「2冊の宗門人別帳で読み解く開国前後の粕壁」開催しました
10月23日(日)歴史文化講演会「2冊の宗門人別帳で読み解く開国前後の粕壁」を開催しました。
今回の歴史文化講演会は、地元粕壁で郷土史大川明弘先生を講師に迎え、粕壁宿の宗門人別帳にみる幕末期の宿場の様子についてお話しいただきました。
宗門人別帳とは、江戸時代に宗門改め(キリシタンでないことを証明)と人別改め(戸口調査)を兼ねて、村ごとに作成された帳簿のことです。
先生は、嘉永2年の粕壁宿宗門人別帳を中心に、幕末期の粕壁宿に住む人々の年齢、年齢構成、職業、身分、奉公先などさまざなま統計をとられ、その統計に基づきお話いただきました。
粕壁宿は、江戸時代に市内で最も住民が住んでいた地区であり、粕壁宿の宗門人別帳は他の村のそれと違って大変大部であり、統計的に分析するのが非常に大変です。大川先生は、大部な史料を様々な角度から検討され、緻密なデータを構築して、これに基づいてお話しいただきました。
幕末期というと治安が悪化し、不穏な社会情勢のイメージがありますが、今回の話は、いわば粕壁の人々のライフサイクル、かっこよくいえば身体を通じて、幕末の社会を読み解き、そして、大変興味深い、多くのご指摘をいただきました。
とくに、江戸へ武家奉公に行く人々の存在や、持ち家層が約30%、借家層が70%の割合にあったことなど、現代との共通する点、相違する点が浮き彫りになりました。当時の宿場のくらしの実態を考える上で、具体的なイメージできるものになりましたし、粕壁の町並みの復元や近代以降の粕壁の歴史を見通すうえでも有意義な材料となる重要な指摘だと思います。
会場からは、史料はどこで閲覧できるのか、石高の意味は何か、など内容に深くつっこんだ質問があり、大変有意義なひと時となりました。