校長室より

校長室より

アリと集団の話

運動会も終わりいよいよ6月に入りました。夏間近でプール開きも間もなくです。

今回は夏でも良く働くアリの話をします。

暑い夏の日も、木々の下ではアリが行列を作り、一生懸命に餌を運んで働いている光景を目にします。私は、今までアリの全部が黙々と働いていると思っていました。

ところがアリの面白い研究があることを知り驚きました。実は、働かないアリがいるのです。

 

 北海道大学大学院で研究した結果によると、

約2割のアリは、餌を運びもしないで仲間の周りをさも働いているかのように動いているだけだそうです。労働とは無縁なのです。働くことが代名詞のようなアリですが、アリの集団の中にも、必ずサボる奴がいるのです。

 アリの集団を勤勉さの度合いで分けると、働かないアリが2割、普通に働くアリが6割、よく働くアリが2割だそうです。面白いことに、このような働き度別の割合は、集団が違ってもだいたい同じだといいます。

 では、よく働くアリだけを全部集めて一つの集団にすると最強軍団ができそうなものですが、実は違うのです。その集団の中では、やはり働かないアリが2割出てくるのです。

反対にサボっているアリだけを集めてみると、全部がサボってしまい集団の危機が生じてしまうと思われますが、その中から奮起して働くアリが2割出てくると言うから不思議なものです。

 

集団とは何でしょうか。

俗に言う一流企業と呼ばれる会社でも全員がよく働くかといえばどうなのでしょうか。

また、優秀な人材確保が厳しい数多ある零細企業でも素晴らしい実績を上げる人物はいるでしょう。人は自分の存在価値を見いだしたいものです。働く中で自己実現をしたいものです。

ある研究者は、アリも働かないことで、自分の存在意義を示している可能性があると指摘しています。

 学校ではお昼休み後に、清掃活動があります。

一生懸命に黙々と雑巾や箒を持って教室を綺麗にしようとして働く子がいます。

掃除の時間なので、役割分担に従って働く子がいます。

箒を持ってフラフラと歩いて、掃いているふりをしている子もいます。

おしゃべりに夢中になって何もしていない子も時々見かけます。

実に様々です。

 

 アリの世界では労働面でより効率的なのは、色々なグループが混じった混合集団だそうです。公立小学校では、基本的には学区内に住んでいる適齢児童ならば誰でも教育が受けられますから、色々な子どもの集団となります。

小中学校の別、年度の学級編制(クラス分け)、異年齢の部活動、地域スポーツ活動等で、

子ども達は様々な集団に入り、又解散して、新たな集団に入ることを繰り返しています。

是非、集団の中で良い意味で働く(活躍できる)存在になって欲しいと願います。