ほごログ(文化財課ブログ)

ほごログ

第2次春日部市史編さん事業計画の策定

春日部市教育委員会では、このたび、第2次春日部市史編さん事業計画を策定しました。
これは市史編さん事業を市の歴史を分析し、総合編集したものを永く後世に残す文化的事業と位置付けた上で、地域資料を総合的に収集し、徹底した調査、整理、研究を行い編さんするための25年間にわたる計画です。
当面は、今まで収集した資料の整理と適正な保存を進めるための事業に取組みますが、平成35年(2024年)の自然誌-地形地質編を皮切りに、計10冊の市史を刊行する予定です。
どうぞ今後の市史編さん事業にご期待ください。


第2次春日部市史編さん事業計画.pdf

市民の方から資料を寄贈いただきました。

現在開催中の春季展示「あなたの家にも眠っていませんか?~意外に身近な郷土資料」展をご覧いただいた市民の方より、資料を寄贈していただきました。

今回、ご寄贈いただいたのは、最近すっかり見かけなくなったテレフォンカードです。
でも、ただのテレカではありません。
春日部市の特産品「押絵羽子板」のテレフォンカードです。

押絵羽子板のテレフォンカード
このテレフォンカードは、春日部市観光協会が製作したもののようで、
寄贈者のお話によれば、このテレカは、今から20~30年前くらい(平成のはじめ頃)に春日部夏祭りの折に観光協会で販売されていたものとのこと。年ごとにデザインが違って、毎年全2種類のテレカを買いあつめたものだそうです。
上の写真は、左から「弁慶」「藤娘」「奴凧」です。
このほか、「初舞」「道成寺」「板鼓」「鷺娘」「獅子」「静御前」「汐汲」「玉うさぎ」「かむろ」「浅妻船」「沢鷺坂伴内」「祭礼」「浅妻」「梶原」「那須与一」「滝夜叉」「舞玉」などの押絵羽子板のテレフォンカード。赤沼民俗文化財保存会製作の「赤沼の獅子舞」のテレフォンカード、合わせて27点を寄贈いただきました。
春日部ゆかりの特産品や民俗芸能のデザインのテレカということで、貴重な郷土資料として保存・活用させていただきます。
ご寄贈くださいました方には、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

こうした郷土資料が「あなたの家にも眠っているかも」しれません。
お心あたりのある方は気軽に郷土資料館までご一報ください。

小渕山下北遺跡の漆椀『新編図録 春日部の歴史』からのご紹介-その11

小渕山下北(こぶちやましたきた)遺跡は、小渕地区の北部に位置する遺跡です。この遺跡の井戸跡から「二引両紋(にひきりょうもん)」と呼ばれる家紋が赤漆で描かれた漆椀(うるしわん)が発掘されています。
この二引両紋は室町幕府を開いた足利氏の一族である幸手城主の一色氏(いっしきし)の家紋です。中世の小渕地区は一色氏が支配していた幸手領であったことから、一色氏との関係が深い不動院や浄春院といった寺院がありました。

今は無き不動院は、その開基(かいき)の秀円(しゅうえん)が三河出身で一色氏と同郷であったこと、二代目住職の頼長(らいちょう)の妻が一色氏の一族であったことなど、一色氏との関係が特に深かったようです。
中世以降、
不動院は一色氏を通じて、古河公方や後北条氏と結びつき、関東の修験(しゅげん)を支配していきます。

「不動院と修験」『新編図録 春日部の歴史』 66ページ

小渕山下北遺跡出土遺物

出張・旅行 日光街道を歩くツアーをご案内しました

郷土資料館には、「日光街道を歩く」団体ツアーや個人の方がしばしばお見えになられます。
本日、日本橋~日光まで日光街道を歩くツアーのお客様が来館され、粕壁宿の町並み模型の展示解説をしました。

模型の解説
本日のお客様は、市外・県外の方で、一ノ割から東武動物公園までの道程にお立ち寄りくださいました。17日にわたって日光街道を完歩されるそうです。
模型の解説
展示室では、宿場の景観の特徴や、春日部(粕壁)の地名の秘密などお話しました。なかでも、地名の由来や明治33年(1900)に徳川慶喜が来訪したことについて、皆さんご関心をお持ちいただいたようです。
模型の解説
暑くなってきましたので、旅人の皆さん、道中お気をつけて。

最勝院前から見た粕壁の町並み『新編図録 春日部の歴史』から-その10

明治40年(1970)ごろの粕壁宿を撮影した写真の絵葉書を紹介します。最勝院のご住職が栃木県大田原(おおたわら)にあてたものです。同じ陸羽(りくう)街道の宿駅(しゅくえき)でも、大田原より粕壁の方が道幅が広いと記されています。
東武鉄道が明治32年に北千住-久喜間で開通したことにより、人々の陸路交通は大きく変化しました。江戸時代には本陣(ほんじん)、脇本陣(わきほんじん)と旅籠(はたご)45軒を有した粕壁宿の宿泊施設は、明治35年には旅館3軒まで減少しました。

「宿場町粕壁と交通の変容」『新編図録 春日部の歴史』 160ページ

最勝院前から見た春日部の街並み