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校長室のひとりごと

校長室のひとりごと「校則の改定」

 『人間誰しもが「自由に生きる権利」を有しています。憲法の基本的人権の尊重でも様々な自由が記されていることからも裏付けられます。しかし自由だからと思うままに行動して良いかは別問題です。混んでいるからと行列に割り込んだり、急いでいるからと赤信号で渡って良いかといえばそうではありません。みんなが安心して自由に生活するために社会のルールやマナーが存在するからです。
 「自由」に似て「勝手」という言葉がありますが、似ているようで正反対の意味を持ちます。「勝手」でわがままな言動は、周囲の人に迷惑をかけたり嫌な思いをさせてしまいます。一方「自由」な言動は、そもそも社会のルール・マナーを尊重しているため、誰にも迷惑をかけず、嫌な思いをさせることもありません。無人島でない限り「互いの自由」を尊重するためにルールやマナーが存在するのです。
 スポーツにもルールがありますが、用具の進歩など取り巻く環境の変化に伴い、選手の安全のため、ルールが加わったり複雑化していきます。自由の範囲が狭まると、「これなら大丈夫だろう」と抜け道を探す選手も出てきてしまいます。人間の心理として、ルールが細かければ細かいほど抜け道や隙間を探し、つまり先端の葉っぱや枝先ばかりを見つめ、太い幹や一本の木、森全体が目に入らなくなってしまいます。
 「校則」も同様です。一人一人の生徒が自由で安全に学校生活を送るためには一定のルールが必要です。しかし時代の流れや社会の変化に伴い、付け加えられ、細分化し複雑になったルールでは、校則本来の意味から離れてしまい「枝や木を見て森を見ず」、冷静な判断力を見失いがちです。それが今回の「校則の改定」の理由です。
 これから生活する中で疑問も出てくるかもしれません。その時には、先端の葉っぱや枝先だけではなく、冷静に一本の木、そして森全体を見渡して見てください。
 244名全員にとって居心地がよく自由で安心できる学校になると良いですね。』

 昨日の生徒総会での「校則改定」を受け、総会の最後に校長として話した言葉を紹介しました。

校長室のひとりごと「地球温暖化」

 長期予報では、6月、7月、8月は今年も平年より暑く、猛暑・酷暑となる日が多いそうです。生徒たちの熱中症の心配からか、日頃から「地球温暖化」「気候変動」という言葉に敏感に反応してしまいます。
「地球温暖化」「気候変動」で思い浮かぶのは「京都議定書」です。1992年京都で開催された地球温暖化防止会議では、先進国の二酸化炭素など温室効果ガスの排出量の削減目標が定められました。これを「京都議定書」と呼んでいます。そして、その続編とも言えるのが「パリ協定」です。パリ協定は2015年国連において気候変動問題に関する国際的な枠組みが採択されました。その枠組みとは「2020年以降の気温上昇を産業革命以前に比べ+2℃より低く保つ」という世界共通の長期目標です。
 いつものように新聞に目を通していると「パリ協定の目標超過」という見出しが飛び込んできました。記事を読むと「2023年の北半球の気温が、過去2000年で過去最高だったと英科学雑誌で発表された」ということです。更に読み進むと「1850年から1900年頃の産業革命の平均気温に比べ2.07℃上回ってしまい、既に「パリ協定」の世界共通の長期目標を上回った」ということです。
 記事を読みながら一つの疑問が浮かびました。「過去2000年の気温」をどうやって計ったのか?なんでわかったのか?という点です。実は記事を更に読み進めると「実際の測定と気温に応じて変わる木の年輪から推計した」と書かれていました。
 地球温暖化等、気候変動により、近年地球上は大規模な山火事、溶け始めた氷河による海面上昇、熱波と干ばつ、ゲリラ豪雨など、甚大な被害が各国で発生しています。子供や孫、その先の世代にまで青く美しい地球を残すために、自分にも何かできないか、と思いを巡らせるばかりです。

校長室のひとりごと「スマートグラス」

 「脱・学歴社会」と言われ久しくなりますが、海外には「超」がつくくらいの大学受験での競争激化が著しい国もあります。競争が激化している国の大学受験では、何とか合格しようと、時には外壁を登って窓から受験生に合図を送ったり、イヤホンをつけスマホで外部とやり取りするなど不正行為もデジタル化しています。その不正は度々日本でもニュースになるため皆さんも映像で見たことがあるのではないでしょうか。
 先日、日本でも大学受験で驚くような不正行為について報じられました。不正行為に使われたのは「スマートグラス」、メガネ型のIT機器で、そのカメラ機能を悪用し、スマホ経由で問題用紙の画像を不特定多数にSNSで配信し、正答を教えてもらおうとしたそうです。
「スマートグラスなんて厄介なものを作ったから…」なんて安易に考えてしまいましたが、調べてみたところ、そもそも「スマートグラス」には悪用されたカメラ機能だけではなく、メガネのレンズがモニターとして情報を得ることができるなど、様々な分野での活用が進んでいます。例えば、遠隔で現場の作業を指示したり、図面を見たり、映画や観劇、会議などで瞬時に多言語で字幕表示を、また職人の手先の作業をモニターに写したり、そして何より、会話を聴力障碍者へ瞬時に言語化しモニターとしてレンズに写したりと、スマートグラスで便利になったり助けられたりとIT機器の技術発展は著しいことを改めて感じました。
 スマートグラスはもとより、技術の進歩は我々の生活を便利に、そして豊かにしてくれる手助けをしていますが、その機器を使用する人間側の問題はこれからも考えていかなくてはならないと感じました。

校長室のひとりごと「人を育てる」

 我々教員の最も本質的で大切な仕事、それは人を育てることです。人を育てるうえで多くの教員が「生徒が思ったように動いてくれない」と悩むものです。人にはそれぞれの意思があり、様々な価値観があるため簡単にはいきません。経験の少ない教員は、何とか生徒たちをコントロールしようと躍起になり、うまくいかないばかりか互いにストレスをためてしまいます。一方経験豊かな教員が同じように指示を出すと、サッと生徒たちが動いてくれます。一見同じことしかしていないようでも、実は見えないところで「種をまき」、しっかりと「水をあげている」ものです。
 教員は生徒たちに話をする機会がたくさんあります。例えば毎日の「帰りの会」では必ず最後に担任の先生が話をします。経験の少ない先生は「あれも話さなくては…」「この連絡を忘れないように…」とメモした内容を必死に伝えます。言い方を変えれば教員の都合で一方的に話してしまい時間が過ぎてしまいます。経験豊かな先生は、4月からコツコツと「こんな生徒になってほしい」など考えや願いを語り、その考えや願いを生徒と共有しようとします。これが「種まき」です。また休み時間など、他愛もない雑談から上手に生徒たちの思っていること、考えていることを聞き出します。そして会話の節々に「すごいね!」「さすがだね!」と相槌を入れたりします。これが「水やり」です。こうしたコミュニケーションの積み重ねが根を張り、信頼関係のつぼみをつけ、互いに相手のことを理解し、どうしてほしいのか、どうするべきなのかを自然に考え、自分から動こうとするため、同じ指示を同じように出しても結果は違ってくるものです。
 足掛け4年のコロナ禍では、こうした「種まき」「水やり」も行動制限があり十分にできない時期が続きました。
コロナ禍が明け1年。今は職員室という畑に種をまき、時間を見つけ若い先生方に水をあげている毎日です。

校長室のひとりごと「英語検定」

 市内大会も終わり、来月の定期テストに向け取り組みを始める時期となりました。ところで高校入試の合否の判断基準は一般的に受験当日の「入試の得点」「面接等の得点」それに、これまでの「内申点」です。受験する学校により、これらの占める割合は異なります。意外と知られていないのが「内申点」です。私立の入試での推薦基準も、この「内申点」で決まる学校がほとんどです。知っているようで、はっきりわからない内申点ですが、簡単に言えば「内申点とは通知票の各教科の数字の合計」です。各教科5段階評定の9教科ですから、オール5で「45点」、3年間なら「135点」となります。また高校によって、その他の活動実績を点数化し加算しています。例えば、生徒会(委員会)活動や部活動の実績、展覧会等での表彰、英語検定などの各種検定などが加算され「内申点」となるわけです。

 先日、文部科学省が「2023年度英語教育実施状況調査」の結果を公表しました。この調査は、中学校であれば中学卒業レベルの英語検定3級取得、または3級相当の人数を、高校であれば、高校卒業レベルの英語検定準2級取得、または準2級相当の人数を調査するものです。調査結果は、それぞれの人数を%で示し、中学、高校とも前年度を上回り、中学では英検3級以上、3級相当が50.0%、高校では準2級以上、準2級相当が50.6%だったそうで、どちらも過半数に達したそうです。
 グローバルな時代に必要な資質として挙げられる「コミュニケーション能力」「英語力」の客観的な物差しとなる「英語検定」がこれまで以上に注目を集めそうです。
 2025年度の実施は断念されたようですが、大学入学共通テストの英語を、英語検定など民間のテストのスコアを採用することが検討されていることからも、より生きた英語力を身に着けた人材を求めているということなのでしょう。
 今年度も本校を会場として3回の英語検定を予定しています。多くの生徒が受験し合格を目指してほしいと思います。