校長室より
捨てることも大切<いかだ理論>
12月に入りいよいよ年末に近づくと大掃除をして部屋にある様々な物を整理整頓される人が多いと思います。
整理整頓と言えば、数年前に有名になった「断捨離」が浮かびます。
「断」とは、入ってくる要らないものを断つ。
「捨」とは、家にずっとある要らない物を捨てる。
「離」とは、物への執着から離れる。
さて、今回のお話はある教育雑誌に掲載されていた大事であった物でも捨てることが必要という
内容です。どこまで納得されるかはこの話を読んだ人によって違うとは思いますが、大事な物を捨てることの罪悪感を少しでも消すには一つの有効な考え方だと私は思いました。
「ある人が旅をしていたところ、橋はなく渡し船もない大きな川に行き当たった。もちろん、泳いで渡ることもできない。旅人の目的地は川を渡ったはるか先にあり、どうしてもこの川を渡らなければならなかった。そこで旅人は、付近にあった葦(あし)や木の枝などを集めていかだをつくり、そのいかだに乗って川を渡り、無事に向こう岸に着くことができたのだった。」
さて、旅人はこのいかだをどうすることが正しいのでしょうか。
そのいかだが自分にとって大変役に立った大事な物だとしても、そのいかだを頭に乗せて目的地へ進んで行くべきなのでしょうか。
これより先は、いかだを捨てて目的地へ向かうことが正しいのです。いかだを大事に持って旅を続けることではなく、いかだに執着しないで捨てることなのです。
大事な物でも、それがいかだかどうかを考え、いかだと考えた場合は、気楽に捨てることができないでしょうか。
時代はどんどん進化しています。
私自身も過去のいかだがまだ押し入れの中にあります。数年間、押し入れの中に入れっぱなしでも困らない物はきっと現実的に必要ない物なのでしょう。しかし、思い出の品としてやはりどうしても残したい物もあります。難しい問題です。
いかだを捨てる時は、手を合わせて「今までありがとう」と感謝していきたいと思います。