校長ブログ
校長ブログNo162‐1シリーズ「夏休み明けの子供たち」④作品紹介(小中高校席書大会上位入賞作品)
▼第73回千葉県小中高校席書大会上位入賞(書星会賞2名、特選6名)作品の紹介です。
全校児童が鑑賞できるように会議室前廊下に掲示しました。
詳細は8月23日付校長ブログNo141を参照。本校からは作品展への参加を希望申し込みした23名の児童が出品しました。
明日はPTA奉仕作業です。連休にもかかわらず大変お忙しい中、そして猛烈な残暑の中、この時期に申し訳ございません。ご協力いただける皆様ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
校長ブログ No161シリーズ「夏休み明けの子ども」③それって人見知り?
過去ブログで私の体験談を記載したように、夏休み明けの久しぶりの登校に緊張したり不安を感じたりする子供は結構な割合でいるようです。8月下旬の読売新聞でも同様の悩みについて取り上げた記事がありました。
生後半年から3歳くらいに見られる発達過程におけるある時期に限った「人見知り」とは異なり、「学童期になると発達とは関係なく、性格や個性としての人見知りが見られるようになる。」(白梅学園大(臨床心理学)増田修治氏)「必ずしも人見知りや引っ込み思案が悪いわけではない。慎重で注意深い気質の裏返しでもある。」ので心配しすぎないでという。今、在学する小学3年生~6年生はコロナ禍の影響を大きく受けています。(特に2019年・2020年に入学した5・6年生は、今後コロナ禍の影響がどう出てくるかは未知です。)大人でさえ、人混みの中へ行く必要がなく、対面の必要がないリモートはある意味気楽です。「今の小学生はコロナ禍のリモート授業で友達づくりなどの経験がしづらかった。友達や知らない人と関わる場を意識的に作り、自信を持たせながら社会性を養う手助けをすることも大切だ」といいます。
▼学期はじめは人間関係づくりから
本校は小規模校であるため、入学前から卒業まで学年1学級(単学級)で固定化された人間関係が続きます。担任も学級経営にあたり、多様な人間性との「ふれあい」の機会をどのように取り入れながら学級の人間関係づくりを育んでいくか日々、試行錯誤しながらこどもたちのためにベストを尽くしています。先週1週間、子供たちの学級での様子や担任や教頭、教務主任、養護教諭といつものように情報を共有しました。
▼図書室には子供向けの人間関係の築き方に関する本も置いてあります。
また、『子供を育てる7つの原則』の著者である教育評論家の石田勝巳氏は次のように述べています。「夏休みなど長期休み明けは、要注意の時期。集団が苦手な子にとっては、家庭から外に出ることに心理的な壁を感じ、通学を渋ることがある。」次のような方策が効果的だといいます。一定のリハビリ期間を設けて、親が子供と一緒にやること。(例:始業式が始まる前の1週間でリズムをつくる。1時間目が始まる時間から勉強したり、給食にあたる時間に昼食を食べたりするなどして心身を慣らす。文房具や衣服など学校に必要なものを一緒に準備するなど。そのときに子供が使いたくなるようなものだとなおよい。登下校が同じ友達と会う機会を作るなど。)避けたいことは「みんなと仲良くしなさい」と子供に強く求めるような言動。子供一人一人のペースを大切にしたいものです。様々な人と適切な距離の置き方を学べる機会であり、友達が少なくても悪いことではないことも伝えたいです。」
校長ブログNo160 おいしい給食 秋の味覚②
9月7日(土)暦の上で二十四節気「白露(はくろ)」を迎えました。
秋の田の
かりほの庵(いほ)の
苫(とま)をあらみ
わが衣手(ころもで)は
露(つゆ)にぬれつつ
天智天皇(626年- 672年)
(『小倉百人一首』,綱島亀吉,明18.10. 国立国会図書館デジタルコレクション)
百人一首にも選ばれた有名な和歌です。古代の日本の農作業において、田んぼの隅に建てた獣から作物を守るための粗末な見張り小屋で、農民が夜通し番をした様子をを詠んだものです。粗末なつくりの小屋なので、夜も更けた静寂の中で夜露が屋根からしたたりおちてくることにより着物の袖が濡れてしまいます。秋の夜長の時間がゆったりと流れることも想像させる和歌です。新米が市場に出回り始めましたが、今年の作況指数は平年並み(101)(コメの市況調査会社の米穀データバンク調査による)とのことです。
「白露(はくろ)」とは、文字どおり草葉の上の露に日光でキラキラと白く光ったように見える光景を表します。朝晩の気温と日中の気温の差が大きくなる季節の変わり目です。それにしても先週末9月6日(金)は久々の猛暑で厳しかった。私の地元では、光化学スモッグ注意報が発令されたほどです。南の海洋上にはまだまだ台風の卵となる熱帯低気圧がいくつも発生しているとのことで、今年の暑さはなかなか収まらなさそうです。今月の給食は秋の味覚を感じさせる食材を生かしたメニューです。まだまだ続く暑さに負けないよう、栄養のある食事を摂ることを心がけましょう。(食事と言えば、まだまだ猛烈な残暑が続く予報なのに、もう来年のお節料理の予約の宣伝が始まっているのは季節感がなく、実感がわきません)
▼9月9日(月)の献立
ご飯 ポテトリヨネーズ タンドリーチキン かきたま汁 牛乳
▼9月10日(火)の献立
ご飯 ひじき煮 マスマヨフライ さつま汁 牛乳
給食一口メモより
【サツマイモ】
サツマイモは、メキシコを中心とする熱帯アメリカ生まれです。日本には1609年、今の鹿児島県の薩摩に伝わり「さつま芋」と呼ばれるようになりました。サツマイモには、お腹の中を掃除する食物繊維がたくさん入っています。料理の仕方は、煮物や炊き込みご飯、てんぷら、焼き芋などいろいろな料理が楽しめます。今日は52㎏のサツマイモを給食センターの調理員さんたちが包丁でいちょう切りにしました。よく味わって食べましょう。
教えてちばの恵み「サツマイモ」(千葉県HP)
https://www.pref.chiba.lg.jp/ryuhan/pbmgm/zukan/yasai/satsumaimo.html
農林水産省 次世代に伝えたい大切な味「さつま汁(鹿児島県)」
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/satsumajiru_kagoshima.html
学校の図書室にも「秋の本をあつめました」コーナーに「いも」の本がありましたよ!
校長ブログNo159シリーズ「夏休み明けの子どもたち」②(自殺予防週間)
パリ2024パラリンピックが12日間にわたる競技を終え閉幕しました。日本選手団175人が参加。メダル総数41個(金14、銀10、銅17)。金メダル数は前回大会(東京2020大会)の13個を上回り、オリンピックと同じくメダルラッシュの競技会となりました。始業式でも子供たちに話した「あきらめない」の言葉を胸に子供たちも残暑厳しい2学期はじめの日々を過ごしています。
▼児童昇降口の特設掲示物「パリ2024オリンピックとパラリンピックの日本選手の大活躍」
昨日の屋上から眺めた四方の景色。積乱雲にぐるりと囲まれています。朝は霧がかかっていましたが、気温の上昇と共に晴れ、恐ろしい勢いで雲が急発達しています。外では子供たちは今日も元気に体を動かして遊んでいます。
過去ブログでお伝えしたとおり、地域により夏休みの長短があります。8月下旬、明日から学校という高校生の私の子供との会話。「あ~いやだ~緊張する。明日から学校だ~。」とドキドキした様子。「あ~緊張するよね。パパも子供の頃同じ気持ち同じだったなぁ。」久しぶりに会うクラスの友達にどう話したらいいのかなどなど。私も子供の頃から学校は楽しみなのに、休み明けは毎年ドキドキしました。人見知りとはまた違った感覚で、休み前はお互いに仲良く話をしていたのに、心の中で話したいのにどう話しかけたらよいのかわからずドギマギするような気持ちがありました。別に長い夏休みでなくても3連休明けでも同じでした。一度話してしまえば「な~んだ。」と思うような「あ~楽しかった。」で終わるようなことも始まるまでは緊張しますよね。そして、帰宅するとドカッと疲れが出る。学校では相当気を張っていたんだなと気づきます。
▼朝学習や授業の様子
保護者の方もお子さまの久々の登校にあたり、「学校で友達と仲良くやっているかな。」「先生が見てくれているかな。」「人に迷惑をかけていないかな。」などいつも以上に気になさっていることと思います。親であれば自然とそのような気持ちになるでしょう。
私たち教職員は現代の教育問題や社会問題についてさまざまな研修を受ける機会があります。ここ数年、取り上げられるのが児童生徒の自殺対策の研修です。いきなりこのような話題を取り上げ、皆さんはびっくりされることと思いますが、今日から自殺予防週間が始まります。(9月10日~9月16日)私の地元の図書館には特設コーナーが設けられていました。
世界自殺予防デー(World Suicide Prevention Day)
9月10日は世界自殺予防デーです。2003年に世界保健機関 (WHO)と国際自殺予防学会(IASP)が共同で開催した世界自殺防止会議(スウェーデン・ストックホルム)の初日を最初の世界自殺予防デーとして、世界的に自殺対策に取り組む責任があると決意表明(宣言)された日です。
厚生労働省 広報活動~いのち支える自殺対策~
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/koho_index.html
「かけがえのない命を大切に」自殺は深刻な社会問題です。
令和5年の1年間に自殺者数(全国)2万1837人(前年比44人減)
うち、児童生徒の自殺者数513人(過去最多)(前年比1人減)(厚生労働省確定値)
小中高生の自殺者数は、近年増加傾向が続き深刻な問題になっています。
厚生労働省「自殺対策白書」によると、日本の15~24歳の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数の割合)は、OECD(経済協力開発機構)加盟国38か国中、男性は第9位、女性は第7位。また、G7各国における10~19歳の死因において、自殺が1位になっているのは日本だけです。「自殺」の死亡率でみても、日本は最も高い7%となっています。これらのデータでも、日本の10代の子どもの自殺の深刻さが示されています。(G7:日本、米、仏、独、加、英、伊)
新聞やテレビの報道でも、例えば読売新聞では「STOP自殺 #しんどい君へ」という連載コーナーがあり、著名人が自身の経験を振り返り迷える小中高生に呼びかける形で自分の考えを伝えています。
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/stop01/
前回もご紹介しました。本校もスクリレで国や県の通知を資料として配信しました。相談窓口についても夏休み前と後にそれぞれ紹介しています。今後も折に触れて、みなさんが相談のニーズに合わせてご利用いただけるような相談窓口を紹介していきます。また、本校には千葉県教育委員会からの派遣によるスクールカウンセラーが月2回程度在校します。お子さまの生活や保護者で養育における相談など、ご希望があればぜひ、担任を通じてご連絡ください。
2学期の今後のスクールカウンセラー来校日はつぎのとおりです。いずれも木曜日です。
9月19日、10月10日、31日、11月14日、28日、12月12日
また、保健室前には相談箱として「心の箱」が設置されています。(過去ブログNo38‐1(5月19日号「子供の心の変化に気を付けて」でも紹介)
校長ブログNo158 重陽(ちょうよう)(菊の節句)
今日9月9日は「令和元年房総半島台風」から5年が経ちます。(2019年9月9日5時前に千葉市付近に上陸し、関東各地で記録的な暴風となった。千葉市では最大瞬間風速57.5m/sを記録。(観測史上1位) 死者12人、停電64万軒超 (総務省調べ))当時教頭だった私は家を出てすぐに、校長より台風による休校決定の連絡を受け、写真のように途中、倒木や電柱が折れて寸断された道を迂回し、普段なら30分の通勤時間が2時間もかかり、やっとの思いで学校に到着したことを思い出します。停電・断水・避難所の開設と学校再開まで2週間を要し、東日本大震災以来の危機感を感じた忘れられない出来事でした。沿岸部に位置する横芝光町もさぞかしたいへんな思いをされたことでしょう。
「天災は忘れたころにやってくる」という言葉は、「起きてしまった災害を忘れず、日々の備えをしよう」という意味で、物理学者である寺田寅彦(てらだとらひこ)(1878年(明治11年)東京市(現・東京都)~1935年(昭和10年))が防災学者として地震・台風・火山などの被災地を調査したことにより生まれた名言とされます。今年は地震や台風などの自然災害(天災)が多く深刻な被害を及ぼしています。私たちも備えを忘れずに過ごしましょう。
さて、9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」。「菊の節句」とも呼ばれます。
「重陽の節句」は「1月人日(じんじつ)七草」「3月上巳(じょうし)桃」「5月端午(たんご)菖蒲(しょうぶ)」「7月七夕(たなばた)(しちせき)竹」などと並ぶ五節句のひとつで長寿を祈る日です。数字の「9」日本では忌み数字として避ける方向がありますが、中国では数字の「9」は縁起の良い数字です。これは中国語で「永遠」を連想させる「久」と発音が同じ「ジュー(jiǔ) 」であることからだそうです。 さらに、お気づきになったかもしれませんが、五節句はみんな奇数(1・3・5・7・9)の月です。(11月に節句がないのは、中国における陰陽五行思想によるものとの説があります。)中国では、偶数を陰数、奇数を陽数として、その奇数が重なる日を祝う習慣があり、9月9日は奇数(陽数)が重なる日であることから「重陽(ちょうよう)」と読むのです。日本では8世紀の奈良時代に中国から日本に伝えられた文化です。その後、貴族社会に広まり、江戸時代には広く知られた行事で、時代劇でもときどき菊見や重陽の節句が取り上げられるシーンを見ます。
▼1800年代半ば(江戸時代)の錦絵『当世菊見之図』歌川国輝による画。茶屋の菊見の席で、菊で作られた帆掛船が飾られている。(出典「国立国会図書館デジタルコレクション)
私は昭和50年代に小学校生活を送りましたが、小学2年生の音楽科の授業で「菊の花」の歌を学習しました。現在は時代も変わり掲載されていませんが、先月の過去ブログでシリーズ化した太平洋戦争開戦の年1941年(昭和16年)に国民学校第2学年の音楽科教科書に初出となり、約30年間掲載されていたことになります。歌詞を見ると時代背景が色濃く感じられます。現在では2番の歌詞は歌われることが少ないそうです。
「菊の花」 作詞:小林 愛雄 作曲:井上 武士
1番 きれいな花よ 菊の花 白や黄色の 菊の花
2番 けだかい花よ 菊の花 あおぐごもんの 菊の花
3番 日本の秋を かざる花 きよいかおりの 菊の花
菊の花というと、子供の頃は地味な花という印象があり、昔、同居していた祖父が鉢植えに色とりどりの菊の手入れをしていましたが、私はよさがわかりませんでした。初めて「重陽」を知ったのは、高校の漢文の授業です。「9月9日に高い山に登り、酒の入った盃に菊を浮かべて飲み、災難を逃れた」という中国の故事にちなんだという話を先生がしたことが記憶に残っています。ちょうどその頃、祖父が亡くなりました。遺された数多くの菊の花を見たとき、菊の花に対する印象が変化しました。それから大人になり、近所の寺社で開かれる菊まつりや菊人形を見る機会も増え、静かながらもまっすぐ凛とした姿で大輪や可憐な花を咲かせている菊の花の美しさを少しはわかるようになった気がします。
千葉でいつも美しいなと思うことは、菊の花の季節、民家の庭先に黄・赤・紫・白と色とりどりの菊の花が咲き誇る姿です。可憐でありながらくっきりとした鮮やかな存在感のある姿でとても美しいものです。
最後にイベントの紹介を。成田山不動明王御上陸之地(学区である尾垂浜にある)とゆかりのある成田山新勝寺では、「菊花大会」が10月20日~11月15日に行われます。1883年(明治16年)から続く伝統行事で約1か月展示されます。菊の見ごろは11月初旬とのことです。