春日部の #郷土料理 ゆかりの道具
この道具、何だかわかりますか?実は春日部の郷土料理ゆかりの道具です。
木の枝の又にギザギザに加工した竹片を針金でくくりつけたものです。
市内の豊野地区赤沼の旧家から寄贈いただいたもので、おそらく既製品ではなく、手作りの道具だと思われます。大きさは26cm×16cmくらい。使っていた年代は不明ですが、寄贈当時の調書には「酢つかれという食品を作るときの道具」と記述されています。
道具の名前は「鬼オロシ」。大根を粗くおろすオロシ器です。
何に使うのかというと、スツカレまたはスミツカリ、あるいはスミツカレという、初午の郷土食です。材料には節分の残り豆とダイコンが用いられ、豆は一升枡や湯飲み茶わんの底で擦って割り、皮を取り除く。ダイコンは鬼オロシで粗くおろします。
作り方は二通りあるそうです。一つは、ダイコンと豆を煮てしょうゆ味をつけるもの(ニンジンも加えることもある)。もう一つは、ダイコンと豆を混ぜて酢和えにするものです。
初午の時には、赤飯あるいは小豆飯とともに稲わらで作ったツットコという入れ物にスミツカレとともに入れて、稲荷祠にお供えしたり、お膳として供えることもあるそうです。
参考文献:『春日部市庄和町史編さん資料13 民俗Ⅱ』(平成18年)