ほごログ(文化財課ブログ)

カテゴリ:郷土資料館

円空仏群ー指定文化財でめぐる春日部

現在第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」開催中です。
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。

円空仏は、江戸時代の修験僧(しゅげんそう)、円空によって作られた仏像、神像です。春日部市内では、円空仏が22体確認されています。これらは、円空が日光道中や日光御成道(にっこうおなりみち)を使って旅をした際に、彫ったものといわれています。

今回の企画展示では、かつて寺院だったお宅に伝わった迦楼羅(かるら)像と護法神(ごほうじん)像2体の計3体を展示しています。

「護法神」は仏法を護(まも)る神という意味で、梵天(ぼんてん)、帝釈天(たいしゃくてん)、四天王、十二神将、十六善神、二十八部衆などを総称したものです。「護法神像」は、円空の作品に多く、さまざまな姿で登場します。
「迦楼羅」は、インド神話に登場するガルダをもとにしたといわれる鳥の姿をした仏教の守護神です。「護法神」とされる二十八部衆にも加えられています。口から炎を吐き、龍を食べる大きな鳥で、迦楼羅が変化して天狗になったという説もあります。

また、迦楼羅像と25.7㎝の護法神像には、背面に墨書があります。特に護法神像の墨書は、「護世童子(ごせどうじ)」と肉眼でも読み取ることができます。円空の像には、背面などに円空が書いた墨書を残すものが多くあります。

迦楼羅像迦楼羅像16.1㎝


御法神像護法神像25.7cm

御法神像護法神像14.5cm

円空仏について6月23日(日)に展示解説講座を行います。ご興味がある方はぜひご参加ください。

展示解説講座(その2)「春日部と円空」
 日時:令和元年6月23日(日)10時~11時30分
 場所:教育センター
 講師:当館館長
 定員:50名
 費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。

【情報求む】元祖成金鈴木久五郎をご存じ?

鈴木久五郎(きゅうごろう)は、春日部の八丁目出身の実業家で、明治時代「成金」として名をはせた人物です。今夏、春日部市郷土資料館では、鈴木久五郎(通称:鈴久)の半生を紹介する展示会を企画しています。鈴久の事、知らなかった方は、顔と名前だけでも覚えていってください。ご存じの方は、情報を求めています。種々ご教示いただけると幸いです。
明治41年鈴木久五郎(大磯町郷土資料館所蔵)
今回は、展示会でも出品される久五郎の貴重な肖像写真(大磯町郷土資料館所蔵)と、その事績を紹介します。
鈴木久五郎については、『埼玉人物事典』(埼玉県、平成10年)に次のように紹介されています。
明治10年生。昭和18年8月16日没。
株仲買商・衆議院議員。獅子文六『大番』のモデル。八丁目村(春日部市)生まれ。酒造業6代目鈴木兵右衛門の2男。5代目兵右衛門の弟中村清蔵の許で築地商業学校を卒業。兄の7代目兵右衛門が家を継いで明治30年(1897)越ケ谷町(越谷市)に鈴木銀行を設立、同36年久五郎は同銀行草加支店長となった。日露戦争中の37年、株の売買を始めて大儲けをし、成金王の一人となった。中でも、鐘紡の株をめぐる中国人との勝負は、取引所始まって以来のすさまじさといわれた。この年東京小網町(東京都中央区)に同行東京支店が開設されたが、翌38年日比谷焼打ち事件で株式は暴落したため、東京支店の預金を使い、取付け騒ぎが起こった。その後株価は上昇し、39年兜町に株仲買店丸吉を開業、滝沢吉三郎を店主に置き、株式界に本格的に乗り出した。東京鉄道の株を買い占めた後、株式取引所株を買い占めるため、「丙午会」を組織し、増資に成功した。次いで日本精糖株を買い占め、会社役員を辞任に追い込み、監査役に就任、大日本精糖と社名を改称した。このほか、豊鉱石油、日本坩堝各取締役を兼ねた。しかし、40年の日露戦争後反動恐慌によって株式は大暴落し、没落に追い込まれた。41年群馬県高崎市選挙区から中央倶楽部に所属して、衆議院議員に当選、1期務めた。中国の孫文を始め、大隈重信・犬養毅・桂太郎等政界にも交友関係があった。当時の日本を代表する「相場師」の一人である。享年67歳。(参考文献:『一代記鈴木久五郎』

以上の事典の記事は、鈴久の本格的な調査研究はないにもかかわらず、ここまで端的に彼の半生を書いているのは素晴らしいです。しかし、今回展示会開催のための調査を進めていくと、いくつかの新たな事実を確認することができました。今後も、鋭意調査を進めて、展示内容を充実させていきます。

展示会は令和元年7月23日(火)~9月8日(日)を予定しています。乞うご期待。

須釜遺跡再葬墓出土遺物一括-指定文化財でめぐる春日部

現在第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」開催中です。
また6月29日(土)第60回企画展示記念講演会「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」受講者募集中です。

今回は埼玉県指定有形文化財「須釜遺跡再葬墓出土遺物一括」をご紹介します。
須釜遺跡再葬墓出土土器
須釜遺跡再葬墓出土の土器

須釜遺跡は市内北部の倉常に位置します。
「再葬墓」とは、縄文時代の終わりごろから弥生時代の中頃にかけて関東地方から東北地方において広まったお墓の形です。人が亡くなった際、一度、遺体をそのまま土に埋めたりして葬(ほうむ)りますが、一定の時間がたったのち、その遺体を掘り出して、さらに骨だけにし、再び葬るものです。「再び葬る」ことから「再葬墓」と呼ばれています。

今回の展示では、3号再葬墓(A・B)から出土している土器4点、さらに常設展示に、1号再葬墓出土土器を展示しております。
須釜遺跡の弥生土器のうち、特に壺形土器の文様は、縄で付けた縄文や棒状の工具を引いてつけた沈線(ちんせん)と呼ばれる線、棒状の工具で突き刺すようにつけた刺突(しとつ)と呼ばれる穴などの文様要素から構成されます。
特に「刺突」は、つけられる土器とつけられない土器が遺構ごとにはっきりと分かれて出土しています。展示したものでは、1号再葬墓と3号再葬墓Aのものは刺突されますが、3号再葬墓Bのものは刺突されません。

須釜遺跡について、6月16日(日)に展示解説講座を行います。ご興味がある方はぜひご参加ください。

展示解説講座(その1)「春日部の弥生時代―須釜遺跡」
 日時:令和元年6月16日(日)10時~11時30分
 場所:教育センター
 講師:当館学芸員
 定員:50名
 費用:無料
郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。

企画展示記念講演会のお知らせ

現在開催している第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」の記念講演会を開催します。
今回は、講師に、杉崎茂樹先生(春日部市文化財保護審議委員)をお招きして、市内の史跡・考古資料の指定文化財についてお話しいただきます。
ぜひご来場ください。

記念講演会「春日部の指定文化財―史跡と考古資料」
 日時:令和元年6月29日(土)14時~16時
 場所:春日部市教育センター
 定員:100名(先着順)
 費用:無料
 郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。
「春日部の指定文化財ー史跡と考古資料」講演会チラシ

そのほか、当館職員による下記の講座も、参加者を受け付けております。いずれも郷土資料館へお電話(048-763-2455)、または直接ご来館の上、お申し込みください。

展示解説講座(その1)「春日部の弥生時代―須釜遺跡」
 日時:令和元年6月16日(日)10時~11時30分
 場所:教育センター
 定員:50名
 費用:無料
 県指定文化財が出土した須釜遺跡と弥生時代について解説します。

展示解説講座(その2)「春日部と円空」
 日時:令和元年6月23日(日)10時~11時30分
 場所:教育センター
 定員:50名
 費用:無料
 市域に多く伝来する円空仏について解説します。

ギャラリートーク・古文書勉強会などなど

令和元年5月25日(土)は、いろいろイベントがありました。

【その1】ギャラリートークを開催しました。
第60回企画展示「指定文化財でめぐる春日部」について、担当の学芸員が資料を解説しました。小学校2年生の男の子も参加して、興味深そうに資料を見つめていました。次回のギャラリートークは、6月9日(日)、7月7日(日)です。ぜひともご参加ください。
写真:ギャラリートークの様子

【その2】古文書勉強会
引き続き、「寛政七年御鹿狩ニ付御触書之写」(神間村文書№344)を講読しています。
まだ、読了しないので成果は後日。本日も新たに参加される方が2名加わりました。出席者は18名でした。とくに「竹貝」や「悉」の読み方で、皆さん議論を交わし、史料の内容について理解を深めるひと時になりました。次回は6月9日(日)14時~です。
写真:古文書勉強会

【その3】団体見学
旅行会社の「日光街道をめぐる」ツアーの団体のお客さんのほか、日本工業大学のゼミナールの学生さんが粕壁の町並みの景観について研究するため来館されました。
写真:日本工業大学の皆さん