ほごログ(文化財課ブログ)

2017年8月の記事一覧

道の駅「庄和」『新編図録春日部の歴史』からのご紹介19

「道の駅」とは、平成5年に創設された制度で、市町村等からの申請に基づき、国土交通省が登録を行っており、平成29年4月21日現在で全国1117駅が登録されています。道の駅「庄和」は、平成17年3月27日に開業しました。
幹線道路沿いで、休憩所と地域振興施設が一体になった施設が多く、国道4号バイパス沿いの道の駅「庄和」でも地元農家が生産している米、野菜、果実などを販売し,連日多くの人でにぎわっています。

なお、道の駅「庄和」でも『新編 図録 春日部の歴史』を販売しています。ぜひご利用ください。

「農業経営の多角化」『新編 図録 春日部の歴史』260ページ
『新編 図録 春日部の歴史』販売のお知らせ
道の駅庄和

市民の方から資料の寄贈を受けました

本日、市内にお住まいの方から、棹ばかりを寄贈していただきました。
棹ばかり3点
この棹ばかりは、昭和20年~昭和35年頃まで、麻縄製造・販売されていたお宅から寄贈いただいたものです。先代が終戦後に粕壁に引っ越し、麻縄製造業を開業して以来使っていたものだと伝えられています。
大・中・小の3種類があり、大の分銅には「定錘秤量八拾瓩」、中には「定錘秤量拾五瓩」、小には「定錘秤量七瓩」とあります。「瓩」はキログラムと読みますので、大は80kg、中は15kg、小は7kgまでというように、モノの重さに応じて棹ばかりを使い分けていたことがうかがえます。縄の原料や製品の重量を量るときに使ったのでしょうか。



ところで、昭和32年(1957)の『春日部市商工名鑑』には、先代のご主人は「棕梠縄(しゅろなわ)加工卸」の業者として掲載されています。棕梠(しゅろ)とは、ヤシ科の常緑高木のことで、皮の繊維は縄・刷毛(はけ)・箒(ほうき)などに加工されます。棕梠縄は、天然繊維のなかで最も腐敗しにくいといわれ、今でも造園の竹垣などによく使われるそうです。
昭和32年(1957)当時、春日部市内には棕梠縄をはじめ、縄の製造・加工卸などの業者さんが8軒存在していました(『春日部市商工名鑑』)。しかし、高度経済成長期にナイロン等の化学繊維が登場すると、棕梠縄や藁縄にとってかわるようになり、従来の縄製造・加工業は衰微していくことになります。ご寄贈いただいたお宅でも、昭和41年(1966)には他の商売をされていたそうですので、化学繊維の登場が商売の岐路になったのかもしれません。

しかし、化学繊維が登場するまで、春日部で棕梠縄が製造・販売されていたことはゆるぎない事実です。棕梠縄や藁縄が、戦後の経済成長の礎を築いたといっても過言ありません。この棹ばかりは、春日部における戦後の復興の歴史を今に伝える資料といえそうです。

寄贈いただいた方には、改めてお礼を申し上げます。

25回目を迎えた土器づくり教室を開催しました

7月30日、8月20日(全2日間)、「土器作り教室」「産直の里内牧体験」を開催しました。
1日目(7月30日)は、粘土をねって形を作り、縄や貝塚から発掘された実物の貝殻などで模様をつけました。参加者の方々は、試行錯誤しながらオリジナルの縄文土器を形作りました。
2日目(8月20)は、内牧公園で土器の野焼きを行いました。職員が土器を焼いてる間、火おこし体験と勾玉作りにチャレンジしました。火おこし体験ではマイギリ式の道具を使い、2組のご家族が見事に火おこしに成功しました。午後は近隣農園にてブルーベリー狩りを体験しました。沢山実った紫紺のブルーベリーを穫りとりました。

土器成形の様子
土器成形の様子
火おこしの様子
火おこしにチャレンジ
収穫体験の様子
収穫体験の様子
土器焼き後の様子
完成した土器を前に自分の作品を探しています

ご興味のある方は来年参加してみてはいかがでしょうか。
毎年、広報かすかべ7月号、ホームページで参加者を募ります。

郷土資料館夏季展示ギャラリートークを開催しました

平成29年7月22(土)・8月19日(土)・8月20日(日)、資料館企画展示室で夏季展示ギャラリートークが開催されました。
第57回の夏季展示「初代直木賞選考委員 三上於菟吉を知っていますか?」展の展示品を見ながら、展示を担当した学芸員による解説がおこなわれました。
昭和初期に活躍した大衆作家、三上於菟吉の名は知らなくても、何度も映画化されている「雪之丞変化」はご存知の方も多いのではないでしょうか。
解説により、初代直木賞選考委員も務めた、郷土出身の著名作家の三上於菟吉の名を、身近に感じることができたかもしれません。
夏季展示は、9月3日(日)まで開催しております。また、9月2日(土)には染谷洌先生による講演会があり、ただいま申込受付中です。

ギャラリートークの風景

学校 学校の先生向けのホームページを公開しました

郷土資料館の教育委員会ホームページに、学校の先生向けのページを制作しました。

郷土資料館所蔵資料を小学校・中学校の授業等でよりご活用いただくため、過去の資料活用実績を公開し、比較的扱いやすく活用しやすい資料を「学校教材用貸出リスト」として掲載しました。


後者の「学校教材用貸出リスト」の制作にあたっては、平成28・29年度の博物館実習生の協力を得ました。写真や動画に映っている青年はみな当館の実習生です。
学校の先生方にご覧いただき、資料が活用され、子どものたちの学習に役立つことを期待しています。

このほか、
「かすかべデジタル写真館」にも古写真を追加しましたので、あわせてご活用いただければ幸いです。

吾妻鏡『新編図録春日部の歴史』からのご紹介18

『新編図録春日部の歴史』では、中世の項で鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡(あづまかがみ)』の記事を多く使用しています。『吾妻鏡』には、中世武士である春日部氏関係の記事をはじめ、下河辺荘(しもこうべのしょう)をおさめた下河辺行平(しもこうべゆきひら)や太田荘(おおたのしょう)の地頭(じとう)、太田行朝(おおたゆきとも)などの記事が確認できます。

この『吾妻鏡』は、国立公文書館のデジタルアーカイブから、原本の写真をみることができます。ぜひご覧ください。


『新編 図録 春日部の歴史』に掲載した記事の巻、各巻内のページ番号
*リンク先は国立公文書館デジタルアーカイブの「件名・細目詳細」です。
(春日部氏関係の記事)
宝治元年6月10日条 
吾妻鏡 巻三十八 25ページ
宝治元年6月22日条 
吾妻鏡 巻三十八 29~31ページ
(下河辺行平関連の記事)
建久6年11月6日条 
吾妻鏡 巻十五 72ページ
建久4年8月9日条  
吾妻鏡 巻十三 42ページ
建長5年8月30日条 
吾妻鏡 巻四十三 26ページ
寛元3年7月26日条 
吾妻鏡 巻三十六 35ページ
(太田行朝関連の記事)
建久5年6月30日条 
吾妻鏡 巻十四 20ページ

「下河辺氏・太田氏・春日部氏」『新編 図録 春日部の歴史』44ページ

警報の種類を知らせるチラシ『新編図録春日部の歴史』からのご紹介17

日中戦争当時に粕壁町防護団から出された警報の種類を知らせるチラシを紹介します。
防護団(ぼうごだん)とは、昭和7年(1932)ごろから各地で組織された防空のための組織です。昭和14年(1939)に消防組と防護団からなる警防団が発足するまで活動しました。
チラシには、それぞれの警報の際のサイレンや警鐘(けいしょう)の鳴らし方が細かく示されています。戦時中、市民の日常生活が緊張の連続であったことがわかる貴重な資料です。

「戦時生活」『新編 図録 春日部の歴史』224ページ

警報の種類を知らせるチラシ

郷土資料館体験ワークショップを開催しました

平成29年8月5日(土)、郷土資料館展示室で「体験ワークショップ からくり屏風を作ろう!」が開催されました。
春日部の伝説をもとにした紙芝居や、蓄音機によるレコード鑑賞を楽しんだあと、昔のおもちゃ「からくり屏風」を作りました。屏風にみたてた板を動かしていくと、4つの絵柄が出てくる不思議な屏風に、参加した子供たちは大変喜んでいました。
ワークショップは、小学生までを対象とした、昔の遊びを気軽に体験できるイベントです。事前申込み不要、当日の飛び込みも大歓迎です。
次回ワークショップは、平成29年11月12日(日)に「ぴょんぴょんカエル」や「紙てっぽう」を作ります。ご参加をお待ちしています!

ワークショップ風景
ワークショップ風景

県立歴史と民俗の博物館「くらべる古美術」で円空仏が展示されています

埼玉県立歴史と民俗の博物館で開催されている企画展「くらべる古美術」で、小淵山観音院所有の埼玉県指定文化財の円空仏群のうち「不動明王立像」が展示されています。また常設展示第4室にも「役行者倚像」が、県内の5体の円空仏や仏像などとともに展示されています。
「くらべる古美術」は、さまざまな古美術作品について「かたち」・「色」・「モチーフ」の3つを大きなテーマに、くらべる楽しみをご紹介する展示です。円空仏だけでなく、県立歴史と民俗の博物館が収蔵する数多くの古美術作品が、初心者にもわかりやすい解説とともに紹介されています。
暑い日が続きますが、冷房の効いた館内でたくさんの美術品に囲まれながらくつろいでみてはいかがでしょうか。

●会期:平成29年7月15日(土)~8月31日(木) 9:00~17:00(観覧受付は16:30まで)
★休館日:月曜日
●会場:埼玉県立歴史と民俗の博物館(さいたま市大宮区高鼻町4-219)
●観覧料:一般400円、高校生・学生200円(中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方(付添1人含む)は無料)

幸松地区公民館に粕壁宿ジオラマを展示しています

本日、幸松地区公民館に手作りの粕壁宿ペーパークラフトを展示しました。
5月から展示していた粕壁南地区公民館を去り、幸松地区公民館にやってまいりました。
ジオラマ設置の様子
今回は、ジオラマ設置の作業風景を載せます。模型のパーツをボルトで固定しているところです。

手づくりの粕壁宿模型は、粕壁宿再現プロジェクトに参加した子どもたちが造ったペーパークラフト模型をもとに、江戸時代の粕壁宿の町並みを復元した模型です。
模型の詳しい解説については、
「ペーパークラフトでめぐる粕壁宿」(郷土資料館ホームページ)をご覧下さい。

幸松地区公民館のジオラマ展示
設置後、さっそく公民館の利用者のみなさんの人だかりが。
「作るの大変だったでしょうね」と感想をもらしていました。
幸松地区公民館では、比較的明るいスペースに展示させていただきました。2階から模型の全容をご覧いただけます。11月上旬まで展示予定です。お近くの方はぜひご覧ください。

博物館実習、一区切り。

7月25日からの博物館実習も本日で一区切りです。
本日は、館蔵資料の研究のために町にでてフィールドワークの予定でしたが、あいにくの天気のため館内の実習になりました。
午前中は、資料の取り扱い。掛け軸と巻子の取り扱いを行いました。みなさん、大学の授業で一度は取り扱いを練習したことがあるようでしたが、手元がどこかぎこちない感じでした。人に見られていることが、より一層緊張感を誘いますよね。



午後は、実習1週間を振り返って、みんなでディスカッション。

「バックヤードや収蔵庫にこんなにたくさん資料があるとは思わなかった」「資料に対する理解を深めて、一般に普及していくことが大切だと思った」など、資料館の裏側をみて、皆さんの学芸員観、博物館観も少しは変わったのかもしれません。
最後は、当館の課題や改善点について、忌憚なくご意見いただきました。

実習生には、
9月2日の夏季展示記念講演会もお手伝いいただく予定になっていますが、とりあえず1週間お疲れさまでした。