ほごログ(文化財課ブログ)

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幸松小4年生のお手紙に「めがね橋」を学ぶ

先日、幸松地区の水害の歴史について、出張授業にうかがいましたが、幸松小4年生のみなさんより、そのお礼のお手紙をいただきました。出張授業(でばりぃ資料館)では、幸松地区の水害の歴史、とくに幸松小の皆さんにとって身近なめがね橋がただの橋じゃない!ことを説明しました。

どんな話をしたのか、めがね橋のなにがすごいのか、幸松小の皆さんが手紙で説明しながら、お礼を書いてくれました。素晴らしい手紙のお礼として、みなさんに紹介することで、再度めがね橋とはなにかを紹介してみたいと思います。

画像:手紙1

その通り。めがね橋は明治24年(1891)に完成した古い橋です。そして、ただの橋じゃなくて、樋門(ひもん)なのです。樋門は川からの逆流を防ぐために造られました。古さと逆流を防ぐ点が「すごい」と思ってくれたようです。「なくてもいい」のではなく、必要だから造られた、そして今ものこされていること、知ってもらえたようです。ありがとうございます。

 県内で2番目に古いレンガ樋門であるとともに、「めがね橋がさんがい(災害)からわたしたちを守ってくれていた」ことも知ってくれたようです。この点、幸松小の皆さんにとって、すごく重要です!ありがとうございます。

画像:手紙3

幸松小の皆さんは事前にめがね橋を見に行ったそうですが、そのときはよくわからなかったようですが、授業に接して、「せきばしら(堰柱)」「かくおとし(角落とし)」についてわかってくれたようです。そう、ここに板をはめて樋門にすることも理解してくれました。きっと、堰柱と角落としを知っている小学四年生は幸松小学校だけですよ!

その一方で、水害は「ちょっとこわい」とも感じてくれたようです。いやなことから目を背けず、歴史を学んで「こわい」と思うことも大事なことだと思います。ありがとうございます。

画像:手紙4

めがね橋を通学路にする子もいます。板が通るぐらいの「くぼみ」(角落とし)を再確認してくれたようですし、お家に帰ってお母さんにもお話ししてくれたようです。お家の方にもめがね橋のスゴさを伝えてくれてありがとうございました。

画像:めがね橋の絵

板を落として逆流を防ぐ状態の、めがね橋の挿絵を描いてくれた子もいました。堰柱と角落としも描かれ、きっちり板が落としてありますね!ありがとうございます。

画像:手紙4

めがね橋だけでなく、水塚(みづか)や用心船についてもお話ししましたが、幸松地区から江戸城にお米を納めていたという話も少ししました。幸松は米どころで、不動院野のもち米がとくに美味しいお米で、江戸時代の終わりごろ、江戸城の御膳に上納されていました。このことを感想に書いてくれた子がいました。趣旨から外れた、ちょっとマニアックな話題だったので、覚えていてくれて、とてもうれしいです。ありがとうございます。

画像:手紙5

社会科が苦手だった子も面白く感じてくれたようです。ありがとうございます。

社会科の学習は、国語や算数などの教科に比べると後回しにされがちですが、社会の成り立ち・仕組みを知るなかで、自分の位置を知る重要な教科だと思います。埼玉県、春日部市、幸松がどんな地域なのか、それが自分や世界とどうかかわるのかを考えながら、学べば、きっとこれからの社会科学習も楽しくなるはずです。 

授業で説明したこと、きちんと伝わっていたようで、うれしいです。あと、どんぐりをくれた少年からもお礼のメッセージをもらいました。ありがとう。

めがね橋のスゴさ、幸松の水害の歴史について、お家の方だけでなく、知らない人はきっと沢山いるでしょう。今度は、そのスゴさについて、郷土資料館のわたしではなく、幸松小のみなさんが伝えてくれたら、とてもうれしいです。みなさん、素敵なお手紙ありがとうございました。

春日部の #郷土料理 ゆかりの道具

この道具、何だかわかりますか?実は春日部の郷土料理ゆかりの道具です。

写真:鬼おろし

木の枝の又にギザギザに加工した竹片を針金でくくりつけたものです。

市内の豊野地区赤沼の旧家から寄贈いただいたもので、おそらく既製品ではなく、手作りの道具だと思われます。大きさは26cm×16cmくらい。使っていた年代は不明ですが、寄贈当時の調書には「酢つかれという食品を作るときの道具」と記述されています。

道具の名前は「鬼オロシ」。大根を粗くおろすオロシ器です。

何に使うのかというと、スツカレまたはスミツカリ、あるいはスミツカレという、初午の郷土食です。材料には節分の残り豆とダイコンが用いられ、豆は一升枡や湯飲み茶わんの底で擦って割り、皮を取り除く。ダイコンは鬼オロシで粗くおろします。

作り方は二通りあるそうです。一つは、ダイコンと豆を煮てしょうゆ味をつけるもの(ニンジンも加えることもある)。もう一つは、ダイコンと豆を混ぜて酢和えにするものです。

初午の時には、赤飯あるいは小豆飯とともに稲わらで作ったツットコという入れ物にスミツカレとともに入れて、稲荷祠にお供えしたり、お膳として供えることもあるそうです。

参考文献:『春日部市庄和町史編さん資料13 民俗Ⅱ』(平成18年)

 

収蔵資料の紹介ページ公開しています

かつて公開していた当館収蔵資料の紹介ページを、本ポータルサイトに再構築しました。 #かすかべプラスワン

収蔵資料紹介ページは、郷土資料館で収蔵する指定文化財、収蔵品展などで紹介した資料の情報を公開するものです。近年は博物館実習生に資料紹介ページの記述をお願いしており、実習の成果でもあります。

市のホームページにも移行する予定だったのですが、事情があり、公開を控えていましたが、ようやくページの移行作業を終えることとなりました。ただ、文字数の制限等があり、解説や語注などをだいぶスリムにしているものもあります。

収蔵資料にはたとえばこんなのがあります。

桐タンス・桐箱問屋・製造の木崎六之助商店の取引先名簿です。

詳しくは該当ページをご覧ください。実習生が制作したページです。

写真:木崎六之助商店の取引名簿

収蔵資料紹介ページは、このページのメニューバーの「郷土資料館」から、「収蔵資料の紹介」でご覧いただけます。

どれだけの方がご覧になっているのか不明ですが、お気に入りの資料があれば、いいねボタンをご投票ください。担当者のページ構築の励みになりますので。。。

今後は、昨年度、今年度の実習生の収蔵資料紹介を公開していく予定です。お楽しみに。

「2冊の宗門人別帳で読み解く開国前後の粕壁」開催しました

10月23日(日)歴史文化講演会「2冊の宗門人別帳で読み解く開国前後の粕壁」を開催しました。

今回の歴史文化講演会は、地元粕壁で郷土史大川明弘先生を講師に迎え、粕壁宿の宗門人別帳にみる幕末期の宿場の様子についてお話しいただきました。

宗門人別帳とは、江戸時代に宗門改め(キリシタンでないことを証明)と人別改め(戸口調査)を兼ねて、村ごとに作成された帳簿のことです。

先生は、嘉永2年の粕壁宿宗門人別帳を中心に、幕末期の粕壁宿に住む人々の年齢、年齢構成、職業、身分、奉公先などさまざなま統計をとられ、その統計に基づきお話いただきました。

写真:歴史文化講演会の様子

粕壁宿は、江戸時代に市内で最も住民が住んでいた地区であり、粕壁宿の宗門人別帳は他の村のそれと違って大変大部であり、統計的に分析するのが非常に大変です。大川先生は、大部な史料を様々な角度から検討され、緻密なデータを構築して、これに基づいてお話しいただきました。

幕末期というと治安が悪化し、不穏な社会情勢のイメージがありますが、今回の話は、いわば粕壁の人々のライフサイクル、かっこよくいえば身体を通じて、幕末の社会を読み解き、そして、大変興味深い、多くのご指摘をいただきました。

とくに、江戸へ武家奉公に行く人々の存在や、持ち家層が約30%、借家層が70%の割合にあったことなど、現代との共通する点、相違する点が浮き彫りになりました。当時の宿場のくらしの実態を考える上で、具体的なイメージできるものになりましたし、粕壁の町並みの復元や近代以降の粕壁の歴史を見通すうえでも有意義な材料となる重要な指摘だと思います。

会場からは、史料はどこで閲覧できるのか、石高の意味は何か、など内容に深くつっこんだ質問があり、大変有意義なひと時となりました。

【予約受付中】体験講座「凧作り教室」

凧作り教室チラシ

郷土資料館では令和4年11月19日(土)に体験講座「凧作り教室」を開催します!

 

今年の第65回春季企画展示では「宝珠花の歴史と大凧あげ」と題して、大凧あげの歴史や文化を紹介し、多くの方に関心を寄せていただきました!

そこで今回、「庄和大凧文化保存会」から講師をお招きして、春日部の大凧を学びながら凧作りをするイベントを開催する運びとなりました。郷土資料館で主催するのは初となる試みです。

 

参加対象は小学生(保護者同伴、参加可)となっています。

大凧のみならず、歴史、文化は次の世代へと紡いでいくものです。ぜひ、春日部で育ちゆく子どもたちに春日部の文化を体験してみてほしいと思います!ご参加お待ちしてます!

 

【郷土資料館体験講座「凧作り教室」】

日時:令和4年11月19日(土) 9:30~12:00

場所:春日部市教育センター

材料費:500円

対象:小学生30人(保護者同伴、参加可)

予約・問合せ:春日部市郷土資料館 763-2455

電子申請でのお申込み

内牧小学校の3年生が郷土資料館を見学しました

令和4年10月26日(水)に内牧小学校の3年生が郷土資料館を見学しました。

 

郷土資料館見学風景

今日は社会科地域学習と総合的な学習の時間を組み合わせ、郷土資料館だけではなく、伝統工芸の桐箱づくりの見学、日光道中の道しるべの見学なども含めた充実の学習のようです!

 

千歯扱き体験写真

郷土資料館では常設展示の竪穴住居や日光道中の模型を見ながら学芸員の解説に耳を傾け、

企画展示室では「くらしのうつりかわり~なつかしのくらしの道具展~」を見学し、千歯扱きを使った脱穀体験を行いました。

 

館内自由見学風景

自由見学の時間には館内スタンプラリーや手作りおもちゃコーナーで遊ぶ姿が、なんとも楽しそうで印象的でした。

特別に兜を被らせてもらう子も♪

兜被り体験

カブトをかぶっとる!

 

今の小学3年生は、コロナの影響で入学当初から学校の休校や、校外学習の中止など大きな影響を受けてきた世代です。

そのようなこともあってか、資料館の展示やスタンプ、おもちゃなどに目を輝かせ、「楽しい♪」「おもしろーい!」という声が響いているように感じました。

 

これからもみんなが楽しく、安心して郷土資料館に来てもらえるように努めていきたいと思います。ぜひまた来てくださいね!

郷土資料館体験ワークショップを開催しました

令和4年10月23日(日)の午前と午後各1回ずつ、郷土資料館体験ワークショップ「パタパタを作ろう」を開催しました。

 

蓄音機鑑賞

まず初めに蓄音機でレコード鑑賞です。今回は「小鳥啼くハワイ」という曲を流してみました。小鳥の鳴き声がチュンチュンと響く面白い曲です♪

 

紙芝居朗読風景

次に西宝珠花に伝わる「朝日御前の松」という伝説の紙芝居を朗読しました。

恋人が合戦で倒れ、尼となった朝日御前が西宝珠花にたどり着き、ちょっと悲しい結末を辿るお話です。

 

おもちゃ作り風景

おもちゃ作りでは、パタパタ(板返し)を作りました。資料館のおもちゃコーナーの中でも人気の高い逸品です!

仕掛けが少し複雑なのですが、しっかり職員の話をきいて、みんな上手に作れていました!

 

最後にお土産の缶バッジづくりをして終了です。

何度もリピートしてワークショップに来てくれている子もいました♪

 

次回の体験ワークショップは令和4年11月27日(日)に開催予定です。詳しくは広報誌等でご確認ください。

最近は肌寒い日も増えてきました。季節の変わり目、体調に気を付けながら、またぜひお越しください。

【体験講座】「ミニぞうりを作ろう」を開催しました

令和4年10月22日(土)に、郷土資料館体験講座「ミニぞうりを作ろう」を開催しました。

体験講座ミニぞうり作り風景

 

講座では、まず参加者の方にもっと郷土春日部に親しんでいただくため、春日部にまつわる伝説の紙芝居の朗読を行い、次に江戸打ち紐を編んで、約10㎝程度のかわいいぞうりの飾り物を作りました。

ミニゾウリはこんな感じです。

ミニぞうり写真

So cute!

 

編み始めが少し複雑なので、最初の1つは形が整いにくいのですが、皆さん丁寧に編みこんで上手に仕上げていました!

「難しかったけど楽しかった」というお声がけもたくさんいただきました♪

 

今回2年ぶりに開催したミニぞうり作りですが、好評でなによりです!

郷土資料館では他にも講座や企画を行っておりますので、広報誌やブログ等ご確認いただき、ぜひご参加ください!

蔵出し!郷土資料館

10月21日(金)、いつもは武里地区公民館で活動されている「たけさとカフェ」の皆さんが、郷土資料館を見学しました。今回は、学芸員が展示室の資料を説明するだけでなく、普段は収蔵庫にしまってある武里ゆかりの資料をご覧いただく機会を設けました。 #かすかべプラスワン

写真:展示室

写真:資料をまじかにみる皆さん

武里からお越しいただいた方が多かったので、普通はケースごしにしか見られない資料を間近にみていただきました。武里の歴史クイズも、そこそこ盛り上がりました(という感触です)。

簡単な選択問題でしたが、回答が割れた問題を一つ。

Q武里の方言で、「オッコム」とはどんな意味?

A いやなことがあって落ち込む

B 誰かを追いかける

C 干しているものを取り込む

答えはC。参加者には、生まれも育ちも武里の方はいらっしゃいませんでしたので、難しかったようです。

展示室の見学もじっくり解説、学芸員と話しながら展示をお楽しみいただけたようです。

写真:ジオラマの解説

ただ、想定していたよりも参加者の方が少なかったのが残念でした。いつもは盛況な武里カフェの参加者の皆さんも、おそらく「資料館は一度見たことあるし・・・」と思い、ご欠席された方も多かったのではないでしょうか。

郷土資料館はまだまだ潜在的な魅力が眠っていますので、必ず何か発見があるはず。

ぜひ、またのご来館、ご利用の企画を、お待ちしております。ご要望に応じて「蔵出し」しますよ。

秋季の民俗芸能の公開(江戸川小中学校の神楽・銚子口獅子舞)

10月15日(土)、富多神社の祭礼で、日頃から「総合的な学習の時間」に地域の伝統芸能(市指定無形民俗文化財)である榎の囃子神楽を取り入れている江戸川小中学校の4年生が「お囃子」「オカメヒョットコ」「大黒天」の三曲を舞いました。

オカメヒョットコ

 

 

 

 

 

▲色鮮やかな浴衣の衣装で「オカメヒョットコ」

 

大黒天

 

 

 

 

 

 

▲今年初めて女性の大黒様が誕生しました!

 

 

5月から榎囃子神楽連の会長さんをはじめ、保存会の皆さんの指導により、太鼓によるお囃子、さらには大黒様の難しい口上も元気良く声高らかに日頃の成果を地域の皆さまと保護者の前で披露することができました。校長先生、教頭先生も目を細めて見守っていただき、郷土の舞の継承、ありがとうございました。

 

10月16日(日)には、銚子口香取神社境内で五穀豊穣を感謝する収穫祭として銚子口の獅子舞が披露されました。市指定無形民俗文化財として、歴代途切れることのない継承の舞は、コロナ禍の中、感染防止を徹底し、「打つ揃え」「宮参り」「天狗の舞」「幣がかり」の4曲を行い、秋空の下、勇壮に公開いただきました。

三匹獅子

 

 

 

 

 

 

▲三匹獅子による「幣かがり」の舞

 

 

幣かがり 

 

 

 

 

 

▲演目の締めは太夫獅子による「幣束」のお祓い

無病息災、家内安全、五穀豊穣を祈願しました

 

当日は、女獅子に女性の舞手が華麗しなやかに、そして太夫獅子には初めての舞手が緊張の中、堂々と練習の成果を披露してくれました。

 新春1月の祭礼では中獅子、女獅子役で女性が担う予定です。郷土春日部の伝統の舞の継承が地道に着実に行われています。

【幸松小でばりぃ資料館】めがね橋は、ただの橋じゃない

10月12日、幸松小学校第4学年の総合的な学習の時間に、でばりぃ資料館(出張授業)してきました。幸松小4年生のみなさんは、フィールドワーク、座学、コンピュータープログラムなどを通じて、幸松地区の防災について、様々な観点から学習されているそうです。本時は、その一環として「幸松と水害」というテーマで、幸松地区の水害の歴史について、学芸員がお話しするものです。

写真:授業の様子

話題は水害。少し暗い話題なので、クイズなどを交えて、楽しく話を進めてみました。みなさん、元気よく、積極的にクイズに参加してくれました。

写真:挙手する児童たち

しかし、「馬や牛、人の死体が流れてくることもあった」とか、「家が流されてしまう人もいた」とか、水害のリアルな話をすると、表情を曇らせる児童もいました。ちょっとビックリしたかもしれませんが、実際に幸松であった事実なのです。

最後に、めがね橋について解説。事前にフィールドワークでめがね橋と傍らにある石碑を見学していましたので、めがね橋の存在を知らない子はいませんでした。けれど、なんで「めがね」っていうのか、「めがね橋はただの橋じゃない」という話をすると、みなさん驚いていました。実はめがね橋は、古利根川からの逆流を防ぐ、県内で2番目に古いレンガの樋門(ひもん)なのです。

写真:石碑の説明

幸松小学校の先生が記述した明治43年「幸松村水害誌」には、「この記録を読んだ人が水害当時の状況を知り、昔の水害について考え、失敗を反省する材料としてくれれば、この記録をつくってよかったと思う」と記しています。幸松は様々な水害の記録が伝わる地区で、めがね橋をはじめ、水塚など災害歴史遺産とでもいうべき史資料が比較的よく遺っています。昔の水害について克明にわかること、そして過去の水害を克服して現在の幸松があること。幸松小学校のみなさんには、今そして未来の春日部に暮らす一人として、この地区の過去の水害について知っておいてもらいたい、と最後にお話ししました。ちょっと難しかったでしょうか。

カスリン台風の水害については、前に紹介したこともあるのでこちらを参照ください。

授業の後、2組の男子からどんぐりをもらいました。もらったどんぐりは、大切にしますので、みなさん、今日の話を大切にしてもらえたら、うれしいです。

歴史文化講演会「鎌倉殿と東国武士」を開催しました

鎌倉殿と東国武士 講演会

10月9日(日)午後2時から4時まで、國學院大學栃木短期大学教授である菱沼一憲(ひしぬま かずのり)先生をお迎えして、歴史文化講演会「鎌倉殿(かまくらどの)と東国武士」を開催しました。

鎌倉殿と東国武士 講演会

菱沼先生は、日本中世史がご専門で、平安末から鎌倉時代の社会について造詣が深い先生です。源頼朝や源義経についてのご著書もあり、この講演会前にも源義経についてテレビ番組の解説で出演されるなど、ご活躍されております。

募集開始から半日で定員が埋まってしまったほどの人気で、ドラマの影響もあり、鎌倉殿と東国武士について皆さまの関心の高さがうかがえました。

鎌倉殿と東国武士 講演会

当日は、春日部ゆかりの武士である春日部氏と下河辺氏について、どのようにして当地に根付いたのか、鎌倉幕府の御家人の中での位置や立場はどうだったのか、荘園(下河辺荘)や武士の成り立ちを踏まえて解説していただきました。専門的な内容を含みながら、かみ砕いた説明をしていただいたので、内容の濃い聴きごたえのある講演会となりました。特に、春日部氏が当地を拠点とした理由について、同族の大井氏・品川氏・潮田氏・堤氏・伊坂氏などとのつながり、旧利根川(現古利根川・古隅田川)や内海(現東京湾)の水運(水上交通)との関連の可能性を指摘されていた点が、新鮮でした。

今後も、市民の皆さまの興味・関心が高いテーマ、本市や埼玉東部地域の歴史・文化で重要なテーマについて講演会を企画・開催し、皆さまと一緒に学びと研究を深めてまいりたいと考えております。 

 

【昔の #川辺小 】資料を追加でご寄贈いただきました

現在、常設展示では新宿新田にかつてあった江戸川の河岸場に関する資料を展示しています。「ほごログ」で紹介したところ、水運・舟運について調べてらっしゃる方に早速ご覧いただいたりして、一部には大変好評です。

新宿新田の河岸場は、これまで資料がなく全くといっていいほど知られていませんでしたので、諸書で言及されることがほとんどありませんでした。小さなコーナーで、手前味噌ですが、割と画期的な内容の展示だと思います。

資料展示したことを、旧蔵者の方にお知らせしたところ、先日ご来館いただきました。資料展示をしたことを大変喜んでいただき、また、当館には初めてお越しになったそうで、春日部にいろいろな歴史があったことに驚かれていました。旧蔵者の方によると、新宿新田には伊和右衛門河岸のほかに、上流にもう一つ河岸場があったとか(今の野田線の鉄橋の下流のあたりらしいです)。資料上では確認できませんが、新事実をぽろっとお話しになりました。近代の舟運は奥が深い。今後の課題です。

旧蔵者のご来館の折り、まだ家に古い書類があったと、いくつかの資料をご持参・ご寄贈いただきました。戦前の絵葉書など印刷物のなかに、大正6年(1917)の川辺尋常小学校の卒業記念(アルバム)がありました。

アルバムといっても写真数枚が掲載される簡素な冊子ですが、当時の学校の様子がわかり、非常に貴重です。ここで追加寄贈されたアルバムのうち数枚の写真をご紹介したいと思います。川辺小学校の関係者は必見!?

写真:川辺小学校校舎

現在の川辺小学校の敷地に校舎が新築移転されたのは、明治35年(1902)5月のこと。写真はこのとき建てられた木造校舎と考えられます。校舎は水害を避けるために、高台に建てられていたそうです。現在のプールがあるあたりでしょうか(地元の方にそのように聞いた記憶もありますが、知っている方がいたら教えてください)

写真:川辺小学校講堂

「講堂」です。教室ではないのかもしれません。卒業記念アルバムなので、ここで卒業式を執り行ったのでしょうか。

写真:川辺小の整列

手前は学校の先生、奥には和装の児童が整列しています。写真のキャプションは「整列」。

おそらく寄贈されたお宅の家の方に卒業生がいらっしゃったので、家に伝わったものと推測されますが、この時の卒業生はいないはずだとのこと。由来はともかく、貴重な写真です。

ご自宅に古い書類がある方はぜひご一報ください!

【体験ワークショップ】パタパタ(板返し)をつくろう!

10月23日(日)に体験ワークショップを開催します。

体験ワークショップでは蓄音機の上演や昔のおもちゃ作りをします。

今回作る昔のおもちゃは「パタパタ(板返し)」です。

パタパタ(板返し)

 

郷土資料館内にある昔のおもちゃコーナーでも人気の一品です!

子どもの心をがっちり掴むからくりおもちゃ!

持ち手の棒を捻ると、、、

パタパタ1

パタパタ2

パタパタ3

あら不思議!すべての板が裏返しになりました!

普段から希望者にはおもちゃの作り方の説明書をお渡ししているのですが、パタパタのからくりは少し複雑なので、この機会にぜひ一緒に作ってみましょう!

 

申し込み不要、おもちゃの材料も用意してます!

当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!

 

【体験ワークショップ】

日時:令和4年10月23日(日)午前10時30分~・午後2時~

場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)

内容:蓄音機の上演

   紙芝居

   昔のおもちゃづくり(パタパタ)

費用:無料

申込:不要(開催時間までに郷土資料館におこしください)

※参加者多数の場合、人数制限をさせていただく場合がございます。当日はマスクを着用いただき、体調が優れない場合は参加をお控えください。

「なぞとき」さっそくやっていただきました!

本日から開催している「探して!見つけて!なぞとき郷土資料館」に、デイサービスグッドラックの皆さまにご参加いただきました!本企画初のチャレンジャーです!

なぞとき風景

事業所の職員の方がなぞときシートの問題を読み上げ、クイズ形式にして利用者の方に考えてもらったり、皆さんで館内を移動しながらキーワードを探して楽しんでいただきました!ヒントシートも利用してもらいながら、約30分くらいの所要時間だったようです。ご来館、ご参加本当にありがとうございました!

 

皆さんもぜひ「なぞとき郷土資料館」で頭を悩ませに来てください(笑)

お待ちしてます!

【なぞとき郷土資料館】拝啓、なぞときはじめました。

令和4年10月4日(火)から開催の小学校地域学習展「くらしのうつりかわり~なつかしのくらしの道具展~」の期間中、

期間限定イベント「探して!見つけて!なぞとき郷土資料館!」を開催します!

なぞときポスター

 

開催期間中は郷土資料館受付で、なぞときプリントを配布します。

なぞを解くには、知識、ひらめき、観察力、郷土愛(?)が必要です!

なぞときのキーワードは、郷土春日部にちなんだものや、館内を探して見つけてもらうものになっているので、ちょっと春日部に詳しくなれるかもしれません!

難しいと感じる方やお子様、時間があまりない方のために、ヒントシートも用意していますので安心してご参加ください!

もちろん自信のある方はヒントシート無しでもチャレンジしてみてくださいね♪

 

『すべてのなぞを解き明かし、隠された財宝を手に入れろ!』

なぞときアイテム

 

【なぞとき郷土資料館】(参加費無料)

期間:令和4年10月4日(火)~令和5年2月26日(日)

場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)

内容:なぞときプリントの配布(受付で「なぞときやります」と声をかけてください)

   クリアした方には財宝(記念品)をプレゼント

   自由参加

【本日から】くらしのうつりかわり展

本日、令和4年10月4日(火)より「くらしのうつりかわり~なつかしのくらしの道具展~」を開催しています。

地域学習展ポスター

本展示では、今から約60年前の暮らし、生活で使う道具、春日部のうつりかわりなどを紹介しています。

小学校第三学年の社会科地域学習に合わせた内容となっていますが、大人の方やご高齢の方にも懐かしんでご覧いただける内容となっていますので、ぜひ郷土資料館までお越しください!

 

展示会名:第39回小学校地域学習展「くらしのうつりかわり~なつかしのくらしの道具展~」

会期:令和4年10月4日(火)~令和5年2月26日(日) ※月曜・祝日・年末年始休館

会場:春日部市郷土資料館 企画展示室

入館料:無料

スタンプラリーたくさんやってます!

現在、郷土資料館は4つのスタンプラリーイベントのスタンプ設置ポイントになっています。

スタンプラリー各種

左から順に、「彩の国東部・北部ミュージアムスタンプラリー」「関東地区博物館協会5県連携事業スタンプラリー」「日光街道埼玉六宿スタンプラリー」「デジ玉スタンプラリー」となっています。

 

「彩の国東部・北部ミュージアムスタンプラリー」と「関東地区博物館協会5県連携事業スタンプラリー」(どちらも11月30日まで)は、各施設に設置してあるスタンプを実際に押して集めていくタイプのスタンプラリーです。スタンプを集め終わった時点で、各館で景品を配布しています。

「彩の国東部・北部ミュージアムスタンプラリー」は対象者が小学生~中学生となっているのでご注意ください。

 

「日光街道埼玉六宿スタンプラリー」(12月26日まで)と「デジ玉スタンプラリー」(令和5年2月28日まで)はスマホでQRコードを読み取ってスタンプを集め、景品に応募するタイプのスタンプラリーです。

 

郷土資料館は一気に4つのスタンプラリーを進めることができるのでお得な施設ですよ!各スタンプラリーの台紙やチラシも資料館に置いてあります!

 

暑さも落ち着きを見せてきた昨今、各地に行楽がてら、皆さんも参加してみてはいかがでしょうか♪スタートはぜひ郷土資料館からどうぞ!

「考古学講座ー基礎を学ぶ」の第1回を開催しました

本日は「考古学講座ー基礎を学ぶ」の第1回目を開催しました。当日は、台風接近で天気があまりよくありませんでしたが、多くの方にご参加いただきました。

考古学講座はこれまで、毎回一つの遺跡をとりあげて「●●遺跡を学ぶ」といった単回の講座を行っていましたが、今年度は少し方法を変え、5回連続講座とし、春日部市の旧石器時代からなら平安時代までの遺跡の概要と、一般的な考古学の基礎についてのお話をすることとしました。

5回のテーマは下記の通りです。

1.考古学とは?/春日部のどこに遺跡があるか?・春日部の旧石器時代

2.発掘調査の方法・層位学/春日部の縄文時代

3.分類と型式学/春日部の弥生時代

4.年代の決定/春日部の古墳時代

5.春日部の奈良時代・平安時代/考古学講座のまとめ

 

今年度はすでに定員となっており、新たなお申込みはできませんが、講座終了後、資料はお渡しできますので、ご希望の方は資料館までお申し出ください。また来年度も同じような内容で講座を開催する予定です。

 

さて本日は、「考古学とは?」と「春日部のどこに遺跡があるか?」、「春日部の旧石器時代」についてお話いたしました。

「考古学とは何か?」では、「考古学とは痕跡・モノからその成り立ちを研究する」という定義をもとに、世界の考古学の歴史から日本の考古学の歴史について簡単にまとめました。

「春日部のどこに遺跡があるか?」では、市内外の地形図を見ていただき、市域には台地が4か所あって、台地上から主に遺跡が発見されているが、弥生時代以降は、低地の自然堤防からも遺跡が発見されていて、まだ未知の遺跡が眠っている可能性もあるといったことをお話ししました。

「春日部の旧石器時代」では、市内でも約3万年前の石器が台地の関東ローム層の中から発見されていること、ナイフ形石器や細石器が出土している遺跡もあること、石鏃は縄文時代の石器であることなどをお話ししました。

 

今回の講座では「ゆっくり、たのしく」をモットーに掲げています。

少しずつ、楽しみながら考古学の世界に触れていただければと思います。

 

考古学講座

【常設展 #展示替 】江戸川の幻の河岸

常設展示を一部、しれっと展示替しました。郷土資料館は、春日部にかつてあったモノ・コトを掘り起こして、皆さんにお伝えします。今回は、新宿新田に、船着き場があったんですよ!という話題。 #かすかべプラスワン

展示替といっても、当館は狭いので、近現代の流通交通を紹介する一コーナーのみですが。テーマは「江戸川の舟運in新宿新田」。

展示資料は、今年初頭にご寄贈いただいた、江戸川沿いの新宿新田の船着き場の運営をされた回漕業を営まれた旧家の資料です。

市内において、近世には河岸問屋を伴う河岸は西宝珠花と西金野井の二か所あったようです。「あったようです」というのは西宝珠花の史料が残っていないので不明なのですが。

河岸問屋は、幕府に営業税を支払うことで、河岸場の「場」の運営を保障され、周辺農村から年貢の津出しが許されていました。意外に思う方も多いようですが、市内においては古利根川には河岸問屋がいませんでした。ですから粕壁宿の舟運は小取引のものに限られていたようです。時期にもよりますが、近世中後期には、粕壁宿の年貢は、西金野井から津出しされていたようです。

明治時代になると、舟運を取り仕切る業者は、近世以来の河岸問屋に限ることなく、様々な人々が回漕業を営めるようになったようです。とはいえ、西宝珠花と西金野井は明治初頭に寄航する蒸気船の寄港地として、舟運上の特権を持ち続けました。明治以降の江戸川の舟運は、蒸気船により「発達」し、昭和初頭に舟運業が衰退するまで、市域の経済活動を支えてきました。

今回展示した、新宿新田の河岸場は、代々増田家が取り仕切ってきたといわれ、増田家の当主の名により「伊和右衛門河岸」と呼ばれてきたそうです。「伊和右衛門河岸」の起源は不明ですが、近世的河岸問屋が解体して以降、おそらく明治以降に成立したものと考えられます。明治以降の大型の蒸気船の舟運を補完する、小型舟の物流を支えていた河岸場だったと推定されます。

展示した資料は、明治時代以降のもので、埼玉・千葉両県による渡船場の許可書や、河岸倉庫の設置申請書などがあります。これらの文書から、「伊和右衛門河岸」の位置が新宿新田の「字犬塚」地内にあったことが明らかになりました。現在は、江戸川改修により、河岸場の位置は河川敷になっているようですので、幻の河岸場といえるでしょう。

写真:展示ケース

新宿新田にお住まいの方、お近くにお住まいの方、舟運にご興味のある方、はたまた江戸川が好きな方は、ぜひご覧いただければ幸いです。

「10/9歴史文化講演会ー鎌倉殿と東国武士」、「10/8~古文書講座初級編・中級編」の申し込みは終了しました

9月13日(火)より募集しておりました歴史文化講演会 菱沼一憲先生「鎌倉殿と東国武士~春日部ゆかりの人々の動向」、古文書講座(初級編・中級編、6回連続講座)は、満席になりましたので募集を終了しました。

多くの方のお申込み、ありがとうございました。

郷土資料館では、今後も各種講座を実施予定ですので、ご期待ください。

 

●郷土資料館10/9歴史文化講演会「鎌倉殿と東国武士~春日部ゆかりの人々の動向」

日程 令和4年10月9日(日)

講師  菱沼一憲先生

参加費 無料

 

●郷土資料館 古文書講座初級編

日程 令和4年10月8日、11月12日、12月3日、令和5年1月14日、2月18日、3月11日 午前10時30分~12時00分(すべて土曜日・全6回)

講師 郷土資料館職員

参加費 無料

 

●郷土資料館 古文書講座中級編

日程 令和4年10月8日、11月12日、12月3日、令和5年1月14日、2月18日、3月11日 午後2時~3時30分(すべて土曜日・全6回)

講師 郷土資料館職員

参加費 無料

【共催展】撤収・搬出

9月4日までの宮内庁・春日部市共催展示「明治天皇と春日部」展の撤収・搬出が終わりました。共催展について、色々発信してきましたが、これが本当に最後の記事になるでしょう。 #かすかべプラスワン

 

8日(木)には宮内庁宮内公文書館の皆さんが来館され、展示資料の撤収作業を行いました。

写真:資料の撤収1

一つ一つ、史料の状態を確認しながら、一つ一つ、梱包をしました。狭い展示室にもかかわらず、展示作業は「あーでもない、こーでもない」と時間がかかるのに、片づけは早いのです。

記録で撮影していると、「「ほごログ」にまた出ちゃうの!?」とおっしゃっていたので、ご希望通り、全世界にご披露します。

写真:撤収の模様

宮内庁宮内公文書館の担当者の御三方が春日部の地で揃うのも、この日が最後。片づけられ、がらんとした展示ケースもあって、少し物悲しく感じた一日でした。

9日(金)は資料搬出日でした。

写真:資料の梱包

埼玉鴨場から借用した大型資料の梱包、資料の最終確認をして、宮内庁からお借りした資料は、越谷市の埼玉鴨場、そして、お城のなかの宮内庁宮内公文書館へと帰っていきました。展示していたのは、わずか2か月足らずの期間でしたが、トラックを見送るとき、ほっとしつつも少し寂しく思いました。「サヨナラ、宮内庁!」

当館で実施された、宮内庁宮内公文書館の出張・共催展示は、今後も継続して開催するとのこと。春日部会場が片付いて、宮内庁の皆さんは来年度の準備に切り替えていくそうです。

当館も別の機関への借用資料もありますが、これでひと段落。次の展示や事業に向けて、こちらも切り替えです。

宮内庁の皆さんには本当にお世話になりました。改めてお礼申し上げます。皆さまには、宮内庁宮内公文書館・春日部市郷土資料館それぞれ、今後ともご支援いただければ幸いです。

 

 

 

「考古学講座ー基礎を学ぶ」の募集は終了しました

9月7日(水)より募集しておりました「考古学講座ー基礎を学ぶ」(5回連続講座)は、満席になりましたので募集を終了しました。

多くの方のお申込み、ありがとうございました。

郷土資料館では、今後も考古学関連の講座を実施予定ですので、ご期待ください。

 

●郷土資料館 考古学講座ー基礎を学ぶ

日程 令和4年9月24日、10月29日、11月26日、12月24日、令和5年1月28日 午前10時~11時30分(すべて土曜日・全5回)

講師 郷土資料館職員

参加費 無料

【共催展示閉幕】記念シンポジウム・ミュージアムトーク

9月4日(日)宮内庁との共催展「明治天皇と春日部」が閉幕しました。最後の週末に展示に花を添えたのは、記念シンポジウムとミュージアムトーク。それぞれ多くの方にお集まりいただきました。

9月3日には、記念シンポジウム「江戸川筋御猟場―埼玉県東部・宮内省・民衆―」を開催しました。このシンポジウム申し込みから数日で定員に達してしまったほど、関心の高い事業でした。

シンポジウムには、明治学院大学の吉岡拓先生、中央大学の宮間純一先生、宮内庁宮内公文書館の篠﨑佑太先生をお招きし、郷土資料館の学芸員も登壇しました。

写真:記念シンポジウムの会場

個別報告では、江戸川筋御猟場について、地域の狩猟(榎本)、宮内省(篠﨑)、行政と政治・天皇の受容の問題(吉岡)を視点にして、史料に基づき濃密なお話をいただきました。じっくり時間をとってお話しいただいてもよい濃密な話でした。ディスカッションでは、会場からいただいた質問用紙に応えながら進行しました。短時間では、さばききれないほどの質問があり、嬉しい悲鳴。受講者の皆さんの関心が高く、学習に熱心であることに非常に驚かされました。登壇された先生方も「春日部の方たちは非常に熱心だ」とご感想をいただきました。

写真:シンポジウムの討論

ディスカッションの最後に、吉岡先生が「春日部市域の御猟場については、史料が少なくまだわかっていないことが多い。春日部市域には個人のお宅に御猟場の資料が眠っている可能性がある。ご存知の方がいれば、ぜひ春日部市の郷土資料館へご一報願いたい」とご発言いただきました。郷土資料館の活動をご紹介いただき、またそれが郷土の歴史の解明にとって、重要であることを位置付けていただく趣旨のご発言でした。

江戸川筋御猟場は、埼玉鴨場の残るの越谷市ではそれなりに関心のあるテーマのようですが、今回をきっかけに、春日部市域でも史料の調査が進み、調査研究を深化させられる、そうした可能性を指し示すシンポジウムになったように思えました。ご登壇いただいた先生方、ご参集いただいた会場の皆さま、どうもありがとうございました。

 

最終日の9月4日には、学芸員による展示解説(ミュージアムトーク)を開催しました。

シンポジウムの申し込みが間に合わなかった方、最終日に駆け込みで見に来てくださった方が集まり、午前、午後とも大変盛況でした。

写真:ミュージアムトーク

今回の展示では、宮内庁宮内公文書館の皆さんのご協力があり、例年よりも多くのイベントを組むことができました。特に重要だったのが、展示解説講座と前述のシンポジウムです。私自身、宮内庁の皆さんの展示解説講座を拝聴し、また自分で準備するなかで、展示資料の史料研究が進められ、資料に対して理解を深めることができました。

今回の展示では、宮内庁宮内公文書館の皆さんと展示設営を分担したこともあり、最初のミュージアムトークの時には、正直「なぜこれを展示したのだろうか」と疑念を抱くものも少なくありませんでした。しかし、前の通り展示解説講座やシンポジウムで資料の理解が進みましたので、最終日のミュージアムトークは、私自身これまでで一番うまくしゃべれた気がします(笑)

参加された皆さんからは、「話を聞いてよくわかりました」とか「まとめすごろくがよかった」とか「ごぼうのスタンプ押して帰ります」など、ご感想をいただきました。お集まりいただきありがとうございました。

 

展示は終了してしまいましたが、図録は今後も在庫が底をつく限り配布します。また、展示の成果として、引き続き、宿場町の模型には明治天皇の御昼食所と明治14年の巡幸の供奉者の昼食所を表示します。

シンポジウムでもご指摘いただきましたが、この展示をきっかけに、これまで分からなかった、意識されなかった巡幸、御猟場、梅田ごぼうについて、関心が高まり、新たに関係資料が発掘・発見されることが期待されます。そういう意味で、展示は終わりではなく始まりなのかもしれません。そして、春日部市郷土資料館は、目立たないのですが、日々成長しています。ぜひ、何かご存じの方は、春日部市郷土資料館へご一報ください。 

【臨時休館のお知らせ】

9月17日(土)から9月20日(火)は、燻蒸作業を行うため郷土資料館は休館いたします。ご迷惑をおかけしますが、ご理解のほどよろしくお願いします。

*17日(土)~19日(月)は、教育センター全館立ち入り禁止になりますのでご注意ください。

*20日(火)は、郷土資料館は休館となりますが、教育委員会事務局は業務を行っております。

【週末に閉幕】「明治天皇と春日部」お見逃しなく

宮内庁宮内公文書館との共催企画展「明治天皇と春日部」は、9月4日(日)まで。最後の最後に、テレビでも紹介いただきました。 #かすかべプラスワン

昨日、テレビニュースでの紹介され、ネットニュースにも動画が公開されたお蔭もあって、今日はあいにくの天気で、平日にも関わらずにぎわっています。

明治天皇の巡幸、江戸川筋御猟場、梅田ごぼうを主要テーマとし、宮内庁宮内公文書館所蔵の資料をはじめ、春日部の郷土資料を陳列し、近代の皇室と春日部の歴史を展示紹介しています。

来館された方には、もれなく図録も差し上げています。あと2日、この週末で終わってしまいますので、ぜひ、お見逃しなく。

画像:チラシ

最終日の9月4日(日)には、学芸員による展示解説(ミュージアムトーク)も開催します。ふるってご参加ください。

ミュージアムトーク

日時:令和4年9月4日(日)10時30分~、15時~各回30分程度
場所:春日部市郷土資料館企画展示室(入館人数を制限する場合があります)
申込:不要。直接展示室にお集まりください。

【復活!出張授業】「でばりぃ資料館」in備後小学校

令和4年8月31日(水)に備後小学校出向き、第3学年の児童に向けた、『でばりぃ資料館』を開催しました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、学校への訪問も難しく、令和4年度当初から中止を余儀なくされていたでばりぃ資料館ですが、このたび再開と相成りました!

 

本日は総合的な学習の時間の一環として出張ってきました。

1学期に市民の方に、戦争についての話を聞いたとのことで、昔の備後小周辺の空中写真や、家庭で使われていた道具、また郷土資料館で展示している太平洋戦争期の道具などを用意していきました。

備後小には郷土資料室があるため、教室と郷土資料館の二手に分かれて入れ替え形式で学習しました。

 

教室での講義風景

教室では、1974年(昭和49年)・2019年(令和元年)の備後小周辺周辺の空中写真をみながら、今と昔の変化などを比較してもらいました。

タブレットPC使用中

空中写真の観察では、これまでラミネート加工した大判の空中写真を床に敷いて見てもらうのが定番でしたが、ICT教育の一環として一人一台用意されたタブレットPCを使用して見てもらいました!

 

郷土資料室での講義風景

郷土資料室では、昔の生活道具や戦争期の道具について学芸員が解説し、自由時間に触ったり観察したりしてもらいました。

電気が普及していなかった時代の生活の一端と、平和の尊さを感じてもらえたでしょうか。

 

本年度も10月~2月に小学校第3学年の社会科地域学習に対応した展示「くらしのうつりかわり」展を開催します。団体見学で郷土資料館に来ることが難しい学校さんはぜひ「でばりぃ資料館」をご活用ください!

また、今回のように社会科に限らず内容や日程の調整をさせていただければ随時出張いたしますのでご相談ください。

展示解説講座その4「埼玉鴨場の設置について」

8月28日(日)講師に辻岡健志先生(宮内庁宮内公文書館)をお迎えして、「明治天皇と春日部」展の展示解説講座を開催しました。

テーマは「埼玉鴨場の設置について」。辻岡先生は、現在開催中の「明治天皇と春日部」展において、「埼玉鴨場の設置」の展示設営を担当いただいた方です。埼玉鴨場は、春日部市のお隣の越谷市内に現在も宮内庁が所管する施設です。明治41年(1908)に当時南埼玉郡大袋村に鴨猟をおこなう施設として設けられました。春日部とは関係がないようですが、前の講座のテーマにもなった江戸川筋御猟場に深く関係があります。

前回の講座に引き続き、今回の展示解説講座でも、現在「明治天皇と春日部」展で展示されている資料を丁寧に読み解きながら、鴨場の由来、宮内省が所管する他の鴨場の紹介、埼玉鴨場の成り立ちや利用の実態について、展示資料以外の資料も多用してお話しいただきました。

写真:講座の様子

講座のなかでは、鴨場となる敷地の買収の交渉過程について、詳しく説明がありました。埼玉鴨場の敷地はもともと桃や梅などの立ち木がうわっている土地や、田地などであり、鴨猟のために池が造成されたことが明らかにされました。また、明治天皇が埼玉鴨場に行幸になることはなかったそうですが、明治・大正・昭和前期の外交官の鴨猟一覧では、皇族の方々や外賓の方々が埼玉鴨場を利用されていることが示され、皇太子や皇太后が鴨場に行幸啓される過程についても資料から詳しくお話しされました。

写真:質問に答える辻岡先生

質疑応答では、鴨場の利用が皇室の「大喪」や「御不例」のため中止になっていることについて、鴨猟の起源についてなど、受講者から質問がありました。

講座終了後も質問される方の長蛇の列ができました。辻岡先生には、ご多忙のところ、貴重なご講演、丁寧なご対応、大変ありがとうございました。

展示解説講座は、当館学芸員による「明治天皇と粕壁宿」も含め、全四回、すべて無事に終了することになりました。

展示はあと一週間。ご覧になっていない方はお見逃しなく。

 

【八潮市立資料館】連携展示「八潮の御鷹場・御猟場」

久喜幸手杉戸越谷草加に引き続き、宮内庁との共催展「明治天皇と春日部」の連携展示の紹介。最後となる6回目は八潮市立資料館です。 #かすかべプラスワン

「春日部の話じゃないじゃないか!」とお叱りを受けそうですが、春日部市内の歴史だけを切り取っても理解は深まりません。視野を広くもって春日部の歴史も考える必要があります。歴史は地域をつなぐ。そんな思いから、連携展示「埼玉県東部と近代の皇室」は企画されました。

写真:八潮市立資料館

さて、八潮市立資料館さんは、埼玉県東部でも特徴的な博物館施設です。博物館の機能のみならず、文書館、文化財センターの機能を有していて、展示事業だけでなく、幅広い活動で、八潮市域の歴史・文化財普及・研究の拠点となっている施設です。ミュージアムスタンプラリーの参加館でもあります。 

今回は、八潮市立資料館さんに、ご協力いただき、宮内庁共催展の連兼展示をお願いしました。

連携展示「八潮の御鷹場・御猟場」は、一階のロビー展示として開催されています。資料点数は多くはありませんが、パネルのみならず、原資料も陳列しており、見ごたえがあります。県立自然の博物館から借用した鳥のはく製も展示されており、お子様でも楽しめます。

展示の内容は、八潮市域が江戸時代には江戸幕府の御鷹場であり、明治時代には皇室の遊猟場である江戸川筋御猟場であり、その後、村営の猟区が設置される、鳥をめぐる歴史を紹介するものです。コンパクトな展示ながらも、身分制社会のなかでの御鷹場、皇室など限られた人々のための御猟場、そして、民間にも開放された猟区という図式で歴史の大きな流れにも沿い、核となる資料を並べ、春日部市域を含む東部地域にも共通する内容になっています。淑徳大学の博物館学芸員課程を履修する学生さんたちと設営した展示だそうで、とてもよい展示だと拝見しました。

現在、同館では、9月19日まで、企画展「八潮建物解体新書」も開催しています。こちらもあわせてお楽しみくだされば幸いです。

 ◆八潮市立資料館「八潮の御鷹場・御猟場」

  会期:7月20日(水)~9月4日(日)

  開館時間:9時~17時00分(民家は15:45まで)

  休館日:月曜日

  住所:八潮市南後谷763-50

  電話:048-997-6666

  https://www.city.yashio.lg.jp/kurashi/shisetsuguide/shiryokan/index.html

たんけん郷土資料館 めざせ!キッズ学芸員を開催しました

8月27日(土)、小学生向けの講座「めざせ!キッズ学芸員」を開催しました。この講座は、現在開催中の「明治天皇と春日部」展の内容を普及講座で、春日部の歴史をよく知って、キッズ学芸員をめざすイベントです。 #かすかべプラスワン

講座では、まず博物館や学芸員はどんな仕事をしているのか、を説明した後、展示室でナゾトキゲームをしてもらいました。展示資料にゆかりのある問題をスタンプを押しながら考えてもらいました。

写真:会場の様子

参加者は小学校1年生から6年生までいましたが、高学年の子どもたちは「簡単!」といいながら、スタンプを探すのに手間取っていました。1年生の子は兄弟やおうちのひとに手伝ってもらいながらナゾトキをしていました。

すべてできたら特製の「キッズ学芸員専用資料館たんけんバッチ」をつくり、身に着けて、資料館の裏側探検へ。

春日部の郷土資料館は展示室が大変狭いですが、実は展示室よりも広い大きな収蔵庫があります。

キッズ学芸員たちは、恐る恐る収蔵庫へ。「変なにおいがする」とか「物がたくさんある」と言いながらも、収蔵庫の資料数を聞くと、驚いた様子。保存箱のふたを開けて、250年前の古文書を見て、触れて、目を輝かせていました。収蔵庫では最後に脚立をのぼって、収蔵棚の最上層を覗いてもらいました。クイズなどを交えながら、楽しく郷土資料館の裏側を探検してもらえたようです。

 

休憩をはさんで、後半はビンゴゲームで遊びました。ただのビンゴじゃない。郷土資料館オリジナルの鳥ビンゴです。

「明治天皇と春日部」展のテーマのひとつ「御猟場」に関わらせて、春日部にいる(または、昔いた)鳥をビンゴのマスにしてみました。春日部の鳥にかかわる歴史について、クイズやお話しをして、ゲームのヒントとし、25のマスに好きな鳥のシールをはって、ビンゴカードを作ってもらいました。

写真:ビンゴカード

ビンゴには「景品があります」と伝えると、みんな真剣に鳥の配列を考えました。子どもたちよりも、同伴された保護者の方が真剣にもみえました。

いざ始まると、皆、真剣です。スズメやカラスなどよく見かける鳥だけでなく、現在でもオオタカやサカツラガンなど珍しい鳥もみられます。また、歴史的にはツルも来ていたとか。「春日部にこんな鳥がいるんだぁ」と少しでも思ってもらいながら、楽しんでくれたなら幸いです。

景品は、特製のマグネット。優勝は金のマグネット、準優勝は銀のマグネット、三位は銅のマグネット。参加賞もあります。

写真:景品のマグネット

優勝した女の子は1年生でした。初めて開催したゲームなので、記念すべき鳥ビンゴ初代王者です。

学芸員や資料館のお仕事や普段みられない資料館の裏側を見学したり、オリジナルのゲームで遊んだり、盛りだくさんでしたが、郷土資料館や学芸員のことが少しはわかったでしょうか。「普段は入れない裏側に入れてうれしかった」とか「鳥ビンゴ楽しかった」など感想をいただきました。

ここから未来の学芸員が出てきてくれたら、なんて考えると、感慨もひとしおです。

今回の「たんけん郷土資料館めざせ!キッズ学芸員」は、初めての催しでした。改善すべき点も少なくありませんでしたが、受講者の皆さんにはおおむねご好評のようでした。終了後には「またやってほしい」とか「次はいつですか」などうれしい反響もいただきました。次回は、たぶん来年の夏かもしれません。またの機会をお楽しみに。

【 #8月27日 】 #今日は何の日? in春日部

 明治32年(1899)8月27日、北千住駅ー久喜駅間に東武鉄道が開通しました。

貨車1両と客車3両を連結した混合列車が、毎日、上り、下り7本の運行を開始しました。開通時の駅は、北千住、西新井、草加、越ヶ谷(現・北越谷)、粕壁(現・春日部)、杉戸(現・東武動物公園)、久喜でした。1等から3等までの客車種別が設けられ、北千住駅ー久喜駅間の運賃は3等客車で33銭でした。粕壁駅の明治33年(1900)の年間乗降客数は20万人程度(『埼玉県統計書』1900年)、単純計算で1日に約300人が粕壁駅を利用していたと考えられます。

明治32年12月には、新田駅、蒲生駅、武里駅、和戸駅、明治33年には竹ノ塚駅が開設されました。明治35年(1902)には、吾妻橋駅(現・とうきょうスカイツリー駅)から北千住駅、明治43年(1910)には新伊勢崎駅から伊勢崎駅間が開通し、吾妻橋駅から伊勢崎駅間全線開通となりました。この間、明治38年(1905)には、根津嘉一郎氏が初代社長に就任し、一時営業不振に陥った東武鉄道の立て直しを図ります。

 

東武鉄道線路平面図

明治29年(1896)東武鉄道線路平面図(国立公文書館所蔵:クリックで画像ファイルがダウンロードされます)

 

さて、明治29年(1896)に作成された東武鉄道線路平面図が残されています。

この図には、千住から足利間に予定線路が書かれています。この図面が書かれた当初、すでに開業していた両毛鉄道足利停車場(現・両毛線足利駅)に乗り入れ、終点とする予定でした。しかしながら渡良瀬川架橋について地元の同意が得られず、明治39年(1906)に足利は渡良瀬川南岸に足利町停車場(現・足利市駅)をもうけ、日本鉄道伊勢崎停車場(現・伊勢崎駅)に終点が変更されました。

また、この図には、当時の市街地が 細かく書かれています。当然のことながら、宿場町として栄えた粕壁も大きい市街地として書かれています。そしてよく見ると、駅(停車場予定地)が、宿場町の東側に書かれています。

どのような意図であったかはわかりませんが、予定線路通りのルートをたどると、粕壁駅の手前と杉戸駅の先で大落古利根川を渡ることとなり、橋が余計に必要になることなどが理由として考えられます。

 

東武鉄道線路平面図拡大

東武鉄道線路平面図(拡大。草加、越ヶ谷、粕壁、杉戸の停車場予定地をいずれも宿場町の東側に書いている)

 

東武鉄道はこの後、大正11年(1922)に浅草駅(現とうきょうスカイツリー駅)から久喜駅間の複線化、大正15年(1926)までに同区間の電化が完成し、電車の運行で乗車時間が大幅に短縮されました。

 

参考文献

東武鉄道株式会社『東武鉄道百年史』1998年

春日部市教育委員会『新編図録 春日部の歴史』2016年

 

今日は何の日?in春日部シリーズ→1月1日版3月14日版3月27日版4月28日版6月3日版6月10日版7月31日版9月16日版

オンライン土器作り教室“野焼き”を行いました

 本日8/26(金)に待ちに待った土器作り教室の“野焼き”を行いました。早い方は7月中にご自宅で作り上げた土器を文化財保護課までお届けいただき、小1ヵ月ほど、じっくりと乾燥させました。

 当初、うす茶色だった土器は乾燥によって乳白色へ、重さも大きさも約1割ほど縮みました。

 乾燥後

 

 

 

 

 

 

 

野焼きは温度調整が難しく、燃料である木材を火の様子をみながら加えるという、まさに学芸員の経験で焼き上げています。

 温め状況

 

 

 

 

 

 

 

最初は土器を火のまわりに並べ、遠火で温めること小一時間。 軍手でももてないくらい熱くなったら、さらに火に近づけます。

土器の表面が赤茶色に変色してきたら、オキ(炭)を土器の中へ。オキの熱で土器を温めます。ここまでで二時間経過。

オキの熱で土器の底が徐々に変色してくると、軍手では土器を持つことができなくなるほど、熱がこもってきます。

本炊き

 

 

 

 

 

 

 

 

そこまで土器を温めてカマの中に投入。「はじめチョロチョロ・・・なかパッパ・・」とお米を炊き上げるように徐々に火力をあげ、本焼きへ。火力があがるように良く乾燥した木材を少しずつ投入していくと、透けたような真っ赤な土器に。この時の火力は600度以上ともといわれています。

 その後、火を落とし、土器を横倒しし、まんべんなく焼いて完成!

でも、小一時間程度、放置しないと熱がさめず、カマから引き上げることもできません。

完成!作品一堂 

 

 

 

 

 

 

 

  今年も家庭で作られた思い思いの土器や土偶が完成しました!

令和4年度のオンライン土器作り教室では40名の方が参加いただきました。来夏も開催いたしますので、ご興味ある方、またご家族での参加をお待ちしております!

 

ララガーデン春日部で「はじめてのおしごと~学芸員編~」を開催しました!!

 ララガーデン春日部で、体験をとおして将来の夢を描いてみようと小学生を対象にした事業「はじめてのおしごと」が7月30日から8月21日の土日計6日間、12種の職業体験が行われました。その中で「学芸員」は8月20日(土)午前午後の2回を分担し、土器作りも体験していただきました。

 導入では「学芸員はどこで、なにをしているの?」について写真を用いて解説。また、博物館だけではなく、美術館や科学館、水族館、動物園など、さまざまな館で活躍していることを紹介しました。特に県内には鉄道に特化した鉄道博物館をはじめ、歴史に問わず、自然系の博物館でも学芸員が配置され、その領域を広めていることを案内しました。

導入風景

 

 

 

 

 

 

 

 続いて体験プログラムとして、教材粘土を使って土器作りを体験。遠巻きで写真撮影していた保護者の皆さんも最後にはお子さんの手伝いに加わり、家族総出の体験を楽しんでいただきました。

土器づくり解説

 

 

 

 

 

 

市Youtubeチャンネルに掲載している「土器づくり」の動画で作る手順を確認

作り体験

 

 

 

 

 

 約1時間集中したひと時。その後、保護者も参加され家族総出の土器づくりとなりました!

 

 学芸員という職があることや、1900名以上いる市職員の中で学芸員は僅か8名であることを初めて耳にしたという保護者の感想も聞かれる中、参加されたお子さんからは「白衣を着ていないの」とか、「学芸員のお仕事は大変そうだけでやってみたい」といううれしい声も聞かれました。

 資料館でのキッズ学芸員講座をはじめ、「学芸員」という職と仕事内容がより発信できるよう、皆で創意工夫しながら努めます!!

郷土資料館体験ワークショップを開催しました

令和4年8月21日(日)の午前と午後各1回ずつ、郷土資料館体験ワークショップ「ミニ空気砲を作ろう」を開催しました。

 

まずは蓄音機でのレコード鑑賞から。ここ数年は「かっこうのワルツ」を流していたのですが、今日はちょっと趣向を変えて「ミッキーマウスの木琴」にしてみました。

ミッキーマウスマーチとは別の曲ですが、遊園地で流れていそうな陽気な曲です♪

蓄音機上演

蓄音機はレコードの回転速度を変えることで、音を早くしたりゆっくりにしたりできます。音の変化に驚いた子供たちは「もう一回やって!」と嬉しそうでした!

 

紙芝居朗読

次に、春日部の昔話「飯沼の椀貸し伝説」の紙芝居を朗読しました。

食器を貸してほしいという祈りを叶える不思議な沼の伝説。しかし、心無い者が借りた食器を沼に返さなかったため、二度と食器を借りることができなくなってしまったというお話です。

ずっと借りっぱなしのアレコレ、誰しもあるのではないでしょうか?私だけではないはず・・・。ちゃんと返したいものですね!

 

おもちゃ作り

おもちゃはミニ空気砲を作りました!

科学実験などでよく見る空気砲は段ボールを使った大きなサイズのものが多いですが、ペットボトルを使ったミニ空気砲は手軽に持ち帰ってもらえるサイズです♪

おもちゃ遊び

作った空気砲で的あて遊び!目に見えない空気の弾の軌道を読みながら狙います!

現在開催中の企画展示「明治天皇と春日部~巡行・御猟場・梅田ごぼう~」展の中で紹介されている“御猟場での鷹狩り”を模して、空気砲に鷹の絵を貼り、的には獲物となる鳥の絵を貼ってみました。

 

缶バッジ作り缶バッジ

最後に恒例の缶バッジ作り!

缶バッジに使用する絵を的に仕込んでおいたので、自分で狩った獲物(的)を使ってバッジ作りをするというちょっとした狩りの疑似体験にもなったでしょうか。

 

本日もお越しいただき、ありがとうございました!次回の体験ワークショップは令和4年10月に開催予定です。詳しくは広報誌等でご確認ください。

郷土資料館は適宜換気や消毒を行って開館しております。体調に気を付けながら、またぜひお越しください。

展示解説講座その2「梅田ごぼうの献上」

8月20日(土)講師に二ノ宮幹太先生(宮内庁宮内公文書館)をお迎えして、「明治天皇と春日部」展の展示解説講座を開催しました。

テーマは「梅田ごぼうの献上」。二ノ宮先生は、現在開催中の「明治天皇と春日部」展において、「第3章春日部市域の恩賜と献上」の展示設営を担当いただいた方です。梅田ごぼうは、春日部市内では割と知られた特産農産物。梅田女體神社の石碑もあり、大正時代に皇室に献上されたことが語たり継がれてきました。そのことは、前にも紹介しました。

前回の講座に引き続き、今回の展示解説講座では、現在「明治天皇と春日部」展で展示されている資料を丁寧に読み解きながら、皇室への献上の仕組みやプロセス、宮内省・埼玉県・南埼玉郡・内牧村の間で発信・授受される公文書のサイクルをまじえながら、梅田ごぼうがどのような目的で、何のために、どのように献上されていったのかを、解説いただきました。宮内省や埼玉県には梅田ごぼうの献上に関わる公文書が残されていますが、郡・村には文書がのこされていません。資料が限られているなかで、至極丁寧に史料を解釈され、歴史学研究の鑑のような報告だったと思います。

写真:講座の風景

質疑応答では、地元の石碑に刻まれる「大嘗祭御買上」と公文書の「伝献」「献上」はどう違うのか。梅田ごぼうは実際に供物としてささげられたのか、献上の規定の条文の解釈について、など、かなり鋭い質問が投げかけられました。

また、梅田ごぼうを実際に召し上がったことのある方も発言され、「昭和50年頃に甘辛く煮て食べ、香りがよくおいしかった」と、在りし日の梅田ごぼうの味を会場で共有することもできました。

写真:解説される二ノ宮先生

「伝説のごぼう」と言われますが、梅田ごぼうのことが着々と判明してきた貴重な機会となりました。

受講者の方からは、「公文書から梅田ごぼうのことがよくわかった」「丁寧なお話しありがとうございました」などの感想をいただきました。二ノ宮先生には、ご多忙のところ、貴重なご講演、丁寧なご対応、大変ありがとうございました。

展示解説講座は、引き続き、宮内庁宮内公文書館の辻岡健志先生をお迎えして、「埼玉鴨場の設置について」を解説いただきます。ぜひ、お申込みください。

神明貝塚から発掘された装身具などが市の文化財に指定されました!!

 8月18日に開催されました8月定例教育委員会で神明貝塚から発掘された貝輪(かいわ)や耳飾(みみかざり)、そして土偶(どぐう)が文化財に指定されました。

 この3点は、平成28年の夏に行われた発掘調査で発見された5号墓に葬られた女性の縄文人が身にまとっていた装身具や副葬品の土偶です。

貝輪

 

 

 

 

”貝輪”は外洋に生息する「タマキガイ」が用いられ、右手首にまかれたブレスレッドです。およそ全体の1/2が残ります。

耳飾

 

 

 

 

 

 

”耳飾”はなんとサメの椎骨(ついこつ=背骨)が用いられ、側面には赤色のベンガラがみられます。椎骨の直径(25ミリ)からは体長3.5m以上、胸付近に相当する部位と推定され、ピアスのように耳たぶに穴をあけてはさみ込んだ装身具です。

土偶

 ぐうすけ

”土偶”は粘土で作られた素朴なもので、短い手足と顔には粘土粒によってユーモラスな表情につくられています。右はイラスト化したもので、「ぐうすけ」と名付けられています。

 このように装身具を身にまとった縄文人の発掘例は国内でも非常に少なく、3800年前の縄文人の文化や風習をわたしたちに教えてくれます。また、内陸奥地に築かれた神明貝塚まで外洋に生息する生物が持ち込まれていることから、縄文人の往来や交流もうかがうことができます。

 この指定により、市内の文化財は68件となりました。

 本日より、郷土資料館の常設展示で公開しています!!

#大人も子どもも 「明治天皇と春日部」展

9月4日(日)まで絶賛開催中の「明治天皇と春日部」展。内容は大人向け(歴史好きな人向け?)かもしれませんが、子どもでも楽しめる仕掛けを用意しています。今日はそんな一面をご紹介。 #かすかべプラスワン

まずは、以前にも紹介した「まとめすごろく」。白黒印刷の双六を配布していましたが、わりと好評で、カラー刷りの要望も出てくるほど。学校の先生方に教材としても利用していただきたいくらいです。現在は、ちょっぴり無理をして、カラー刷りですごろくを配っています。

さて、すごろくだから、サイコロがほしい、というご要望もあったので、サイコロを用意してみました。担当者としては正直どうかな~と思っていましたが、早速、小学校のご兄弟が夢中になって遊んでくれていました。嬉しいので、写真を撮らせていただきました。

 写真:まとめすごろくで遊ぶ兄弟

結構、白熱していました。「まとめすごろく」は、すごろくで展示の内容を総ざらいできる忙しい人向けの仕掛けです。お子様も「近代の皇室と地域の歴史」がわかるかも・・・しれません。

 

話題はもう一つ。当館の人気コーナーの一つ、体験コーナー。体験コーナーでは、昔のおもちゃで遊んだり、昔の道具を体験できます(もちろん感染症対策は万全です)。実は「明治天皇と春日部」展にあわせて、新たなおもちゃを用意しています。その名も「クロックノール」。

宮内庁が編さんした『昭和天皇実録』の中に、昭和天皇が幼少時代に「クロックノール」という遊びをされていたことが記されているそうですが、詳しいことは不明とのこと。巷では「クロックノール」は謎の遊びといわれています。

このたび春日部市郷土資料館では、「明治天皇と春日部」展に合わせて、「クロックノール」という遊びを再現してみました。色々な説はあるようですが、一説には「クロキノール」と呼ばれる、おはじきとカーリングを合わせた対戦型ボードゲームと解釈されています。そこで、明治36年の文献「クロック術」をもとに、これを作ってみました。すべて職員の手作りです。

これも「遊ぶ子はいるかな~」と思っていましたが、先日、兄妹で仲良く「クロックノール」してくれていました。「わいわい」「きゃーきゃー」言いながら楽しそうでした。おはじきのような遊びは今の世代の子どもたちにとって、かえって新鮮なのかもしれません。

写真:クロックノールで遊ぶ兄妹

昭和天皇も遊ばれた「クロックノール」(かもしれないおもちゃ)で、遊んでみてはいかがでしょうか。

企画展示「明治天皇と春日部」は9月4日(日)までです。

【草加市立歴史民俗資料館】連携展示「明治天皇草加行在所」

久喜幸手杉戸越谷に引き続き、宮内庁との共催展「明治天皇と春日部」の連携展示の紹介。5回目は草加市立歴史民俗資料館です。 #かすかべプラスワン

「春日部の話じゃないじゃないか!」とお叱りを受けそうですが、春日部市内の歴史だけを切り取っても理解は深まりません。視野を広くもって春日部の歴史も考える必要があります。歴史は地域をつなぐ。そんな思いから、連携展示「埼玉県東部と近代の皇室」は企画されました。

写真:草加市立歴史民俗資料館

さて、草加市立歴史民俗資料館さんにご協力いただき、今回、草加市でも連携展示を開催しています。

草加には明治天皇の巡幸のときに、草加の大川弥惣右衛門宅が行在所(あんざいしょ)となりました。このことについて、常設展示に明治天皇の巡幸に関わる宮内庁宮内公文書館所蔵の文書や図面をパネルにて展示していただきました。大川家の屋敷は、近年まで現存しており、図面等も残っていたことから、草加市立歴史民俗資料館では、屋敷の模型を常設展示しています。旧日光道中(陸羽街道)沿いのまちでは、唯一「聖跡」の往時の遺構を復元したもの。今回、御小休所、御昼食所の図面が見出されましたので、草加市さんのような模型が復元できるといいなぁと、羨ましく拝見しました。模型と資料をぜひ合わせてご覧いただければと思います。

され、草加市立歴史民俗資料館は、草加の町なかに所在する草加市立草加小学校の旧校舎(国登録有形文化財)を活用している博物館施設。草加市は旧足立郡に立地するため、行政等では埼玉県南部に区分されますが、博物館関係のまとまりでは「県東部」に区分され、埼玉県博物館連絡協議会などでは大変お世話になっています。ミュージアムスタンプラリーの参加館でもあります。 

小学校の旧校舎という制約を受けながらも、企画展示をはじめ様々な事業を積極的に展開しており、草加の歴史文化発信の拠点となっています。近年は、東北諸藩の参勤交代の展示、マンモス団地「松原団地」の展示など、草加の歴史的な特徴を捉えた企画展示を立て続けに開催しています。江戸時代の日光道中の歴史、そして高度経済成長期を象徴する団地の歴史も、いずれも春日部にも共通する重要な点。いつも陰ながら、注目しています。

ロビーには松原団地の立体模型が展示されていました。職員さんの手作りだそうです。春日部的には、時間と手間と資料さえあれば、武里団地版をつくりたいなと思いました。本音は「どなたか、作ってください!」ですが。

写真:松原団地模型

 

現在は松尾芭蕉に関する企画展示「草加といふ宿」展を開催しています。

写真:草加といふ宿パネル

これも気合が入った企画展示。松尾芭蕉の著名な紀行文『奥の細道』の一節からとった「草加といふ宿」という展示名称もかっこいいです。館蔵の資料や各所から借用した芭蕉の句集などを一同に会して展示していました。キャプションも非常に丁寧に記述されており、見ごたえ抜群です。江戸深川を出た芭蕉の一泊目の地は春日部だったようですので、春日部のみなさんも必見の展示です。

連携展示も「草加といふ宿」展も9月4日まで。ぜひ、あわせて、ぜひご覧ください。

 ◆草加市立歴史民俗資料館「明治天皇草加行在所」

  会期:7月20日(水)~9月4日(日)

  開館時間:9時~16時30分

  休館日:月曜日

  住所:草加市住吉1-11-29

  電話:048-922-0402

  https://www.city.soka.saitama.jp/cont/s2105/030/010/010/PAGE000000000000028926.html

共催展「明治天皇と春日部」展、一部展示替をしました

9月4日(日)まで開催中の「明治天皇と春日部」展も、いよいよ折り返しです。8月9日(火)から一部展示替。後期展示が始まりました。 #かすかべプラスワン

大げさな表現ですが、展示替したのは一点のみ。明治天皇巡幸の錦絵です。明治9年に明治天皇が利根川での鯉猟をご覧になった模様を描く「奥羽御巡幸図会 利根川鯉猟天覧」を、明治9年に明治天皇が蒲生村(現越谷市)で田植えをご覧になった模様を描く「奥羽御巡幸図会 埼玉県田植展覧之図」に展示替えしました。いずれも埼玉県立歴史と民俗の博物館さんからお借りしているものですが、資料保存の観点から、展示期間は1か月との約束があり、このたび展示替えとなりました。

「奥羽御巡幸図会 埼玉県田植展覧之図」は、明治天皇が、蒲生村で馬車をとめ、たすき掛けする農夫の田植えをご覧になったもの。描かれているのは蒲生村ですが、記録によれば、大場村・大枝村(現春日部市)・大泊村(現越谷市)でも同じ光景がみられたとか。馬車は停まらなかったのですが。また、県の行政文書によれば、直前まで大場・大枝での田植えの天覧が計画されていたようです。大場・大枝のあたりでは富士山も一望できてとてもよい景色がみられたといいます。

そういうわけでは、後期展示に登場した「奥羽御巡幸図会 埼玉県田植展覧之図」は、春日部ゆかりの資料とも読み替えられそう。最終日まで展示していますので、ぜひご覧ください。

【越谷市大間野町旧中村家住宅】連携展示「越谷への行幸・行啓と埼玉鴨場」

久喜幸手杉戸に引き続き、宮内庁との共催展「明治天皇と春日部」の連携展示の紹介。4回目は越谷市大間野町旧中村家住宅です。 #かすかべプラスワン

「春日部の話じゃないじゃないか!」とお叱りを受けそうですが、春日部市内の歴史だけを切り取っても理解は深まりません。視野を広くもって春日部の歴史も考える必要があります。歴史は地域をつなぐ。そんな思いから、連携展示「埼玉県東部と近代の皇室」は企画されました。

さて、越谷市教育委員会さんにご協力いただき、今回、越谷市でも連携展示を開催しています。会場は越谷市大間野町旧中村家住宅。大間野町旧中村家住宅は国登録有形文化財、江戸時代に旧大間野村(現越谷市大間野町周辺)の名主を勤めた中村氏の旧宅で、建築当初の姿に復元されたものです。展示は、屋敷内にパネルにて展示しています。

パネルでは、他の市町の展示と同様に、明治天皇の巡幸に関わる宮内庁宮内公文書館所蔵の文書や図面に加え、越谷市に所在する埼玉鴨場についても展示しています。

埼玉鴨場は明治41年(1908)6月、埼玉県南埼玉郡大袋村(現越谷市)に設置された、現在も宮内庁が管理する鴨猟の施設です。展示では、宮内省が敷地を買い上げたときの図面や、鴨場の敷地図面、建物の図面、鴨場内の写真、関係文書などを紹介しています。鴨場には、普段、一般の方は出入りできませんので、知られざる鴨場の姿がよくわかる展示になっています。

ぜひご覧ください。

 ◆越谷市大間野町旧中村家住宅「越谷への行幸・行啓と埼玉鴨場」

  会期:7月20日(水)~9月4日(日)

  開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)

  休館日:月曜日、祝日の翌日

  入館料:一般100円、小中学生50円、未就学児無料

  住所:越谷市大間野町1-100-4

  電話:048-985-9750

  https://www.city.koshigaya.saitama.jp/smph/toiawase/shisetsu/dentobunka/oomanocyounakamurake.html

博物館実習8日目

実習8日目は、午前中に体験講座の準備と展示コンテンツの発表、午後に体験講座「dokidoki音楽づくり」に参加しました。

 

 体験講座の準備では、会場の設営や必要な道具の準備を行いました。また、準備の際に、講師の中村耕作先生(国立歴史民俗博物館)から縄文土器の文様や特徴について教えていただきました。実習生間で土器の文様や特徴について気づいたことをあげていきましたが、様々な意見や視点があり面白かったです。

写真:中村先生の指導

 

体験講座の準備の後は、7月末から準備を進めてきました展示コンテンツの発表を行いました。各々、種別や年代も異なる資料について展示コンテンツを発表し、発表を聞いている中で初めて知ることも多く、大変興味深かったです。また、自分の発表後には様々な意見やご指摘をいただき、自分では気づくことのできなかった点や改善点を知ることができ、充実した発表の時間となりました。

写真:展示コンテンツの発表

 

 

午後の体験講座「dokidoki音楽づくり」では、参加者の皆さんと一緒に縄文土器の文様にあった音楽づくりを行いました。まずは、縄文土器の文様や特徴をよく観察して、文様のパターンや違いを読みとりました。その後、読みとった文様を身体で表してみたり、文様のイメージに合った音を考えたりしました。

 写真:講座の様子1

 

 

試行錯誤しながら、文様のイメージに合う音を探し、最後にはひとつひとつの音を組み合わせて音楽にしました。自分のイメージしている音を出すことが難しかったですが、班のメンバーと一緒に楽しく音を探すことができました。4つの班に分かれて音楽づくりをしましたが、どの班も素敵な音楽を作ることができたと思います。

 写真:縄文時代の自然素材をつかった音楽づくり

 

 

次の実習は来月となりますが、最後までたくさんのことを学習したいと思います。

(令和4年度博物館実習生)

【体験ワークショップ】ミニ空気砲をつくろう!

8月21日(日)に体験ワークショップを開催します。

体験ワークショップでは蓄音機の上演や昔のおもちゃ作りをします。

今回作る昔のおもちゃは「ミニ空気砲」です。

 

ミニ空気砲

郷土資料館のワークショップで作るのは初めてのおもちゃになります!

厳密には“昔のおもちゃ”とは言えないかもしれませんが、

電気を使わず、身近な材料で簡単に作れるおもちゃということで今回作ってみることになりました!

現在、郷土資料館では企画展示「明治天皇と春日部~巡行・御猟場・梅田ごぼう~」展を開催中しています。展示の中で、御猟場では鷹を用いた猟をおこなっていたという紹介があり、今回のおもちゃは鷹のイラストを張り付けて鷹狩を模してみました!かっこいいと思いませんか!

遊びやすいように、的も用意しているので楽しみにしていてください。

 

申し込み不要、おもちゃの材料も用意してありますのでご安心ください!

当日の午前10時30分と午後2時からの計2回開催しますので、お時間までに郷土資料館にお越しください!

小さいお子様でも簡単に作れるおもちゃなので気軽に参加してみてくださいね♪

 

【体験ワークショップ】

日時:令和4年8月21日(日)午前10時30分~・午後2時~

場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)

内容:蓄音機の上演

   紙芝居

   昔のおもちゃづくり(ミニ空気砲)

費用:無料

申込:不要(開催時間までに郷土資料館におこしください)

※参加者多数の場合、人数制限をさせていただく場合がございます。当日はマスクを着用いただき、体調が優れない場合は参加をお控えください。

展示解説講座その1「江戸川筋御猟場と春日部」

8月6日(土)講師に篠﨑佑太先生(宮内庁宮内公文書館)をお迎えして、「明治天皇と春日部」展の展示解説講座を開催しました。

テーマは「江戸川筋御猟場と春日部」。篠﨑さんは、現在開催中の「明治天皇と春日部」展において、「第2章江戸川筋御猟場」の展示設営を担当いただいた方です。江戸川筋御猟場は、明治16年に千葉県・埼玉県に跨り設置された皇室の狩猟場。最も広域だった時代には、埼玉県下では、現在の春日部市をはじめ、幸手市、杉戸町、宮代町、白岡市、さいたま市岩槻区、越谷市、松伏町、吉川市、川口市、草加市、八潮市、三郷市を含むエリアに広がっていました。

今回の展示解説講座では、現在「明治天皇と春日部」展で展示されている資料を丁寧に読み解きながら、江戸川筋御猟場が設置される背景や、その仕組み、管理する宮内省の組織・機構、地域と御猟場の関わりについて、お話しいただきました。資料館の学芸員は「なるほど、そういう意図であの資料を展示したのか」と得心させられ、勉強になりました。

写真:講座の様子

他の御猟場との相違点から、江戸川筋御猟場の特徴を指摘しながら、主猟局長官などを歴任する山口正定の日記(写)を読み解き、御猟場における猟の実態や地域住民との関係を考察されました。山口は地域住民と広く交流し、かつ慕われていた人物であったことが想像されるお話しでした。また、春日部市域と江戸川筋御猟場の関係は、地元から登用された監守の職務、いわゆる「御猟場問題」として顕在化する地主(町村)への手当金の問題から、宮内省と春日部市域に歴史的な関係があることを紹介されました。

以前も記しましたが、江戸川筋御猟場については、わからないことがまだまだ沢山ありますので、今回の話は埼玉県(東部)の近代史にとって、大変貴重な成果になりました。

講演の後には、質疑応答。10名弱の方々から質問につぐ質問。時間いっぱいまで、非常に丁寧にたくさんの質問に応えていただきました。講演終了後にも、質問者の列ができるほど。

写真:篠﨑佑太先生

「とても面白かった」「知らないことばかりだった」など、みなさんとても満足された様子で、お帰りになりました。

篠﨑先生には、ご多忙のところ、貴重なご講演、丁寧なご対応、大変ありがとうございました。先生には、引き続き、9月3日(土)のシンポジウムでもご登壇いただくことになっています。

展示解説講座は、引き続き、宮内庁宮内公文書館の二ノ宮幹太先生、辻岡健志先生をお迎えして、「梅田ごぼうの献上」「埼玉鴨場の設置について」を解説いただきます。ぜひ、お申込みください。

【杉戸町南公民館】連携展示「明治天皇行幸と杉戸」

久喜幸手に引き続き、宮内庁との共催展「明治天皇と春日部」の連携展示の紹介。3回目は杉戸町南公民館です。 #かすかべプラスワン

「春日部の話じゃないじゃないか!」とお叱りを受けそうですが、春日部市内の歴史だけを切り取っても理解は深まりません。視野を広くもって春日部の歴史も考える必要があります。歴史は地域をつなぐ。そんな思いから、連携展示「埼玉県東部と近代の皇室」は企画されました。

さて、杉戸町教育委員会さんにご協力いただき、今回、杉戸町でも連携展示を開催しています。会場の杉戸町南公民館では、館内の展示スペースを使って、明治天皇の巡幸に関わる宮内庁宮内公文書館所蔵の文書や図面などをパネルで展示しています。

写真:杉戸町南公民館

注目は、明治14年の巡幸で御小休所となった、北葛飾・中葛飾郡役所の図面です。周囲に堀(水路)と矢来が張り巡らされており、行在所、御小休所となった他の施設とは雰囲気が異なります。当時の地方行政は郡役所が一定の権限をもっていたようですが、残念ながら郡役所の文書はまとまって伝来しておらず、詳しいことがわかりません。今回の図面は、巡幸はもちろんのこと、郡役所の性格を考えるうえでも貴重な資料となるでしょう。

担当者は、この資料に初めて接した時、杉戸町の担当者の顔を思い浮かべ、早く報告したいと思ってしまいました。杉戸町の担当者の方も初めてみたと驚いていらっしゃいました。

展示では、パネルですが、限りなく大きく出力して展示しています。細部の文字まで読み取れるはずですので、ぜひご覧ください。ちなみに、郡役所は現在の杉戸町役場の敷地に建っていました。敷地の形や敷地内にある御小休所の石碑がかつての面影を物語っています。

◆杉戸町南公民館「明治天皇行幸と杉戸」

  会期:7月20日(水)~9月4日(日)

  開館時間:9時~17時

  休館日:月曜日・祝日

  住所:杉戸町堤根4089-1

  電話:0480-33-6476

ミュージアムトークやりました その2

8月3日、「明治天皇と春日部」展を展示室で解説するミュージアムトークを開催しました。関東地方、春日部は記録的な猛暑となりましたが、酷暑の中でも解説を目当てにした皆さまにお集まりいただきました。

写真:ミュージアムトーク午前

展示解説では、担当者が「まとめ」すごろくを用いながら、資料の見どころを解説しました。一通りの解説が終わると、いくつか、ご質問もいただき、説明が足りなかった部分を補足してお話しをしました。

写真:午後の解説

参加された方からご質問をいただき、担当者も今更ながら気づかされましたが、「近代の皇室にとって、春日部は特別な地域だ」と誤解をされている方が多いようです。展示の主題は、巡幸・御猟場・梅田ごぼうの三本立てで、それぞれは独立しているといっても過言ではないのですが、ご観覧いただいた方は、「明治天皇が御昼食で休まれた、だから御猟場が設置され、そして災害時の恩賜や、地元からの献上がされるのだ」と三本柱に歴史的な連関があるようにご理解いただく方が多いようです。そのため、「春日部は近代の皇室にとって特別だ!」と認識されてしまうのかなと思いました。この点は展示の見せ方に問題があると反省する次第です。

今回の展示では「春日部が特別だ」ということを強調しているつもりはなく、むしろ、埼玉県東部にも共通する巡幸、御猟場をめぐる歴史の一コマを紹介しているのですが、「宮内庁共催」のかんむりがつくと、どうしても特別感が醸し出されてしまうようです。

もちろん、宮内庁が所管する普段はなかなか展示できない、貴重な資料が並んでいるのは間違いないので、そのあたりはぜひじっくりと堪能いただきたいと思います。担当者としては、「皇室ゆかりの資料から、春日部の知られざる歴史の一コマが見えてくる」という点を、皆さまに受け止めていただきたいなと思います。

次回のミュージアムトークは、9月4日(日)、展示の最終日となります。展示についてご質問、ご疑問がある方は、担当者にぶつけにいらしてください。

そして、これから展示解説講座が毎週のように開講されます。定員にはまだ至っておりませんので、ご興味のある方は事前にお申込みください。

展示解説講座
 場所:春日部市教育センター2F 視聴覚ホール
 定員:50名(申込順)
  講座①「江戸川筋御猟場と春日部」 令和4年8月6日(土)14時~16時
   講師:篠﨑 佑太(宮内庁宮内公文書館)
  講座②「梅田ごぼうの献上」 令和4年8月20日(土)14時~16時
   講師:二ノ宮幹太(宮内庁宮内公文書館)
  講座③「明治天皇と粕壁宿」 令和4年8月21日(日)10時~12時
   講師:榎本 博(春日部市郷土資料館)
  講座④「埼玉鴨場の設置について」 令和4年8月28日(日)14時~16時
   講師:辻岡 健志(宮内庁宮内公文書館)
 申込:各回7月 12 日(火)より春日部市郷土資料館の窓口・電話・春日部市電子申請にて受付

【受講者募集中】「明治天皇と春日部」展示解説講座

宮内庁との共催展「明治天皇と春日部」展では、イベントも盛りだくさんです。 #かすかべプラスワン

今回は、宮内庁宮内公文書館と春日部市郷土資料館の展示担当者計4名が、それぞれの展示担当テーマについて座学で資料を解説します。計4回の講座を1日でやってしまったもいいのですが、ちょっと頑張って、4日にわけて開催します。聞く方も大変ですよね。

初回は、8月6日(土)14時から。宮内公文書館の篠﨑佑太さんが「江戸川筋御猟場と春日部」をテーマに解説します。江戸川筋御猟場は、最大で北は幸手から南は八潮・草加(もちろん春日部市域も含まれています)そして東京まで広がる広大の皇室の御猟場でした。江戸川筋御猟場については、これまで御猟場の住民に対する補償金(手当金)をめぐる問題(御猟場問題)をめぐる研究がありますが、実は基本的なあり方や歴史的な変遷などよくわかっていません。実は『春日部市史』には御猟場の記述がほとんどありません。

篠﨑さんのお話は、宮内公文書館の文書や春日部市域に伝わる関係史料をもとに、春日部における江戸川筋御猟場について解説されるものと聞いています。春日部の郷土史とって、重要な成果であることは間違いなし。もちろん、展示もその成果の一部ですので、展示もご覧ください。

まだ若干席が空いておりますので、ご興味のあるかたは、郷土資料館まで、ぜひお申込みください(電話048-763-2455)。お申込みは、春日部市の電子申請からも可能です。

QRコード

 展示解説講座
 場所:春日部市教育センター2F 視聴覚ホール
 定員:50名(申込順)
  講座①「江戸川筋御猟場と春日部」 令和4年8月6日(土)14時~16時
   講師:篠﨑 佑太(宮内庁宮内公文書館)
  講座②「梅田ごぼうの献上」 令和4年8月20日(土)14時~16時
   講師:二ノ宮幹太(宮内庁宮内公文書館)
  講座③「明治天皇と粕壁宿」 令和4年8月21日(日)10時~12時
   講師:榎本 博(春日部市郷土資料館)
  講座④「埼玉鴨場の設置について」 令和4年8月28日(日)14時~16時
   講師:辻岡 健志(宮内庁宮内公文書館)
 申込:各回7月 12 日(火)より春日部市郷土資料館の窓口・電話・春日部市電子申請にて受付

博物館実習6日目

 

実習6日目の本日は午前中に資料整理と神明貝塚の見学、午後は実習を振り返ってのディスカッションを行いました。

 

資料整理では、お預かりした民具の虫干しとカビの除去をしました。全員で協力しながらコンテナから資料を出し、日光や風に当てながら文化財専用のウェットシートを使って丁寧にふき取りました。炎天下の中で大変な作業でしたが、カビや汚れが付着していた部分をかなり綺麗な状態にすることができました。地道で時間のかかる作業ですが、作業をしてみて貴重な資料をより良い状態で保存するためには欠かせないことなのだと知りました。大学で授業を聞いているだけではわからない学芸員の仕事を体験することができ、大変勉強になりました。

 写真:資料を拭いている様子

写真:綺麗になった資料  

 また、神明貝塚の見学にも行きました。神明貝塚は春日部市西親野井に所在し、国指定史跡になったことで有名な貝塚です。現地は畑が広がっており、一目で貝塚と認識するのは難しくなっています。しかし地面を見てみると、一面に貝が散らばっている様子が確認できます。この貝はヤマトシジミという貝で、神明貝塚でよく利用されていました。また、土器片もいくつか見られました。神明貝塚を訪れるのは初めてでしたが、思っていたよりも大規模な貝塚で驚きました。

 写真:神明貝塚の風景

 

 実習はまだ続きますが、午後は実習の振り返っての感想や考えたことをディスカッションしました。実習前は利用者としての目線でしか博物館を見ることができませんでしたが、バックヤードや資料館の現状を見てきたことで、学芸員側の立場から資料館のあり方や改善点などを考えることができました。また、他の実習生の意見も聞くことで考えが深まったと思います。

 

令和4年度博物館実習生

コンテンツ作りなど

博物館実習も半分に差し掛かった本日では、基本的に資料紹介の解説作成に1日を費やしました。午後3時からは中高生向けのミュージアムトークを聞きに行きました。

本日は、実習生みんなでそれぞれの興味に合った収蔵資料を選び、それに関する情報を調べて発表するための解説を作成することに専念しました。参考書を見ながら資料の情報を得たり、その結果をパソコンに打ち込んでいたりとペースは違えど実習生のみんなはとても集中していて、こちらも頑張らないと思い刺激をもらいました。
コンテンツ作り1コンテンツ作り2

実習生の一人が、解説を書くにあたり、資料に関して寄贈者のお話を聞きたいとのことで、呉服屋さんにインタビューに行くことになり、私もそれに同行しました。インタビューに応じてくれた方は、寄贈資料のことについてのお話の他に、ミシンと手編みの違いや今の呉服屋の現状、法被など衣類をつくる技法を当時はどのように習得したかなどのお話もしてくれました。

その中でも一番印象的だった話は、藍染めなどに使う染料を水質汚染の関係で川に流せなくなり、このことが原因で今まであった染物屋や呉服屋が店を閉めざるを得なくなったという話でした。私は今まで、水質汚染防止のための行動に悪いことはないと思っておりましたが、この話を聞いて良いことだけでないという視野が広がる感覚がありました。聞けてよかったです。
なべやさん
午後3時にはミュージアムトークという学芸員が来館者の方々に展示を解説するという企画を実習生全員で聞きに行きました。解説を聞いてくれた来館者は中学生2人だけでしたので、少し寂しく感じてしまいました。ですが、学芸員の榎本さんが質問を投げかけるなどの方法で中学生の気を引かせていたので自分もこのように解説できたらと感じました。
ミュージアムトーク

実習も残り少なくなってきたので明日からも気合を入れて頑張りたいです。

 (令和四年度博物館実習生)

他館見学

本日は一日かけて岩槻の博物館、資料館の見学へ行きました。

まず、岩槻郷土資料館、岩槻藩遷喬館にて、旧岩槻市の歴史や民俗資料について学習しました。江戸時代、岩槻は城下町として発展しており、日光御成街道は多くの武士が行き来していたそうです。

岩槻郷土資料館

特別に上げていただいた屋上からはかつての日光御成道を眺めることができ、日光御成道が通っている理由や現代の道幅の拡張についても理解を深めることができました。また、岩槻は台地が多いこと、周辺地域で出土することが珍しい弥生土器が発掘されたことを知りました。当時の環境と資料とのつながりを感じることができました。

岩槻郷土資料館2

岩槻藩遷喬館は、儒学者の児玉南柯が開校した塾で、主に藩士の子供たちが儒学を学ぶための施設です。児玉南柯の自画像と思われる掛け軸も飾られています。

 児玉南柯の掛け軸

また、ここは明治時代には一度住居として改装され、それを再び当時の姿へ復元したものです。手を加えられた箇所は当時の建築を再現するために解体されています。建築から暮らし、暮らしから社会性を紐解いていくのは面白いです。

次に岩槻人形博物館を見学しました。こちらでは、人形の誕生や歴史についてが解説されています。雛人形の五人囃子はそれぞれ楽器を演奏していますが、その楽器の形に合うように一体ずつ手の形を変えて作られているのです。人形職人さんの磨かれた技術が、人形に命を吹き込んでいるようでした。

岩槻人形博物館

そして午後は、東玉人形の博物館を見学しました。人形の誕生から、作り方、種類など、芸能としての人形の歴史深さを目の当たりにしました。「天児」と呼ばれる日本最古の雛人形が展示されていましたが、現在の雛人形とは姿形が全く違います。かなり簡略化された胴体と、こけしのような頭が印象的です。

天児

また、節句のお供でもある人形ですが、元々は人が亡くなりやすい時期に節句という日を設け、死から人を守るという目的で誕生したそうです。今は芸能として親しみを持っている人形も、かつては儀式的なものだった、長い歴史を持つ高貴なものなのだなと、人形の奥深さを感じました。

東玉のひな人形

本日の実習では、歴史はもちろん、訪れた博物館の資料展示方法という面でも多くを学ぶことができましたので、明日以降の資料コンテンツ作成に活かせると良いと思います。

実習も折り返し地点となりましたが、引き続き春日部市の歴史、風土を吸収していきたいです。

 

(令和四年度博物館実習生)

【 #7月31日 】 #今日は何の日? in春日部

今から142年前の明治14年(1881)7月31日は、再び、明治天皇が粕壁で昼食をとられた日です。 #かすかべプラスワン

「再び」というのは、以前にも紹介した通り、明治天皇は、明治9年6月3日に東北巡幸のため粕壁の竹内家でご昼食ととられているから。

明治天皇は、明治14年にも山形・秋田・北海道巡幸のため、陸羽街道をたどり、明治14年7月31日に再び粕壁の高砂屋(竹内家)でご昼食をとられました。

現在開催中の「明治天皇と春日部」展では、明治14年に明治天皇がご昼食をとられた高砂屋(竹内家)の屋敷図面を展示しています。前にも紹介したように、粕壁においては、高砂屋(竹内家)の痕跡や記憶はほとんど伝わっておらず、高砂屋に関する資料も断片的でわからないことが多かったのですが、展示の準備調査で見出した竹内家の屋敷図面は、屋敷の部屋割りや構造はもちろん、明治天皇がご入室される行程や宮内省関係者の配置が克明にわかる資料です。常設展示に展示してもいい粕壁の歴史を物語る重要な資料です。レプリカを作りたいぐらいですし、屋敷の部屋割りなどを立体的に復元することができるかもしれません。

画像:高砂屋の図面

資料の写真は、高精細ではありませんが、宮内庁のホームページでも公開されています。こちらからご覧いただけます。8月21日(日)の展示解説講座「明治天皇と粕壁宿」では、高砂屋の図面を詳しく検討したいと思っています。今回の展示の目玉資料でもあり、今後の活用も期待される春日部にとって重要な資料といえますので、この機会に展示を見にいらしてください。

さて、明治9年には、岩倉具視、木戸孝允、土方久元が供奉しましたが、明治14年にはどんな方が来たのか。著名な方では、有栖川宮熾仁親王、北白川宮能久親王、大隈重信、大木喬任らが供奉しています。明治14年の巡幸では、宿割の記録が残されており、大隈重信をはじめ、供奉した方々が滞在・昼食をとられた商家(場所)もわかります。こちらについても展示で紹介しています。必見です。

1 展示会名 明治天皇と春日部~巡幸・御猟場・梅田ごぼう~

2 主  催 宮内庁・春日部市・春日部市教育委員会

3 会  期 令和4年7月20日(水)~9月4日(日)(休館日:月曜日、祝日)

4 開館時間 午前9時~午後4時45分

5 入  館 料 無料

6 会  場 春日部市郷土資料館(住所:〒344-0062 春日部市粕壁東 3-2-15(春日部市教育センター内))

 

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