ほごログ(文化財課ブログ)

カテゴリ:郷土資料館

記念シンポジウムを開催しました

平成30年9月2日(日)春日部市郷土資料館夏季展示を記念して、シンポジウム「発掘調査から分かる3800年前の縄文人のくらし」を開催しました。今回は、市教育委員会の発掘担当者による調査報告に加え、貝塚の調査についてご指導いただいた専門家の3名の先生方をお招きして、市内西親野井地区の神明貝塚の発掘の成果からみえてきた縄文時代の食文化をテーマにご講演いただきました。
はじめに、基調報告として、市教育委員会の文化財保護課学芸員が、発掘現場の写真や図版などを多用して、神明貝塚の発掘調査の成果と特徴をわかりやすく説明しました。
写真:森山氏報告

次に、米田穣先生(東京大学総合研究博物館・教授)からは「骨の化学分析からみる神明貝塚と東京湾沿岸の縄文時代人の食生活」と題して、縄文人の人骨の科学分析から、縄文人の食生活が多様であったことや、神明貝塚で発掘された縄文人は、内陸の資源を食している特徴があったことなどを、お話しいただきました。
写真:米田先生の講演

続いて、吉田邦夫先生(東京大学総合研究博物館・特招研究員)からは「炭化物から分かる神明貝塚の土器で煮炊きしたもの」と題して、土器に付着した炭化物(おこげ)から、縄文人の食生活を探る新しい科学分析の方法とその可能性について、お話しいただきました。
写真:吉田先生の講演

さらに、阿部芳郎先生(明治大学文学部・教授)からは、「神明貝塚の塩作り」と題して、東京湾沿岸の貝塚で確認された灰の中に含まれる焼けた微小生物の殻に着目して縄文時代の塩づくりにアプローチされ、神明貝塚の豊富な資料とその分析によって、新たな製塩活動の歴史を切り拓く可能性について、お話しいただきました。
写真:阿部先生の講演

最後は、登壇者4名によるパネルディスカッション。
会場からの質問を交えて討論し、人類学・考古学の連携によって明らかになったきたこと、これからの調査研究の課題、そして、神明貝塚を末永く後世に伝えていくことの意義など、意見が交わされてました。
写真:パネルディスカッション

会場は定員間際の190名の参加者でにぎわい、高名な先生の講演とあって、遠方の富山県からお越しの方もいらっしゃいました。シンポジウムは4時間もの長丁場でしたが、受講者の方からは、「専門的で難しいところもあったが、ますます興味を抱きました」「身近なところに貴重な遺跡があることに驚いた」「神明貝塚の国指定史跡を楽しみにしています」などのご感想をいただきました。

受講者の方々にとっても、春日部市にとっても、大変有意義な時間になったかと思います。
次年度も異なるテーマで、シンポジウムを開催する予定ですので、ぜひともご期待ください。

縄文体験を開催しました!!


平成30年9月1日(土)、午前と午後の2回、8月10日に続いて2日目の「さわってみよう!縄文体験」を開催しました。春日部市郷土資料館で開催中の「ここまで分かった!神明貝塚と縄文人のくらし」展の関連イベントです。
まず企画展示室で神明貝塚の時代の環境や調査で発見された女性の人骨、いろいろな模様のついた土器について、担当の学芸員が解説しました。

縄文体験 展示の解説

わかりやすい解説で、参加の子どもたちは、遺跡から発見された様々な遺物に興味をもってくれたようです。
その後は、粘土を使った土偶のマスコットづくり。楽しく作業して、皆さん上手に作ることができました。

縄文体験 土偶づくり

最後は、神明貝塚から出土した土器にふれる体験です。実際に持ってもらい、記念撮影も!

縄文体験 土器にふれる(1)

縄文体験 土器にふれる(2)

子供たちも、大人の方も、楽しく体験できました。

明日のシンポジウム、毎週水曜日の動画解説、最終日(9/16・日)のギャラリートークなど、まだまだ展示関係のイベントがございます。皆さまのご参加をお待ちしております。


動画で解説! 神明貝塚(4回目)

本日(8/29)、春日部市郷土資料館の夏季展示「ここまで分かった!神明貝塚と縄文人のくらし」展の関連イベント「動画で解説!神明貝塚」の4回目を開催しました。

このイベントは、展示室で神明貝塚の紹介映像を上映し、学芸員が解説するものです。

動画解説
市外の参加者のなかには、「春日部市にある神明貝塚の存在を初めて知った」と言われる方もおり、皆さん興味深々で動画を見ていました。

展示解説
動画上映終了後に企画展示室に移り、展示品をみながら学芸員が解説。
学芸員の丁寧で分かりやすい説明と、展示されている様々なものを見て、頭の中に神明貝塚の風景が広がったのではないでしょうか。


見学の様子
富多小学校の児童も先生と一緒に参加してくれました。

解説風景
「動画で解説!神明貝塚」は、展示会期中の毎週水曜日9/5・9/12の10:30と15:00に開催しています。お見逃しなく!!

神明貝塚キャラクター名、投票受付中

春日部市郷土資料館の夏季展示「ここまで分かった!神明貝塚と縄文人の暮らし」展のオリジナルキャラクター。DVDパッケージや、限定の来館スタンプ(画像)にも登場し、様々な表情をみせてくれて、大変好評です。ですが、実は名前がありません。
画像:限定来館記念スタンプ
今回の展示では、来場の皆さまに、キャラクターの名前を投票していただいています。
女の子は、縄文時代の女の子で、神明貝塚で発見された女性の縄文人をモチーフにしています。好きな食べ物はヤマトシジミ。
土偶は、神明貝塚の縄文人のお墓にあった土偶をモチーフにしています。腰の袋にはクリの実が入っています。好きな食べ物はウサギ。
女の子は、①めいちゃん(神メイ貝塚だから)、②めいかちゃん(神メイカい塚だから)、③もんちゃん(縄モンだから)、④どきみちゃん(土器だから)
土偶は、①しんくん(シン明貝塚だから)、②しんちゃん(シン明貝塚だから)、③ぐうすけ(土グウだから)、④おやっきー(西オヤ野井だから)
のなかから、投票していただくことになっています。
皆さんも、名付け親の一人になってみませんか。
写真:名前をつけよう

神明貝塚の特製ジオラマ、お披露目です。

春日部市郷土資料館で開催中の「ここまで分かった!神明貝塚と縄文人のくらし」展に、神明貝塚の特製ジオラマが登場しました。
写真:神明貝塚のジオラマ
このジオラマは、縄文時代後期、いまから約3800年前の神明貝塚のムラを150分の1スケールで再現したものです。貝塚の東側にあった東の谷の水辺や馬蹄形に広がる貝の分布、イエや人々の生活様相や環境が細かく再現されています。写真はイエの近くに埋葬された2人の縄文人(平成28年に発見された人骨)の墓の部分です。
まだご覧になっていない方は、ぜひおいでください。