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校長室のひとりごと

校長室のひとりごと「OECD(経済開発協力機構)」

 明日からGW後半に入りますが、この期間に岸田総理はフランスなど3か国へ訪問するようです。今回のフランス訪問ではOECD(経済開発協力機構)会議での「生成AIの国際的ルールづくりの必要性」について基調講演するそうです。特に政治に興味があるわけではありませんが、このニュースはストレートに耳に入ってきました。というのも「OECD(経済開発協力機構)」という単語が理由です。実は日本の学校教育とOECDは深い関係にあります。OECDが概ね3年ごとに進めている国際的な学習到達度に関する調査(PISA調査)には日本を含む81の国と地域が参加しています。この調査は、義務教育修了段階の15歳が対象で「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」「読解リテラシー」の3分野について調査します。前回は2022年に実施され、全3分野において低迷していた2018年調査を上回り、2022年調査で日本は各分野トップレベルの結果でした。
 文部科学省も調査結果には注目しており、順位はもとより日本の義務教育の成果や課題を分析し、10年に一度改定される「学習指導要領」や「教育施策」などにこれまでも反映されています。例えば「GIGAスクール構想」です。2015年実施のPISA調査では、日本の学生はスマホやPCなどの使用頻度は世界的にトップレベルだが、内容は動画やメール、SNSが中心で、他国の若者の主な使用内容である「学習への活用」はほとんどない、という結果でした。このような背景から「GIGAスクール構想」義務教育児童生徒への一人一台端末が急速に配備され現在に至っています。
 OECDのPISA調査、次回は2025年、現中学3年生世代が対象です。調査結果に注目していきたいと思います。
 その前に、今日の「生成AIの国際的なルールづくり」に関する岸田総理の基調講演にも注目ですね。

校長室のひとりごと「便利になった反面…」

 セルフレジやタブレット、スマホで注文など便利になった反面、会話が減ってしまったという話の続編(?)です。今日は「便利になった反面失ったこと」について私の感覚で書いてみようと思います。
 最近の車には、当たり前に「カーナビ」が装備されています。初めての場所でもカーナビをセットすれば、地図画面はもとより、音声でも「〇〇メートル先右方向です」なんて案内してくれます。とても便利です。しかし一方で道路地図を全く見なくなりました。昔は何冊も道路地図を車に常備し、地図を前後左右くるくる回しながら運転していたことを思い出します。時にはしばらくして通り過ぎたことに気づきUターンしたりして…カーナビのおかげでとても便利になりました。しかし、方向感覚が鈍くなったように感じます。何より道を覚えなくなりました。
 ここ数年、めっきり手で字を書く機会が減りました。文章を書くには、キーボードを叩き、画面上で見直し、訂正しそれをプリントアウトします。スマホでも予測変換機能があるため、最初の一文字入力すれば、単語の候補が表示されます。また「コピー&ペースト」など時間的にも随分短縮され、とても便利です。しかし、いざ手で書こうとしても漢字の雰囲気は頭に浮かびますが、思い出せないことが多々あります。「年齢」のせいでしょうか…
 やはりスマホは便利です。電話帳機能で相手を探しタップすれば電話をかけられます。ただし、自分のスマホであればの話です。しかし、一方で電話番号を覚えなくなりました。家族のスマホの番号すらわかりません。災害時など、自分のスマホ以外から家族に連絡しようにも困ってしまいます。

 技術革新が進めば進むほど人間の苦労は減り、至れり尽くせり便利な世の中になっていきます。一方で身体や脳を使わず「退化」しているように感じるのは私だけでしょうか。

校長室のひとりごと「怒りを捨てる?」

 毎朝出勤し、新聞に目を通すことから私の一日はスタートします。先日いつものように新聞に目を通していると興味深い記事を見つけました。それは「怒り」を軽減させる方法について、日本の大学の実験チームがイギリスの科学誌に発表したという内容です。チームは「怒りを感じた際、その状況や感情を紙に書いて、その紙を捨てると怒りが抑制される」としています。さらに記事を読み進めると、チームの実験では50人の学生たちにテーマを与え作文を書いてもらい、その作文に「大学生が作成した文章とは思えません」と、わざと低い評価を与えて怒りを抱かせたそうです。次に学生に、今の感情を紙に書かせ、丸めてゴミ箱に捨てさせると学生たちの怒りが軽減されたというのです。また実験では、感情を書いた紙を捨てずに裏返すだけでは効果は認められず、シュレッダーで切り刻んだ場合は同様の効果が得られたそうです。
 今の世の中、大人だろうと子供だろうと少なからずストレスを感じながら生活しています。本校に限らず全国的に子どもたちのSNS等によるトラブルは増加傾向です。そんなSNSや友人関係のトラブルを自分たちで解決できず、その怒りを家族や教員、周囲の仲間にぶつけ、更に大きなトラブルに発展するというケースが増えたように感じます。
 今後、この実験チームは、メールやSNSなどデジタル画面による怒りの原因を、画面上から「消去」することで紙と同様の効果が得られるのか検証したい、としています。検証結果が楽しみです。

校長室のひとりごと「読書」

 皆さんは読書していますか?
 全国学校図書館協議会が2022年に実施した調査データによると、1か月に1冊も本を読まない「不読者」は、小学生6.4%、中学生18.6%、高校生51.1%、と若者の読書離れが進んでいます。
 読書は多くの知識を獲得したり、文字から得る情報だけで情景や主人公などを思い描くイマジネーションを働かせることで、読解力、想像力、思考力、表現力を高めてくれます。人生を豊かにし、より深く生きるための力を身につけるうえで読書は有効な手段の一つです。
 かつて中学校では「朝自習」という時間がありましたが、徐々に「朝読書」と言われる読書をする時間に代わり、この「朝読書」は全国的に広まりました。読書そのもはもちろんですが、朝の部活動を終えた子供たちの冷却タイム、呼吸も心も落ち着かせ授業に移行する手段という側面もありました。一日10分程度の「朝読書」でも読書の習慣が身につき、給食の配膳中など少しの隙間時間に読書をする子供たちが見られたものでした。
 しかし昨今、この「朝読書」に取り組んでいる学校は減ってきています。増え続ける学校課題、一方でスリム化・効率化の風潮などが影響しているのでしょう。また、調べ学習など図書室へ行って本から情報を得るのが常でしたが、今は「GIGAスクール構想」で配備された一人一台PCを使えば、教室にいながらネットで様々な情報を手に入れられることも図書室に行く機会が減り、結果として読書離れに拍車をかけているように感じます。
 ゲームや動画サイトなどでは直接的に映像として視覚に飛び込んできて、それはそれでリアルで必要だと思いますが、白い紙に黒インキで刷られた文字から想像することができる読書も大切です。読書の魅力を子ども達に伝えていきたいと思います。(GW初日の明日は雨予報、本でも読もうと思います)

校長室のひとりごと「セルフ」

 最近、変化についていけないことがあります。お店に行けばセルフレジで「え~っと…」って使い方に戸惑ってしまいます。回転寿司に行っても、まずは発券して座席を待ち、注文はタブレット画面から選びます。ファミレスでは、注文した料理をロボットが座席まで運び、ロボットのけなげさに、つい「ありがとう」とお礼を言ってしまいます。最近は居酒屋でも会話が弾みません。注文は自分のスマホでQRコードを読み取り、表示されるメニュー画面を操作し自分で注文するというお店が増えてきました。若い先生方と行けば「じゃあ校長先生は何飲みますか?」「はい注文しました」などと手際よくシステムを使いこなしますが、おじさん同士ではそうもいきません。みんな目を細めスマホ画面と向き合い「あれ、飲み物画面が無いぞ?」などブツブツ言いながら飲み物を注文します。数分後飲み物が届き、やっとのことで「カンパ~イ!」と喉を潤すことに成功。盛り上がったのは一瞬です。すぐにまたスマホと「にらめっこ」が再開。「あれ焼き鳥はどこだ?」とか「お勧めって何?」などと独り言ばかりで会話という会話が成立しません。店を出た時には皆「なんか疲れたな~」ってため息をついてしまいました。

 店員さんと一言も交わさなくても用が足りてしまうお店が増えてきました。私は店員さんに「今日のお勧めって何?」とか「焼き鳥って一皿何本?」なんて聞いたり、「今日のお勧めは活きの良いカンパチです」「じゃあそれもらおうか」なんて会話を楽しみたいのですが、メニューの画面には、お皿に5本盛り付けられた焼き鳥の写真が出てたりして…
 少子化に伴った労働力不足が進む世の中では、こういった「セルフ」が一層増えていくんでしょうか。おじさん代表としては、どこか淋しい気持ちになってしまいます。