校長室のひとりごと
校長室のひとりごと「全国調査によると」
令和5年度実施の「問題行動.不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査」の結果が公表されました。この調査は文部科学省が毎年実施しており、全国の公立私立全ての小中高校、特別支援学校を対象とした調査で、その結果をもとに各学校で生徒指導上の諸問題への取り組みをより充実させ、未然防止、再発防止に役立てることを目的に行なわれているものです。
公表された結果は、不登校や長期欠席、高等学校の中途退学など項目は多岐にわたっていますが、その幾つかを紹介します。
まず「いじめ」についてです。全国の小中高校、特別支援学校でいじめと認知した件数の合計です。全国で732,668件で昨年度比プラス50,620件の7、4%増でした。また、この件数において77、5%は既に解消済みという結果です。この結果に対して文部科学省は、いじめ自体の件数が増えたというより、いじめの定義の浸透により軽微なものもいじめと捉えるようになったことで件数は増えていると分析しています。
次に「不登校」については、全国小中学校で346,482人で前年比15、9%増加しています。この増加の原因の一つには、児童生徒の休養を重要視する「義務教育段階における教育の機会確保に関する法律」が認知され始めたことが影響していると文部科学省は分析しています。
調査の結果が出たからというわけではなく、本校でも引き続き、生徒一人一人に目を向け「いじめ」に対するアンテナを張り巡らせ早期発見、早期対応を心がけていきます。また不登校についても、家庭との連携を密にしながら心のケアを含め丁寧に個々の改善策を考えていこうと思います。
校長室のひとりごと「条例の地域がら」
少し前の話ですが、山形県の6月議会で面白い(?)条例が可決されました。それは「山形県笑いで健康づくり推進条例」です。具体的には毎月8日を「県民笑いで健康づくり推進の日」と定めたり、「一日一回は笑いましょう」というような条例です。一般的に笑うことが健康に良いと言われていますが、山形県では独自に県民を対象に調査した結果、声を出して笑う頻度が高い人ほど死亡リスクが低かったという結果だったことから、県民に笑うことで明るい健康的な生活を送ってもらおうと考えられた条例だそうです。
他にも面白い(?)条例はないかと調べてみれば、全国各地に面白い(?)その土地特有の条例がいくつもあることがわかりました。
宮城県石巻市の、マンガと触れ合うことで市の活性化を目指そうとする「石巻市マンガアイランド条例」、和歌山県みなべ町の特産品で健康になろうという「紀州南高梅使用のおにぎり及び梅干しの普及に関する条例」、岡山県井原市では屋外照明は夜10時以降消灯することを推奨する「美しい星空を守る光害防止条例」、秋田県横手市の豪雪を逆手にとった「雪と仲良く暮らす条例」、兵庫県多可町の一日に一回は人を褒めたり感謝の意を表すことで明るい社会づくりを目指そうという「一日ひと褒め条例」、埼玉県草加市の「草加せんべいの普及促進条例」など探せば実にたくさんあるものです。いずれもその土地土地の特徴があり各自治体の工夫がなされた条例ですね。
皆さんが暮らす地域にはどんな条例があるでしょうか。
校長室のひとりごと「ふれあいの広場」
9日(土)は、本校体育館を会場に「川間地区ふれあいの広場」が行われます。この「ふれあいの広場」とは、「育てよう川間の絆」をスローガンに今年で24回目となる川間地区社会福祉協議会主催の地域のお祭りです。小学生、中学生、高校生の音楽的な発表や、郷土芸能、リズム体操、舞踊など親世代、祖父母世代など年齢や世代を越えた地域の方々が集まり、楽しいひと時を共有する学校にとっても大切な地域行事の一つです。
これまで中学校は「ふれあいの広場」に会場として体育館をお貸しし、一部の生徒が発表団体の一人として参加するという立ち位置での関わりでしたが、次世代の川間地区を担う中学生が「お客様」で良いのか?地域の一員だとういう自覚を育むためにも、生徒一人一人が主体的に関わることはできないかと、関係の皆さんに無理なお願いをし、今回は3年生が発表だけではなく運営側の一員としてお手伝いさせていただくことになりました。
過日行われたか家庭科の研究大会での3年生の家庭科の授業では、「地域の一員として」「地域と協働して」とキーワードのもと「自ら工夫し創造する」ことを目的とし、その具体的方法を話し合う授業でした。そしてその実践の場が「ふれあいの広場」なのです。今回の「ふれあいの広場」に向け生徒の代表は運営側の一員として社会福祉協議会の皆さんと実行委員会を組織し、中学生の関わり方について話し合いを進めてきました。
当日、地域の皆さんの発表を楽しみにしているのは勿論ですが、運営側の一員として手伝う生徒たちを見ることも楽しみにしています。
※ 9日(土)の午前中は、PTAバザーも同時に実施します。ぜひお立ち寄りください。
校長室のひとりごと「自分の言葉でアウトプット」
過日、本校を会場として「関東甲信越地区中学校技術家庭科研究大会」が行われました。(様子は本HPにアップしています)当日は3年生の家庭科授業をモデルとし集まった家庭科教育の専門家の皆さんに参観いただきました。最後に助言者の千葉大学准教授の先生に講評をいただきましたが、その准教授のある言葉にハッとさせられました。「グループの話し合いでは積極的に皆自分の意見を発表し合い素晴らしかった。でも最後の「振り返り」をノートに書く際に、素晴らしい発表をしていた男子が1行しか書いていなかったことが残念でした」という一言です。
各学校は「主体的で対話的な深い学び」を目指し授業改善に取り組んでいます。その基本は「アウトプット」です。授業で新たに学んだことを「インプット」だとすれば、インプットした内容を自分なりに噛み砕きながら理解する。そして、まとめとして「アウトプット」することで授業の理解が定着した力になるものです。その定着が次の授業につながり主体的な学びのサイクルを形成します。「アウトプット」とは、自分の言葉で今回のように文字や文章にしたり、声に出して発表したり仲間に説明することを指します。今回は家庭科の授業でしたが、日頃から各教科の授業において、1番肝心な「アウトプット」が十分になされていないため習慣付いていないのだと反省させられました。1単位時間は50分。教師はこの50分が勝負です。「少しでも…」と考えれば考えるほど、まとめ「振り返り」の時間が足りなくなり「アウトプット」の時間を十分に確保できなくなってしまいます。改めて先生方で「アウトプット」の時間の確保をお願いしました。
そう言えば、かのアインシュタイン博士は「6歳の子どもに説明できなければ理解したとは言えない」と名言を残しています。
家庭科の研究大会、本校にとって大切なことに気付かされた有意義な研究大会でした。
校長室のひとりごと「行事は人を育てる、平常日課は学力を向上させる」
11月の第一土曜日(今年は2日でした)は「のだ教育の日」、それに合わせて11月は「学力向上月間」でもあります。本校でもこの11月、落ち着いて学習に取り組み学力向上を図りたいところです。
私は常々「行事は人を育てる」ために必要だと考えており、一方「平常日課が学力を向上させる」のだと考えています。この行事と平常日課のバランスが大切でどちらかに偏ってしまっては義務教育の目的、目標に近づくことはできません。近年、中学校では「何もない日」そもそも平常日課(時間割通り)の日が少なくなってきています。4月からスケジュール帳で振り返ってみても、3学年揃って1週間平常日課が続いたのは、7月にわずか1回しかありませんでした。では「学力向上月間」の11月はどうかと言えば、連日の「教育相談」のための短縮日課で始まり、7日は「野教研(市の教員の研究会)」のため給食後下校、次の週には「定期テスト」、その次の週は「市長と話そう集会」3年生の「思春期講演会」、1年生の「環境教育」2年生の「主権者教育」などの市主催の出前授業など、11月も例外ではなく連日何かがあり、校長室の行事予定の黒板もぎっしりです。生徒たちも落ち着いて計画的に学習を進めるのも一苦労です。一方で、業務改善に迫られている教員も同様です。平常日課ではなく何かがあるということは、そのために授業とは別に計画を立てたり、時には特別に指導をしたりと準備をしなくてはなりません。
先生方には授業に集中し、生徒たちには、その授業を主体的に受け学習に取り組んでほしいと思います。
校長室のひとりごと「今日から11月」
今日から11月、澄んだ朝の空気に日差しが清々しく感じます。以前「校長室の窓から見る学校の風景は最高」だと書きましたが、窓から見る秋の風景もなかなかのものです。校長室と校庭を隔てるように植えられた「ハナミズキ」も今は赤く色づき小さな実をたくさんつけ、その実を目当てに野鳥が啄みにやってきます。そんな「ハナミズキ」越しには敷地を囲むように葉を落とした桜や、高くそびえるヒマラヤ杉が連なっています。そして敷地の東側、北側には大きな大きな「イチョウ」が連なりライムグリーンの葉が少しずつ黄色に色づき始めています。そんな景色を眺めているとつくづく秋を感じます。
ところで「ハナミズキ」は20世紀初頭に日本からワシントンDCに送られた桜のお返しとしてアメリカから日本に入ってきた「ミズキ」という種類の植物です。日本古来のミズキよりも花が綺麗だったことから「ハナミズキ」と呼ばれるようになったそうです。
比較的学校には珍しい「イチョウ」と言えば、神宮外苑をはじめ東京の「イチョウ並木」を思い浮かべますが、この街路樹にイチョウを植え始めたきっかけは関東大震災だと言われています。関東大震災で焼け野原となった東京でイチョウだけが焼け残り延焼を抑えたという実績から、他の樹木よりも火災に強いイチョウを街路樹として積極的に植え始めたそうです。そんなイチョウに守られていると思うと頼もしく感じます。「イチョウ」もあと数週間で見頃を迎え黄金色に変身した「イチョウ」を見ることができるでしょう。
「イチョウ」は中国語で「イーチャオ(鴨脚)」、葉の形が水掻きのある鴨の脚に似ていることが語源だそうです。
校長室のひとりごと「ハロウィン」
日本でも仮装するなど若者中心に盛り上がりを見せている行事、今日は「ハロウィン」です。しかし盛り上がり過ぎて羽目を外す若者たちの行動が毎年問題視されているのも事実です。渋谷区が先日路上飲酒禁止条例を10月から施行したのもこのハロウィンが影響したともいわれています。
日本ではハロウィンと言えば仮装して騒ぐ行事という認識しかない人も多いようなので、少し本来のハロウィンについて調べてみました。
その起源は2000年以上前、アイルランドやスコットランドに住む古代ケルト人のお祭りだと伝えられています。一年の終わりである10月31日に収穫物を集め、夏が終わり冬の到来を告げるお祭りです。また一年の終わり10月31日には死後の世界との扉が開き先祖の霊が家族に会いに戻ってくると伝わる、日本の「お盆」のような意味合いもありました。 死後の世界との扉が開けば先祖の霊だけではなく悪霊も現世に紛れ込んでしまい子供たちを襲うと考えられ、子供たちは悪霊に仲間だと思わせるようなメイクや仮装するようになったそうです。日本でいう「大みそか」と「収穫祭」と「お盆」を同時に祝うようなお祭りです。オレンジ色のかぼちゃのランタンもハロウィンに付き物ですが、もともと欧州では「株」をくりぬいて作っていましたが、アメリカへの移民たちが、その季節アメリカに豊富にあるカボチャに目をつけたのが始まりです。また日本ではなじみがありませんが、ハロウィンの日の夕暮れになると、仮装して悪霊の仲間を装った子供たちが「トリック・オア・トリート」「お菓子をくれないといたずらするぞ」と家々を回ります。すると住人は「いたずらだけは勘弁して!」とお菓子を渡して悪霊が家に入らぬようお願いするというのが、アメリカでのハロウィンの風物詩です。
日本では、悪霊の真似をした仮想だけではなく、アニメのキャラクターなど様々な仮想をしていますが、これも日本独自の形に変化したハロウィンなのでしょう。
校長室のひとりごと「◯◯の秋」
雨ということもあり今朝は随分と寒く感じましたね。11月を目前にやっと、本格的な秋の到来といったところでしょうか。気づけば日没時間も早まり、日の出も随分と遅くなり「秋の夜長」になってきました。校長室に日差しが直接入るようになったということは、夏に比べるとやはり太陽の軌道が傾き冬に向かっていることを実感します。そんな秋本番、皆さんの秋は、どんな秋でしょうか。
いつものようにインターネットであれこれ閲覧していると「◯◯の秋ランキング」なるサイトを見つけました。このサイトによると第1位は「紅葉の秋」綺麗な紅葉を見たいとの結果です。第2位は、秋の味覚を存分に楽しみたいと「食欲の秋」、第3位は、やっと涼しくなり体を動かしたいと「スポーツの秋」、以下「読書の秋」「睡眠の秋」「芸術の秋」「旅行の秋」「音楽の秋」「実りの秋」「行楽の秋」と続いています。順位はともかく、どの秋も想像するだけで楽しいのは私だけでしょうか。
ところで、近年温暖化の影響でしょうか、いつまでも残暑が続き、やっと秋が来たかと思えば、すぐに寒くなって冬になってしまい、その冬を終えて、暖かな春の日差しを感じたかと思えば、もう5月には暑くなってしまう。日本が誇る「美しい四季」が、秋、春のない「二季」になってしまうのではと心配になってしまいます。
などと書いてきましたが、まずはこの週末は季節外れの「台風」に気をつけましょう。
校長室のひとりごと「教育相談」
今日から「教育相談(三者面談)」が始まります。3年生は進路について真剣に考える時期、実際に受験する学校を決めてゆく、いわゆる三者面談です。1.2年生も三者で教育相談を行いますが、学校での様子を伝え、保護者からは家庭での様子を学校に伝える相互理解の機会とすることが目的です。本校では前期の通知表に「所見(担任からのコメント)」は記入しないため、学習の様子などをより詳しく伝えるという場でもあります。
3年生にとって進路希望を決める重要な面談だと書きましたが、3年生は夏休みを中心に高校の学校見学や相談会等に参加し、受験校を絞り込んでこの面談に臨みます。数年前に比べると、受験のスケジュールは年々早まっており、私立の高校の多くは12月に出願というスケジュールなので、私立を受験する場合は11月中に最終決定しなくてはなりません。今回の面談で受験校が決まれば、あとのトラブルを避けるため家庭より「〇〇高校を受験します」という文書を中学校に提出してもらい、それを受け学級担任は出願時に必要な「調査書(内申書)」などの作成、学校としての諸手続きを始めます。
私も3年生の担任だった時には三者面談を行ってきましたが、担任として一番困るパターンは、生徒と保護者の意見の食い違いです。例えば生徒は生徒なりに考え、第1希望に私立の高校を選んできましたが、保護者は保護者で「うちは私立は無理!公立高校で!」などというパターンです。これでは話は進まないため、再度家庭で考えをまとめた上での再面談、再々面談となるわけです。そうならないように事前に「進路希望調査」をとったり、生徒たちに指導はしてきました。
3年生の担任は生徒たちの未来、人生に関わるという責任があります。中途半端に面談を終わらせるつもりもありません。3年生にはぜひ家庭内で合意形成をしたうえで面談に臨み有意義な面談になると良いですね。
校長室のひとりごと「江戸しぐさ」
皆さん「江戸しぐさ」ってご存知ですか。「おもてなし」も素晴らしい日本文化ですが、この「江戸しぐさ」も私が大好きな世界に誇れる日本文化の一つです。もともと江戸時代の町人達から広まったとされる「江戸しぐさ」ですが、当時の江戸の人口密度は相当なものだったと伝わっています。狭い街並みにひしめきながら暮らしていたからこそ生まれた、「ちょっとした仕草」こそが「江戸しぐさ」です。(近年の調査で江戸時代に存在していたか定かではないとされましたが)
例えば「傘かしげ」。雨の日に傘をさしながら狭い江戸の路地を歩けばすれ違いもままなりません。そんな時にはお互いに傘の相手側を開けるように傾けすれ違います。こうすることで相手に傘の雫が垂れることも防げるのです。同じような仕草「肩引き」という仕草があります。狭い路地をお互い相手側(内側)に身を開き肩を引くようにすれ違うことで相手と目が合い「すみませんね」という気持ちを込めた思いやりの仕草です。次に「うかつあやまり」、このように相手を思いやっていてもうっかり相手の足を踏んでしまうことありますが、そんな時には、グッと堪えて「うっかり足を出したばかりに」と踏まれた側が先に謝ることで「いやいや私こそ本当にすみませんでした」と、結果としてケンカにならず知り合いにもなれるという仕草です。もし踏まれた側が「痛えな、どこ見て歩いてやがんで」となれば「何を〜そんなとこに足を出してるお前さんが悪いんだ」とケンカになることも防げるという利点があるようです。「江戸しぐさ」、実に江戸の町人達の知恵と思いやりにあふれた文化ですね。
人と人との関わりが希薄になり、更には物騒な現代社会においてこそ、日本人として「江戸しぐさ」を見直したいものです。