ほごログ(文化財課ブログ)

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オンライン土器作り教室“野焼き”を行いました

 本日8/26(金)に待ちに待った土器作り教室の“野焼き”を行いました。早い方は7月中にご自宅で作り上げた土器を文化財保護課までお届けいただき、小1ヵ月ほど、じっくりと乾燥させました。

 当初、うす茶色だった土器は乾燥によって乳白色へ、重さも大きさも約1割ほど縮みました。

 乾燥後

 

 

 

 

 

 

 

野焼きは温度調整が難しく、燃料である木材を火の様子をみながら加えるという、まさに学芸員の経験で焼き上げています。

 温め状況

 

 

 

 

 

 

 

最初は土器を火のまわりに並べ、遠火で温めること小一時間。 軍手でももてないくらい熱くなったら、さらに火に近づけます。

土器の表面が赤茶色に変色してきたら、オキ(炭)を土器の中へ。オキの熱で土器を温めます。ここまでで二時間経過。

オキの熱で土器の底が徐々に変色してくると、軍手では土器を持つことができなくなるほど、熱がこもってきます。

本炊き

 

 

 

 

 

 

 

 

そこまで土器を温めてカマの中に投入。「はじめチョロチョロ・・・なかパッパ・・」とお米を炊き上げるように徐々に火力をあげ、本焼きへ。火力があがるように良く乾燥した木材を少しずつ投入していくと、透けたような真っ赤な土器に。この時の火力は600度以上ともといわれています。

 その後、火を落とし、土器を横倒しし、まんべんなく焼いて完成!

でも、小一時間程度、放置しないと熱がさめず、カマから引き上げることもできません。

完成!作品一堂 

 

 

 

 

 

 

 

  今年も家庭で作られた思い思いの土器や土偶が完成しました!

令和4年度のオンライン土器作り教室では40名の方が参加いただきました。来夏も開催いたしますので、ご興味ある方、またご家族での参加をお待ちしております!

 

ララガーデン春日部で「はじめてのおしごと~学芸員編~」を開催しました!!

 ララガーデン春日部で、体験をとおして将来の夢を描いてみようと小学生を対象にした事業「はじめてのおしごと」が7月30日から8月21日の土日計6日間、12種の職業体験が行われました。その中で「学芸員」は8月20日(土)午前午後の2回を分担し、土器作りも体験していただきました。

 導入では「学芸員はどこで、なにをしているの?」について写真を用いて解説。また、博物館だけではなく、美術館や科学館、水族館、動物園など、さまざまな館で活躍していることを紹介しました。特に県内には鉄道に特化した鉄道博物館をはじめ、歴史に問わず、自然系の博物館でも学芸員が配置され、その領域を広めていることを案内しました。

導入風景

 

 

 

 

 

 

 

 続いて体験プログラムとして、教材粘土を使って土器作りを体験。遠巻きで写真撮影していた保護者の皆さんも最後にはお子さんの手伝いに加わり、家族総出の体験を楽しんでいただきました。

土器づくり解説

 

 

 

 

 

 

市Youtubeチャンネルに掲載している「土器づくり」の動画で作る手順を確認

作り体験

 

 

 

 

 

 約1時間集中したひと時。その後、保護者も参加され家族総出の土器づくりとなりました!

 

 学芸員という職があることや、1900名以上いる市職員の中で学芸員は僅か8名であることを初めて耳にしたという保護者の感想も聞かれる中、参加されたお子さんからは「白衣を着ていないの」とか、「学芸員のお仕事は大変そうだけでやってみたい」といううれしい声も聞かれました。

 資料館でのキッズ学芸員講座をはじめ、「学芸員」という職と仕事内容がより発信できるよう、皆で創意工夫しながら努めます!!

郷土資料館体験ワークショップを開催しました

令和4年8月21日(日)の午前と午後各1回ずつ、郷土資料館体験ワークショップ「ミニ空気砲を作ろう」を開催しました。

 

まずは蓄音機でのレコード鑑賞から。ここ数年は「かっこうのワルツ」を流していたのですが、今日はちょっと趣向を変えて「ミッキーマウスの木琴」にしてみました。

ミッキーマウスマーチとは別の曲ですが、遊園地で流れていそうな陽気な曲です♪

蓄音機上演

蓄音機はレコードの回転速度を変えることで、音を早くしたりゆっくりにしたりできます。音の変化に驚いた子供たちは「もう一回やって!」と嬉しそうでした!

 

紙芝居朗読

次に、春日部の昔話「飯沼の椀貸し伝説」の紙芝居を朗読しました。

食器を貸してほしいという祈りを叶える不思議な沼の伝説。しかし、心無い者が借りた食器を沼に返さなかったため、二度と食器を借りることができなくなってしまったというお話です。

ずっと借りっぱなしのアレコレ、誰しもあるのではないでしょうか?私だけではないはず・・・。ちゃんと返したいものですね!

 

おもちゃ作り

おもちゃはミニ空気砲を作りました!

科学実験などでよく見る空気砲は段ボールを使った大きなサイズのものが多いですが、ペットボトルを使ったミニ空気砲は手軽に持ち帰ってもらえるサイズです♪

おもちゃ遊び

作った空気砲で的あて遊び!目に見えない空気の弾の軌道を読みながら狙います!

現在開催中の企画展示「明治天皇と春日部~巡行・御猟場・梅田ごぼう~」展の中で紹介されている“御猟場での鷹狩り”を模して、空気砲に鷹の絵を貼り、的には獲物となる鳥の絵を貼ってみました。

 

缶バッジ作り缶バッジ

最後に恒例の缶バッジ作り!

缶バッジに使用する絵を的に仕込んでおいたので、自分で狩った獲物(的)を使ってバッジ作りをするというちょっとした狩りの疑似体験にもなったでしょうか。

 

本日もお越しいただき、ありがとうございました!次回の体験ワークショップは令和4年10月に開催予定です。詳しくは広報誌等でご確認ください。

郷土資料館は適宜換気や消毒を行って開館しております。体調に気を付けながら、またぜひお越しください。

展示解説講座その2「梅田ごぼうの献上」

8月20日(土)講師に二ノ宮幹太先生(宮内庁宮内公文書館)をお迎えして、「明治天皇と春日部」展の展示解説講座を開催しました。

テーマは「梅田ごぼうの献上」。二ノ宮先生は、現在開催中の「明治天皇と春日部」展において、「第3章春日部市域の恩賜と献上」の展示設営を担当いただいた方です。梅田ごぼうは、春日部市内では割と知られた特産農産物。梅田女體神社の石碑もあり、大正時代に皇室に献上されたことが語たり継がれてきました。そのことは、前にも紹介しました。

前回の講座に引き続き、今回の展示解説講座では、現在「明治天皇と春日部」展で展示されている資料を丁寧に読み解きながら、皇室への献上の仕組みやプロセス、宮内省・埼玉県・南埼玉郡・内牧村の間で発信・授受される公文書のサイクルをまじえながら、梅田ごぼうがどのような目的で、何のために、どのように献上されていったのかを、解説いただきました。宮内省や埼玉県には梅田ごぼうの献上に関わる公文書が残されていますが、郡・村には文書がのこされていません。資料が限られているなかで、至極丁寧に史料を解釈され、歴史学研究の鑑のような報告だったと思います。

写真:講座の風景

質疑応答では、地元の石碑に刻まれる「大嘗祭御買上」と公文書の「伝献」「献上」はどう違うのか。梅田ごぼうは実際に供物としてささげられたのか、献上の規定の条文の解釈について、など、かなり鋭い質問が投げかけられました。

また、梅田ごぼうを実際に召し上がったことのある方も発言され、「昭和50年頃に甘辛く煮て食べ、香りがよくおいしかった」と、在りし日の梅田ごぼうの味を会場で共有することもできました。

写真:解説される二ノ宮先生

「伝説のごぼう」と言われますが、梅田ごぼうのことが着々と判明してきた貴重な機会となりました。

受講者の方からは、「公文書から梅田ごぼうのことがよくわかった」「丁寧なお話しありがとうございました」などの感想をいただきました。二ノ宮先生には、ご多忙のところ、貴重なご講演、丁寧なご対応、大変ありがとうございました。

展示解説講座は、引き続き、宮内庁宮内公文書館の辻岡健志先生をお迎えして、「埼玉鴨場の設置について」を解説いただきます。ぜひ、お申込みください。

神明貝塚から発掘された装身具などが市の文化財に指定されました!!

 8月18日に開催されました8月定例教育委員会で神明貝塚から発掘された貝輪(かいわ)や耳飾(みみかざり)、そして土偶(どぐう)が文化財に指定されました。

 この3点は、平成28年の夏に行われた発掘調査で発見された5号墓に葬られた女性の縄文人が身にまとっていた装身具や副葬品の土偶です。

貝輪

 

 

 

 

”貝輪”は外洋に生息する「タマキガイ」が用いられ、右手首にまかれたブレスレッドです。およそ全体の1/2が残ります。

耳飾

 

 

 

 

 

 

”耳飾”はなんとサメの椎骨(ついこつ=背骨)が用いられ、側面には赤色のベンガラがみられます。椎骨の直径(25ミリ)からは体長3.5m以上、胸付近に相当する部位と推定され、ピアスのように耳たぶに穴をあけてはさみ込んだ装身具です。

土偶

 ぐうすけ

”土偶”は粘土で作られた素朴なもので、短い手足と顔には粘土粒によってユーモラスな表情につくられています。右はイラスト化したもので、「ぐうすけ」と名付けられています。

 このように装身具を身にまとった縄文人の発掘例は国内でも非常に少なく、3800年前の縄文人の文化や風習をわたしたちに教えてくれます。また、内陸奥地に築かれた神明貝塚まで外洋に生息する生物が持ち込まれていることから、縄文人の往来や交流もうかがうことができます。

 この指定により、市内の文化財は68件となりました。

 本日より、郷土資料館の常設展示で公開しています!!