年度 第36回企画展「地方から見た律令国家成立前夜 - 群馬の7世紀史を考える -」
・12月1日(日曜日)まで 大田区立郷土博物館(東京都大田区)「矢を放て!~関東の弓矢、1万年~」
・12月8日(日曜日)まで 東京国立博物館(東京都台東区)挂甲の武人国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」
・12月8日(日曜日)まで 北区飛鳥山博物館(東京都北区)秋期企画展「台所(キッチン)の考古学-食にまつわる道具の歴史-」
・12月8日(日曜日)まで あつぎ郷土博物館(神奈川県厚木市) 特別展「ドグウ集まれ!」
・12月15日(日曜日)まで 草加市歴史民俗資料館(草加市) 秋季企画展 「古墳時代の草加地域」
・12月15日(日曜日)まで 市原歴史博物館(千葉県市原市) 令和6年度特別展「旅するはにわ-房総の埴輪にみる地域間交流-」
・12月15日(日曜日)まで 常陸大宮市歴史民俗資料館(茨木県常陸大宮市)令和6年度企画展「弥生の墓」
・12月22日(日曜日)まで 国立近代美術館(東京都千代田区)「ハニワと土偶の近代 」
・12月22日(日曜日)まで 本庄早稲田の杜ミュージアム(本庄市)「埴輪ー本庄とその周辺地域における埴輪の導入から終焉まで」
・12月27日(金曜日)まで 石岡市立ふるさと歴史館 (茨城県石岡市) 第38回企画展 「舟塚山古墳の埴輪」
・3月2日(日曜日)まで 千葉市立加曽利貝塚博物館(千葉県千葉市) 令和6年度企画展示 加曽利貝塚E地点・B地点発掘100周年記念「あれもEこれもE―加曽利E式土器(総括編)―」
(現地見学会)
・11月16日(土曜日)真福寺貝塚(さいたま市岩槻区)さいたま市教育委員会
・11月17日(日曜日)伊奈氏屋敷跡(裏門跡)(伊奈町)伊奈町教育委員会
(講演会)
・11月16日(土曜日)奈良文化財研究所 一橋大学一橋講堂(東京都千代田区)第15回東京講演会「奈文研、食に挑む―ヒトは何をどのように食べてきたのか?―」(要申込) 奈良文化財研究所
・12月7日(土曜日)プリミエール酒々井文化ホール(千葉県酒々井町) 史跡墨古沢遺跡国史跡指定5周年記念講演会「墨古沢遺跡」(要申込) 酒々井町教育委員会
#常設展 #展示替 しました #奥の細道 #松尾芭蕉
常設展の「粕壁宿と町の人びと」のコーナーの展示資料を入れ替えました。 #かすかべプラスワン
ご存じの通り、松尾芭蕉は、紀行文「奥の細道」を執筆するために、元禄2年(1689) 3月27日の明け方、江戸深川を出立し、弟子の河合曽良(かわい そら)とともに春日部に宿泊しています。
日光道中や宿場町の町歩き、散策をされる方のなかには、芭蕉の足跡をたどって、街道を踏破されている方もおり、芭蕉と春日部(粕壁)の関わりを詳しく知りたい方が多く、芭蕉に関する展示やガイダンスは非常にニーズが高いものとなっています。
郷土資料館では、芭蕉の図像(肖像)や様々な彼の作品(版本)を所蔵していますが、肝心の芭蕉の代表的な紀行文「奥の細道」がありませんでした。「奥の細道」には、春日部(粕壁)は登場しませんが、日光道中や宿場町の歴史を紹介する当館の常設展示に、芭蕉の紹介や「奥の細道」を展示することは、長年の課題となっていました。
今回、複製本を入手することが叶い、念願の「奥の細道」を展示することになりました。地方文書ばかりで散漫な展示ですが、展示がギュッと引き締まった感じがして、春日部の歴史がより立体的になりました(※個人の意見です)。
ぜひご覧ください。
【臨時休館のお知らせ】10月26日(土)午後、27日(日)
令和6年10月27日(日)は、教育センターが衆議院議員総選挙の投票所として利用されます。そのため、準備を含め下記の日程で郷土資料館は休館となります。ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
〈臨時休館日〉
令和6年10月26日(土)午後
令和6年10月27日(日)終日
※令和6年10月28日(月)は通常の休館日となります。
桜川小学校の3年生が郷土資料館を見学しました
令和6年10月18日(金)に桜川小学校の3年生が郷土資料館を見学しました。
今日は楽しい社会科見学の日だそうです!市役所新庁舎、郷土資料館、豊野工業団地(バスの中から見学)、折原果樹園と1日かけて回るとのことで、大喜びの様子♪
郷土資料館では、常設展示室、企画展示室、鉄道高架PR展示室を紹介しました。
常設展示室では、縄文時代の竪穴建物の模型や、江戸時代の粕壁宿の模型をみながら学芸委の解説を聞きました。
縄文時代の人は何を食べていたのか、どういう暮らしをしていたのか、模型の中にある食材や道具などから探っていきました。
衣服がシカなどの動物の皮で作られていることなど知らないことがいっぱいでしたね!
企画展示室では、約80年くらい前の民具について解説を受けました。
現在、企画展示室では「くらしのうつりかわり」展を開催しており、多くの民具が展示されています。
今年は、「むかしのどうぐ人気投票」を行っており、児童たちにも任意で参加してもらいました。それが功を奏してか、投票のために道具の名前に注目する子もチラホラ。普段は民具の外見だけに注目する子が多いのですが、参加型になると展示の見方も変わるようです
鉄道高架PR展示室では、県鉄道高架建設事務所の職員の方に解説をしていただきました。
鉄道の高架化は、鉄道を高い位置に設置して暮らしを便利にする事業です。いわゆる“開かずの踏切”が春日部にも存在しており、児童たちもその存在は知っている様子。そういった身近な問題の解決から、駅周辺の活性化など児童の視点からもわかりやすく解説してもらいました。
自由見学の時間には、モニターに釘付けになる児童の姿も(笑)
今日は雨が降ったりやんだりとはっきりしないお天気ですが、きっとどんな天気でも楽しめてしまうでしょう!
そんな風に思わせてくれる、元気いっぱいの桜川小3年生でした!
ぜひまた来てください♪
#ハルカイト 見学のススメ(2) 大型 #民具 目白押し
前回の記事に引き続き、ハルカイト(大凧文化交流センター)の見どころをご紹介。
第2弾は、地域の歴史民俗を紹介する展示室。
郷土資料館は狭く、展示スペースが限られていますので、特に歴史時代のパートでは立体的な資料が少なく、よく言えばコンパクト。悪く言えば迫力に欠ける展示です。仮に立体物を展示すると、資料1点だけで終わってしまうから、仕方なく、こじんまりとした展示をしています。反対にいえば、大型の民具があっても、展示できない、日の目を見る事がないということです。
そうした課題もあり、ハルカイトの展示では、郷土資料館では展示しづらい大型の民具をいくつも展示してみました。
その一例が、これです。
資料の名称は「タコ」。大人4人を棒をもち、地面をドスン、ドスンをたたく道具です。堤防やあぜ道、土間などの地固めで使ったものです。下吉妻地区で使用されていたものです。次の道具も同じ用途で使われたものです。
名前は「ジギョウツキ」。赤沼地区で使用されていたものです。
「ジギョウ」とは「ジンギョウ」ともいい、漢字では「地形」と書くようです。地形とは、国語辞典では地固めのことを指しますが、地元では水塚(みづか)などの地固めした土地のことを「ジンギョウ」と呼ぶようです(松伏町史資料2『民具』)。
本来は、前の「タコ」と同様に立てて使うものなので、立てて展示したかったのですが、資料の高さが314cmもあり、天井にぶつかってしまうため、残念ながら寝かせて展示です。
いずれも、市民の皆様から寄贈されながらも、長く別置された倉庫に保管されていて、なかなか日の目を見ることがなかった資料です。中川低地の県東部地域で特徴的な水塚(みづか)、あるいは堤防などを築造するのに使われた、特色ある資料といえるでしょう。
ほかにも、郷土資料館では、お目見えできない迫力ある民具が並んでいますので、ぜひ民具マニアの方も、そうでない方も、ご覧いただければ幸いです。
【 #10月15日 】 #今日は何の日? in春日部
今から70年前、昭和29年(1954)10月15日は 市の広報誌が発行された日です。 #かすかべプラスワン
今は「広報かすかべ」と呼んでる市報のはじまりの話。当時は「春日部市政だより」という名称でした。創刊号は、瓦版のような一枚摺り物。もちろんモノクロです。創刊号の紙面はこれです(広報誌縮刷版より)。
(旧)春日部市が誕生が誕生したのは、昭和29年7月1日のこと。紙面の冒頭には、山口宏市長の「市政だより発刊に際して」のあいさつ。小見出しには「田園都市の建設を念願」とあります。
当時の市の人口は3万人余り。かつて宿場町だった粕壁の市街地から少し離れると農村=田園風景が広がるまちでした。それを「田園都市」と言い当てているのでしょう。合併直後は、財政・課税上の問題もあったようで、「本格的な建設に入るのは来年度」と断ったうえで、「学校を相互に結ぶ幹線道路の建設」を掲げ、「生成的な田園都市」を目指すと述べています。
現在の「広報かすかべ」は、市政・制度や諸事業の予定をお知らせする記事が大半を占めていますが、紙面は、市制施行後3か月を経た創刊号ということもあり、議会や様々な事業の報告、各種組織や委員会の構成員の報告など、市民に対して市政をフィードバックする記事が多いのが特徴です。裏面には、市章が決定したこと、東京で開催された全国地方自治綜合大会にて、大畑の「ミロク踊り」(やったり踊り)が三等に入賞したこと、ミス春日部が決まったこと、などを報じています。
丸山鼎市議会議長は、市政だよりの発刊を「その行政を市民に周知せしめ、市民の声を取り入れて、所謂民主的行政の運営を図るべく、即ち役所と市民のつながりとしての役割が極めて大なるもの」と位置付けています。春日部の市政について周知する媒体として、期待されていたことがうかがえるでしょう。
担当者が個人的に面白いと思えたのは、市政だよりの題字です。「春日部市政だより」の文字、「春」「部」「市」「政」はとても美しい草書体です。揮毫した人が誰なのかわかりませんが、非常に格式高い題字だと思います。いかに親しみをもって手に取ってもらえるか、工夫を重ねている現在の広報誌では考えられない題字といえましょう。ちなみに、草書体の題字は次号の第2号(昭和29年11月18日発行)で早くも楷書体に替わり、幻の題字となりました。昭和29年度は創刊号~4号、30年度は5号~10号、31年度は11・12号、32年度は13・14号と発行回数もまばらでしたが、昭和33年度の第15号(昭和33年4月10日発行)から「毎月1回・10日発行」となります。「春日部市政だより」は、第70号(昭和37年11月10日発行)を記念し、「広報かすかべ」に改称し、「紙面の刷新改変をはかる」ことになりました。当時の発行部数は、7500部と記されています。
広報誌(市政だより)のバックナンバーは創刊号に関わらず、広報かすかべの縮刷版でご覧いただけます。図書館や市政情報室などに配架しています。
ちなみに縮刷版は、昭和46年(1971)7月に発行されました。縮刷版の田中市長のあいさつ文には「新庁舎も完成し、進展する社会に即応して、なお一層の施策の充実を期するときにあたり、この17年間における市政のできごとの要約版ともいうべき「広報かすかべ縮刷版」を発刊することとした」とあります。当時、流行の最先端となる旧市庁舎(二代目市庁舎)の完成を記念して、市政が「躍進」するなかで、過去を顧みる試みがなされたといえるでしょう。しかし、縮刷版をみると、原本が破けているもの(第16号など)もあり、昭和46年当時、古い資料が処分されつつあり、17年間の市政をふりかえる(広報誌のバックナンバーを集める)ことが困難であったことがうかがえます。
「温故知新」とは使い古された言葉ですが、過去を顧みて、新しい道を切り拓くことは、70年経ち、新しい庁舎での業務が始まった今にも求められている、と感じるのは私だけでしょうか。
過去の今日は何の日?in春日部シリーズ→1月1日版、3月14日版、3月27日版、4月1日版、4月28日版、6月2日版、6月3日版、6月10日版、7月31日版、9月1日版、9月16日版、11月25日版
過去の今日は何の日?in春日部シリーズは、上のリンクからお読みいただけます。
郷土資料館【手作りおもちゃクラブ】を開催しました
令和6年10月13日(日) の午前と午後各1回ずつ、郷土資料館手作りおもちゃクラブ「ペーパーローリングを作ろう!」を開催しました。
まずは蓄音機の上演から。
使用している蓄音機は100年ほど前に使われていたもので、電気を使わず、ゼンマイで動きます。
紙芝居の読み聞かせは「蛇女房」という鶴の恩返しにも似たお話です。この日作ったおもちゃも見ようによっては蛇のようにみえるかも?
おもちゃ作りでは「ペーパーローリング」を作りました。40年くらい前には、お祭りの屋台で大ヒットしていたようです!
シュルシュルッという音も心地よく、自然に戻ってくるので何度でも遊べるのがうれしいおもちゃです♪
最後はおみやげの缶バッジ作りをしておしまいです。
実はこのバッジマシン、来てくれたこどもたちに喜んでもらうべく、毎度他課から借りてきています(笑)
今日も喜んでもらえたようで何よりです!
次回の手作りおもちゃクラブは11月10日(日)と14日(木)に開催予定です。
詳しくは広報紙等に掲載いたします。それぞれ別のおもちゃを作る予定なので、ぜひ楽しみにしていてください!
#常設展 #プチ展示替 しました
常設展示の「水とのたたかい」のコーナーの展示資料を展示替えしました。新出資料の武里小学校の日誌です。
今回展示した日誌は、昭和22年(1947)のもの。昭和22年といえば、カスリン台風の水害が起きた年です。
水害のきっかけとなった、利根川の堤防の決壊は、9月16日の午前0時に起こりました。洪水の濁流は、日時をかけて県東部の中川低地を襲い、最終的には東京まで浸水することになったのは、以前も紹介した通りです。
日誌から、水害発生時の学校の対応が明らかになります。
日誌の9月16日条には次のように記されています。
水害予防により全校児童、授業第一時にて打切、帰宅さす
水害が発生した当日、児童は通常通り、武里小学校に登校したようです。しかし、すでに利根川の堤防は決壊しており、濁流が押し寄せてくることはわかっていました。武里小学校では、「水害予防」、すなわち水害に備えるため、授業を一時間目で終え、児童を帰宅させたことがわかります。学校では、水害に備えるため、急遽宿直を2名体制にもしました(通常は1名)。
武里近辺では日中はさしたる被害がなかったようですが、夜になると半鐘が鳴りやまず、宿直の先生は騒がしい一夜を過ごしたそうです。
宿直の先生の記入欄には次のようにあります。
古利根川より浸水のおそれ時をかさねるに従ひ増大す。されど朝に到るも未だ浸水せず。
16日には、古利根川の洪水の恐れが危惧されながらも、17日朝になっても浸水被害はなかったと記録されています。
しかし、17日には近隣からの避難者が学校に集まり、学校は教室を開放しています。現代でも小学校の校舎は避難所に指定されていますが、戦後直後の時代でも困った方たちが集まる場所だったのですね。武里小は、古利根川の旧流路に発達した自然堤防の上に所在していますので、武里地区のなかでもひときわ標高が高い土地になっていることも、地元の方たちは知っていたのでしょう。
武里村では、字備後で古利根川が17日午後1時に決壊し、越水が起きています。日誌では「一ノ割方面ニ浸水」ともあり、翌17日には周辺の被害が次第に生じてきたことがわかります。その後、武里小学校はどう対応したのか。学校の再開はいつだったのか。
あまり饒舌に語ると、せっかくの展示を見に来ていただけませんので、この辺りでとどめておきます。
詳しくは展示で紹介していますので、ぜひご覧ください。
【東部地区文化財担当者会リレー展示_都鳥が見た古代】松伏町役場でパネル展が開催されています
10月28日まで、松伏町役場で、「都鳥がみた古代」のパネル展が開催されています。
松伏町役場は北越谷駅から東へ約5㎞の位置にあります。展示は、松伏町役場本庁舎入ってすぐの町政情報コーナーで行われ、この場所には、普段から松伏町内の貝塚である本郷貝塚と栄光院貝塚の出土土器が常設展示されています。
このうち本郷貝塚の土器群は、縄文時代後期の優品の蓋付(ふたつき)注口土器などから構成され、埼玉県指定文化財になっています。
公共交通機関でのアクセスする場合、せんげん台駅、北越谷駅から茨急(茨城急行)バスです。北越谷駅からは、平日は約10分ごとにバスが出ていて便利です
見学できる時間は、役場の開庁時間である月曜日から金曜日の8時30分〜17時15分ですのでご注意ください。
この機会にぜひお出かけください。
開催期間 令和6年10月4日(金曜日)~10月28日(月曜日)
開催場所 松伏町役場本庁舎1階 町政情報コーナー 松伏町大字松伏2424番地
開館時間 午前8時30分~午後5時15分
休館日 土曜・日曜・祝日
お問い合わせ 048-991-1873(教育文化振興課直通)
リレー展示は、下記日程で開催予定です。
10月4日から10月28日 松伏町役場 パネル展示
11月2日から12月1日 羽生市立郷土資料館 パネル展示
12月14日から令和7年1月13日 越谷市立図書館展示室 パネル展示
1月25日から3月9日 八潮市立資料館 資料展示
3月15日から4月8日 白岡市立歴史資料館 資料展示
4月12日から4月29日 吉川市中央公民館 パネル展示
5月3日から5月25日 久喜市立郷土資料館 資料展示
6月3日から7月21日 幸手市郷土資料館 資料展示
7月29日から8月24日 蓮田市文化財展示館 資料展示
9月5日から9月19日 加須市パストラルかぞ パネル展示
10月24日から11月26日 三郷市わくわくライブラリ― パネル展示
令和8年1月6日から3月1日 宮代町郷土資料館 資料展示
くらしのうつりかわり展のみどころ(その2)
前に紹介した「くらしのうつりかわり」展。血も涙もない総選挙「むかしのどうぐ人気投票」も絶賛実施中です。
毎年恒例とはいいながらも、地味に展示資料やパネルを変えていますので、少し変わった点を紹介させていただきます。
例年の「くらしのうつりかわり」展では、資料をギュウギュウに詰め込んでいました。
ところ狭しと資料を展示するのが、春日部市郷土資料館流。だって、展示室が狭いんですもの。
少し見栄えが悪くたって、背に腹は代えられません。せっかく見に来てくださっているのですから、おなか一杯になるように、資料をたらふく紹介したい。そういう、展示の技法(思想?)です。
しかし、ギュウギュウだと見栄えが悪く、ごちゃごちゃしていて見ている方も(実は並べる方も)疲れます。なので、今回は、春日部市郷土資料館らしくない、若干ゆったり目の展示としました。写真奥の「むかしの家のなかの道具」のケースは例年よりも陳列するものを若干ですが、減らしています。
また、はじめて展示するモノも増やしました。
題して「千歯こき、大集合!!」
職人が一つ一つ手づくりした「むかしの道具」は、同じ名前でも、一つ一つに個性があって、背景がある。
たとえば、写真の左手前の千歯こきの台木には、墨で文字が書かれていますが、他の二つにはその痕跡がありませんし、左上段の千歯こきは、他の2つに比べて歯の数が少なくなっています(歯のことを「穂」というそうです)。
団体見学で来館してくれた小学校のみなさんには、千歯こきの体験をしてもらっています。
体験につかう千歯こきは、別にもう一つありますから、つかったものと並べ、同じ道具でも、よーくみると少しずつ違いがあることに気づいてほしい。そんな思いを込めて千歯こきを招集しました。
実は、展示場所を決めたあと、まだ千歯こきが収蔵されていることに気づきました。本当の大集合はまた別の機会を用意できればと思っています。
事業名:くらしのうつりかわりーなつかしのくらしの道具展ー・なぞとき郷土資料館THE THIRD MISSION
会 期:令和6年10月8日(火)~令和7年3月2日(日)
費 用:無料
【手作りおもちゃクラブ】ペーパーローリングを作ろう!
10月13日(日)に“手作りおもちゃクラブ”を開催します。
今回作るおもちゃは「ペーパーローリング」です。
郷土資料館で作るおもちゃは動力に電気を使わない、身近にある材料で手作りできるものになっています。電気を使わない遊びなんて、今日では探す方が難しいかもしれませんね。
もちろん下準備や、作るうえでのコツは必要ですが、懐かしさと手作り感満載に出来上がるおもちゃが“手作りおもちゃクラブ”のウリです♪
ペーパーローリングの遊び方はコチラ
シュルンッと伸び縮みする剣のようでカッコイイ!
勢いよく振りすぎると、ぐにゃりと折れ曲がって壊れてしまうのですが、そのギリギリを狙うのが楽しかったりします(笑)
手作りおもちゃクラブは申込不要、おもちゃの材料も資料館で用意しています。
当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!
【手作りおもちゃクラブ】
日時:令和6年10月13日(日)午前10時30分~・午後2時~
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:蓄音機と紙芝居の上演
おもちゃづくり(ペーパーローリング)
費用:無料
申込:不要(開催時間までに郷土資料館にお越しください)
考古学講座第1回目を開催しましたー慈恩寺原北遺跡の旧石器
9月28日土曜日、今年度の考古学講座が開講しました。5回連続の講座で、1日目の本日は、「考古学とは?」と「春日部のどこに遺跡があるか?」、「春日部の旧石器時代」についてお話いたしました。内容は、昨年度とほぼ同様ですので、ご興味がある方は昨年度の記事などをご参照ください。
また本日は、慈恩寺原北遺跡の石器を会場でご覧いただきました。
慈恩寺原北遺跡は、東武アーバンパークライン豊春駅の北西方向、花積(はなづみ)地区に所在します。大宮台地上に立地し、標高約17mです。
平成17年に開智学園の校舎建設に先立ち発掘調査が行われ、旧石器時代、縄文時代、古墳時代、平安時代の遺構が確認されました。
このうち旧石器時代は、関東ローム層の最下部の約3万年前の層から58点の礫、石器、剥片が出土ました。
特に興味深いのは石器に使われている石材が多様なことです。群馬県域を中心に分布するガラス質黒色安山岩(あんざんがん)、栃木県矢板市高原山(たかはらやま)産の黒曜石(こくようせき)のほか、新潟県阿賀野市笹神(ささかみ)丘陵産と推定される珪質頁岩(けいしつけつがん)、碧玉(へきぎょく)、瑪瑙(めのう)などがあり、当時の人々の活動や交流範囲の広さを示しています。
これらの石器は「慈恩寺原遺跡出土旧石器時代石器群」として、春日部市指定文化財になっています。
次回は10月26日(土曜日)、内容は「発掘調査の方法・層位学」、「春日部の縄文時代」です。本日の続きもお話ししますので、お配りしたテキストをお持ちください。
#総選挙 資料がしのぎ削る戦い「くらしのうつりかわり展」幕開けです
毎年、秋から冬にかけて恒例の小学校地域学習展「くらしのうつりかわり~なつかしのくらしの道具展~」が、本日10月8日よりはじまりましたよー
今回で41回目となる「くらしのうつりかわり」展。毎年、同じような内容、同じ資料を陳列する恒例の展示です。なぜ、同じようになるのかといえば、小学校の地域学習の単元にあわせた展示だがら。学習内容は毎年そう変わるものではありません。毎年、小学3年生になる子どもたちが見に来て、社会科学習の参考にしてくれています。
ただ、飽きっぽい性格の担当者は、毎年、同じモノを作業的に並べるのが苦痛でたまりません。
が、、、今年は少し様変わり。どのあたりが変わったのか、何度かにわけて紹介します。
今日は、変更点お知らせの第一弾。今回イチオシの企画。その名も「第一回 むかしのどうぐ人気投票~展示資料、入れ替え計画~」です。
趣旨は、ご観覧いただいた皆様に、好きな資料、気になる資料、イチオシの資料などなど、なんでもよいので投票してもらい、展示室の人気者(ならぬ、人気モノ)を決定するものです。割とよくある企画だと思います。
ただ、少し違うのは、その結果が次の機会に反映されることでしょうか。順位をつけて、人気モノは、次期(来年度)の展示の”センター”に陳列します。反対に、人気が得られなかったモノは、第一線の展示室から脱落し、郷土資料館の収蔵庫へ。いったん最前線から退いていただき、皆さんへのお見えはまたの機会に。というように、某アイドルグループの「総選挙」のようなやり方で、資料と資料にしのぎを削ってもらおうとする企画です。
企画のねらいはいくつかありますが、一番は、観覧者のみなさんのニーズを知る。展示の担当者が見てもらいたいといくら思って伝えたところで、皆さんのニーズとズレたままでは、結局、敷居の高い、古いくさい博物館になってしまいます。ニーズに鑑みながら、どのような資料をどのように紹介すればよいか、皆さんが郷土資料館に求めているものは何なのか、考えていきたいと思います。
もう一つは、副題の「展示資料、入れ替え計画」に関わるもの。陳腐化されがちな「くらしのうつりかわり」展を蘇らせること。コロナ禍を経て、小学校の団体見学が減り、代わりに出張授業「でばりぃ資料館」の回数が増えました。そうしたなかで、小学校地域学習向けの「くらしのうつりかわり」展は、今までとは違う役割を果たしていかなければならないと、個人的に感じています。皆さんのニーズを知ることにも関わりますが、ニーズを踏まえ、資料や展示方法を吟味、入れ替えを毎回繰り返していけば、展示の内容が次第に洗練されていくことになり、「くらしのうつりかわり」展がまた息を吹き返すことになるのではないか、と期待しています。
ただし、人気が得られなかった資料は、おはらい箱になるのではありません。郷土資料館の重要な使命として、資料を適切に保存し、後世に伝えることがあります。資料にとって、展示室という華やかな舞台に立つことは、喜ばしいことだとは思いますが、照明があてられ、体験コーナーでは不特定多数の方に触られることは、資料の保存上にはあまりよろしくありません。ですから、展示室からいったん下がることで、資料のコンディションを整えることにもなり、その資料が後世に引き継がれることにもつながっていくのです。展示から保存、保存から展示、という博物館資料のサイクルを循環させるためにも、いったん収蔵庫に下がることは何も後ろめたいことではありません。そのあたりが、「総選挙」とやらで、芸能生命をかけて勝ち負けを争うアイドルと違うところでしょうか。
資料と資料を争わせる、血も涙もない企画ですが、どんな結果になるのか、その結果が私たちの宿題にもなるはずで、楽しみでもあります。ご来館いただいた方にはどなたでもご参加いただけます。ぜひ、何度でも投票しにいらしてください。なぞとき郷土資料館も同時開催中です!
事業名:くらしのうつりかわりーなつかしのくらしの道具展ー・なぞとき郷土資料館THE THIRD MISSION
会 期:令和6年10月8日(火)~令和7年3月2日(日)
費 用:無料
【なぞとき郷土資料館The Third Mission】今年もいい“なぞ”入ってます
先日ブログにも書きました通り、今年も「なぞとき郷土資料館」を開催します。
開催期間中は郷土資料館の受付で、なぞときプリントを配布していますので、「なぞときやります」とお声がけください。
今年のなぞとき郷土資料館は、ちょっと優しめの「天使コース」と、天使コースクリア者のみが挑むことのできる難しめの「悪魔コース」をご用意しています!
というのも、例年「難しいけど楽しい」といったありがたいご意見も多くいただくのですが、難しさゆえにリタイアされる方もいらっしゃるため、どうにかクリアする喜びを感じていただけるよう、難易度を2段階に分けてみました。
「天使コース」は15~20分、「悪魔コース」は25~30分をクリア時間の目安としています。
「天使コース」のみで終了しても問題ありませんし、「天使コース」と「悪魔コース」を続けてやる時間がない方は、「天使コース」をクリアして、後日「悪魔コース」に挑んでいただいても大丈夫です!(その際は、受付で「天使コースクリア済み」とお伝えください)
今年も参加料なし!年齢制限なし!記念品あり!
ぜひ郷土資料館の見学がてら、なぞときにもチャレンジしてみてください!お待ちしています♪
なぞとき郷土資料館The Third Mission ティザームービー
“愛されて第3弾”
【なぞとき郷土資料館The Third Mission~重なるトゥー・リドル・ペーパーズ~】
期間:令和6年10月8日(火)~令和7年3月2日(日)
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:なぞときプリントの配布(受付で「なぞときやります」とお声がけください)
クリアした方には記念品をプレゼント
自由参加
※期間中は第41回小学校地域学習展「くらしのうつりかわり」展を開催しています。合わせてご覧ください。
#ハルカイト 見学のススメ(1) #社会科見学 でご活用ください
今年8月にオープンした「ハルカイト」(大凧文化交流センター)。数回にわけて、展示の見どころを紹介します。 #かすかべプラスワン
まずは、何と言っても「大凧あげ」。毎年5月3日・5日に西宝珠花地区で行われる大凧あげは、もはや春日部の代名詞、一大観光イベントにもなっていますが、宝珠花の大凧揚げは、市指定無形民俗文化財、国選択の無形民俗文化財「関東の大凧揚げ習俗」の一つにもなっている、地域がはぐくんできた文化遺産でもあるのです。
2階の大凧文化展示室では、床面にはみ出さんばかりに貼られた、実寸大の大凧のシートをはじめ、大凧揚げの起源や歴史、大凧づくりの過程を模型や資料・パネルで紹介しています。
ところで、埼玉県内の小学校4年生の社会科学習では、県内の伝統・文化や特色のある地域を学ぶ単元が設けられています。春日部市の社会科副読本では川越の川越まつりや蔵造りのまちが教材として取り上げられていますが、県内の市町村では、「春日部の大凧あげ」がテーマや教材として取り上げられることもあるそうです。ハルカイトの大凧文化展示室は、その課題に応えられる、もっとも相応しい施設といえるのではないでしょうか。
市内には、巷で注目されている防災施設・首都圏外郭放水路(龍Q館)もありますので、防災学習で首都圏外郭放水路を見学したのち、県内の伝統・文化を学ぶため、ぜひハルカイトをご利用いただく、そんなルートでの社会科見学をぜひご計画ください。
そして、展示を見学するだけでなく、来館の思い出に写真も撮れます。
こちらは、担当の職員がひねりにひねって出したアイデア、トリックアートで体験する大凧揚げです。手元の縄は本物の縄を使用しており、とても臨場感のある仕上がりになっています。子どもだけでなく、大人の方もはしゃいで記念撮影をされ、好評のようです。
大凧あげは、毎年5月3日・5日の2日間限定のイベントなので、年間を通じて春日部の大凧あげの魅力を発信することは、なかなか厳しい状況にありました。しかし、ハルカイトがオープンしましたから、これでもう、年がら年中、大凧あげ。いつでもその魅力に接することができるようになりました。
子どもだけでなく、大人も楽しめる展示となっています。ぜひ、ふるってご来館ください。
9月の近隣博物館・資料館の考古学情報
9月の近隣博物館・資料館の考古学情報をお届けします。(毎月28日ごろに掲載します。随時、情報を更新します。)
見学の際は、休館日等、よくご確認の上お出かけください。
(展示会_閉会日順)
・10月28日(月曜日)まで 松伏町役場 都鳥が見た古代(パネル展)
・10月31日(木曜日)まで 神川町多目的交流施設(神川町)「鏃のうつりかわりinかみかわ」
・11月4日(月曜日・祝日)まで 松戸市立博物館「異形土器 縄文時代の不思議なうつわ」
・11月8日(金曜日)まで 立正大学博物館(熊谷市)令和6年度館務実習生 ミニ企画展「立正大学のDOGU-土偶ー」
・11月14日(木曜日)まで 国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館(東京都三鷹市)「野川中流域の旧石器時代―ホモサピエンス 氷期の暮らし」
・11月17日(日曜日)まで 栃木県埋蔵文化財センター(栃木県下野市)巡回展「栃木の遺跡&発掘調査速報展」
・11月24日(日曜日)まで 埼玉県立嵐山史跡の博物館(嵐山町)ほか 比企歴史の丘巡回文化財展「比企の縄文時代ー縄文時代の道具」
・11月24日(日曜日)まで 群馬県立歴史博物館(群馬県高崎市) 第111回企画展「弥生人は二度死ぬー再葬墓ってなに?ー」
・10月12日(土曜日)から11月24日まで(日曜日) 行田市郷土博物館 第37回企画展「布をまとう―古代人の衣(ころも)―」
・11月24日(日曜日)まで 谷田部郷土資料館(茨城県つくば市) 巡回企画展「中根・金田台地区の遺跡」
・12月1日(日曜日)まで 埼玉県立さきたま史跡の博物館(行田市) 令和6年度 企画展「古墳時代の装い-おしゃれな古代人-」
・12月1日(日曜日)まで 観音塚考古資料館(群馬県高崎市)令和6年度 第36回企画展「地方から見た律令国家成立前夜 - 群馬の7世紀史を考える -」
・12月1日(日曜日)まで 大田区立郷土博物館(東京都大田区)「矢を放て!~関東の弓矢、1万年~」
・10月16日(水曜日)から12月8日(日曜日)まで 東京国立博物館(東京都台東区)挂甲の武人国宝指定50周年記念
特別展「はにわ」
・12月22日(日曜日)まで 国立近代美術館(東京都千代田区)「ハニワと土偶の近代 」
・10月12日(土曜日)から12月22日(日曜日)まで 本庄早稲田の杜ミュージアム(本庄市)「埴輪ー本庄とその周辺地域における埴輪の導入から終焉まで」
・10月19日(土曜日)から12月15日(日曜日)まで 草加市歴史民俗資料館 秋季企画展 「古墳時代の草加地域」
(現地見学会)
・10月19日(土曜日)山野貝塚(千葉県袖ケ浦市)袖ケ浦市教育委員会
・11月16日(土曜日)真福寺貝塚(さいたま市岩槻区)さいたま市教育委員会
レファレンスがレファレンスを生む
春日部市内の様々なことについて、郷土資料館にお問い合わせいただくことがあります。これに的確にお応えするのも郷土資料館の一つの役割。いわゆるレファレンス(情報探し)です。 #かすかべプラスワン
先日、春日部市内の小学校・中学校・義務教育学校の校歌について調べている方から、調べ方などについてお問い合わせいただきました。昔のことだけでなく、今・現在のことも尋ねられられることもしばしばあります。今のことを理解するためには、歴史を紐解く必要があるわけですから。今と歴史はつながっていると実感させられます。
実は、校歌について調べていらっしゃる方は、庄和地区市民大学のグループの自由課題に取り組まれている方で、市内の校歌にどのようなことが歌われているのか、を調査されているそうです。校歌には、地域の名所・旧跡や自然的な景観が詠みこまれていますが、とくに「富士山」に着目して、市内の浅間信仰にも派生して、様々なことを調べていらっしゃるそうです。そうした観点から校歌を捉えてみるということ、非常に興味深く感じました。
さて、今回は、資料の利用について相談のためご来館いただきました。「学校の校歌ができたころ、かつて校舎から富士山がみえたに違いない。それを証明するために、学校の周りに建物が少ないころの写真を提供してほしい」とのご相談でした。
思い当たるものはいくつかあるのですが、さしあたり、次の写真を提供させていただきました。いずれも昭和45年(1970)に撮影されたものです。
ほごログの読者の方から、画像が小さいというご意見もいただいているので、今回はめいいっぱい大きな画像で掲載します。拡大してご覧いただくのはスマホをスワイプしてください。ちなみ、右クリックでダウンロードもできます(利用は個人で楽しむ範囲でお願いします)。
まずは、豊春小学校。写真の上に横断する道は現在の県道2号(かつての国道16号)です。
校舎はかつての木造校舎。道沿いに大きな池がみえます。古隅田川の旧流路沿いにあたるようです。これだけ大きな池なので名前もあることでしょう。ご存じの方がおられましたら教えてください。
次は、幸松小学校です。
こちらも、かつての木造校舎。円形の体育館は、今も幸松小のシンボルです。
もう一つの円形の体育館といえば、武里小学校。
こちらも、かつての木造校舎がみえます。
いずれも、周辺がまだ住宅地として開発される直前であることがわかります。
白黒ですが、もう少し俯瞰した写真をみれば、さらにその状況がよくわかります。
写真の中央が武里小学校。左上には武里中学校がみえます。注目されたいのは、小学校の東側(右側)の敷地。Dの字を逆さにしたような形で田んぼが広がっています。いまや戸建て住宅が立ち並ぶ備後西の住宅街となっていますが、それは、この写真の少し後のことのようです。
いずれも本邦初公開の写真です。とくにカラー写真は当時はまだ少なかったのでとても貴重な写真となります。
ご来館いただいた方に、これらの写真を提供したところ、大変喜んでいただきました。
校歌・富士山・富士浅間信仰の調査は、記録としてまとめられると聞いています。成果がまとまりましたら、まとめたものを郷土資料館にご提供いただけますと幸いです。なぜなら、次のレファレンスにつながるからです。
そうして、レファレンスは次のレファレンスに続いていくのです。私たち学芸員は、資料と資料、そして資料や歴史と人をつなぐ「コンシェルジュ」といったところでしょうか。またのご利用をお待ちしております。
#民具 のクリーニングをしました
暑い盛りも過ぎたようなので、民具のクリーニングをしました。今回の民具は、今夏に寄贈を受けた桐下駄の製作用具です。 #かすかべプラスワン
寄贈を受けた桐下駄製作道具は、埼玉県立民俗文化センター編『埼玉の桐細工』(1987年)に報告されているもので、桐下駄製作の職人さんが亡くなられた後、使用されず保管されていたものです。
寄贈されて直ぐに展示、というわけにはなかなかいきません。資料の活用の前に、一つ一つ調書をとって整理を進めることになりますが、さらに、その前にクリーニングを行います。
たとえば、このカンナ。
よってよくみると・・・
白い斑点が。カビなのかもしれません。水洗いをして、よーく陰干しをして除去しました。
つぎは、木製の道具。
おそらく、ゲタを製作するときのカタ(型)や作業の台なのだろうと思われます。
ゴキブリの卵の跡や埃もついていましたので、水洗いしましたが、裏をみると・・・
虫に喰われて、大きく破損しています。
こういった脆弱なものは丁寧にクリーニングをしました。
クリーニングをするなかで、大正時代の墨書のあるものがありましたので、古くは大正時代から桐下駄製造をされていたお宅であることがわかりました。
今後は、『埼玉の桐細工』などを参照しながら、調書をとっていくことになります。
それにしても、桐箪笥や桐箱のみならず、桐下駄製作まで。春日部は本当に「桐のまち」だったこと、実感いたしました。
9/27 #ハルカイト で #ミュージアムトーク 西宝珠花の歴史を学ぶ
8月にオープンした大凧文化交流センター「ハルカイト」でミュージアムトークを行います。
当日は、ハルカイトと郷土資料館の職員が、各展示室を解説します。
どうぞこの機会に、大凧文化交流センター「ハルカイト」にお越しください。
日時:令和6年9月27日金曜日 10:00から12:00
場所:大凧文化交流センター「ハルカイト」(春日部市西宝珠花593 宝珠花小学校跡地)*集合場所2階大凧文化継承室
定員:30名(お申し込み順)
講師:ハルカイト職員 春日部市郷土資料館学芸員
お申し込み:9月25日水曜日までに、下記へお電話でお申し込みください。
春日部市大凧文化交流センター「ハルカイト」 (048)748-1833
受付時間8:30~17:15 休館日:毎週火曜日
(過去のほごログより)
【新発見!】見川喜蔵の文書(2)
前回紹介した安永3年の借金証文。差出人の安左衛門が郷土の偉人見川喜蔵であると紹介しました。
なぜ、安左衛門が見川喜蔵といえるのか。その秘密は、文書に捺されているハンコです。拡大してみましょう。
印文を見ると、右から「知擧」と彫られているようです。安左衛門の諱と考えられます。
「知擧」の名は、前回紹介した見川喜蔵と同じ諱です。粕壁・成就院の見川喜蔵の墓(市指定文化財)には、喜蔵の事績とともに彼の諱が「知擧」であったことが刻まれています。安左衛門という通り名は、喜蔵の息子も名乗っていますので、見川家当主が襲名する名前であったと考えられます。ですから、この安左衛門は見川氏、そして後に活躍して様々な事績を遺す見川喜蔵であると考えられるのです。
実は、これまでの調査で、見川喜蔵の名前が確認される最古の史料は、安永9年(1780)4月のもの。粕壁宿喜蔵が、捉飼場御用のため人馬を差し出す旨を藤塚村名主へ通知する古文書でした(慶応義塾大学文学部古文書室蔵「村鑑雑集 上」)。同年に喜蔵は粕壁宿の問屋(宿場役人)を勤めているので、おそらく問屋の職務として藤塚村名主へ通知したものと考えられます。
喜蔵の最古の古文書が安永9年なので、これ以前「喜蔵」は何と名乗っていたのか、わかりませんでした。そのため、他の記録の見川家に関する記事をどのように理解すればよいのかが課題となっていました。その記事の内容は次の通りです。
(安永8年)正月、名主・問屋八郎左衛門、家開発以来両役相勤、御検地帳預り居、帳元名主ニ有之、然所病身ニ付、伊奈半左衛門様御役所江休役願上、跡役見立候迄相名主鉄郎次壱人ニ而相勤、同人親安左衛門後見、二月御検地帳鉄郎次江引渡(「公用鑑 下」『春日部市史』近世史料編Ⅱp712)
意味は、安永8年正月、名主八郎左衛門(関根氏)が病身のため名主・問屋役の休役を願い、跡役が決まるまで相名主鉄郎次が1名で両役を勤めることにになった。鉄郎次の親安左衛門がこれを後見し、同年2月には関根家の検地帳が鉄郎次に引き渡された。粕壁宿では、安永7年まで関根氏と見川氏の両家が名主・問屋役を勤めていましたが、関根氏(八郎左衛門)が休役したため、鉄郎次(見川氏)が名主と問屋と勤めることになったのです。しかし、鉄郎次は、後の喜蔵と同一人物であるのか、はたまた親の安左衛門が、後の喜蔵と同一人物であるのかが、上の記事から読み取ることができません。
しかし、今回発見した安永3年の借金証文によれば、安左衛門が「知擧」(後の喜蔵)と名乗っていますので、のちの喜蔵は当時安左衛門と称していたことがわかりました。したがって、安永8年正月の名主鉄郎次は、喜蔵の息子(後の安左衛門)、後見人となった親の安左衛門が後の喜蔵であるということが、ほぼ確定されることになったのです。
ちなみに、喜蔵と名乗って以後は、今回の借金証文とは別のハンコが使われていますが、印文はやはり「知擧」。安左衛門を改め、喜蔵と名乗る時期がいつなのか、今後考えなければなりませんが、息子の鉄郎次が安左衛門を名乗ったタイミング、すなわち後見人が不要になった段階に、喜蔵と名乗ったのではないかと推察されます。喜蔵という名前は宿行政の前線を退いた後のいわば隠居的な名乗りだったのかもしれません。
長年、見川喜蔵を追いかけてきた担当者は、上の古文書のハンコが「知擧」であるとわかったとき、小躍りする気持ちになりましたよ。個人的には、見川喜蔵の「知擧」のハンコを来館記念スタンプにしてもよいかもと思っていますが、喜ぶのは担当者だけですね。
この発見は、日本の歴史にとっては小さな一歩ですが、春日部・粕壁宿の歴史にとっては偉大な飛躍です。
【新発見!】見川喜蔵の文書
見川喜蔵といえば、天明の飢饉前後、粕壁近辺で水害が多発した時、私財を投げうって堤防の修復や、地元の人たちを指揮し、地域を水害から守った郷土の偉人として知られています。喜蔵は、のちに江戸幕府から褒賞され、また地域の人々からも慕われ、粕壁の成就院の見川喜蔵の墓(市指定文化財)には供花が絶えなかったといわれています。
史料整理を見直していたところ、一通の借金証文に目がとまりました。今回はマニアックです。
古文書は次のように記されています(画像は紙が折れて一部文字が読めませんが)
借用申金子之事
一、金壱両壱分也
右は当午ノ御年貢ニ差詰り、貴殿江
御無心仕、只今不残慥ニ請取申所
実正ニ御座候、然上ハ何様之義有
之候共、当暮迄之内急度返済
可仕候、為後日仍而如件
粕壁町
安永三年午七月 安左衛門(印)
同所 半六殿
内容は、安永3年(1774)7月に、粕壁町の安左衛門が粕壁町の半六から金1両1分を借用した、いわゆる借金証文です。借金の理由としては、当午の年貢の支払いに支障があるから、というものですが、「御年貢差詰り」は江戸時代の借金証文の常套句ですから、実態はよくわからず、詳しい理由は不明です。7月なので、夏に支払う「夏成年貢」の年貢金に不足が生じたのでしょうか。今年の暮れまでに必ず返すとしています。
宛名の半六は、粕壁で塩問屋として商売を大成する山田半六です。
注目したいのは、差出人の安左衛門。実はこの安左衛門こそ、冒頭に紹介した見川喜蔵だと考えられるのです。
どうして喜蔵なのか? その理由は・・・(つづく)
【東部地区文化財担当者会リレー展示_都鳥が見た古代】杉戸町カルスタすぎとでパネル展が開催されています
9月29日まで、杉戸町「カルスタすぎと」で、「都鳥がみた古代」のパネル展が開催されています。
「カルスタすぎと」は杉戸高野台駅から南東に直線で約1.2㎞の位置にあります。平成13年(2001)にできた、図書館、生涯学習センターが入る施設で、外観は近未来的なイメージですが、内部は木材が多用された空間になっています。図書館も、とても広い面積で作られています。
都鳥が見た古代のパネル展示は、創作室1で開催されています。
ご興味のある方はぜひお出かけください。
開催期間 令和6年9月7日(土曜日)~9月29日(日曜日)
開催場所 カルスタすぎと 創作室1 杉戸町大字大島477-8
開館時間 午前9時00分~午後7時00分
休館日 月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
お問い合わせ 0480-33-6476(社会教育課直通)
杉戸町ホームページ「東部地区文化財担当者会40周年記念リレー展示「都鳥が見た古代」開催のお知らせ」
リレー展示は、下記日程で開催予定です。
9月7日から9月29日 杉戸町カルスタすぎと パネル展示
10月4日から10月28日 松伏町役場 パネル展示
11月2日から12月1日 羽生市立郷土資料館 パネル展示
12月14日から令和7年1月13日 越谷市立図書館展示室 パネル展示
1月25日から3月9日 八潮市立資料館 資料展示
3月15日から4月8日 白岡市立歴史資料館 資料展示
4月12日から4月29日 吉川市中央公民館 パネル展示
5月3日から5月25日 久喜市立郷土資料館 資料展示
6月3日から7月21日 幸手市郷土資料館 資料展示
7月29日から8月24日 蓮田市文化財展示館 資料展示
9月5日から9月19日 加須市パストラルかぞ パネル展示
10月24日から11月26日 三郷市わくわくライブラリ― パネル展示
令和8年1月6日から3月1日 宮代町郷土資料館 資料展示
武里南小学校の3年生が郷土資料館を見学しました
令和6年9月12日(木)に武里南小学校の3年生が郷土資料館を見学しました。
例年10月から開催の企画展「くらしのうつりかわり」展に合わせて来館してくれる学校が多く、その時は常設展示室と企画展示室を見学してもらうのですが、現在企画展示室は準備中です。
そこで、今回は常設展示室と“鉄道高架PR展示室”を見学しもらうことに!
鉄道高架PR展示室では、将来の春日部駅をイメージした模型や、平成28年に市内の小学生たちが作った粕壁宿の模型などを見学しました。
約10年後に鉄道高架が完了することを知ったこどもたちからは、「もうすぐ大人じゃん!」との声が!まさに、今日見学に来たみんなが新成人となる18歳、19歳の時代ですね!
これからみんなが活躍していく時代に春日部も変わっていくんです!
常設展示室では、縄文時代の竪穴建物や、粕壁宿の模型を見学しながら、学芸員から説明を受けました。
自由時間には特別に竪穴建物内の磨製石斧(ませいせきふ)なども触ってもらいました!
実をいうと、武里南小は本来別のところに行く予定だったのですが、急遽予定が変更となり、訪問先として郷土資料館を選んでくれたとのこと!
武里南小にはでばりぃ資料館で伺ったことがあるのですが、なかなか資料館に見学にくることが難しいようでしたので、今回は丁度良い機会になりました!
今年度もでばりぃ資料館の依頼をいただいているので、今度はこちらから伺います!
武里南小3年生のみなさん、またお会いしましょう!
#錦絵 を寄贈いただきました!
といっても、春日部を題材にした錦絵ではないのですが・・・ #かすかべプラスワン
寄贈資料は「東京新嶋原勝景」と題される10枚一組の錦絵。絵師は二代目の歌川国輝。明治2年(1869)に描かれたとされています。
新嶋原とは、明治時代初めに現在の東京都中央区新富町のあたりにあった遊郭のこと。幕末維新期に江戸(東京)の開港・開市が決定されると、築地に外国人居留地が設置され、その付近に外国人向けの遊郭「新嶋原」が設けられることになりました。設置されたのは明治元年末のこと。しかし、築地居留地に思った程の居住者がなく、遊郭の利用者が少なかったため、明治3年(1870)6月に廃止されることが決まり、明治4年(1871)7月に江戸時代以来の遊郭吉原へ移転・吸収されることになりました。
短命に終わった新嶋原遊郭ですが、実は春日部とも関係があるのです。
新嶋原には、廃止時に遊女屋(局見世を含む)が130軒ありましたが、内30軒は東京市外から移り新規開店をした者でした。その内訳は次のように記録されています(『都史紀要 四 築地居留地』東京都、昭和32年刊)。
品川宿3軒、千住(宿)12軒、板橋宿3軒、内藤新宿5軒、粕壁宿4軒、幸手宿1軒、鹿沼宿1軒、横浜1軒
江戸四宿が大半を占めていますが、粕壁宿に居住していた者が4軒の遊女屋を経営していたことがわかります。
商売を広げるため、または新たに旗をあげるため、春日部から江戸(東京)へ進出することは、江戸時代以来、広くみられる動向です。有名なところでは、明治時代中ごろに、春日部八丁目出身の鈴木兵右衛門(通称角兵・スミヒョウ)が鈴木銀行を出店、その弟久五郎(通称・鈴久)は東京支店長として、そして稀代の株の相場師として東京で成功しています。
粕壁宿出身の新嶋原の遊郭経営者がどのような人物か、詳しいことはわからないのですが、「江戸・東京へ進出した春日部の人たち」というテーマについては、幅広くアンテナをはって調査をしていく必要がありそうです。
今回、錦絵をご寄贈いただいた方には、「新嶋原遊郭に粕壁宿出身者がいる」という情報提供もあわせて、資料をご寄贈いただきました。日々、市域の資料を取り扱っているだけでは、気づかない情報・資料をいただき、新たな課題を与えられました。寄贈者の方には、改めて感謝申し上げます。
展示の撤収はじまっています
9月1日まで開催していた「都鳥が見た古代」。展示設営も大変ですが、今回は資料点数も多く、他施設からの借用資料も多いので、撤収も大変です。
撤収の作業中に、八潮市立資料館さんが来館され、次のリレー展示の準備として、資料の撮影を進めていました。
リレー展示は、各市町を巡り、資料展示を実施する施設では、各館の担当者の趣向が加わります。春日部の展示と比較してみるのも、楽しみ方の一つになるでしょう。
リレー展示は、下記日程で開催予定です。
9月7日から9月29日 杉戸町カルスタ杉戸 パネル展示
10月4日から10月28日 松伏町役場 パネル展示
11月2日から12月1日 羽生市立郷土資料館 パネル展示
12月14日から令和7年1月13日 越谷市立図書館展示室 パネル展示
1月25日から3月9日 八潮市立資料館 資料展示
3月15日から4月8日 白岡市立歴史資料館 資料展示
4月12日から4月29日 吉川市中央公民館 パネル展示
5月3日から5月25日 久喜市立郷土資料館 資料展示
6月3日から7月21日 幸手市郷土資料館 資料展示
7月29日から8月24日 蓮田市文化財展示館 資料展示
9月5日から9月19日 加須市パストラルかぞ パネル展示
10月24日から11月26日 三郷市わくわくライブラリ― パネル展示
令和8年1月6日から3月1日 宮代町郷土資料館 資料展示
展示の撤収が済むと、いよいよ次の展示です。
【臨時休館のお知らせ】
9月14日(土)から9月17日(火)は、燻蒸作業を行うため郷土資料館は休館いたします。ご迷惑をおかけしますが、ご理解のほどよろしくお願いします。
*14日(土)~16日(月)は、教育センター全館立ち入り禁止になりますのでご注意ください。
*17日(火)は、郷土資料館、視聴覚センター、教育相談センターは祝日の振替のため休館・休所となりますが、埼玉県鉄道高架建設事務所は業務を行っております。
【鋭意製作中】なぞとき郷土資料館の準備をしています
知る人ぞ知る郷土資料館の名物企画(?)「なぞとき郷土資料館 第3弾」の準備をしています。
「なぞとき郷土資料館」は、配布されたプリントを頼りに問題を解いたり、館内を探して回る参加型のイベントです。
なぞとき郷土資料館の始まりは今から約2年前、カジュアルなイベントを取り入れることで「博物館に行く」という敷居を下げ、多くの方に郷土資料館にご来館いただきたいという気持ちで始まりました。
毎年どんな問題にするか、難易度調整、理不尽さはないか等、頭を悩ませます。
その他にも、挑戦してくれた人に楽しんでもらえるよう、色々なものを参考にしながら、景品や宝箱等のアイテムを準備します。
アイディアがすべてうまく形になるわけではなく、トライ&エラーを繰り返しながらの作業です。
このブログを書いている最中も、うまくいかない部分をどう修正するか考えています。
果たして会期に間に合うのか、ん~~~なぞです(苦笑)
とは言え、毎年この企画を楽しみにしてくださっている方のためにも頑張ります!
開催が近づいたら、またご案内します!お楽しみに!
出張授業「幸松と水害」
9月4日、幸松小学校4年生の社会科授業に「でばりぃ資料館」(その起源についてはこちら)。今回は、毎年恒例の幸松地区の水害の歴史について、スライドでお話しをしました。
春日部(幸松)の地形は、河川の近くが土地が高くなっていて、川から離れると土地が低くなっていること、そして、低い土地には水たまりのように水が溜まりやすいこと。だから、過去には頻繁に水害が発生していること、をお話ししました。
昔の話なので、はじめは「?」が頭に浮かんでいる子が多かったのですが、被害の具体的な様子を話すと皆さん真剣な表情で話を聞いてくれました。
授業では、ワークシートを使いながら、被害に遭うだけではなく、地域の人たちが様々な工夫をして水害を予防・減災しようとしてきた取り組みも紹介。なんと、あの「めがね橋」が樋門だったこと、みんなわかっていただけたでしょうか。毎年言いますが、樋門を知っている小学校4年生は、たぶん幸松小学校の4年生だけ、かもしれません。
最後に、110年前の記録「幸松村水害誌」を紹介。実際にも触れていただき、過去の記録の大切さ、過去あった出来事から今や未来を考える大切さを伝えました。
皆さん、学校の先生方、どうもありがとうございました。今度は郷土資料館にワタシに会いに来てくださいね。
次回 #企画展 のチラシが完成しました
次回は毎年恒例の「くらしのうつりかわり」展。一昨年度から同時開催の「なぞとき郷土資料館」も開催します! #かすかべプラスワン
チラシはデザインを一新。「なぞとき郷土資料館」とのコラボチラシです。
「くらしのうつりかわり」は、古くて100年前の生活道具などを展示し、昔のくらしの様子を知ってもらう企画展です。陳列予定の資料は、かつてはありふれたモノでしたが、今はなかなか見ることができないものも並ぶ予定です。今年は、春日部の特産品について展示しようと画策していますが、どうなることやら。いずれにしても、チラシはシンプルなデザインにしました。
打って変わって、「なぞとき郷土資料館」の紙面はカラフルです。担当者力作のデザインです。天使のうめわかくん、悪魔のぐうすけも可愛らしい。絶賛準備中なので、後報をお待ちください。
事業名:くらしのうつりかわりーなつかしのくらしの道具展ー・なぞとき郷土資料館THE THIRD MISSION
会 期:令和6年10月8日(火)~令和7年3月2日(日)
費 用:無料
【講演会中止】館蔵資料にみる #台風
9月1日に開催予定だった「考古学から埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代を考える」は、台風接近・影響を鑑みて、中止となりました。担当者・職員一同、皆さんにお会いすること、最新の成果が紹介されることを楽しみにしていたので、大変残念です。
今回の台風10号により、市内では「春日部コミュニティ夏まつり」をはじめ、各種イベントが軒並み中止となっています。一種の喪失感を感じ、やるせない思いが募るばかりですね。
しかし、台風を侮るなかれ。春日部の歴史においても、台風は様々な被害をもたらしてきました。今回は、相次ぐイベント中止によるやるせない感情を穴埋めすべく、春日部における台風の歴史を館蔵資料から瞥見してみましょう。
台風に関する館蔵資料は、江戸時代の古文書などもありますが、多くは現代になってからのもの。特筆すべき台風としては、やはり昭和22年(1947)のカスリン台風でしょう。被害の写真も残っていますし、カスリン台風については、以前紹介したことがありますので、今回は割愛します(知らない方はぜひご覧ください)。
今回は、この資料から。
資料は、昭和23年9月に発行された「春日部町六三制教育施設組合出資証券」。当時、国内では、六三制の義務教育制度が実施されましたが、新制中学校の校舎や教室が不足し、社会問題となっていました。春日部町も同様で、中学校の校舎建設が渇望されましたが、戦後財政状況が困難を極めるなかでの資金の工面が課題となっていました。そこで、春日部町では、中学校校舎建築のための資金調達として、町民に資金の出資を募りました。出資者には、この証券が発行されることになったのです。出資証券は、旧春日部町域(粕壁地区・内牧地区)の旧家の方からご寄贈いただくことが多く、総額1000万円を集金したといいますから、かなり広範に出資・発行されたものとみられます。
この資金などを元手に、粕壁浜川戸の地に新制中学校の校舎が建設されましたが、完成目前の昭和24年(1949)8月にキティ台風により北校舎が倒壊してしまい、その後の復旧工事を経て、昭和26年(1951)8月にようやく落成式を迎えたそうです。実は、建設途中にキティ台風の被害があったこと、資料寄贈者の聞き取り調査で教えていただきました。
このほか、広報誌の古写真のなかにも台風被害の様子を撮影したものがみられます。下は、昭和34年(1959)9月の写真。
当時の広報誌(昭和34年10月・33号)には、「台風のツメあと」「今月もゆだんできない」の記事が掲載されています。広報誌によれば、台風15号の被害により、水稲被害により収穫量が1割減、秋ナスは全滅に近く、市内の屋根・看板や瓦は吹き飛ばされ、トタンぶき屋根、塀の被害は無数で、新築中の家屋が1棟倒れた、と報告されています。写真は、この時に撮影されたものと思われます。奥の木造校舎は粕壁小学校でしょうか。校庭の木々が根元からなぎ倒されています。
次の写真は、昭和47年(1972)8月の広報誌(187号)に掲載された写真ネガから。
奥にみえる建物には「中屋クリーニング」の看板がみえます。当時、同店は、現在の春日部郵便局付近にありましたので、写真は現在の市役所通り、ちょうど旧庁舎の前のあたりを撮影した写真とみられます。台風によるものかは不明ですが、雨により道路が冠水してしまっています。この辺りは、かつて馬草場と呼ばれた後背湿地でしたので、急激な都市化が進み、排水機能が不十分だとこのような状況になってしまいました。現在は、首都圏外郭放水路や「新方川、会之堀川流域における浸水被害軽減プラン」などによって、排水環境が向上し、市役所通りの冠水は見かけなくなりました。
館蔵資料により、台風は、たびたびこの春日部の地に爪痕を遺してきたことがわかります。台風が接近してきたら、風水害に備え、予定していた楽しみも少し我慢して、災害を未然に防ぐ必要があること、いま一度、再確認する機会となれば幸いです。
<中止>9月1日講演会「考古学から埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代を考える」は中止します
9月1日(日)開催予定の講演会「考古学から埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代を考える」は台風10号の接近により、中止とさせていただきます。
今後、リレー展示開催期間中の別会場での開催を検討しております。
リレー展示は、下記日程で開催予定です。
9月7日から9月29日 杉戸町カルスタ杉戸 パネル展示
10月4日から10月28日 松伏町役場 パネル展示
11月2日から12月1日 羽生市立郷土資料館 パネル展示
12月14日から令和7年1月13日 越谷市立図書館展示室 パネル展示
1月25日から3月9日 八潮市立資料館 資料展示
3月15日から4月8日 白岡市立歴史資料館 資料展示
4月12日から4月29日 吉川市中央公民館 パネル展示
5月3日から5月25日 久喜市立郷土資料館 資料展示
6月3日から7月21日 幸手市郷土資料館 資料展示
7月29日から8月24日 蓮田市文化財展示館 資料展示
9月5日から9月19日 加須市パストラルかぞ パネル展示
10月24日から11月26日 三郷市わくわくライブラリ― パネル展示
令和8年1月6日から3月1日 宮代町郷土資料館 資料展示
#校歌 についてのお問い合わせ
先日、実習生に作業してもらった市内の小中学校校歌の調査してもらいました。本日、ほごログの記事をご覧になった方から、校歌の歌詞を調べたいとのお問い合わせがありました。 #レファレンス
「ほごログを読んだのですが...」というお問い合わせは、マスコミや市民の方からそこそこあるのですが、わずか2週間前の記事に対するタイムリーなお問い合わせだったので、少しびっくりしました。
お問い合わせの内容は、市内の現在の小中学校と義務教育学校の校歌の歌詞に登場する「ある題材」を確認したいとのこと。ホームページに校歌を掲載している学校もありますが、すべての学校の校歌がネット上に掲載されているわけではないようで、調べるのに苦慮されていたそうです。
学校の校歌、どうやって調べたらよいのか。郷土資料館は、展示や講座だけでなく、こうしたレファレンスにも陰ながらお応えしています。レファレンスといえば図書館ですが、図書館から問い合わせもあることも少なくありません。春日部の郷土の歴史文化を支える最後の砦と言っても過言ではない(と自負しています)。
さて、春日部市内の小中学校(義務教育学校)の校歌は、『学校要覧』という各学校(教育委員会)が毎年度発行する冊子に掲載されています。『学校要覧』は、市立中央図書館にありますが、蔵書検索上は平成18年度が一番新しいようです。最新の『学校要覧』は市役所の市政情報室でご覧いただけるそうです。
先日の実習生にも、『学校要覧』を参照してもらいながら、統廃合して現在は存在しない小中学校の校歌のテキスト化を進めてもらいました。
ちなみに、8月にオープンした「ハルカイト」(大凧文化交流センター)の1階宝珠花サロンには、宝珠花小学校と富多小学校の校歌の額を展示して、ハルカイト全体の展示の導入・象徴展示に位置付けています。
今後のレファレンスのため、実習生の成果の披露として、宝珠花小学校・富多小学校の校歌を掲載しておきましょう。
宝珠花小学校 校歌
作詞 栗原 文美
作曲 日向 雅男
一、年ごとあける 大だこが
五月の空に 競うよう
ぼくもわたしも むね張って
いつも 健やか
元気に育つ
二、わか草もえる江戸川の
つつみを行けば さわやかに
ぼくもわたしも うで組んで
いつも 楽しく
足どりかるい
三、大きくゆめをみなもって
町づくりする 宝珠花
歌声ひびく まなびやに
いつも 明るく
心がはずむ
(平成17年度学校要覧による)
富多小学校 校歌
作詞 昭和四十二年教職員一同
補作 松崎 祐存
作曲 土肥 泰
一、東の空に 筑波嶺を
高く仰いで 胸張って
進め学びの この道を
われらの富多小学校
二、緑の堤 江戸川の
清い流れの 限りなく
伸ばせ力を この夢を
われらの富多小学校
三、葦の葉繁る 荒れた地を
開いた祖先(おや)の 精神(こころ)継ぎ
励み鍛えん この園に
われらの富多小学校
(平成17年度学校要覧による)
大凧あげの背景 #ハルカイト 展示室より
いまや春日部の代名詞でもある大凧あげ。5月に大凧あげを開催する地元=西宝珠花は大凧の里として知られています。そうした大凧の里に、今月にオープンしたのが、大凧文化交流センター(愛称:ハルカイト)です。
ハルカイトの展示室では、大凧文化や、郷土の歴史・文化の発信をしています。春日部の「ハル」、凧の「カイト」の愛称の通り、大凧あげに関する展示が一つの主題・見どころになっています。2階の大凧文化展示室では、パネルや模型を展示し、大凧の歴史文化についてコンパクトにまとまっています。大凧揚げのトリックアート、記念撮影もでき、楽しみながら大凧あげの理解が深まります。
ところで、大凧あげは何故、西宝珠花の地ではじまったのでしょうか。
地元に伝わる話によれば、天保12年(1841)に浄信(じょうしん)という巡礼の僧がこの地にやってきたとき、凧を揚げて養蚕の豊凶を占うことを勧めたのがきっかけで、凧が「舞い上がる」と「繭が上がる」に通じることによったものとされています。以後、西宝珠花の上町(かみまち)と下町(しもまち)の二組が競って凧を揚げ、次第に凧の大きさが大きくなり、現在の大凧揚げに至ったといわれています。
大凧揚げの起源には、養蚕が関係している。そして、西宝珠花の町の人たちが凧を大きくしていった。この2つのポイントがミソです。
大凧揚げの歴史のポイントを紹介しているのが、2階の歴史民俗の展示室(展示は郷土資料館担当)です。
大凧揚げの起源としての養蚕、そして西宝珠花の町の歴史・特徴を展示室3で紹介しています。しかし、実は、宝珠花地区における養蚕の資料(民具や文書・記録)は伝わっておらず、庄和地域の農家に伝わる養蚕の道具を展示しています。大凧揚げの起源であるのに、養蚕が起源というのが本当なのかと疑ってしまうほど資料が少ないという、何とも学芸員泣かせです。
先日、展示をご覧いただいた元教員の方に、養蚕の展示が貧弱だとご叱正いただき、少しでも養蚕のリアリティーの足しになればと、繭を大量に寄贈いただきました。繭は学校の教材用に大量に譲り受けたものだそうで、今日は、蚕が繭をつくる上蔟網に繭をひっかけてきました。
もう少しマシマシでひっかければよかったかな。。。
郷土資料館で担当した歴史民俗展示室は、大凧文化展示室に比べれば、一見地味で、見栄えはしないかもしれませんが、知る人ぞ知る、大凧文化の発信にも寄与しているはずの展示なのです。大凧揚げのもう一つのポイント、西宝珠花の歴史については後日にしましょう。
平日の展示室には施設を利用する地元の方がチラホラ。
1階の展示室(宝珠花サロン)のタッチパネルシステムでは、動画や古写真もご覧いただきます。
オープンから1か月経ち、郷土資料館のお客さんからも「ハルカイト見に行ってきたよ」なんて、ご感想をいただいています。ぜひお立ち寄りください。
8月の近隣博物館・資料館の考古学情報
8月の近隣博物館・資料館の考古学情報をお届けします。(毎月28日ごろに掲載します。)
見学の際は、休館日等、よくご確認の上お出かけください。
(展示会_閉会日順)
・8月31日(土)まで 杉戸町文化財展示室(杉戸町大字木津内524エコ・スポいずみ内)「幸手と杉戸の古墳時代~下総台地の集落と墓~」
・9月1日(日)まで 粕川歴史民俗資料館(群馬県前橋市)「発掘された銅銭ー前橋市内の一括出土銭ー」
・9月1日(日)まで 埼玉県立さきたま史跡の博物館「埼玉の考古おひろめ展―地中からのメッセージ」
・9月1日(日)まで 栃木県埋蔵文化財センター(栃木県下野市)「出土したカオ・かお・顔」
・9月16日(月・祝)まで 千葉市立加曽利貝塚博物館(千葉県千葉市)「市原歴史博物館×加曽利貝塚博物館2024―縄文時代の土偶の顔―」
・9月3日(火)から16日(月・祝)まで さいたま市立博物館(さいたま市大宮区)「さいたま市最新出土品展2024」
・10月31日(木)まで 神川町多目的交流施設(神川町)「鏃のうつりかわりinかみかわ」
・11月24日(日)まで 埼玉県立嵐山史跡の博物館(嵐山町)ほか 比企歴史の丘巡回文化財展「比企の縄文時代ー縄文時代の道具」*東松山市ホームページ
(講演会・講座)
・9月7日(土) さいたま市生涯学習総合センター(さいたま市大宮区) さいたま市内遺跡発掘調査成果発表会(先着順)
・9月8日(日)明治大学駿河台キャンパス(東京都千代田区)日本考古学協会公開シンポジウム「考古学が解明する邪馬台国の時代」(要申込、オンライン配信あり)
(現地見学会)
・9月7日(土)塚原南遺跡(東松山市) 埼玉県埋蔵文化財調査事業団(事前申込制)
・11月16日(土)真福寺貝塚(さいたま市岩槻区)さいたま市教育委員会
*春日部市郷土資料館では9月1日(日)まで「都鳥が見た古代ー埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」を開催中です。
【都鳥がみた古代】八木崎遺跡の春日部高校調査地点
八木崎遺跡は、東武アーバンパークライン(野田線)八木崎駅北側に広がる遺跡で、北東側の浜川戸遺跡とともに、古隅田川によって形成された広大な自然堤防上に立地します。
八木崎遺跡では、これまで、6回の発掘調査が行われ、奈良時代・平安時代の竪穴建物跡が約60軒、確認されています。このうち最も広い面積を調査し、53軒の竪穴建物跡が確認されたのが、平成9年(1997)に行われた第1次調査、埼玉県立春日部高等学校の改修工事に伴う調査です。
八木崎遺跡春日部高校地点の発掘調査空撮写真(『八木崎遺跡』埼玉県埋蔵文化財調査事業団報告書第281集)
校舎改修に伴う春日部高校の発掘調査(八木崎遺跡第1次発掘調査)は、平成9年8月1日から12月31日まで行われました。調査対象面積は9,000平方メートルです。グラウンドとして使われていた新校舎建設予定の学校敷地東側の部分で行われました。
調査では奈良時代・平安時代の竪穴建物跡53軒のほか、土壙(どこう)105基、井戸跡55基、溝13条(土壙、井戸跡、溝は中近世のものを含む)などが確認され、時期が判明している竪穴建物は、8世紀代のものが14軒、9世紀代のものが33軒でした。遺物は土師器や須恵器、鉄製品などが発見されました。出土遺物の中には、今回の展示のポスターを飾っている「奉念随□道足」と刻書された石製紡錘車(せきせいぼうすいしゃ)もあります。
奈良時代に制定された律令の国郡里制(こくぐんりせい)では、武蔵国と下総国の国境は、現在の古隅田川であったと考えられています。古隅田川は、現在は国道16号の北側に直線状に流路を改修されていますが、改修前は春日部高校の西側を流れていました。
夏季展示「都鳥がみた古代ー埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」では、八木崎遺跡の春日部高校調査地点で発見された多くの資料を、埼玉県立さきたま史跡の博物館からお借りし、展示しています。国境に立地する八木崎遺跡の地に住んだ当時の人々が、国境をどのようにとらえていたか、展示資料から思いをはせていただければ幸いです。
参考文献:『八木崎遺跡』埼玉県埋蔵文化財調査事業団報告書第281集 2002年
9月1日開催のリレー講演会は残席がわずかとなっています。お早めにお申し込みください。
●春日部市郷土資料館 第70回企画展示
東部地区文化財担当者会40周年記念リレー展示「都鳥が見た古代ー埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」
会期:令和6年7月20日(土)から9月1日(日)
開館時間:午前9時から午後4時45分
休館日:毎週月曜日・祝日
会場:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15・048-763-2455)
共催:東部地区文化財担当者会
(関連イベント)
(残席わずかですーお早めにお申し込みください)
●東部地区文化財担当者会40周年記念リレー講演会「考古学から埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代を考える」
埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代の遺跡や資料について、東部地区文化財担当者会考古部会のメンバーが報告します。
講師:鬼塚知典(春日部市)、守谷健吾(杉戸町)、篠田泰輔(行田市)、杉山和徳(白岡市)、関絵美(八潮市)、油布憲昭(幸手市)
日時:9月1日(日)13:30から17:00
場所:教育センター視聴覚ホール
定員:100人(申込順)
費用:無料
申し込み:7月10日(水)から電話(048-763-2455)、直接、電子申請
●ミュージアムトーク
企画展示会場で郷土資料館学芸員が展示解説を行います。
日時:8月25日(日)各日10:30~、15:00~(30分程度)
場所:郷土資料館企画展示室
費用:無料
申し込み:不要
郷土資料館【手作りおもちゃクラブ】を開催しました
令和6年8月18日(日) の午前と午後各1回ずつ、郷土資料館手作りおもちゃクラブ「紙でっぽう・筒型飛行機を作ろう!」を開催しました。
先月、今月と暑い日が続きますが、今回もたくさんのこどもたちが参加してくれました♪
まずは、約100年前に使われていた蓄音機でレコードを聴いたり、春日部の伝説にまつわる紙芝居の読み聞かせを行いました。
資料館で使用している蓄音機はSP盤の約4~5分程度のものですが、針(鉄製)が丸く削れてしまうため、1回ごとに取り替えます。実はそれだけ針には力がかかっています。
そして、おもちゃ作りでは「紙でっぽう」と「筒型飛行機」を作りました!
紙でっぽう作りでは、みんなしっかりと話をきいて、丁寧に折り進めていく姿が印象的でした。
「パァンッ」と快音を響かせていましたね!
筒型飛行機は郷土資料館の手作りおもちゃクラブで作るのは初めての品になります。
一般的な三角に尖った紙飛行機とは、雰囲気の違う飛び方で、ふんわり、ひらひらと滑空するように飛びます。
ちょっと高い所から飛ばすと滞空時間が長くなるので、特別に階段の踊り場からも飛ばしてみました。
飛ばし方や、空気の抵抗などもあり、なかなか真っ直ぐ飛ばすのは難しいのですが、それでも生き物のように飛んでいく姿にこどもたちは喜んでくれたようです♪
お土産の缶バッジ作りは、今日の作ったおもちゃ“筒型飛行機”のイラスト!
今回は特にご新規の方が多く、初めての缶バッジ作りを楽しんでくれたようです!
常連さんは、新しいイラストの缶バッジを手に入れてご満悦でした♪
次回の手作りおもちゃクラブは10月に開催を予定しています。
詳しくは広報紙等に掲載いたしますので、ぜひご参加ください!
8/15ミュージアムトークを開催しました
8月15日(木)、企画展示「都鳥が見た古代」のミュージアムトークを開催しました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
名にしおはば いざこと問はむ都鳥 わが思ふ人はありやなしやと
この歌は、平安時代に書かれた伊勢物語の東下りの章で、在原業平が武蔵国と下総国をへだてる隅田川をわたる船で詠んだ歌です。川面に見慣れない鳥が見えたので船頭にたずねたところ、都鳥(みやこどり)と答えたのを聞き、都に残した恋人のことを思った歌です。
春日部市内を流れる古隅田川は、かつて武蔵国と下総国の国境であり、都鳥の歌の舞台であるという考えは江戸時代からみられました。粕壁宿の名主であった関根孝煕(せきねこうき)は、業平の故事にちなみ、「都鳥の碑」を春日部八幡神社内に建てました。
都鳥は、学名をユリカモメといい、春日部市の市の鳥に指定されています。赤黒いクチバシと足、耳のあたりの黒いブチが目印です。愛くるしい表情から、関東から九州にかけて8つの自治体で市の鳥などに指定されています。
ユリカモメは夏の間はロシアやアラスカにいて、10~11月ごろから冬を越すために日本やインドなどに渡ってきます。北に戻る前の2~3月ごろ夏羽となり、頭部の毛が黒くなります。
群れで生活し、春日部周辺で見られるユリカモメは、昼間は川の周囲で過ごし、雑食で何でも食べます。夜は川に沿って東京湾に戻ります。
ミュージアムトークでは、都鳥=ユリカモメは正しいのか?という話題や、春日部の古隅田川と東京都の葛飾区、足立区境を流れる古隅田川、墨田区の隅田川の関係について、みなさんと意見を交換しました。あらためて「都鳥」や「隅田川」を考え直す機会になりました。
ミュージアムトークは、残り1回、8月25日(日)に開催予定です。ミュージアムトークは申し込み不要です。お時間までに企画展示室にお越しください。
また9月1日開催のリレー講演会は残席がわずかとなっています。お早めにお申し込みください。
●春日部市郷土資料館 第70回企画展示
東部地区文化財担当者会40周年記念リレー展示「都鳥が見た古代ー埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」
会期:令和6年7月20日(土)から9月1日(日)
開館時間:午前9時から午後4時45分
休館日:毎週月曜日・祝日
会場:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15・048-763-2455)
共催:東部地区文化財担当者会
(関連イベント)
(残席わずかですーお早めにお申し込みください)
●東部地区文化財担当者会40周年記念リレー講演会「考古学から埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代を考える」
埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代の遺跡や資料について、東部地区文化財担当者会考古部会のメンバーが報告します。
講師:鬼塚知典(春日部市)、守谷健吾(杉戸町)、篠田泰輔(行田市)、杉山和徳(白岡市)、関絵美(八潮市)、油布憲昭(幸手市)
日時:9月1日(日)13:30から17:00
場所:教育センター視聴覚ホール
定員:100人(申込順)
費用:無料
申し込み:7月10日(水)から電話(048-763-2455)、直接、電子申請
●ミュージアムトーク
企画展示会場で郷土資料館学芸員が展示解説を行います。
日時:8月25日(日)各日10:30~、15:00~(30分程度)
場所:郷土資料館企画展示室
費用:無料
申し込み:不要
春日部市立の小学校・校歌歌詞調査( #博物館実習生 の記録)
本日の実習では春日部市立小学校の学校要覧を用いて各小学校の校歌を調べ、その歌詞を書き出す作業を行いました。
これを行うきっかけとしては、実習生の私が既に無くなってしまった中野中学校の卒業生であり、その中野中学校の校歌がどうしても思い出せなかったということにあります。
私以外にも、自分が卒業した学校がもう無くなってしまったために校歌を知りたくても知ることができない人がいるのではないかと考えて、この作業をさせていただけることになりました。
旧庄和町も含めた春日部市立の小学校の校歌歌詞をすべて書き出してみたところ、いくつかの共通点が見つかりました。
まず、その小学校がある土地で感じられる自然にまつわる歌詞がどの校歌にも入っていたことです。最も多かったのは緑、川、山、風などでした。また、その土地の歴史に関係する歌詞も多かったです。例えば、春日部市が位置する埼玉県東部地区が武蔵国であったことから「むさしの」という歌詞が使われていたり、宝珠花小学校では、過去に大規模な町おこしが行われたことから、「そのときのご先祖様たちのように大きな夢や精神を持とう」といった歌詞が使われていたりなどです。
さらに、自然のことだけでなく、学校に通う児童たちがそれらの自然の中で学び、希望を持って健やかに育っていくようにという願いが込められた歌詞がすべての校歌に発見できました。
小学校の校歌は、すべての子どもたちがその土地の自然や歴史を受け継ぎ、自らの知恵を磨きながら健康に育っていってほしいという教員たちのメッセージを表しているのだと言えそうです。
最後に、私が最も印象に残った校歌を紹介します。それは、正善小学校校歌です。
この校歌は一番の最後の歌詞が二番の歌詞の最初に、二番の歌詞の最後が三番の歌詞の最初につながっていて物語性が感じられます。また、一、二、三番すべてに同じフレーズが三回繰り返されている部分があるのですが、強い意志が伝わってくる良い校歌だなと思いました。
体験講座みて!さわって!dokidoki音楽づくりを開催しました
8月10日(土)、春日部市郷土資料館恒例の体験講座「みて!さわって!dokidoki音楽づくり」を開催しました。
この講座は、国立歴史民俗博物館の中村耕作先生と國學院大學栃木短期大学の早川冨美子先生のご協力により、毎年夏休みに、郷土資料館で開催しており、今年で4回目になります。縄文土器を観察し、文様のパターンやイメージなどをみたりさわったりしながら、縄文時代にも存在した自然素材を使って音で表し、グループで音楽を作る講座です。
今年度は、筑波大学付属小学校の高倉弘光先生にもご協力いただきました。
今回のdokidoki音楽づくりはおおまかに次のような流れで行いました。
1.縄文時代の人のくらしを学ぶ
2.土器のもようのつけ方を学ぶ
3.音楽の作り方を学ぶ
4.縄文時代にもあった素材を使って音を出す
5.土器のもようなどをもとにグループで音楽を作る
今回は、高倉先生の音楽の作り方のお話がとても楽しく、各グループ楽しんで音楽を作ることができました。
↑縄文土器と現代の鍋を比べ、さらに縄文土器の時期の違いを学びました。
↑ 國學院栃木短期大学の学生さん作成の年表をつかって縄文時代の長さを知りました。
↑みんなで体を使ってリズムをとってみました。
↑縄文時代にもあったさまざまな自然素材で音を出してみました。
↑自然素材で、みんなでリズムをとってみました。
このあと、博物館実習生も含めた4つのグループに分かれて、音楽を作り発表しました。また今回は、アンケートとともに土器の観察カードを記入してもらい、夏休みの思い出として持ち帰っていただきました。
暑い中、お越しいただいた先生方、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
来年の夏休みにも実施しますので、土器が好きな人や音楽が好きな人はぜひ参加してください。
#ハルカイト で #ミュージアムトーク
8月8日、大凧文化交流センターこと「ハルカイト」で、ミュージアムトークを実施しました。 #かすかべプラスワン
今回は、小学生を中心としたお子さんたちが対象で、前半は大凧文化展示室、後半は歴史民俗展示室を案内しました。
前半は、大凧文化交流センターの職員が、大凧揚げの概要や展示室を説明。ドローンで撮影した大凧揚げの様子をビデオで視聴したり、大凧の材料として使用される小川和紙を実際に触ったり、ちぎったりして和紙=大凧の強度を確かめたりしました。
後半は、資料館の学芸員の出番。
先日、博物館実習生が作成してくれた「ハルカイトマスターへの道」というリーフレットを用いながら、郷土資料館で手掛けた展示室を一巡り。リーフレットはクイズつきのワークシート。
たとえば、「宝珠花小学校で飼育していた動物はなに?」のように、卒業生はわかるかもしれないが、そうでないと知らない問題も、展示資料や展示室・施設内にある様々なモノを探し、よく観察すれば、だれでも解けるものになっています。参加者は、2階の展示室、1階の宝珠花サロン、はたまた、旧昇降口、あるいは建物の外をくまなく、楽しんで(?)見学していただけました。
なかでも、学芸員の特別メニューとして実施した「唐箕の体験」はそこそこ好評だったようです。普段は展示台に陳列され触れない道具を、実際に触って、動かしてもらいました。
わずか小一時間、ワークシートに取り組むだけで、本当に、宝珠花地区の歴史を理解するひと時になったのか、心もとないのですが、楽しんでいただけたのでしたら、よかったと思います。
9月には、大人の方を対象にしてミュージアムトークを開催するそうです。お楽しみに。
【手作りおもちゃクラブ】紙でっぽうと筒型飛行機を作ろう!
8月18日(日)に“手作りおもちゃクラブ”を開催します。
今回作るおもちゃは「紙でっぽう」と「筒型飛行機」です。
紙でっぽうは郷土資料館のおもちゃコーナーにも設置してあり、手作りおもちゃクラブでもおなじみの品です!
簡単な折り方で、何度でも作りたくなる、
誰もが一度は通るおもちゃと言っても過言ではないでしょう(笑)
そして今回は
“手作りおもちゃクラブ”で作るのは初となるおもちゃがあります!
それがこちらの筒型飛行機です。
羽根のないバージョンなどもあるようですが、羽根がついている方が飛び方がかわいいのでこちらを採用しました♪
三角形の紙飛行機は勢いよく遠くまで飛ぶイメージですが、これはゆっくりと時間をかけて滑空するといったイメージです。
動画はコチラ♪
どちらのおもちゃも複雑なからくりがあるわけではないので、お気軽にご参加下さい!
本講座はお申し込み不要、おもちゃの材料は資料館で用意しています。
当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!
【手作りおもちゃクラブ】
日時:令和6年8月18日(日)午前10時30分~・午後2時~
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:蓄音機と紙芝居の上演
おもちゃづくり(紙でっぽう・筒型飛行機)