校長室

校長室から発信

学力向上はチームとネットワークで


   絵文字:晴れ  質の高い教育環境を持つ「布佐地域」
                               校長 杉橋 朋子

    先週以来、雪、雪。そんな中2月15日(土)アビスタで、東葛教育交流会が開催さ
  れた。学校と地域、保護者の連携について話し合うミーティングであり、125名の地域
  住民や教員、保護者、関係機関の皆さんが一同に会した。星野市長や倉部教育長の
  挨拶のあと、政策研究大学院大学の永井教授の「市民」育てる営みの重要さが基調
  講演としてあった。事例は布佐中学校区の取り組みについてで、発表は布佐南小の
  鈴木教頭が行った。
   挨拶運動やFUSAmy♡プロジェクト2013マップつくりの取り組みが、4年をかけて継続さ  
  れ、その結果についての検証の報告を行った。
   私は、社会(子どもにとっての社会とは「地域」だ)で進める活動は、子どもの社会化を 
 促進するものと考えている。コミュニケーション力、協働、企画力など、社会で最も必要と
 される力だ。数学や国語で培ったアカデミックな学力は、ここに生かされて始めて生きて
 働くちからになる。社会とつながった教育環境を創ることのできる「布佐」地域は、これから
 間違いなく、シチズンシップにつながる高い学力を子どもに用意することができると思って
 いる。私はもっともっと多くの方々と話し合い、語り合いをしたいと願っている。

生きて働く真の「学力」を求めて  

 
      絵文字:音楽  15歳の「内省」
                                校長  杉橋 朋子

   11月は校内でも文化的な行事があり、文化・芸術にふれる機会が多い。私は、生徒の
  見聞きするものは、できるだけ質の高い文化・芸術であってほしいと思っている。
   文化の秋というが、残念なことに、東京で開催される美術展などに出かけても、中学生
  ・高校生の姿はほとんどない。我孫子は、電車1本でも出かけられるという地の利を得て
  いても・・・である。本物に遭遇できるチャンスというのに・・・である。
   そうなるとますます、学校での文化活動は、その質の高さを求めていかねばならないだ
  ろう。そういうわけで、私は、先月末に行われた合唱祭が終わったあと、生徒たちがこの
  取組をどのようにとらえているのかに大いに興味を持った。それは、本校教育のレベルの
  バロメーターだからである。
   さっそく、3年生が書いた文章が校長室に届いていた。目にとまった一人の文章。実に
  考えさせられた。 「人の心の動かし方」という視点で書かれたものだった。
   「中学校3年生としては、人の心の動かし方といいますか、そんな感じのことがわかった
  がします。」と書かれたその文章には、悪戦苦闘した練習の日々の様子が凝縮されてい
  た。合唱が好きでない人に対して、どう声をかければよいか、その人が嫌な気持ちになら
  ずに、素直に好きになってくれるか・・・」「うまく相手に伝える方法」のようなことが学べた
  と。「いつも男子が」と責めてしまっていたけれど・・・と本人は振り返っていた。自分の在り
  ようにきちんと向き合って、内省するこの生徒の姿に、巣立つに必要な力量を体得してき
  ているという実感。
   「卒業」する日は近い。3年生、最終章だ。しっかり「社会人」となる最後の勉強として
  「自分」との格闘を最後まで続けてほしい。

ある生徒との話

   
    絵文字:笑顔  ある生徒との話  
                           校長 杉橋 朋子

   日暮れが早くなり、5時前には、部活動が終了し、生徒たちは帰り支度だ。ちょうどそん 
   な時間帯だったと思うが、校舎の上の階でガラスの割れる音がした。私は、校長室で
   お客様と話し合いをしている最中だったが、学年主任と教務主任が、火急のようだという
   様子で校長室に走ってきた。ガラスの割れた状況とけがをした生徒がいたことの報告だ
   った。来客は、校内で起こったことを察した様子で、あわてて帰っていった。
    私は、すぐ保健室に出向いたが、職員室にいた職員がすでに階上に走り、ガラスの
  後始末が行われていたし、担任が保健室に駆けつけていて、当人同士への聞きとりや
  指導が行われていた。養護教諭の応急手当がすみ、病院への連絡もすんでいた。
   幸いにも大事に至らずに済んだが、私が驚いたことは、夜7時近くになって、生徒が
  一人で学校に来たことだ。私にお詫びを言いにきたことだ。
   「親は仕事でまだ、帰宅していないが、友達や多くの人に迷惑をかけたこと、学校の
  ガラスを破損したことに対して本当にすみませんでした」と、涙を流しながら、心底から自
 分の行動を後悔している思いを話してきた。
   近頃、このように自分の行為の足りなさを自分から悔いて、校長に報告に来る生徒は
  いなくなった。 数分のやり取りだったが、”他人の非をあげつらうのではなく、自分の足
 りなさを内省できる生徒”に出会った私のほうが、何か温かな気持ちになった。
  ”成長する”とはこのように自分を客観視して”内省できること”だと私はつくづく思った。
  

”音楽”をつくること


 絵文字:音楽  「文学」と「音楽」  布佐中の音楽のヒミツ!
                     市内音楽発表会のステージから
                               校長 杉橋 朋子 
  10月10日。夏のようなじりじりとした暑さとなったこの日。58名の3年
 特設合唱団と吹奏楽部が柏市民文化会館で演奏してきた。
  私は、布佐中学校生徒の奏でる音楽は、いつも彼らの心の響きとして
 聴き入っている。この日も特設合唱団のアカペラの響きに魅了された。
 聴いていた他校の校長先生からも、絶賛の声が聞かれて、私は嬉しかっ
 た。どうやら、布佐中の演奏には、人を魅了する秘密が隠されているよう
 だ。
  秘密・・・それは、合唱にしても、吹奏楽にしても、演奏者は生徒自身だ
 ということ。つまり、彼らが、自分たちの思いを束にして伝えることをしてい
 るということだ。
  しかし、この”思いを束にする”営みは、思いのほか難しいもの。歌詞
 をどのように感じて表現するのかを、生徒自身で話し合いや伝えあいが
 行われている。言ってみれば、小さな国語の授業がそこにあると言っても
 よいかもしれない。要するに、文学の感受の世界から出発している。
  手間も時間もかかるこの営みに、ちゃんと時間をかけている音楽科
 主任の見識の高さもさることながら、それを年間指導計画にしっかりと組
 み込んでいる布佐中音楽科カリキュラムの質の高さもある。
  思いをひとつにして、詩を解釈することの上に立って、演奏が繰り広げ
 られている。ここが少し他と違う。
  11月に印西文化ホールにて、布佐中合唱祭が開催される。ぜひ、多く
 の方々に”生徒の思い”を届けたいと思っている。布佐中にしかないこの
 心の響きを。私は、豊かな気持ちで会場を後にした。  

警察・福祉・地域との連携

 絵文字:良くできました OK    子どもの安全と危機管理
                              校長  杉橋 朋子

 子どもが登下校中に車に突っ込まれて重傷を負う。不審者に切られる、追いかけられるなどの報道を聞くたびに、安全神話が崩壊しつつあることを実感する。あってはならない事故・事件だ。
 子どもの登下校の安全は、基本的には保護者の管理下にある。しかし、学校は、学校安全計画の中に、登下校の安全指導の計画を作成し、実施するようにしなければならないという「学校保健安全法」の改正(H20)に基づいて実施している。
 本校では生徒会を中心として「マナーアップキャンペーン」として、月2回の小中高、地域による「挨拶運動」を実施している。また、地域での不審者情報に遭遇すれば、すぐに、交番や我孫子警察署生活安全課とつながるようになっている。そういった際の警察の動きは実に速い。すぐに学校に飛んでくる。また、毎日深夜、警察の方が布佐中学校の校舎周辺の見回りを行ない、結果を「パトロールカード」に記載し、ポストに入れていってくれる。
 防犯指導員や地域自治会のパトロールも迅速だ。早朝、登下校時にさりげなく、見守りが行われる。地区社協や民生委員さんも同様に見守る。震災以来、布佐2丁目、3丁目の交通量の多い交差点では、長い間、地域の自治会や有志が安全指導を続けている。
 学校の周りには様々な組織があり、学校もネットワークにつながっている。これらのつながりの豊かさが、子どもの安全を守ることになり、総合的に防犯が進んでいく。一つの学校がどんなに頑張っても網羅はできない。連携しながら共に歩むことが実は、子どもの安全を守る最大の危機管理なのだと痛感している。