校長室から
看脚下
校 長 金子 博之
校長室の月めくりカレンダーがいよいよ今月と来月の2枚となりました。月日がたつのは本当に早いものです。季節も同じです。高い山からは初冠雪の便りが届き始め、高野山小学校でも体育館脇のイチョウの葉が、黄色く色づいて、秋の深まりを肌で感じることができる頃となってきました。
子どもたちは今、11月9日の合唱祭、10日のふれあい祭りでの合唱発表に向け練習に余念がありません。当日は、子どもたちが一生懸命に歌う姿をお見せできることと思います。どうぞ、お楽しみに。
さて、昨年度本校に着任して真っ先に取り組んだのが、「あいさつ」と「靴を揃える」ということでした。あいさつについては、全校朝礼で児童に話をした際に、使用した掲示物を児童昇降口にしばらく掲示していましたので、保護者や地域の皆様の中にもご覧になった方がいらっしゃるかもしれません。
『 さきに 目をみて にこにこ あいさつしよう 』という水色の掲示物でした。おかげさまで、朝、学区を歩いていると子どもたちは本当に元気よくあいさつをしてくれるようになりました。『さきに』というのは実は難しいのですが、低学年の児童の中には、実践してくれている子が何人もいて本当にうれしい限りです。あいさつについては、児童会でも毎週木曜日の朝に「あいさつ運動(はっきりあいさつ、とまっておじぎ)」を実施しています。更に地域の方々にも照れずに元気よくできるようになればいいのですが・・・課題だと認識しています。
このあいさつと同時に、昨年のうちから子どもたちに意識させたいと考えていたのが、「靴を揃える」ということでした。あいさつができるようになり、そして「靴を揃える」ことができるようになれば、本校の学校教育目標「自立」は、到達できたと考えても良いとさえ思っています。
禅の言葉で、看脚下(かんきゃっか)というものがあるそうです。意味は字の如く、脚下を看よ、自分の足下をよく見なさいという意味です。看るという字には、看護師の看という字からもわかる通り、「世話をする」という意味も含まれているそうです。お寺や他人の家にあがる際に、足下を世話する・・・つまり履き物をそろえなさい。という教えなのだそうです。
私は、毎朝児童の靴箱を見ることが日課となっています。高野山小学校の子どもたちの七割の子どもたちは、靴をきちんと揃えています。きれいに整った靴箱を見ると、私の心も穏やかになりますが、乱雑に乱れた靴を見ると、この子は今朝、何かあったのだろうか。兄弟げんかでもしたかな?親に怒られたかな?と気になってしまいます。靴一つからでも、そんな心の変化がわかるものです。
靴を入れるという作業は、ほんの些細な作業ですが、一歩ふと立ち止まって、自分の気持ちを落ち着かせる。さらにはしっかりと切り替える、そんな作業にしてほしいと願っています。
保護者の皆様、地域の皆様、今度高野山小学校においでの際は、是非、子どもたちの靴箱をご覧ください。その時、きれいに並んでいたらそれはうれしいことですが、もし、乱雑に入っている靴があったら、『落ち着いて』と、そっと直していただけたら幸いです。
今月もどうぞよろしくお願いいたします。