ほごログ(文化財課ブログ)

タグ:博物館実習

こんな資料の活用、いかがですか?

本サイト内の「学校の先生方へ」を更新しました。 #かすかべプラスワン #教材 #小学校の先生 #館蔵資料総活躍社会

学校の先生方向けに郷土資料館所蔵資料を活用して、学校の授業を充実させてみませんか?と提案する情報を追記したものです。

画像:提案リスト

資料館所蔵資料が最も利用される教科は、ほぼ8割が社会科の教材利用です。ただ、学校の教科書をめくってみると、ほかの教科でも資料が活躍する余地がありそう。執筆者は、わが子の音読を聞いたり、教科書をパラパラめくっていたりして気づいた次第。そんな小さな発見(思い付き)を具体化したのが、この「こんな資料の活用、いかがですか?」のリストです。

リストは、今年度の博物館実習生の協力のもと作成したもので、市内の小学校の教科書(全教科)をひたすらにめくって、授業の単元で資料館の所蔵資料が入り込む「余地がありそうなもの」をリストアップしました。

その後、リストを整理するなかで、郷土資料館所蔵資料は、大きくわけて3通りの活用法に大別できることがわかってきました。

第一に、体験して学びを発展させる。

教科・単元に関わる道具や資料を実際に使ってみたり、触ってみたり、実物を見たりして「体験」することで、学びを深めたり、より高度な学習に発展させたりする活用法です。例えば、小学校4年生の国語「世界にほこる和紙」では、古文書などの和紙の資料を実際に触ったり、古いものであるにも関わらず、状態がよいものが残っていることを見て知ることで、和紙の特徴を実感させることができるのではないでしょうか。また、理科などの教科で、古い図鑑と現在の図鑑を比較することで、今と昔の認識の違いを理解し、科学的な認識の進歩・展開が理解できるようになるのではないでしょうか。

第二に、作品の場面を想像する。

国語や道徳など物語などの作品に登場する道具を実際に使ってみたり、触ってみたりすることで、物語の臨場感や場面の再現性を高め、作品の理解を深める活用法です。実習生の言い方だと「音読空間を創る」とのこと。実際の活用例として代表的なものは、小学校1年生の国語「たぬきの糸車」です。または、戦時中の道具は、戦争の悲惨さを伝える国語の単元の理解を深めるものにもなるのではないでしょうか。

写真:戦時期資料の例

第三に、郷土の事例から学びを発展させる。

教科書に登場するモノ・コトを、郷土春日部のモノ・コトと比較・対照することで、学習を深め、発展させる活用法です。代表的な活用例では、縄文時代の学習単元で、市内出土の土器に触ってみたり、市内の遺跡について学んだりして、教科書的な出来事を身近に感じることができるでしょう。小学校4年の音楽では、地域に伝わる音楽を調べる単元があるようですが、市内の神楽・囃子・獅子舞などのお囃子の音源や映像を鑑賞してもよいのではないでしょうか。これらの方法は、春日部オリジナルの学びにもなると期待されます。

 

今回のリストは、あくまでも郷土資料館からの提案です。学校の授業現場・教科の指導法を理解していない博物館実習生(大学生)と学芸員が考えたものですので、実現性は低いものかもしれません。ただ、資料の活用法は無限にあるはずで、そうした試みを提示して、百あるうちの一つでも学校の先生に利用・活用していただけたらと願い、恥を顧みず提案するに至りました。

関係者の皆様からご意見をいただき、館蔵資料が活躍する場が増えることを願ってやみません。

#博物館実習 の日誌を読んで

先日、令和5年度 #春日部市郷土資料館 の博物館実習が無事に終了しました。 #実習生 のみなさんは、日々の実習を日誌に記録していますが、最終日には、実習を終えて考えたことをまとめ、提出してくれました。 #かすかべプラスワン

写真:博物館実習日誌

私は、目下、提出された日誌を読みながら、日誌にコメントを書いています。コメント書きは6人分でも結構大変です。ただ、様々な意見に接する機会にもなり、気付かされることも少なくありません。実習生のコメント、もったいないと思いましたので、その一節を少し紹介させてもらいます。

 

「大きいから、綺麗だからそこが優れているということではないということを学んだ」

 

当館の実習では、初日にディスカッションと称して、「実習生が考える理想の博物館・学芸員とは?」をテーマに自由に議論してもらっています。今年度は、初日から、鋭い意見、考えさせられる意見が出て、刺激的でした。

ただ、「某国立館のような魅力的な特別展がいい」とか「ポスターのデザインがかっこいいのがいい」とか「アニメやゲームとのコラボがいい」など、「キラキラした博物館」像に議論が集中しました。上のコメントを書いてくれた彼女も「キラキラした博物館」びいきの様子でした。(「キラキラした博物館」は担当者の造語です。「キラキラした博物館」が悪い・良くないという意味ではありません。)

しかし、当館は、せま~い展示室ですし、チラシ・ポスター・パネルは手作り。展示品は「優品」かといえばそうではなく、春日部が歩みを物語る、どちらかといえば地味な資料が多いです。謙遜ではなく、当館は「キラキラした博物館」ではないでしょう。「キラキラした博物館」でない当館の実習を経験して、「綺麗」=「優れている」のではない、そうでなくとも存在の意義があることに気付いてくれたのだと、受け止めました。

 

次のように、まとめた実習生もいました。

 

「できる範囲の中で工夫しながら多くの人に歴史の面白さ、古いものを実際に見ることのできる楽しさを伝えていくことが、学芸員をやっていく上で必要な考え方である」

 

今年の実習生の皆さんの日誌を読み返すと、8月2日の草加市立歴史民俗資料館と八潮市立資料館の見学が、もっとも印象に残った日だったようです。

草加・八潮の他館見学では、両館の学芸員さんの説明もあり、館の機能や特徴をはじめ、地域博物館に共通する問題として資料収蔵スペースの問題があることを考えてもらえました。

工夫をコツコツと積み重ね、一朝一夕では解決できない地域博物館の共通課題を、少しずつ改善していかねばならない。草加市立歴史民俗資料館さんと八潮市立資料館さんの活動をみて、このように考えくれたのだろう、と思っています。

 

わずか8日間でしたが、実習生の皆さんは自分の経験を活かしながら、主体的に考え、実習に臨んでくれました。館では、実習の成果や、皆さんの意見や指摘を真摯に受け止め、考え、よりよい工夫、活動、運営に結び付けられるよう、地べたを這いつくばって、進んでいきたいと思います。ぜひ、今後も来館者・利用者として春日部市郷土資料館を支えていただけると嬉しいです。

ありがとう、実習生。

博物館実習6日目資料調書・ディスカッション

本日は資料調書・整理と実習を振り返ったディスカッションを行いました。

午前は資料調書・整理をしました。

まず初めに資料整理と簡単な情報を書き出す作業をしました。紙が脆くなっているものや、結んである紐を解くと元に戻せなさそうな資料が多くあったので慎重に作業しました。

写真:箱を見ている

次に調書の封筒を筆記する作業をしました。

資料の絵や写真をよく見て情報を細かく記入します。資料と向き合う時間が楽しく、集中を欠かずに作業出来ました。

写真:封筒を書いているところ

 

最後に実習を振り返ったディスカッションを行いました。

写真:みんなが座っている

1日ずつ実習を振り返りました。また、5日間を振り返って春日部市郷土資料館をよりよくするにはどうすればいいのかを討論しました。初日も同じ内容で討論しましたが、今日の方が学芸員視点的に成長したと感じた討論でした。5日間で様々な学芸員が日々行っている業務を体験させてもらいました。とても良い学習であったとともに、この経験を忘れず邁進して行きたいです。

今年度の実習生による「ほごログ」はこれで最後ですが、8月12日体験講座と9月2日の第68回企画展示記念講演会にも参加します。残り僅かになりましたが、最後まで気を抜かずに頑張りたいです。

(令和5年度実習生)

博物館実習5日目・資料整理、教材研究

本日は市内の資料保管施設での資料整理、権現山遺跡の見学、教材研究を行いました。

午前は資料が収蔵されている施設に行き、今後展示に使われる予定の資料を運びました。昔の消火器から水車(みずぐるま)まで様々な資料が収蔵されていました。見たことのない資料がいくつもあり、どんな使われ方をしていたのかと思わず考えてしまいました。

写真:資料を運ぶ様子

その後、権現山遺跡に行きました。今は涼しげで気持ちのいい公園になっていました。ここから出土した穿孔(せんこう)土器は資料館に展示されているので、ぜひじっくりとみてみたいと思います。

写真:鬼塚さん説明風景

 

午後は教材研究を行いました。

様々な教科の教科書から、資料を活用できそうな単元を探して活用法を考えました。理科や数学など、一見歴史資料と遠い関係にありそうな教科も、みんなで頭を捻って案を出していました。今日考えたものが、実際に使われる機会があればうれしく思います。

 写真:教材研究、作業風景

 

実習も後半に差し掛かってきました。残りの日も気を引き締めてしっかりと学んでいきたいと思います。

(令和5年度実習生)

博物館実習4日目・他館見学

本日は、他館見学として、草加市立歴史民俗資料館と八潮市立資料館の見学を行いました。

 

午前は草加市立歴史民俗資料館を見学しました。

非常に丁寧に解説をして頂き、小学生の利用者が多く、実際に触れて体験することが出来る展示方法を行っていることや、パネルの制作にも力を入れていることが分かりました。

写真:草加市立歴史民俗資料館で展示の解説を受けている様子

 

午後に見学した八潮市立資料館では、古民家やマイクロフィルムの資料等、あまり触れたことがない資料についても詳しくお話を伺いました。また、水害や藍染に関する展示スペースからは、地域の特色を強く感じました。

皆、積極的に質問をしており、有意義で学びの多い時間を過ごすことが出来ました。

 写真:八潮市立資料館で展示の解説を受けている様子

二つの資料館を見学したことで、地域について伝えるために意識していることや展示方法ついて学ぶことが出来ました。

 

実習もほぼ折り返しとなりました。残りの実習も一生懸命取り組んでいきたいと思います。

 

(令和5年度博物館実習生)

博物館実習3日目・資料取扱い実習

本日は資料の取扱いについて学びました。

午前は掛軸と巻物。学校の授業で実際に触ったことがある人も多かったようですが、持ち方や注意する点などはその時々によるため、慎重に扱わなければなりません。

実際に扱ってみると、しまい方の手順を飛ばしてしまったり、うまく巻けなかったりとなかなか難しく、皆真剣に手元を観察していました。

写真:掛軸取扱い実習の様子

午後は考古資料、今回は資料を外に持ち出す想定で土器の梱包を行いました。

まずは梱包に必要な綿布団を用意します。そして、それを使って土器を包んでいくのですが、土器の形はものによってさまざま。大きいものもあれば、小さいものもあります。それらに合わせて適切な梱包方法を考え、丁寧に包んでいきます。

梱包・運送の際、どんな状態だと資料を傷つけてしまうのか、想像力の必要な作業であると思いました。

写真:土器梱包の様子

実習はまだまだ続きます。楽しみながらしっかり学んでいきたいと思います。

(令和5年度実習生)

実習2日目はワークショップと教材研究を行いました!

実習2日目は、お子様向けワークショップの補助と見学、そして小学校の教科書を用いた教材研究を行いました。

 

ワークショップでは、紙芝居「牛島の藤の伝説」の上演を3人ずつに分かれて行いました。紙芝居の読み聞かせは初めての経験でしたが、子どもたちは興味津々な様子で聞いてくれて、やりがいを感じました。おもちゃ作りにも楽しく参加していただき、無事にワークショップを終えることが出来ました。

また、蓄音機の上演を見学させていただきました。私自身、レコードから流れる音楽を生で聞く初めての経験だったので非常に印象に残りました。

 写真:紙芝居の様子

写真:おもちゃ作り体験の様子

教材研究では、小学校の全科目の教科書をじっくりと読み、博物館所蔵の資料と関連付ける方法を個人で考えまとめました。中には、アイディアの出づらい科目もあり、苦戦する場面もありました。博物館が学校と連携することにより、学びの幅を広げる博学連携の難しさを実感しました。

 

(令和5年度博物館実習生)

実習1日目「オリエンテーション」

令和5年度の博物館実習が始まりました。今年度は6人の実習生が参加しています。

 

初日の今日は、オリエンテーションを行いました。

午前中は、館内や収蔵庫の見学を行い、展示の仕方や展示内容、収蔵庫での保管法の工夫等を説明していただきました。常設展示では、春日部市のあゆみを知ることができ、来館者の方々に人気がある竪穴式住居や宿場町の模型も見ることができました。

また、初めて入った収蔵庫では、ドアの内側に網戸があること、書物の保管には中性紙の封筒が使われていることを学びました。スペースいっぱいに資料が置かれている光景は驚きでした。

写真:収蔵庫

 

午後は、まず明日行われる子ども向けのワークショップの準備を行いました。紙芝居の練習やペーパーローリングの作り方の確認をしました。明日は子どもたちが喜んでくれるように頑張りたいです。

写真:おもちゃの製作

写真:紙芝居の練習

その後は、博物館についてのディスカッションとして、理想の博物館や春日部市郷土資料館のメリット・デメリットについて意見を交わしました。理想の博物館としては、「学芸員が研究できる環境が整った館」や「自分の地域を知ることができる館」という意見が出ました。春日部市郷土資料館のメリットは「竪穴式住居が子どもにも印象深い」、「狭いスペースをうまく利用して展示している」という意見があり、デメリットとしては「パネルと展示物の順路に少しばらつきがある」、「パネルによって文字が読みづらいところがあった」という意見がありました。様々な意見が出て、とても有意義な時間になりました。

 

実習は計8日間あるので、体調には気をつけながら、たくさんの学びを得ていきたいと思います。

(令和5年度実習生)

収蔵資料の紹介ページ公開しています

かつて公開していた当館収蔵資料の紹介ページを、本ポータルサイトに再構築しました。 #かすかべプラスワン

収蔵資料紹介ページは、郷土資料館で収蔵する指定文化財、収蔵品展などで紹介した資料の情報を公開するものです。近年は博物館実習生に資料紹介ページの記述をお願いしており、実習の成果でもあります。

市のホームページにも移行する予定だったのですが、事情があり、公開を控えていましたが、ようやくページの移行作業を終えることとなりました。ただ、文字数の制限等があり、解説や語注などをだいぶスリムにしているものもあります。

収蔵資料にはたとえばこんなのがあります。

桐タンス・桐箱問屋・製造の木崎六之助商店の取引先名簿です。

詳しくは該当ページをご覧ください。実習生が制作したページです。

写真:木崎六之助商店の取引名簿

収蔵資料紹介ページは、このページのメニューバーの「郷土資料館」から、「収蔵資料の紹介」でご覧いただけます。

どれだけの方がご覧になっているのか不明ですが、お気に入りの資料があれば、いいねボタンをご投票ください。担当者のページ構築の励みになりますので。。。

今後は、昨年度、今年度の実習生の収蔵資料紹介を公開していく予定です。お楽しみに。

博物館実習8日目

実習8日目は、午前中に体験講座の準備と展示コンテンツの発表、午後に体験講座「dokidoki音楽づくり」に参加しました。

 

 体験講座の準備では、会場の設営や必要な道具の準備を行いました。また、準備の際に、講師の中村耕作先生(国立歴史民俗博物館)から縄文土器の文様や特徴について教えていただきました。実習生間で土器の文様や特徴について気づいたことをあげていきましたが、様々な意見や視点があり面白かったです。

写真:中村先生の指導

 

体験講座の準備の後は、7月末から準備を進めてきました展示コンテンツの発表を行いました。各々、種別や年代も異なる資料について展示コンテンツを発表し、発表を聞いている中で初めて知ることも多く、大変興味深かったです。また、自分の発表後には様々な意見やご指摘をいただき、自分では気づくことのできなかった点や改善点を知ることができ、充実した発表の時間となりました。

写真:展示コンテンツの発表

 

 

午後の体験講座「dokidoki音楽づくり」では、参加者の皆さんと一緒に縄文土器の文様にあった音楽づくりを行いました。まずは、縄文土器の文様や特徴をよく観察して、文様のパターンや違いを読みとりました。その後、読みとった文様を身体で表してみたり、文様のイメージに合った音を考えたりしました。

 写真:講座の様子1

 

 

試行錯誤しながら、文様のイメージに合う音を探し、最後にはひとつひとつの音を組み合わせて音楽にしました。自分のイメージしている音を出すことが難しかったですが、班のメンバーと一緒に楽しく音を探すことができました。4つの班に分かれて音楽づくりをしましたが、どの班も素敵な音楽を作ることができたと思います。

 写真:縄文時代の自然素材をつかった音楽づくり

 

 

次の実習は来月となりますが、最後までたくさんのことを学習したいと思います。

(令和4年度博物館実習生)

博物館実習6日目

 

実習6日目の本日は午前中に資料整理と神明貝塚の見学、午後は実習を振り返ってのディスカッションを行いました。

 

資料整理では、お預かりした民具の虫干しとカビの除去をしました。全員で協力しながらコンテナから資料を出し、日光や風に当てながら文化財専用のウェットシートを使って丁寧にふき取りました。炎天下の中で大変な作業でしたが、カビや汚れが付着していた部分をかなり綺麗な状態にすることができました。地道で時間のかかる作業ですが、作業をしてみて貴重な資料をより良い状態で保存するためには欠かせないことなのだと知りました。大学で授業を聞いているだけではわからない学芸員の仕事を体験することができ、大変勉強になりました。

 写真:資料を拭いている様子

写真:綺麗になった資料  

 また、神明貝塚の見学にも行きました。神明貝塚は春日部市西親野井に所在し、国指定史跡になったことで有名な貝塚です。現地は畑が広がっており、一目で貝塚と認識するのは難しくなっています。しかし地面を見てみると、一面に貝が散らばっている様子が確認できます。この貝はヤマトシジミという貝で、神明貝塚でよく利用されていました。また、土器片もいくつか見られました。神明貝塚を訪れるのは初めてでしたが、思っていたよりも大規模な貝塚で驚きました。

 写真:神明貝塚の風景

 

 実習はまだ続きますが、午後は実習の振り返っての感想や考えたことをディスカッションしました。実習前は利用者としての目線でしか博物館を見ることができませんでしたが、バックヤードや資料館の現状を見てきたことで、学芸員側の立場から資料館のあり方や改善点などを考えることができました。また、他の実習生の意見も聞くことで考えが深まったと思います。

 

令和4年度博物館実習生

コンテンツ作りなど

博物館実習も半分に差し掛かった本日では、基本的に資料紹介の解説作成に1日を費やしました。午後3時からは中高生向けのミュージアムトークを聞きに行きました。

本日は、実習生みんなでそれぞれの興味に合った収蔵資料を選び、それに関する情報を調べて発表するための解説を作成することに専念しました。参考書を見ながら資料の情報を得たり、その結果をパソコンに打ち込んでいたりとペースは違えど実習生のみんなはとても集中していて、こちらも頑張らないと思い刺激をもらいました。
コンテンツ作り1コンテンツ作り2

実習生の一人が、解説を書くにあたり、資料に関して寄贈者のお話を聞きたいとのことで、呉服屋さんにインタビューに行くことになり、私もそれに同行しました。インタビューに応じてくれた方は、寄贈資料のことについてのお話の他に、ミシンと手編みの違いや今の呉服屋の現状、法被など衣類をつくる技法を当時はどのように習得したかなどのお話もしてくれました。

その中でも一番印象的だった話は、藍染めなどに使う染料を水質汚染の関係で川に流せなくなり、このことが原因で今まであった染物屋や呉服屋が店を閉めざるを得なくなったという話でした。私は今まで、水質汚染防止のための行動に悪いことはないと思っておりましたが、この話を聞いて良いことだけでないという視野が広がる感覚がありました。聞けてよかったです。
なべやさん
午後3時にはミュージアムトークという学芸員が来館者の方々に展示を解説するという企画を実習生全員で聞きに行きました。解説を聞いてくれた来館者は中学生2人だけでしたので、少し寂しく感じてしまいました。ですが、学芸員の榎本さんが質問を投げかけるなどの方法で中学生の気を引かせていたので自分もこのように解説できたらと感じました。
ミュージアムトーク

実習も残り少なくなってきたので明日からも気合を入れて頑張りたいです。

 (令和四年度博物館実習生)

他館見学

本日は一日かけて岩槻の博物館、資料館の見学へ行きました。

まず、岩槻郷土資料館、岩槻藩遷喬館にて、旧岩槻市の歴史や民俗資料について学習しました。江戸時代、岩槻は城下町として発展しており、日光御成街道は多くの武士が行き来していたそうです。

岩槻郷土資料館

特別に上げていただいた屋上からはかつての日光御成道を眺めることができ、日光御成道が通っている理由や現代の道幅の拡張についても理解を深めることができました。また、岩槻は台地が多いこと、周辺地域で出土することが珍しい弥生土器が発掘されたことを知りました。当時の環境と資料とのつながりを感じることができました。

岩槻郷土資料館2

岩槻藩遷喬館は、儒学者の児玉南柯が開校した塾で、主に藩士の子供たちが儒学を学ぶための施設です。児玉南柯の自画像と思われる掛け軸も飾られています。

 児玉南柯の掛け軸

また、ここは明治時代には一度住居として改装され、それを再び当時の姿へ復元したものです。手を加えられた箇所は当時の建築を再現するために解体されています。建築から暮らし、暮らしから社会性を紐解いていくのは面白いです。

次に岩槻人形博物館を見学しました。こちらでは、人形の誕生や歴史についてが解説されています。雛人形の五人囃子はそれぞれ楽器を演奏していますが、その楽器の形に合うように一体ずつ手の形を変えて作られているのです。人形職人さんの磨かれた技術が、人形に命を吹き込んでいるようでした。

岩槻人形博物館

そして午後は、東玉人形の博物館を見学しました。人形の誕生から、作り方、種類など、芸能としての人形の歴史深さを目の当たりにしました。「天児」と呼ばれる日本最古の雛人形が展示されていましたが、現在の雛人形とは姿形が全く違います。かなり簡略化された胴体と、こけしのような頭が印象的です。

天児

また、節句のお供でもある人形ですが、元々は人が亡くなりやすい時期に節句という日を設け、死から人を守るという目的で誕生したそうです。今は芸能として親しみを持っている人形も、かつては儀式的なものだった、長い歴史を持つ高貴なものなのだなと、人形の奥深さを感じました。

東玉のひな人形

本日の実習では、歴史はもちろん、訪れた博物館の資料展示方法という面でも多くを学ぶことができましたので、明日以降の資料コンテンツ作成に活かせると良いと思います。

実習も折り返し地点となりましたが、引き続き春日部市の歴史、風土を吸収していきたいです。

 

(令和四年度博物館実習生)

資料の取扱いと発表準備

実習三日目の本日は、午前中は「日章旗」や「掛軸」の資料取扱いを行いました。午後には8月7日の展示コンテンツの発表に向けてそれぞれが準備を行いました。

日章旗の取扱いでは、年代を探るため、春日部町という文字に注目をしました。春日部町は戦争中の昭和19年(1944年)、内牧村と春日部町が合併し、春日部氏ゆかりの名をとって春日部町が誕生しました。その為、日章旗は昭和19年(1944年)のものだということが分かりました。文字の持つ情報の重要さを感じました。

写真:日章旗

掛軸の扱いでは、矢筈を使い壁に展示を行いました。実際に展示をしてみると、掛け軸が傾いているかが分かりにくく、難しさを感じました。展示の際はお客さんの目線になって展示するように工夫をしたいと思いました。

写真:掛け軸の取り扱い

午後の発表準備では、それぞれ興味関心のあるテーマを決め、資料紹介の資料作成を行いました。各自が担当した資料は円筒埴輪、古墳時代の直刀、江戸川で使用された漁業の網、粕壁町の半纏、江戸川の河岸場の文書です。

発表原稿を作成するため、春日部市史などを活用しました。発表まではまだ日にちがありますが、頑張りたいと思います。

写真:文献の調査

写真:資料の撮影

残りの実習も楽しみつつ、一生懸命取り組んでいこうと思います。

 

(令和4年度博物館実習生)

#博物館実習 二日目

2日目は、内容も本格的な実習となりました。まず、午前中は資料整理。市内の某施設に収蔵保管されている民具を整理してもらいました。

郷土資料館所蔵の資料はすべて館内で保管できればよいのですが、そうもいかず、別置されているものも多くありません。資料の整理作業は資料を活用するための基礎的作業として重要です。

資料の整理札を確認しつつ、資料の採寸をしながら、カードを記述していきます。なかには整理札が紛失して、資料名や出所がわからなくなってしまったものもありました。実習生のみなさんは、資料をよく観察しながら、道具が使われた時代や使い方を考えながら、整理を進めてくれました。

午前中は気温・湿度も高く、蒸し風呂状態のなかの作業でした。汗だくになりながら、またお召し物も少し汚れてしまったかもしれません。お疲れさまでした。

写真:資料の採寸

 

午後は、本物の縄文土器を教材にして、梱包の実習をしました。梱包する前に、まず梱包具「綿布団(わたぶとん)」を作ってもらいました。続いて、縄文土器の梱包。考古資料担当の学芸員に指導しながら、恐る恐る梱包していました。実物の土器を触るのが初めてだった人もいたことでしょう。感触はいかがでしたでしょうか?

 写真:縄文土器の梱包

引き続き、頑張ってください。

#博物館実習 はじまりました

令和4年度の博物館実習がはじまりました。今年度は5名の大学生が実習生として来ています。 #春日部市郷土資料館 #かすかべプラスワン

初日の今日は、オリエンテーション的な内容。午前中は館内やバックヤードの見学・案内。たっぷりと学芸員から展示の説明、館内の説明を受けて、郷土資料館の見方が少しかわったでしょうか?

 写真:展示室の見学・案内

午後は、見学を踏まえてディスカッション。理想の博物館像や春日部市郷土資料館の良い点、悪い点などを話し合ってもらいました。さらに、実習生たちだけで、郷土資料館のキャッチコピーを考えてもらいました。

写真:ディスカッション

実習生は、展示室は狭いが内容が奥深いのが春日部市郷土資料館の特徴であり、そうした春日部の特徴を扱う施設はほかにない。がしかし、ローカル色が強くとっつきにくい、と館の性格を分析してくれました。主要なターゲット層を子育て世代の親子として、子どもたちがが大人になってからも来館してくれる。過去だけでなく未来にもフォーカスをあててはどうか。そうした観点からひねり出してくれたキャッチコピーは、「春日部の歴史は動いた。そして、これからも」です。

持続可能なまちを標榜する春日部市にコミットしたキャッチコピーだと思いました。具体的な策を聞いてみたいところです。

 

実習は計8日間と長丁場です。実習の活動は、「ほごログ」で実習生自身にリポートしてもらいますので、お楽しみに。

博物館実習6日目

本日の午前中は、「資料の取扱い」について館長からご指導いただきました。まず、資料を取り扱う上での学芸員として重要な考え方を学び、実際に和装本と巻子本と掛軸の取扱いを行いました。

写真:輪になって説明を聞く実習生

貴重な資料を扱うことに緊張しながらも、一つひとつの工程を丁寧に行うことを意識して取り組むことが出来たと思います。

また、実習生の半数は掛軸を扱ったことはありましたが、和装本と巻子本は扱った人がいませんでした。和装本や巻子本も含め、様々な資料の扱い方法を学ぶ貴重な経験となりました。

写真:掛軸の扱い方の説明中

そして午後には、桐の貯金箱の体験講座の準備と講座を受ける方への対応を行いました。受付や検温など、感染防止対策をしながら各自手分けして行い、スムーズに講座ができるような対応ができたと思います。講座では、参加者は熱心に話を聞き、おもいおもいの貯金箱を作ることができました。

写真:桐の貯金箱できました!

写真:熱心に講座を受けています

その後、昨日製作したフトンを使って実際に土器の梱包を行いました。昨日学んだ説明を踏まえ、2人1組で作業を分担して行いました。実際に資料に触れながら、土器に負荷をかけないような梱包の仕方を肌で体験することができました。この経験を土器だけではなく、それぞれの資料に合わせた梱包にも活かしていきたいです。

写真:土器の梱包中

(令和3年度実習生)

博物館実習5日目

午前中は、土器の取扱い方と梱包の仕方ついて学びました。

資料を扱う際の注意点や、布団という梱包材のつくり方を中心に説明を受けて、実際に製作しました。貴重な資料を守るための大切な作業なので、ポイントをしっかりと押さえて臨みました。

写真:布団をつくっている様子

また、午後の講座で使用するものや会場の準備をしました。感染症の流行もあり、道具をひとつひとつ消毒し、対策をしました。

写真:道具を消毒する様子

午後は、縄文文化をもとにした音楽づくりの体験講座を実施し、実習生たちは受講者として参加しました。國學院大學栃木短期大学の中村耕作先生(考古学)と早川冨美子先生(音楽教育)、及び音楽教育の教科指導で著名な石上則子先生のご指導のもと、春日部で出土した土器の文様からイメージした音楽をつくりました。小学生の参加者と共に、土器文様を観察して、縄文時代にあったであろう自然素材を用いて、文様のイメージした音の表現しようとしました。想像を膨らませてたくさんの音を作っていく過程はとても楽しかったです。

写真:文様を観察する様子

写真:使用した道具 

(令和3年度実習生) 

博物館実習四日目

午前では、昨日に引き続き各々が担当している収蔵資料の調査・研究を行いました。

調査をもとに解説文をまとめました。注意した点としては、一般論をふまえつつも、春日部市の周辺の地域的な特徴に留意することです。収蔵資料の魅力を伝えるため、当時の生活や文化が具体的に理解できるように解説文を執筆しました。

写真:調査した内容をパソコンにまとめている様子

 

午後は、資料の整理を行いました。市内の旧家よりお借りした資料を合計67点整理しました。

写真:資料を整理した後まとめた様子 

 

資料の中には、安政2年の『唐詩選』という古典籍や明治時代の児童用読本がありました。資料整理している中で感じたこととしては、古い書物なので風化が進んでおり、めくるたびに粉が出てたりするので、破けないように慎重に取り扱いました。また、虫食いによる穴とページのくっつきがあったため、ハラハラドキドキしながら作業に当たりました。教科書や博物館でしか見たことのない古い資料を実際に触れて読むことができ貴重な体験になりました。

 

写真:資料を整理するために中身を見ている様子

 

写真:保存箱に資料を入れている様子

 

博物館実習も残す日程も半分になりました。

明日も資料の整理や縄文土器の模様を見て音楽をつくる体験講座を行う予定です。引き続き、学芸員さんの活動から様々なことを学びんでいきたいと思います。

(令和3年度実習生) 

博物館実習三日目

 本日は、収蔵資料の紹介のために個別資料の調査・研究を行いました。収蔵資料の採寸や関連資料の調査を行い、展示解説にまとめる作業をしました。

写真:黙々と取り組む実習生

 高村は、現在開催中の「語り出したら、キリがない!桐のまち春日部」にも関連しますが、展示できなかった、桐箪笥の仕上げ職人がつかった道具について調査しました。仕上げ職人の道具は、種類・用途において多岐に渡ります。そのため、解説時に要点が散らばりや資料写真の撮影における画面の収まりを想定しながら、資料の点数を絞りながらも資料同士の繋がりを維持できるように資料の選出を行いました。また、私を含め、写真撮影をしていない収蔵資料も多く、実習生自ら撮影を行いました。

写真:収蔵資料の写真撮影をする実習生の様子

 内木は、武里団地について調査しました。春日部市郷土資料館には、武里団地に関わる沢山の資料があり、資料を読み込むだけでも時間がかかりました。しかし、その作業によって武里団地がいつできたなどの基本情報はもちろん、どのような背景があり、武里団地ができたかなど、様々なことが分かりました。この判明したことをもとに、理解し易い展示解説を作っていきたいと考えています。

写真:武里団地模型の寸法を測定している様子

 明日の午前も実習七日目の発表に向けて、この作業をしていきます。実習生による収蔵資料の紹介はホームページでも公開されますので、是非宜しければご覧下さい。

(令和3年度実習生)