ほごログ(文化財課ブログ)

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古文書解読勉強会の成果(その7)

去る6月30日(土)に古文書解読勉強会を行いました。関係者の皆様、更新が遅れて申し訳ありません。引き続き、市内の神間地区に伝わった神間村文書(館蔵)を解読しました。
次回は、9月8日(土)14時~16時。教育センター2階にて、前回に配布した神間村文書慶安3年神間村新田屋敷御検地御水帳写」(№334)を解読する予定です。

【史料番号40】

   入置申金子請取之事
一   金五両也
 右は此度縁談之儀ニ付身代
 為取替セ右之金子差出し被下無相違
 慥ニ請取申候、尤右金子内弐両弐分之
 者、万一家出致候儀も有之候得は
 急度返金可申候、若又其節差滞
 候得は私請人ニ罷立、急度引請
 弁済可仕候、為後日請取一札如件
  嘉永元申年   東宝珠花村
    四月      栄蔵㊞
          木間ケ瀬村
            伝兵衛㊞
          請人
            惣次郎㊞
  神間村     立会人
   源次郎殿     菊右衛門㊞

写真:神間村文書40
【ひとことメモ】
神間村の源次郎の縁談により、東宝珠花村栄蔵が金5両を受領した証文。「家出」した場合には半額の2両2分を返金するとあるが、この証文だけでは事実関係が不分明であり、誰の「家出」なのか解釈することが難しい。今後の課題である。


【史料番号49】
     入置申一札之事
一此度私義金子加印一條ニ付種々
 御利解ニ預り、何共申訳無之故
 講下弥右衛門殿相頼、度々詫言申
 入候処、早速ニ御聞済被下忝奉存候
 向後右加印之義ニ付貴殿江難渋
 相掛申間敷候、依之為念詫書
 一札差入申処如件
   嘉永弐年  神間村
    酉四月   詫人
           弥右衛門㊞
          入置主
           源次郎㊞
         同村
          源太郎殿 
写真:神間村文書49
【ひとことメモ】
神間村の源次郎が「金子加印一条」により、源太郎に迷惑をかけたので、「講下」弥右衛門と連判して源太郎に提出した詫び証文。詫び証文については前回の記事参照。「金子加印一条」や「講下」についてもこの史料だけでは詳しくわからない。今後の課題としたい。

この夏は「神明貝塚」展【はじまりました】

平成30年8月4日(土)より、春日部市郷土資料館夏季展示(第59回)「ここまで分かった!神明貝塚と縄文人のくらし」展がはじまりました。

8月5日(日)には、学芸員によるギャラリートーク(展示解説)を、8月8日(水)には動画で解説!神明貝塚を開催しました。

ギャラリートークでは、資料をじっくりみながら、展示・発掘担当の学芸員が展示を解説しました。参加された皆さんは、興味深そうに解説を聞き、解説終了後には担当者に質問をなげかけていました。
午後の回は、博物館実習生も展示解説の補助をしました。
写真:ギャラリートークの模様

動画で解説!神明貝塚は、神明貝塚の普及のため制作した動画を上映して、その後、学芸員は展示を解説するイベントです。

動画上映後、展示室に移動して、学芸員が展示資料を簡単に解説。参加された方々の質問に応えながら、神明貝塚の調査の成果について、わかりやすく解説しました。

写真:動画で解説!神明貝塚の様子

「神明貝塚」展の関連イベントは、まだまだ続きます。
①8/10(金)、9/1(土)には「さわってみよう!縄文体験」(体験型のイベント)
会期中の毎週水曜日には、「動画で解説!神明貝塚」
最終日の9/16(日)にはギャラリートーク
9/2(日)にはシンポジウム神明貝塚「発掘調査から分かる3800年前の縄文人のくらし」
を開催します。
上野の東京国立博物館でも「縄文」展を開催していますが、ぜひ身近な郷土春日部の「縄文」も体感してみてください。

「神明貝塚」展ギャラリートーク

春日部市郷土資料館の夏季展示「ここまで分かった!神明貝塚と縄文人のくらし」展の展示資料について担当の学芸員が解説します。

 

日時:平成30年9月16日(日曜日)午前10時30分~、 午後3時~(各30分程度)

会場:郷土資料館 企画展示室

参加費:無料

申し込み:不要です。直接来場してください。
ギャラリートークの模様

シンポジウムー神明貝塚【受講者募集中】

春日部市郷土資料館夏季展示(第59回)を記念して、来る9月2日(日)下記のとおり、専門家によるシンポジウムを開催します。無料(要申込)です。
この機会に専門家の造詣深い話を聞いて、春日部が誇る神明貝塚について理解を深めましょう!

テーマ:発掘調査から分かる3800年前の縄文人のくらし
日 時:平成30年9月2日(日)13時~17時
発表者:阿部芳郎(明治大学文学部)/米田穣(東京大学総合研究博物館)/吉田邦夫(東京大学総合研究博物館)/森山高(春日部市教育員会)
会 場:春日部市教育センター2階視聴覚ホール
定 員:200名(無料・申込順)
共 催:明治大学資源利用史研究クラスター・明治大学黒耀石研究センター

動画で解説!神明貝塚

春日部市郷土資料館の夏季展示「ここまで分かった!神明貝塚と縄文人のくらし」展の開催を記念して、展示室にて神明貝塚の紹介映像を上映し、学芸員が解説します。

 

日時:平成30年8月8日(水曜日)~9月12日(水曜日)の毎週水曜日
いずれも午前10時30分~、 午後3時~(30分程度)

会場:郷土資料館 常設展示室

参加費:無料

申し込み:不要です。直接来場してください。
写真:動画上映の様子

資料整理とギャラリートーク

本日は西金野井の文書の資料整理と「ここまで分かった!神明貝塚と縄文人のくらし」展のギャラリートークを行いました。資料整理では葉書形式の文書に書かれた宛名や送り主、その内容など一つずつ確認し、調書をとりました。旧字やくずし字などで書かれていたため読むのは大変でしたが、年賀状や木材の送付願いなど様々なものがあり、同じ送り主からの送付願いが複数あるなど、たびたび注文を受けていた様子が伝わってきました。
写真:資料整理の様子

ギャラリートークは、10時半からのギャラリートークを見学させていただき、教えていただいたことをもとに、一部のコーナーを実習生が担当させていただきました。見学の際、神明貝塚がどのように貴重なのか、どのような生活をしていたのかなどを面白くも分かりやすく教えていただきました。午後からは実際に自分の担当する場所を決め、展示担当の方に見ていただきながらリハーサルを行い、改善点やアドバイスをいただいて、本番に備えました。
写真:ギャラリートークのリハーサル風景

本番ではリハーサルでのアドバイスをもとに、教えていただいた事や調べたことを使いギャラリートークを行いました。うまく伝えることが出来るかとても緊張しましたが、リハーサルよりも落ち着いて伝えることが出来ました。また地域の大切な遺跡についてより知ってもらうため、ギャラリートークでは展示だけでは分からないことをたくさんお話しすることが大切だと分かりました。
写真:実習生によるギャラリートーク

文書の整理やギャラリートークなど、専門知識の必要性を改めて感じました。
お客様の前でお話しするのはとても緊張しましたが、実習生にとって貴重な体験になりました。ギャラリートークにお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。
(平成30年度博物館実習生)

春日部市体育館兼講堂『新編図録春日部の歴史』からのご紹介ーその55

今から61年前の昭和32年(1957)8月5日、春日部市体育館兼講堂の完工式典が同体育館で開催されました。式典では、市制3周年、水道通水3周年記念もあわせて祝われました。

市体育館兼講堂は、粕壁小学校の敷地内に建設されました。1階部分が296.83坪、2階部分が136.2坪の鉄筋コンクリート製で同年7月末に竣工しました。
建設にあたっては、昭和28年7月に粕壁小学校児童の保護者を中心に結成された「粕壁小講堂建設促進の後援会」の活動も大きな力となりました。

完成時、埼玉新聞では「県下一の体育館完成」という見出しで、「収容人員3千名は優に床にイス席で収容できる県下でも珍しい体育館兼講堂」と紹介されました。

「市体育館の建設」『春日部市史第6巻 通史編II』379ページ
「公共施設の整備」『新編図録 春日部の歴史』252ページ

春日部市体育館兼講堂

夏休み体験講座本番

本日は、夏休み体験講座のわらじ作り本番でした。

まず、わらじを作る前の段階に、稲を刈って乾燥させて脱穀するという作業があります。
今回は脱穀の作業を来てくださったみなさんにやっていただきました。


みなさん楽しそうに千歯こきという江戸時代の農具を使って脱穀してくださいました!

次にわらすぐり、わら打ちの作業を実習生が実演し、最大の難関であるわら縄作りに突入です。
やはりみなさんわら縄作りに苦戦していらっしゃいました。
私たち実習生も、やり始めたころは難しくて頭を抱えていました。

わら縄作りを終えた後、わらじを編む作業に入りました。
編む作業は、みなさんの理解が早くてスムーズだったと思います。



完成したわらじを履いて、記念撮影もしました。
下の写真↓はその時のものです。

わらじの他に、江戸時代の旅人の衣装も着ていただきました。
みなさんとても似合っていました!


こうしたお客様に指導する立場に立つのは初めでした。
人に物事を教える難しさを痛感しました。
でも来てくださった方々が積極的に、楽しく作業してくださったので、私たち実習生もとても楽しく作業することができました。


博物館実習も終わりに近づいてきました。
最後まで気を抜かず、できるだけたくさんのことを学ぼうと思います。
(平成30年度博物館実習生)

夏休み体験講座の事前準備

本日も夏休み体験講座のわらじ作りに向けて、実際に実習生がわらじ制作を試みました。
写真:制作風景
前日に藁すぐりを終えた稲わらは「わら打ち」と呼ばれる作業を行います。砧とよばれる道具を使ってまんべんなく稲わらの芯を潰し、縄を適度な柔らかさに仕上げる作業です。その作業を終えると、わら縄作りに入ります。手のひらを擦り合わせるようにし、稲わらからわら縄にします。最初は思うように縄にできませんでしたが、次第に慣れてくるとみるみる内にわらが縄へと変貌していきました。
写真:わら縄づくり
わら縄作りが終わるといよいよ、わらじ作りに入ります。わら縄を足の指にかけ、わらを先端部(つまさき)から編み始めます。慣れない作業に皆試行錯誤しながらわらを編んでいきます。指導して頂きながらわらを編んでいくと、個性溢れるわらじたちが出来上がりました。不格好ながらも世界で一つだけのわらじを制作することができ、思い出に残るわらじとなりました。自分たちで制作したわらじを実際に履いてみたり、眺めてみたり、各々興味津々になっていました。
写真:完成したわらじ
昔から伝えられてきたわらじ作りは、とてもよい経験になり、明日の本番に向けて子供たちに楽しく教えられるよう頑張りたいと思います。
ありがとうございました。
(平成30年度博物館実習生)

博物館実習3日目

本日はまず、わらじ作りの体験に向けての準備の一環として、藁(わら)すぐりを行ないました。
藁すぐりをすることで、わらじ作りに適切な藁を集めることができます。
この藁は地元の農家さんに頂いたもので、小学生が千歯こきで稲の実の部分(籾)をとる体験の時に使用したものを再利用しています。
私たちで藁の束を約15束作りました。これは明後日のわらじ作り体験にも使われます。
写真:わらすぐりをしている風景

午後は、先日調査した稲荷社から収集した資料の整理と、調査カードに資料の大きさや年代などの調査した項目を記入しました。
写真:調査カードをつくっている風景
ここで、資料の梱包の仕方や資料の扱い方など、初歩的なことも皆で再確認をしました。
調査カードに書くときに、資料の名前などがすぐにわからなかったり、書いてある文字が読めなかったりなど、大変なこともありましたが、協力して記入を終わらせることができました。また、資料のスケッチも一人ひとりで作風が違い、見比べてみるのも面白かったです。
初めて知ったものの名前や資料の知識などは、忘れずに次に活かせるようにしていきたいです。
資料を調査するにつれて、地元の人々に愛されていた神社であることを実感できました。また、藁すぐりは初めての体験だったのでとてもいい経験になりました。
わらじ作りも頑張りたいと思います。
ありがとうございました。
(平成30年度博物館実習生)