校長室より

校長室より

卒業式で伝えたかったこと~未来の世の中~

一週間程前のことですが、将棋だけでなく囲碁の分野でも世界のトッププロが、人工知能に負けたニュースが流れました。人工知能とは、計算だけでなく自ら学ぶことのできるコンピュータだそうです。又、テレビコマーシャルでもよく見るように、車の自動運転も目前に迫っています。小学生の皆さんが大学を卒業する時には、約六割の人が今は存在しない新しい職業に就くだろうと言われています。そして多くの仕事を人工知能が担うようになるとも言われています。今後、社会の変化は、過去に味わった事のない程、劇的なものになってきます。

そのような時代を生き抜いていく皆さんに、本当に大事な事、必要な力とは何でしょうか。 

有名な歴史小説家の司馬遼太郎は、「二十一世紀を生きる君たちへ」の中で次のようなことを言っています。

 

 二十一世紀にあっては、科学と技術がもっと発達するだろう。しかし、科学や技術が、洪水のように人間を呑み込んでしまってはならない。川の水を正しく流すように、君達のしっかりした自己が、科学と技術を支配し、良い方向に持っていって欲しいのである。

君達は、いつの時代でもそうであったように、自己を確立せねばならない。

自分に厳しく、相手に優しく、という自己を。

人間は、助け合って生きているのである。

このため、助け合うということが、人間にとっては大きな道徳になっている。

私達は、訓練してそれを身に付けねばならないのである。その訓練とは、簡単なことである。

例えば、友達が転ぶ、「ああ、痛かったろうな。」と感じる気持ちを、その都度自分の中で作りあげていけば良いのである。

 

 先週、私との最後の授業をしたことを6年生は覚えていますか。

なぜ、皆さんは同じ歳である十二歳の少女セバン・スズキさんが地球環境サミットで行ったスピーチに大変感動したのでしょうか。

未来の地球の自然を心配する想像力、お金を貯めてカナダからブラジルの会場まで出かけた行動力、そして何よりも自分も子どもなのに「未来に生きる子ども達」のことをどの大人よりも心配していたからではないでしょうか。

 これから先、どんなに科学技術が発達しても、環境問題が深刻化しても私達人間は、きっと乗り越えることができると信じたいです。

それは、未来ある皆さんの手に委ねられているのです。

我孫子第一小学校で学んだ皆さんを信じています。