ほごログ(文化財課ブログ)

2025年7月の記事一覧

【祝】10000日!

春日部市郷土資料館は平成2年(1990年)7月20日(金)にオープンした、市の歴史と文化を紹介する施設です。
開館から35年をかけ、
本日、開館日数10000日を迎えることができました!
地域の皆さまから愛される資料館に、また郷土愛の醸成を促せる資料館にと日々奮闘した結果、いつの間にかこれだけの月日が経っていました。

 

そこで今回は、開館当初の郷土資料館の様子を少しお見せしたいと思います。

 開館記念のテープカット

この写真は平成2年(1990)7月20日、郷土資料館開館式典のテープカットの様子です。現在の郷土資料館入り口付近と比べると、随分すっきりした印象を受けます。

 現在の郷土資料館入り口付近

現在の入り口付近を写真に撮ってみました。展示の案内板や、近隣館園の展示案内などがずらりと並んでいます。窮屈そうにも見えますが、それだけ郷土資料館事業が発展し、近隣地域との繋がりができてきたことが窺えます。

 

開館当初の展示室の様子

こちらは開館当初の展示室内の様子です。
約35年間大規模な工事はしていないので、展示室の内装や形状は現在と同じです。しかしながら、館内の様子は少しずつ変わっていきます。

 現在の展示室の様子

現在は、解説パネルや展示ケースの数も増え、広々としていた通路も若干狭く感じるでしょうか。ご寄贈いただいた資料などを展示し、長い時間をかけて展示室を賑わせるようになっていきました。
地下の収蔵庫には、まだ日の目をみない収蔵品がたくさん眠っており、もっともっと展示して皆さまにお披露目したいのですが、展示室の広さや、展示テーマ、収蔵品の性質など様々な理由からベンチウォーマーならぬ、収蔵庫ウォーマーに落ち着いてしまっています。
資料をどう“活かす”か、長年の課題でもあります。

 

資料館のオープン時には「広報かすかべ」408号(1990年6月号)にも取り上げられました。

 広報かすかべ1990年6月号(408号)

 

今日で開館日数10000日という節目を迎えましたが、これまでもこれからも郷土資料館に託された役割を忘れず、市の歴史や魅力を伝えるため、皆さんに楽しんでもらえるような、そして生涯の学びとなるような資料館を目指していきます!
令和7年7月23日(水)からは「麦わらのかすかべ~帽都いま・むかし~」展と銘打ち、春日部の特産品である麦わら帽子にフォーカスを当てた展示会を開催します。こちらもぜひご期待ください!

やったり踊りの公開-県指定無形民俗文化財ー

  7月12日(土曜)、県指定無形民俗文化財の「やったり踊り」が武里駅近くの大畑香取神社で公開されました。
 「やったり踊り」は、午後8時頃、武里香取神社から南東方向に約400mほどの西光寺からスタートします。厳かな境内の中、太皷と笹笛の囃子に合わせ、隊列を組んで、「練り込み」という踊りをしながら、約45分をかけて、会場である大畑香取神社にゆっくりと向かいます。境内では、到着を待っていた見学者が集まっており、境内の鳥居をくぐると拍手で迎えられての入場となります。

 ▼練り込み様子(西光寺から大畑香取神社まで隊列を組んで踊る) 練り込み(小若)練り込み(若衆) 

 最初の踊りは、小学生低学年、高学年の「小若」による「扇子踊り」から始まります、この日に向けて練習をしてきた成果が遺憾なく発揮され、大きなかけ声で、元気よく扇子を用いた舞が披されました。続けておこなわれる若衆の「扇子踊り」も、ベテランと、高校生や大学生の今後を担う若衆が迫力ある舞を披露しました。

 ▼扇子踊りの様子(日の丸の扇子をもって踊る)

 扇子踊り(若衆)扇子踊り(小若)

 次の「手踊り」では、哀愁を帯びた唱にあわせながら、身体全体を使って踊り、手のひらや指先を使って蓮の花を表現する所作が、会場全体に夏の夜の幻想的な世界を醸し出していました。踊りが終わってしまうのが名残惜しくなるくらい、会場全体が「やったり踊り」の余韻で覆い尽くされていました。また来年の夏へ、さらに次の夏も、この余韻が引き継がれていくことを期待しています。

 ▼手踊りの様子(手のひらや指先を使って蓮の花を表現している 手踊り(若衆) 手踊り(小若)

古文書勉強会で館蔵の古文書を読みました

7月5日、古文書勉強会にて、市民の方々と館蔵の古文書を読みました。

講読した史料は「御神忌日記」です。今年の1月から毎月1回のペースで読んできましたが、ようやく読み終わることになりました。今後はいま一度原稿を確認・校訂し、本ブログ等で公開したいと考えています。

さて「御神忌日記」の講読ですが、元治2年(1865)の家康の250回忌法要の記録でしたので、京からお公家さんたちが参列するのですが、読みなれない公卿の名前に苦戦されたこともありました。

どういった史料で公卿の名前を調べればよいのか。手っ取り早いのは、近世に出版された「雲上明覧」という版本。これは京・朝廷の皇子・門跡・公卿たちの名鑑とでもいうべき書物です。大名や幕府の役人の名鑑として「武鑑」というのがありますが、その朝廷版とでもいうべきものでしょう。一例を『近世公家名鑑編年集成』からコピーして皆さんに配布しましたが、実は、館蔵史料のなかにも「雲上明覧」があったことに、当日気づきました。せっかくなので、皆さんにも手に取ってみていただきました。

写真:古文書を手に取る参加者

 館蔵の雲上明覧は、先日公開した収蔵資料データベースから「雲上明覧」で検索いただけると、一部の画像をご覧いただけます(資料を公開しました)。春日部にも「雲上明覧」があったことに、少し驚きました。江戸時代は出版文化が花開き、18世紀半ばには、庶民は様々な情報を出版物から入手していたことがわかります。まさに「べらぼう」の世界。

 

次回からは、また新たな古文書に挑みます。粕壁宿に関わる新出史料なので、個人的にも楽しみです。次回は、9月6日(土)14時~です。

【ご注意ください】彩の国 東・北部ミュージアムスタンプラリーが始まります

令和7年7月19日(土)~令和7年11月30日(日)まで「彩の国 東・北部ミュージアムスタンプラリー」が開催されます。

 

当館もスタンプの押印スポットとなっておりますが、先日もブログに書きました通り、

教育センターが令和7年7月20日(日)に行われる参議院議員通常選挙の投票所として利用されるため、

令和7年7月19日(土)午後、令和7年7月20日(日)は郷土資料館は休館となります。

また、続く7月21日(月)7月22日(火)も通常休館と祝日の振替休館となっているため、休館になります

 

スタンプラリー開始早々、休館が重なってしまいご迷惑をおかけしますが、ご理解ご協力の程よろしくお願いいたします。

郷土資料館の開館スケジュールは随時下記のページで更新しておりますので、ご来館の際にはぜひご参考になさってください。

https://schit.net/kasukabe/center/hogolog

 

 

 

春日部共栄中学校の皆さんが英語で郷土資料館を紹介してくれました

7月9日、春日部共栄中学校の3年生の皆さんが、郷土資料館に来館されました。

英語授業の一環の活動で来館された皆さんは、春日部市内のいろいろなスポットを外国人観光客向けに紹介するもので、自分たちで見どころを英語で説明し、動画を撮影していました。

写真:資料館を紹介する中学生

中学生の皆さんは、自分たちで作った台本や原稿どおりに、カメラワークを工夫し、時折ジェスチャーを交え、外国人の先生の指導をうけながら、郷土資料館を紹介してくださいました。

鎌倉時代のコーナーでは、兜をかぶって紹介。

写真:兜をかぶる中学生

江戸時代は、松尾芭蕉の弟子曽良の顔ハメで紹介。

写真:粕壁宿の模型の説明

初めは恥ずかしがっていましたが、先生との英会話、資料館内を楽しみながら、主体的に英語を学習しているように見えました。

撮影した動画は、学校内の学習で使用され、外部への公開・公表はないそうです。

近年、郷土資料館には、某アニメキャラクターのスタンプラリーで多くの外国人観光客が訪れています。資料館では、外国の方に春日部の魅力を知っていただくために、案内サインなど多言語表記に少しずつ取り組んでいるところですが、ごくごくわずかです。市域全体でも、外国人向けに春日部の魅力を英語で紹介するというニーズが高まってきているのは間違いないと思います。ですから、中学生の皆さんの取り組みは、実は実社会で役立つかもしれません。

生徒・学生たちの英語の学習になり、かつ社会に役立つことになれば、これほどよいことはない。そんな話を、中学校の先生にお伝えしました。

ぜひ、今後とも郷土資料館を教材として、そして多言語化する対象として、ご活用くだされば幸いです。