ほごログ(文化財課ブログ)

2022年6月の記事一覧

まちづくりへの支援

近年、郷土春日部の歴史・文化遺産は、生涯学習や学校教育、学術研究に利用されるだけでなく、まちづくりや観光に役立てられるようになってきています。郷土資料館は、郷土の歴史・文化に関わる資料を展示・解説する拠点的な施設として、いろいろな方々に活用されるようになってきました。

去る6月19日(日)、建築や都市計画を学ばれている日本工業大学の学生の皆さんが、郷土資料館を見学され、当館の学芸員が春日部の歴史的な特徴について解説いたしました。特に、本市の特徴である利根川水系の河川が多く流れる自然・地形の特徴と遺跡の立地、生活拠点の推移との関連について、また現代の春日部市中心市街地発展の礎といえる江戸時代の粕壁宿について、模型や図、写真などを用いてわかりやすく解説いたしました。

江戸時代の粕壁宿推定模型

学芸員による粕壁宿の解説

一方で、地域コミュニティーの解散に伴う現地の地域資源の消失と記録及び一部資料の保存の事例についても紹介し、現代のまちづくりの難しさについても説明いたしました。

地区の稲荷社の解説

学生の皆さんには大変熱心に見学していただきました。そして、当館の見学後は旧粕壁宿を散策され、実地での学習をされました。まちづくりの研究と実践に役立てていただければと考えております。

今後も、郷土春日部の歴史・文化を伝えていく拠点として、皆さまの多様な関心に応えていけるよう、郷土資料館は努めてまいります。

 

 

市民の皆さんと古文書勉強会を開催しました

令和4年6月19日(日)、古文書勉強会を開催しました。前回に引き続き、粕壁宿にゆかりの「宝暦度より酒造用留」を講読しています。

皆さん、担当箇所の古文書の解読原稿を読み上げ、字の誤りや読み間違えがないか、意見を交わしながら、読み進めています。今回は2時間で4ページを読みました。

写真:古文書勉強会の様子

内容も分量も重厚でなかなか読み進めませんが、皆さん楽しんでご参加いただいているようでした。

館の事業の都合により、7月・8月はお休みです。

次回は、9月11日(日)14時~、次々回は9月24日(土)14時~に開催予定です。

【7/3までー宝珠花の歴史と大凧あげ】展示解説講座を開催しました

6月19日(日)、「宝珠花の歴史と大凧あげ」の展示解説講座を開催しました。

ご参加くださった皆さま、大変ありがとうございました。

展示解説講座

講座では、宝珠花の歴史、大凧の歴史、大凧の作り方、大凧会館と各地の凧の順でお話をさせていただきました。ややつめ込みすぎて、「各地の凧」をご紹介することが早口になってしまいましたので、こちらで紹介させていただきます。

東日本大震災で被災し、閉館した大凧会館では、開館当初から各地の凧を収集し、そのコレクションは実に800点以上に及びました。日本各地はもちろん、海外の凧もあります。

残念ながら東日本大震災による大凧会館の被災で、失われたものもありますが、多くは現在も大凧会館の所管課であった観光振興課により保存されています。

今回の展示では、関東近県の凧を中心に、春日部に大凧を伝えた僧、浄信の地元である秋田県能代市の凧や北海道、沖縄県の凧、計13点を展示しています。写真はいずれも展示中のものを撮影しています。

能代凧

能代(のしろ)凧(秋田県能代市)

 春日部の地に凧を伝えたといわれる江戸時代の僧、浄信のふるさと能代の凧。右側のものは「ベラボー凧」と呼ばれ、「男ベラボー」と「女ベラボー」がある。舌を出した異様な絵が魔よけの意味をもつ。現在の能代凧の形が確立したのは明治期。

 上総唐人凧

上総唐人凧(千葉県南部)

「唐人凧(とうじんたこ)」は江戸時代後期に日本に伝わる。3m前後の大きさが一般的。独特のうなり音をあげる。

伊勢原あぶ凧

伊勢原あぶ凧(神奈川県伊勢原市)

明治30年代に伊勢原市内の住職により、病気が軽く上がるようにとの願いを込めて始められた。連凧。現在は作られていない。

六郷トンビ凧

六郷とんび凧(東京都大田区)

江戸時代から作り始められる。多摩川でとった魚を河原に並べて干す時に、カラス除けとして使われた。

扇凧

扇凧(富士見市、川越市)

幕末から明治初期に作り始められ、昭和27~28年に途絶えるものの昭和51年に復活。扇は末広がりなので縁起物とされた。

龍ヶ崎トンビ凧

龍ヶ崎とんび凧(茨城県龍ヶ崎市)

明治末期に生み出された。独特の形状や鮮やかな絵柄が特徴。昭和62年に最後の後継者が途絶えたものの平成26年に復活。

まゆ凧

下野のまゆ凧(栃木県宇都宮市)

蚕が繭から出たあとのような形をしていることから名付けられた。

絵馬凧

絵馬凧(千葉県茂原市)

江戸時代から作られる。絵画性が高い凧。

相模の大凧

相模の大凧(神奈川県相模原市・座間市)

天保年間から継承される。実際の大きさは14.5m四方。毎年5月4日、5日に大凧あげ祭りが行われる。座間市でも座間の大凧があげられる。

白根の角凧

白根角凧(新潟県新潟市)

毎年6月上旬、7m×5m(24畳大)の凧で、川の両岸に分かれ凧合戦をする。江戸時代の中頃から始まったといわれる。殿様から拝領した凧をあげたところ対岸の家屋に落下し、これに対し対岸側も凧をあげ家屋の上に落としたことが始まりと伝えられている。

蝦夷凧

蝦夷凧(北海道函館市)

北海道の形を簡略化した変形六角形になっている。展示のものは、アイヌの文様が採用されている。

カーブヤ―

カーブヤ―(沖縄県那覇市)

「カーブヤ―」はコウモリを表す沖縄の方言。曲線の骨を使う。展示しているものはハイビスカスが描かれているが、絵柄は自由。現在も盛んに作られる。

【夏季展示】情報解禁!【宮内庁コラボ展示】

春日部市郷土資料館の今年の夏季展示の情報発表が解禁されました。今年は宮内庁宮内公文書館との共催企画展「明治天皇と春日部~巡幸・御猟場・梅田ごぼう~」を開催します。 #かすかべプラスワン

今年の企画展はコラボレーション。コラボ先は、なんと宮内庁です。宮内庁宮内公文書館さんでは、毎年、首都圏の博物館や文書館を会場として、企画展示を開催していますが、埼玉県の施設で初コラボとなったのが、春日部市郷土資料館です。ですから、このコラボ展は県内初の試みになります。

内容は、明治天皇の巡幸、江戸川筋御猟場、梅田ごぼうを主要テーマとし、宮内庁宮内公文書館所蔵の資料をはじめ、春日部の郷土資料を陳列し、近代の皇室と春日部の歴史を展示紹介します。今回の調査で発見した資料も少なくなく、春日部の近代の歴史にとって、重要な資料が並びます。

 画像:チラシ表面

関連事業も盛りだくさんです。特におすすめなのは、県東部の近隣市町を会場とした連携展示です。近代の皇室と地域の歴史は春日部だけじゃない。近隣市町での展示やゆかりのある地もめぐりながら、春日部の特徴や他の町の地域の歴史も一緒に楽しんでいただこうとするものです。今年の夏は熱くなります。

 

展示は目下準備中です。ご期待ください。見どころや関連事業等、追々PRしていきます。

 

1 展示会名 明治天皇と春日部~巡幸・御猟場・梅田ごぼう~

2 主  催 宮内庁・春日部市・春日部市教育委員会

3 会  期 令和4年7月20日(水)~9月4日(日)(休館日:月曜日、祝日)

4 開館時間 午前9時~午後4時45分

5 入  館 料 無料

6 会  場 春日部市郷土資料館(住所:〒344-0062 春日部市粕壁東 3-2-15(春日部市教育センター内))

武里南小学校3年生「総合的な学習の時間」に縄文体験を行いました!!

 6月16日(木)は武里南小学校の3年生を対象に縄文体験の出張授業を行いました。第3学年の総合的な学習の時間では川辺小学校に続き2校目のお邪魔となりました。

 武里地区にはいまだ埋蔵文化財(遺跡)の確認はなく、授業導入では「なぜ、学区には遺跡がないのか」「内牧や豊春、幸松、粕壁、そして庄和地域に広がる遺跡の時代の武里地区の景色はどのようだったのか」を資料をみながら考えてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲パワーポイントで市内、そして武里地区が縄文海進によって海原が

広がっていた様子を示すと、遺跡がない理由が解けました。

▲現在では想像できない埼玉県内、そして春日部市内に海が押し寄せた縄文時代には資源豊富な海産物が、

そして、縄文時代の専らな道具である石器や土器に触れて、さまざまな印象を描いてくれました。

 体験授業の後はみなさんからの感想と質問がやまほど・・・。「貝の種類がいろいろあったけど、なぜなのか?」、「黒曜石はなぜ、ガラスのような石なのか」、「埼玉県では黒曜石がなぜ、とれないのか」などなど、”観て””触れて””考えて”を実践していただきました。

 6月末からは、6年生の社会科歴史の授業にお邪魔してきますので、改めてご紹介いたします