ほごログ(文化財課ブログ)

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石造物部会の巡見(粕壁地区)を行いました

6月12日(木)に春日部市市史石造物部会で粕壁地区の巡見をおこないました。

春日部市では令和5年4月より「第2次春日部市市史編さん事業計画(第2期)」を策定し、継続的な市史の編さんを進めています。令和6年2月には、この計画に基づき『春日部市史 自然誌編』を刊行しました。次は身近な歴史遺産である石造物編を刊行予定です。

今年度から石造物部会を立ち上げ、数年がかりのプロジェクトが本格的に始動しました。

まずは具体的な調査に入る前に、春日部市域にどんな石造物があるかを確認します。
今回は市史編集委員の皆さまと粕壁地区の神社や寺院にある石造物を見て回りました。粕壁地区は神社や寺院の数が多く、その中でも特に石造物が集中しているところを厳選して巡りました。

午前中は、春日部八幡神社、春日部稲荷神社、浅間社に行きました。3社は隣接しており、それぞれに石造物が遺されています。春日部八幡神社には市指定文化財である都鳥の碑もあります。これは在原業平の隅田川おける伝承等を伝えるために嘉永6年(1853)に建立された石碑です。

 午後は、日枝神社、八坂神社、東八幡神社、真蔵院、成就院、玉蔵院に行きました。
各地に庚申塔や記念碑など様々な石造物があります。東八幡神社の境内には江戸時代の有名な力持ちである三之宮卯之助の力石が奉納されています。

 

成就院には市指定文化財である見川喜蔵墓および見川家五輪塔があります。見川喜蔵は古利根川の洪水を防ぐために堤防などをきずいた人物です。

 

 今回は巡見のほかに、郷土資料館所蔵の板碑を使って市史編集委員の先生に拓本の取り方を教えていただきました。

郷土資料館では7月6日(日)まで企画展示「発掘された板碑」を開催していますので、ぜひ足を運んでいただければ幸いです。
もし個人的に市内の石造物をご覧になる場合は所有者や周りの方へのご配慮をお願いいたします。

石造物部会では今後も他の地区を巡見しつつ調査の準備をおこなっていきます。
調査にあたりましては、所有者や関係者のご協力をいただきながら進めていきますので、どうぞよろしくお願いします。

 

【麦わらのかすかべ】麦の刈入れがはじまっています

市内では、ちょうど冬に作付けした麦が実り、これから刈入れをしていくそうです。 写真:麦畑

通りすがりに農家の方にお願いをして麦畑を撮影させてもらいました。

刈り取った麦をみると、茎(麦わら)は、ストローといわれるように、空洞になっています。茎が中空であるから、メソポタミア文明のころから、飲み物をチューチューする道具(ストロー)として使用されていたそうです。

麦わら(ストロー)は、稲わらよりも固く、しっかりしています。これを真田紐のように編んだのが、麦稈真田(ばっかんさなだ)。麦稈真田を材料として麦わら帽子がつくられるのは、前に紹介した通り。

絶賛準備中の企画展「麦わらのかすかべ」展では、麦作、麦わら細工、麦稈真田、麦わら帽子づくりの材料の移り変わり、帽子づくりの”わざ”についても、紹介します。麦畑をはたとみて、好機と思い、「展示に使いたいので・・・」とお願いし、麦を数本刈り取らせていただきました。刈り立ての資料。まだまだ情報・資料を収集中です。

【展示情報】

展示会名:春日部市郷土資料館夏季展示(第72回)「麦わらのかすかべ~帽都いま・むかし~」

会  期:令和7年7月23日(水)~9月7日(日) 月曜・祝日休館

会  場:春日部市郷土資料館 企画展示室(春日部市粕壁東3-2-15 教育センター内)

入  館  料:無料

夏季展示「麦わらのかすかべ~帽都いま・むかし~」のチラシ

夏季展示のチラシのデザインが出来上がりました。

画像:チラシ

春日部市市制施行20周年の記念の年の夏季展示は、春日部の特産品「麦わら帽子」をテーマにしました。

題字は、春日部女子高の書道部の生徒さんにご協力いただき、揮毫いただきました。定型化されたパソコンのフォントとは違い、手書きならではの温もりがあって、イイ感じになりました。春女とのコラボは初の試みです。

背景の写真は、粕壁の大通りで帽子製造をされていたお宅から提供いただいた、昭和31年(1956)12月、麦わら帽子の寒干しの様子。麦わら帽子は、麦稈真田を水で湿らせながら縫製、型入れの工程を進めますので、その都度都度に帽子を乾燥して製造されています。乾燥に適しているのが、一年のなかで最も湿度が低い冬場。夏にかぶる麦わら帽子を冬場に干すというのが、帽子のまち=「帽都」春日部の風物詩でもあります。

展示図録(パンフレット)、関連イベントについても絶賛準備中です。詳しくは後報をお待ちください。

麦わら帽子の関係者の方がいらっしゃいましたら、資料・情報を提供いただけますと幸いです。

【展示情報】

展示会名:春日部市郷土資料館夏季展示(第72回)「麦わらのかすかべ~帽都いま・むかし~」

会  期:令和7年7月23日(水)~9月7日(日) 月曜・祝日休館

会  場:春日部市郷土資料館 企画展示室(春日部市粕壁東3-2-15 教育センター内)

入  館  料:無料

 

【東部地区文化財担当者会リレー展示_都鳥が見た古代】幸手市郷土資料館でリレー展示が開催されています

幸手市郷土資料館で東部地区文化財担当者会リレー展示「埼玉東部と古代の幸手」が開催されています。

令和7年度企画展『埼玉東部と古代の幸手』(幸手市ホームページ)

幸手市郷土資料館は、幸手市大字下宇和田にあります。平成30年にオープンした資料館です。

企画展示は、歴史展示室内の企画展示のコーナーで開催されているほか、ロビーにパネルが展示されています。

  

特大の東部地区の地形図を、今後のリレー展示開催館の場所とともに展示しています。

幸手市ではこれまで、下総台地上の槇野地北遺跡で、奈良時代の竪穴建物跡11軒、平安時代の竪穴建物跡2軒が確認されています。今回の展示では、槇野地北遺跡から出土した代表的な資料をまとめて展示しています。

幸手市郷土資料館には、昭和24年(1949)5月に竣工した旧吉田村立吉田中学校の木造校舎が残されており、民具展示室として使われています。あわせてご見学ください。

 

東部地区文化財担当者会報告書第9集「埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代」も好評発売中です。詳しくはこちら

 

展示の詳細は下記の通りです。6月29日には、関連した内容で市史講座も開催されます。

●幸手市郷土資料館会場「埼玉東部と古代の幸手」

開催期間 令和7年6月3日(火曜日)~7月21日(月曜日・祝日)

開催場所 幸手市郷土資料館 幸手市大字下宇和田58番地4

(東武スカイツリーライン 東武動物公園駅下車朝日バス 境車庫行き「吉田橋」下車徒歩約5分)

開館時間 午前9時から午後5時まで

休館日 毎週月曜日(7月21日は開館)

お問い合わせ (0480)47-2521

 

(関連事業)第23回市史講座日時 : 令和7年6月29日(日曜日)  午後1時30分~午後3時30分

内容 :『埼玉県東部地区の奈良時代・平安時代の遺跡』

講師 : 鬼塚 知典 (春日部市郷土資料館学芸員、埼玉県東部地区部文化財担当者会考古部会部会長)

場所 : 幸手市郷土資料館 2階講座室

定員 : 30名(先着順)

申込 : 令和7年6月10日(火曜日)午前9時から 電話にて受付

 

*リレー展示「都鳥が見た古代」は、下記日程で開催予定です。

6月3日から7月21日 幸手市郷土資料館 資料展示

7月29日から8月24日 蓮田市文化財展示館 資料展示

9月5日から9月19日 加須市パストラルかぞ パネル展示

10月24日から11月26日 三郷市わくわくライブラリ― パネル展示

令和8年1月6日から3月1日 宮代町郷土資料館 資料展示