ほごログ(文化財課ブログ)

#博物館実習 の日誌を読んで

先日、令和5年度 #春日部市郷土資料館 の博物館実習が無事に終了しました。 #実習生 のみなさんは、日々の実習を日誌に記録していますが、最終日には、実習を終えて考えたことをまとめ、提出してくれました。 #かすかべプラスワン

写真:博物館実習日誌

私は、目下、提出された日誌を読みながら、日誌にコメントを書いています。コメント書きは6人分でも結構大変です。ただ、様々な意見に接する機会にもなり、気付かされることも少なくありません。実習生のコメント、もったいないと思いましたので、その一節を少し紹介させてもらいます。

 

「大きいから、綺麗だからそこが優れているということではないということを学んだ」

 

当館の実習では、初日にディスカッションと称して、「実習生が考える理想の博物館・学芸員とは?」をテーマに自由に議論してもらっています。今年度は、初日から、鋭い意見、考えさせられる意見が出て、刺激的でした。

ただ、「某国立館のような魅力的な特別展がいい」とか「ポスターのデザインがかっこいいのがいい」とか「アニメやゲームとのコラボがいい」など、「キラキラした博物館」像に議論が集中しました。上のコメントを書いてくれた彼女も「キラキラした博物館」びいきの様子でした。(「キラキラした博物館」は担当者の造語です。「キラキラした博物館」が悪い・良くないという意味ではありません。)

しかし、当館は、せま~い展示室ですし、チラシ・ポスター・パネルは手作り。展示品は「優品」かといえばそうではなく、春日部が歩みを物語る、どちらかといえば地味な資料が多いです。謙遜ではなく、当館は「キラキラした博物館」ではないでしょう。「キラキラした博物館」でない当館の実習を経験して、「綺麗」=「優れている」のではない、そうでなくとも存在の意義があることに気付いてくれたのだと、受け止めました。

 

次のように、まとめた実習生もいました。

 

「できる範囲の中で工夫しながら多くの人に歴史の面白さ、古いものを実際に見ることのできる楽しさを伝えていくことが、学芸員をやっていく上で必要な考え方である」

 

今年の実習生の皆さんの日誌を読み返すと、8月2日の草加市立歴史民俗資料館と八潮市立資料館の見学が、もっとも印象に残った日だったようです。

草加・八潮の他館見学では、両館の学芸員さんの説明もあり、館の機能や特徴をはじめ、地域博物館に共通する問題として資料収蔵スペースの問題があることを考えてもらえました。

工夫をコツコツと積み重ね、一朝一夕では解決できない地域博物館の共通課題を、少しずつ改善していかねばならない。草加市立歴史民俗資料館さんと八潮市立資料館さんの活動をみて、このように考えくれたのだろう、と思っています。

 

わずか8日間でしたが、実習生の皆さんは自分の経験を活かしながら、主体的に考え、実習に臨んでくれました。館では、実習の成果や、皆さんの意見や指摘を真摯に受け止め、考え、よりよい工夫、活動、運営に結び付けられるよう、地べたを這いつくばって、進んでいきたいと思います。ぜひ、今後も来館者・利用者として春日部市郷土資料館を支えていただけると嬉しいです。

ありがとう、実習生。