ほごログ(文化財課ブログ)

カテゴリ:郷土資料館

考古学講座第1回目を開催しましたー慈恩寺原北遺跡の旧石器

考古学講座風景

9月28日土曜日、今年度の考古学講座が開講しました。5回連続の講座で、1日目の本日は、「考古学とは?」と「春日部のどこに遺跡があるか?」、「春日部の旧石器時代」についてお話いたしました。内容は、昨年度とほぼ同様ですので、ご興味がある方は昨年度の記事などをご参照ください。

また本日は、慈恩寺原北遺跡の石器を会場でご覧いただきました。

慈恩寺原北遺跡は、東武アーバンパークライン豊春駅の北西方向、花積(はなづみ)地区に所在します。大宮台地上に立地し、標高約17mです。

平成17年に開智学園の校舎建設に先立ち発掘調査が行われ、旧石器時代、縄文時代、古墳時代、平安時代の遺構が確認されました。

このうち旧石器時代は、関東ローム層の最下部の約3万年前の層から58点の礫、石器、剥片が出土ました。

特に興味深いのは石器に使われている石材が多様なことです。群馬県域を中心に分布するガラス質黒色安山岩(あんざんがん)、栃木県矢板市高原山(たかはらやま)産の黒曜石(こくようせき)のほか、新潟県阿賀野市笹神(ささかみ)丘陵産と推定される珪質頁岩(けいしつけつがん)、碧玉(へきぎょく)、瑪瑙(めのう)などがあり、当時の人々の活動や交流範囲の広さを示しています。

これらの石器は「慈恩寺原遺跡出土旧石器時代石器群」として、春日部市指定文化財になっています。

慈恩寺原北遺跡の旧石器

 

次回は10月26日(土曜日)、内容は「発掘調査の方法・層位学」、「春日部の縄文時代」です。本日の続きもお話ししますので、お配りしたテキストをお持ちください。

#総選挙 資料がしのぎ削る戦い「くらしのうつりかわり展」幕開けです

毎年、秋から冬にかけて恒例の小学校地域学習展「くらしのうつりかわり~なつかしのくらしの道具展~」が、本日10月8日よりはじまりましたよー

写真:くらしのうつりかわり展

今回で41回目となる「くらしのうつりかわり」展。毎年、同じような内容、同じ資料を陳列する恒例の展示です。なぜ、同じようになるのかといえば、小学校の地域学習の単元にあわせた展示だがら。学習内容は毎年そう変わるものではありません。毎年、小学3年生になる子どもたちが見に来て、社会科学習の参考にしてくれています。

ただ、飽きっぽい性格の担当者は、毎年、同じモノを作業的に並べるのが苦痛でたまりません。

が、、、今年は少し様変わり。どのあたりが変わったのか、何度かにわけて紹介します。

今日は、変更点お知らせの第一弾。今回イチオシの企画。その名も「第一回 むかしのどうぐ人気投票~展示資料、入れ替え計画~」です。

画像:資料人気投票

趣旨は、ご観覧いただいた皆様に、好きな資料、気になる資料、イチオシの資料などなど、なんでもよいので投票してもらい、展示室の人気者(ならぬ、人気モノ)を決定するものです。割とよくある企画だと思います。

ただ、少し違うのは、その結果が次の機会に反映されることでしょうか。順位をつけて、人気モノは、次期(来年度)の展示の”センター”に陳列します。反対に、人気が得られなかったモノは、第一線の展示室から脱落し、郷土資料館の収蔵庫へ。いったん最前線から退いていただき、皆さんへのお見えはまたの機会に。というように、某アイドルグループの「総選挙」のようなやり方で、資料と資料にしのぎを削ってもらおうとする企画です。

企画のねらいはいくつかありますが、一番は、観覧者のみなさんのニーズを知る。展示の担当者が見てもらいたいといくら思って伝えたところで、皆さんのニーズとズレたままでは、結局、敷居の高い、古いくさい博物館になってしまいます。ニーズに鑑みながら、どのような資料をどのように紹介すればよいか、皆さんが郷土資料館に求めているものは何なのか、考えていきたいと思います。

もう一つは、副題の「展示資料、入れ替え計画」に関わるもの。陳腐化されがちな「くらしのうつりかわり」展を蘇らせること。コロナ禍を経て、小学校の団体見学が減り、代わりに出張授業「でばりぃ資料館」の回数が増えました。そうしたなかで、小学校地域学習向けの「くらしのうつりかわり」展は、今までとは違う役割を果たしていかなければならないと、個人的に感じています。皆さんのニーズを知ることにも関わりますが、ニーズを踏まえ、資料や展示方法を吟味、入れ替えを毎回繰り返していけば、展示の内容が次第に洗練されていくことになり、「くらしのうつりかわり」展がまた息を吹き返すことになるのではないか、と期待しています。

ただし、人気が得られなかった資料は、おはらい箱になるのではありません。郷土資料館の重要な使命として、資料を適切に保存し、後世に伝えることがあります。資料にとって、展示室という華やかな舞台に立つことは、喜ばしいことだとは思いますが、照明があてられ、体験コーナーでは不特定多数の方に触られることは、資料の保存上にはあまりよろしくありません。ですから、展示室からいったん下がることで、資料のコンディションを整えることにもなり、その資料が後世に引き継がれることにもつながっていくのです。展示から保存、保存から展示、という博物館資料のサイクルを循環させるためにも、いったん収蔵庫に下がることは何も後ろめたいことではありません。そのあたりが、「総選挙」とやらで、芸能生命をかけて勝ち負けを争うアイドルと違うところでしょうか。

資料と資料を争わせる、血も涙もない企画ですが、どんな結果になるのか、その結果が私たちの宿題にもなるはずで、楽しみでもあります。ご来館いただいた方にはどなたでもご参加いただけます。ぜひ、何度でも投票しにいらしてください。なぞとき郷土資料館も同時開催中です!

画像:チラシ

事業名:くらしのうつりかわりーなつかしのくらしの道具展ー・なぞとき郷土資料館THE THIRD MISSION

会 期:令和6年10月8日(火)~令和7年3月2日(日)

費 用:無料

【なぞとき郷土資料館The Third Mission】今年もいい“なぞ”入ってます

先日ブログにも書きました通り、今年も「なぞとき郷土資料館」を開催します。
なぞとき郷土資料館ポスター
開催期間中は郷土資料館の受付で、なぞときプリントを配布していますので、「なぞときやります」とお声がけください。

 

今年のなぞとき郷土資料館は、ちょっと優しめの「天使コース」と、天使コースクリア者のみが挑むことのできる難しめの「悪魔コース」をご用意しています!
というのも、例年「難しいけど楽しい」といったありがたいご意見も多くいただくのですが、難しさゆえにリタイアされる方もいらっしゃるため、どうにかクリアする喜びを感じていただけるよう、難易度を2段階に分けてみました。

 

「天使コース」は15~20分、「悪魔コース」は25~30分をクリア時間の目安としています。
「天使コース」のみで終了しても問題ありませんし、「天使コース」と「悪魔コース」を続けてやる時間がない方は、「天使コース」をクリアして、後日「悪魔コース」に挑んでいただいても大丈夫です!(その際は、受付で「天使コースクリア済み」とお伝えください)

 

今年も参加料なし!年齢制限なし!記念品あり!
ぜひ郷土資料館の見学がてら、なぞときにもチャレンジしてみてください!お待ちしています♪

 

なぞとき郷土資料館The Third Mission ティザームービー

 

 

“愛されて第3弾”
【なぞとき郷土資料館The Third Mission~重なるトゥー・リドル・ペーパーズ~】
期間:令和6年10月8日(火)~令和7年3月2日(日)
場所:春日部市郷土資料館(春日部市粕壁東3-2-15)
内容:なぞときプリントの配布(受付で「なぞときやります」とお声がけください)
   クリアした方には記念品をプレゼント
   自由参加
※期間中は第41回小学校地域学習展「くらしのうつりかわり」展を開催しています。合わせてご覧ください。

#ハルカイト 見学のススメ(1) #社会科見学 でご活用ください

今年8月にオープンした「ハルカイト」(大凧文化交流センター)。数回にわけて、展示の見どころを紹介します。 #かすかべプラスワン

まずは、何と言っても「大凧あげ」。毎年5月3日・5日に西宝珠花地区で行われる大凧あげは、もはや春日部の代名詞、一大観光イベントにもなっていますが、宝珠花の大凧揚げは、市指定無形民俗文化財、国選択の無形民俗文化財「関東の大凧揚げ習俗」の一つにもなっている、地域がはぐくんできた文化遺産でもあるのです。

2階の大凧文化展示室では、床面にはみ出さんばかりに貼られた、実寸大の大凧のシートをはじめ、大凧揚げの起源や歴史、大凧づくりの過程を模型や資料・パネルで紹介しています。

写真:ハルカイト大凧文化展示室

ところで、埼玉県内の小学校4年生の社会科学習では、県内の伝統・文化や特色のある地域を学ぶ単元が設けられています。春日部市の社会科副読本では川越の川越まつりや蔵造りのまちが教材として取り上げられていますが、県内の市町村では、「春日部の大凧あげ」がテーマや教材として取り上げられることもあるそうです。ハルカイトの大凧文化展示室は、その課題に応えられる、もっとも相応しい施設といえるのではないでしょうか。

市内には、巷で注目されている防災施設・首都圏外郭放水路(龍Q館)もありますので、防災学習で首都圏外郭放水路を見学したのち、県内の伝統・文化を学ぶため、ぜひハルカイトをご利用いただく、そんなルートでの社会科見学をぜひご計画ください。

そして、展示を見学するだけでなく、来館の思い出に写真も撮れます。

写真:大凧揚げ記念写真

こちらは、担当の職員がひねりにひねって出したアイデア、トリックアートで体験する大凧揚げです。手元の縄は本物の縄を使用しており、とても臨場感のある仕上がりになっています。子どもだけでなく、大人の方もはしゃいで記念撮影をされ、好評のようです。

大凧あげは、毎年5月3日・5日の2日間限定のイベントなので、年間を通じて春日部の大凧あげの魅力を発信することは、なかなか厳しい状況にありました。しかし、ハルカイトがオープンしましたから、これでもう、年がら年中、大凧あげ。いつでもその魅力に接することができるようになりました。

子どもだけでなく、大人も楽しめる展示となっています。ぜひ、ふるってご来館ください。

9月の近隣博物館・資料館の考古学情報

9月の近隣博物館・資料館の考古学情報をお届けします。(毎月28日ごろに掲載します。随時、情報を更新します。)

見学の際は、休館日等、よくご確認の上お出かけください。

(展示会_閉会日順)
・10月4日(金曜日)から10月28日(月曜日)まで 松伏町役場 都鳥が見た古代(パネル展)

・10月31日(木曜日)まで 神川町多目的交流施設(神川町)「鏃のうつりかわりinかみかわ」

・11月4日(月曜日・祝日)まで 松戸市立博物館「異形土器 縄文時代の不思議なうつわ」

・11月8日(金曜日)まで 立正大学博物館(熊谷市)令和6年度館務実習生 ミニ企画展「立正大学のDOGU-土偶ー」

・11月14日(木曜日)まで 国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館(東京都三鷹市)「野川中流域の旧石器時代―ホモサピエンス 氷期の暮らし」

・11月17日(日曜日)まで 栃木県埋蔵文化財センター(栃木県下野市)巡回展「栃木の遺跡&発掘調査速報展」

・11月24日(日曜日)まで 埼玉県立嵐山史跡の博物館(嵐山町)ほか 比企歴史の丘巡回文化財展「比企の縄文時代ー縄文時代の道具」

・10月5日(土曜日)から11月24日(日曜日) 群馬県立歴史博物館(群馬県高崎市) 第111回企画展「弥生人は二度死ぬー再葬墓ってなに?ー」

・10月12日(土曜日)から11月24日(日曜日) 行田市郷土博物館 第37回企画展「布をまとう―古代人の衣(ころも)―」

・10月5日(土曜日)から11月24日(日曜日)まで 谷田部郷土資料館(茨城県つくば市) 巡回企画展「中根・金田台地区の遺跡」

・10月5日(土曜日)から12月1日(日曜日) 埼玉県立さきたま史跡の博物館(行田市) 令和6年度 企画展「古墳時代の装い-おしゃれな古代人-」

・10月5日(土曜日)から12月1日(日曜日) 観音塚考古資料館(群馬県高崎市)令和6年度 第36回企画展「地方から見た律令国家成立前夜 - 群馬の7世紀史を考える -」

・10月16日(水曜日)から12月8日(日曜日) 東京国立博物館(東京都台東区)挂甲の武人国宝指定50周年記念 
特別展「はにわ」

・10月1日(火曜日)から12月22日(日曜日) 国立近代美術館(東京都千代田区)「ハニワと土偶の近代 」

 ・10月19日(土曜日)から12月15日(日曜日)まで 草加市歴史民俗資料館 秋季企画展 「古墳時代の草加地域」

 

(現地見学会)

・10月19日(土曜日)山野貝塚(千葉県袖ケ浦市)袖ケ浦市教育委員会

・11月16日(土曜日)真福寺貝塚(さいたま市岩槻区)さいたま市教育委員会